索 引
1. 商標とは?
商標とは?
商標とは、いわば「名前」です。たくさんの同じような商品があるときに、手がかりがなければどの商品が誰の販売するものか分かりません。しかし商品に「名前」が表示されていると、誰が販売しているか一目瞭然です。この名前に相当する識別標識が「商標」です。視覚情報に加え、音声情報も音の商標として認められています。
文字商標とは?
商標は文字、図形、記号、色彩等やこれらの組み合わせでできています。構成要素が文字だけのものを文字商標といいます。
図形商標とは?
構成要素のうち図形を含むものを図形商標といいます。幾何学模様だけでなく、キャラクター、アニメの主人公、ゆるキャラやご当地キャラ等の絵や写真も含まれます。
記号商標とは?
構成要素のうち記号を含むものを記号商標といいます。「★」「!」「#」「$」「%」「@」等が含まれます。ただし広く一般的に使われている記号単独では審査に合格できません。
サービスマーク商標とは?
役務(サービス)に使用される商標を「サービスマーク商標」といいます。美容サービスや飲食サービスなどの役務は形がないため、サービスを行うときに使う物(お店の看板など)に表示されます。
サービス商標とは?
サービスマーク商標を略して「サービス商標」と呼ぶことがあります。
商品商標とは?
平成4年に役務(サービス)のサービスマーク商標制度が導入されたことに伴い、商品について使用される商標を「商品商標」と区別して呼ぶようになりました。
立体商標とは?
三次元の立体形状を含む商標です。ケンタッキーフライドチキンの「カーネルサンダース大佐」の店頭人形や、不二家の「ペコちゃん」の店頭人形が代表例です。
平面商標とは?
書面にそのまま記載できる二次元の商標のことです。通常の商標は紙等に印刷できる平面商標です。
色彩商標とは?
構成要素のうち「色」を含むものをいいます。「色彩のみ」でできている商標も登録対象ですが、相当程度の知名度がないと審査に合格できません。
動きの商標とは?
電光掲示板表示のように、時間の経過と共に表示内容が変化する商標です。
音の商標とは?
音声情報だけで構成されている商標です。インテルの「パンパパパパン」や、サロンパスの「ヒ・サ・ミ・ツ」なども音の商標として認められています。
位置の商標とは?
商品等に対して商標を表示する場所が指定されている商標です。
ホログラム商標とは?
ホログラム技術を使い、見る位置により表示内容が変化する商標です。
新しいタイプの商標とは?
人の知覚により認識できる商標で、「音商標」「動きの商標」「色彩のみからなる商標」「位置商標」「ホログラム商標」の五つをいいます。平成27年4月から保護対象に加わりました。
結合商標とは?
文字と図形、図形と記号のように、二つ以上の構成要素を組み合わせた商標です。企業ロゴでは、シンボルマーク(図形)と社名(文字)を一体にした結合商標が多く見られます。
小売役務商標とは?
百貨店やコンビニに見られる商品の品揃えの権利です。「三越」や「セブンイレブン」等の商標は、個々の商品には直接表示されていませんが、お店の看板等に表示して商品の品揃えのサービスとして商標を保護できます。
地域団体商標とは?
「地域名」と「商品や役務の一般名称等」を組み合わせた文字商標です。「鬼怒川温泉」や「明石鯛」等があります。権利者に制限があり、一般の会社や個人は登録できません。
団体商標とは?
商標権者が配下のメンバー会社等に使用させるための商標です。法人のみが権利者になれます。
強い商標とは?
簡単に取り消されたり無効にされたりしない商標をいいます。指定商品・指定役務が漏れなく記載されていてライバルが付け入る隙間がないこと、さらに高い売上高を叩き出す力を持つ商標のことです。
商標検索とは?
自ら考えた商標であっても、既に他人に権利が取られている場合があります。事前に商標権の有無を調べるために行うのが商標検索です。特許庁のJ-PlatPatでインターネットから無料で検索できます。
商標って文字だけかと思ってた。音とか色とか立体もあるんだね。
平成27年から「新しいタイプの商標」が加わって、保護範囲がかなり広がったんだ。自分のビジネスに合った商標の種類を見極めることが大切だよ。
2. TMマーク・Rマークとは?
TMマークとは?
TMマークとは「TradeMark(商標)のマーク」のことで、商標に「TM」の二文字を付けて表示します。日本の法律にはTMマークの規定が存在しません。
TMマークの意味は?
TMマークは、その商標が特許庁で登録手続が完結していない商標であることを示します。自己の商標として使用していることを示すために付けることがありますが、日本の法律上、付けても付けなくても法的効果に違いはありません。
Rマークとは?
