現在使用している商標が他人の商標権を侵害しているという状態をあなたはイメージすることができますでしょうか。
私は商標権を土地の権利にたとえて説明しています。
自動車で旅行に行って、車を留めた場所が公共の駐車場だった場合は何ら問題ありません。
この場合は留めた場所に商標権が無かったのと同じです。
ところが車を留めた場所がたまたま他人の土地の場合だった場合にはトラブルになる場合があります。
現在使用している商標がたまたま他人の商標権に抵触するものであったも同様です。
商標権の侵害を他人の土地に駐車した場合にたとえて説明すると次のようになります。
土地の権利者は車を留めている者に対して出ていくように言うことができます。
人の土地を勝手に使うな、と相手に対して差し止め請求ができるのです。
同様に登録商標を使用するな、と侵害者に対して差し止め請求ができます。
また勝手に車を留めている者に対してこれまで駐車していた期間の駐車料金を支払え、というのと同様に登録商標を無断で使用している者に対して損害賠償請求を行うことができます。
車を駐車するときにその駐車スペースが駐車してよいかどうかは車を運転したことのある方なら注意をいつも払っていると思います。注意していなければ反則切符を切られて運転免許に傷が付く場合もあるからです。
けれども中には「これまでその辺に駐車しているけれど、今まで全然問題にならなかったよ。」という方も中にはいると思います。
では商標権者に見つからなければ登録商標を使用できるのでしょうか。
そんなことは決してありません。見つからなければやっても良い、という結論にはなりません。
他人の土地に勝手に承諾無く車を留めることができないのと同様、やはり見つからなければよい、とはいえないです。今は見つからないかもしれませんが、そのうちトラブルになります。
昔はインターネットがなかったので少々他人の登録商標を使用していても、その実態が商標権者には分からなかったため問題が表面化するケースは少なかったかもしれません。
けれども今ではインターネットが発達し、検索エンジンで登録商標を入れて検索すれば簡単に侵害者を発見することができるようになりました。
相手にばれなければよい、とは到底言えなくなっていることに注意することが必要です。
問題が表面化した後では解決に労力と費用と時間を要します。
こうならないように商標権の侵害を未然に防止するように普段から注意しておくことが一番です。
ファーイースト国際特許事務所
弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247