商標登録の効果は日本の法律の効力が及ぶ日本の領域内のみで有効
商標登録出願して、特許庁の審査に無事通ると商標登録の手続きを経て商標権が発生します。
この商標登録による効果の範囲がどこまで及ぶのかという点について質問を受けることがあります。
日本で得られた商標権の効力は、日本の領域内に及びます。
ですから米国でまったく同じ商標について同じ指定商品に対して商標権が存在したとしても、日本で商標登録されたなら、日本の商標権者は日本国内でその登録商標を自由に使用することができます。
米国の法律が適用されるのは原則米国内限りです。このため米国に上記の商標を使用してよいとかいけないとかの法律があっても日本には全く関係ありません。
日本で商標登録されれば、日本で自由に使用することができます。
外国で商標権が必要なら各国ごとに商標登録する必要あり
この逆に日本で商標登録されたとしても、韓国でこちらが商標権者でなければ韓国でその商標を自由に使用できるわけではありません。
同じ業務分野について同じ商標を韓国で他の誰かが商標権を既に取得している場合があるからです。
この場合には日本における商標権者はこちらになりますが、韓国における商標権者は別人になります。
同様に中国で商標権が必要なら中国で商標権を取得する必要がありますし、台湾で商標権が必要なら台湾で商標権を取得する必要があります。
これ以外にも多国間条約によりひとつの手続きで複数の国において商標権を得ることのできる手続きももちろん存在します。
しなしながら商標権は国ごとに審査を経て国ごとに設定されるのが原則です。
(どこかの国のことを他の国が決めることはできません。多国間条約で認識統一している場合には統一している範囲で多国間条約を経由して、それぞれの国ごとの「国内法令」が働きます。この国内法令に基づいて商標登録の取扱が決まります。)
日本で商標権が得られたから他の国でも商標登録できるはず、という論理は通用しませんし、外国に存在する商標権がそのまま日本で通用するものでもありません。
日本の商標権の効力範囲は日本の法律に従います。
この点は覚えておいてくださいね。
ファーイースト国際特許事務所
弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247