Rマークは「Registered Mark」のことで、®(丸の中にRの一文字)で表されます。日本の法律にはRマークの規定はありません。
Rマークの意味は?
Rマークは登録商標の表示であり、その商標が特許庁で登録手続が完結した登録商標であることを意味します。登録商標でないものにRマークを付けることはできません(虚偽表示)。
3. 区分・分類とは?
商標区分とは?
商標区分とは、商標を使用する対象となる商品・役務の区分けです。第1類〜第34類の34個の商品と、第35類〜第45類の11個の役務の計45個の区分があります。
区分とは?
区分とは商標区分のことです。出願の際に商標を使用する商品や役務を記載し、それらは法定の第1類〜第45類のいずれかに属します。一つの出願で区分は一つでも複数でも選択できます。
商標登録の区分とは?
商標登録の際に指定されている区分です。区分数に制限はありませんが、区分が増えるに従い特許庁に支払う印紙代もほぼ比例して増えます。
商標分類とは?
商標区分の第1類から第45類の類別のことです。第1類(化学品)から第45類(冠婚葬祭)まで、業種や商品・役務の性質に応じた分類があります。
4. 商品・役務とは?
商品とは?
ビジネスの現場で実際に取引の対象となるものです。売買により市場を流通し、同種のものと交換可能であること、量産でき形のある動産であることが要件です。
役務とは?
役務とは業務上のサービスのことです。他人のために行うビジネス行為であり、そのビジネス行為自体が商業上の取引の対象となるものです。
指定商品とは?
出願の際に願書に記載する、商標を使用する商品のことです。第1類〜第34類の中から選びます。
指定役務とは?
出願の際に願書に記載する、商標を使用する役務のことです。第35類〜第45類の中から選びます。
5. 商標登録のメリット・費用
商標登録のメリットとは?
商標登録の最大のメリットは、登録した商標を独占的に使用できる「専用権」と、他社が類似商標を使用することを排除できる「禁止権」を得られることです。ブランドの信頼性が高まり、模倣品に対して法的に対抗できるようになります。商標権の売却やライセンスによる収益化の道も開けます。
商標登録しないリスクとは?
商標登録をしないままビジネスを続けると、競合他社に先に同じ名前を登録され、自社が使用できなくなるリスクがあります。長年使ってきた名前であっても、日本は先願主義のため先に登録した者が権利を取得します。店名変更やブランド刷新の費用は、商標登録費用の何倍にもなり得ます。
先願主義とは?
日本の商標法は先願主義を採用しており、同一または類似の商標について複数の出願があった場合、先に出願した者に権利が認められます。先に使い始めた者ではなく、先に出願した者が優先される制度です。
日本の商標制度における先願主義と登録主義について詳しくはこちら
商標登録の費用は?
商標登録にかかる費用は、特許庁に支払う「印紙代」と、弁理士に依頼する場合の「弁理士費用」の二つに分かれます。印紙代は1区分で出願料12,000円+登録料32,900円=合計44,900円が基本です。
出願料とは?
商標登録出願の願書を特許庁に提出する際に支払う印紙代です。計算式は「3,400円+(8,600円×区分数)」です。1区分なら12,000円、2区分なら20,600円になります。
登録料とは?
審査に合格(登録査定)した後、商標権を発生させるために支払う印紙代です。10年一括の場合は「32,900円×区分数」です。5年分割納付を選ぶこともできます。
弁理士費用の相場は?
弁理士に依頼する場合の費用は事務所によって異なりますが、出願手数料が5万円〜10万円程度、成功報酬(登録時)が5万円程度が相場です。自分でやれば印紙代だけで済みますが、拒絶された場合の対応を考えると、弁理士への依頼も有力な選択肢です。
自分で出願すれば安く済むけど、拒絶されたらその費用は戻ってこないんだよね?
そのとおり。拒絶理由への対応で結局弁理士に頼むと、最初から依頼するより費用がかさむケースもあるから、トータルコストで考えることが大切なんだ。
6. 商標登録出願とは?
商標登録出願とは?
特許庁に商標権の取得を申請する手続です。願書に「商標」と、その商標を使用する「指定商品・指定役務」、申請者情報等を記載して提出します。
願書の書き方は?
願書(商標登録願)には、出願人の氏名・住所、商標、指定商品・指定役務とその区分を記載します。特許庁のウェブサイトに様式と記入例が掲載されています。記載内容に不備があると方式審査で補正を求められるため、正確に記載してください。
電子出願とは?
インターネットを通じて特許庁に願書を提出する方法です。電子出願の場合、紙出願で別途かかる電子化手数料(1,200円+700円×ページ数)が不要です。特許庁の「インターネット出願ソフト」を使用します。
商標登録の期間は?
