特許庁に商標登録の出願をしても即時審査されるわけではありません。
特許庁には毎年10万件程度の商標登録出願がなされていて、これを東京の虎ノ門にある特許庁で全件審査をしています。
しかも特許庁は日本全国に1か所しかありません。
このため、審査には平均で半年程度かかる場合があります。早ければ3カ月程度で審査結果が返ってくる場合もありますが、全てが早く審査されるわけではありません。
この様に審査には一定期間を要するのですが、互いに内容が似たような出願が競合した場合には、先に特許庁に願書を提出したものが勝ちます。
具体例を挙げて説明すると次の通りです。
例えば、A社が化粧品について商標ABCを出願した、とします。これに1週間遅れてB社が同じく化粧品について商標abcを出願した、とします。
A社の商標「ABC」とB社の商標「abc」は大文字か小文字かの違いしかありませんので、これらの商標は互いに類似します。この場合、先にA社が出願していますので、A社の商標が登録された後に、B社の出願は拒絶されることになります。
仮にB社の出願の方が先に審査された場合であっても結論は同じです。
つまり、後から出願した方が、先に出した方を追い越して審査に合格することはないのです。
ですので、一度出願して出願日を確定してしまえば、後から他の誰かが出した商標登録出願によりこちらの出願が審査上影響を受けることはありません。
後はじっくり審査結果を待つだけです。
ただし、特別な事情により審査を早くしてもらいたい、と考える場合もあると思います。
この場合には一般にスピード商標登録といわれる早期審査制度を利用する方法もあります。
スピード商標登録の制度が適用される場合には1カ月ほどで審査結果を受けることができます。
ただし、多くの方が審査の結果を待って並んでいるわけですから、それらの方を追い越して審査をしてもらうためにはそれなりの事情があることが必要です。
特許庁に定めるガイドラインの要件を満たす場合にはスピード商標登録の制度が適用されます。
ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
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