願書を提出してから審査結果が出るまで、平均で5〜6ヶ月程度です。早ければ4ヶ月前後で結果が返ってきます。
商標登録の早期審査は?
特許庁における審査期間を2ヶ月前後に短縮する制度です。すでに商標を使用している場合や、第三者に無断使用されている場合等に利用できます。
出願公開とは?
出願された商標は、出願後2〜3週間程度で特許庁のデータベースに公開されます。出願公開により、第三者は出願中の商標の内容を確認でき、情報提供等の手続が可能になります。
拒絶理由通知とは?
審査官が審査に合格できない理由があると判断した場合に、いきなり不合格にせず、理由を示した上で意見を述べるよう指示する通知です。複数の拒絶理由がある場合は、すべてを解消しなければ不合格(拒絶査定)になります。
商標を変更したい
願書提出後、記載した商標の変更は一切認められていません。商標を変更する場合は、最初から出願のやり直しが必要です。
区分を変更したい
願書に記載した区分は削除のみ可能です。審査官からの指導や明らかな誤記の場合を除き、出願後の区分の変更は認められません。
区分を追加したい
願書に記載していない区分を後から追加することはできません。
区分を削除したい
区分の削除は自由にできます。ただし審査合格後は削除できる期間に制限があります。
指定商品・指定役務を変更したい
指定商品・指定役務の削除のみ可能です。審査官の指導や誤記の場合を除き、変更は認められません。
指定商品・指定役務を追加したい
願書に記載していない指定商品・指定役務を後から追加することはできません。
指定商品・指定役務を削除したい
指定商品・指定役務の削除は自由にできます。ただし審査合格後は削除ができなくなるため注意が必要です。
意見書とは?
審査官から拒絶理由通知があった場合に、指定期間内に提出できる反論書面です。
補正書とは?
指定商品・指定役務の削除や、願書の誤記を訂正するための書面です。
補正と訂正の違いは?
商標権発生前の変更手続を「補正」、商標権発生後の変更手続を「訂正」といいます。いずれも変更できる範囲は厳しく制限されています。
分割出願とは?
一つの出願に含まれる複数の区分や指定商品・指定役務の一部を分離して、新たな別の出願とする手続です。一部の区分で拒絶理由がある場合に、問題のない区分だけ先に登録を受けるために使われます。
情報提供とは?
出願中の商標に対し、第三者が特許庁に審査合格を妨げるための資料を提出する手続です。匿名でも可能ですが、審査官がその内容を採用するかどうかは審査官の判断に委ねられています。
登録査定とは?
商標登録出願を審査に合格させる行政処分です。登録査定により審査段階は終了します。
拒絶査定とは?
商標登録出願を審査不合格とする行政処分です。拒絶査定により審査段階は終了します。
拒絶査定に不服がある場合には?
拒絶査定不服審判を請求できます。審判の審理の結果、審査官の認定に誤りがあれば、拒絶査定が取り消されて審査合格と同じ結果になります。
出願後は商標も区分も追加できないって、かなり厳しいね。
だから出願前の準備が勝負なんだ。指定商品・指定役務は最初に漏れなく入れておくこと。これが「強い商標」を作る第一歩だよ。
7. 商標登録とは?
商標登録とは?
商標登録とは、出願の審査合格後に一定の手続を経て特許庁で登録し、商標権を発生させる行政処分です。商標権の内容は特許庁の登録原簿に記載して管理されます。
登録商標とは?
特許庁に実際に登録されている商標のことです。
商標公報とは?
商標登録がされた際に特許庁が発行する公報です。登録された商標、権利者、指定商品・指定役務等の内容が掲載されます。商標公報の発行日が異議申立期間(2ヶ月間)の起算日となります。
商標登録の異議申立とは?
商標登録の判断に納得できない第三者が、商標公報の発行の日から2ヶ月以内に特許庁に対して行う手続です。審理の結果、異議が認められれば商標登録が取り消されます。
商標登録の無効審判とは?
商標登録の判断に納得できない第三者が、特許庁に対して登録の無効を求める手続です。異議申立と異なり匿名では請求できませんが、時期的な制限は原則ありません。ただし登録から5年経過すると請求できない除斥期間が設けられています。
情報提供と異議申立との違いは?
情報提供は審査中の出願に対して行うもの、異議申立は登録後に行うものです。また情報提供の内容は審査官が採否を判断しますが、異議申立の内容は必ず審判官により判断されます。
8. 商標権とは?
商標権とは?
商標権とは、登録商標を指定商品・指定役務について独占的に使用できる権利です。出願時ではなく、登録料の納付と設定登録によって発生します。「商標登録」は手続の名称であり、「商標権」はその手続の結果として得られる権利です。
専用権(独占使用権)とは?
商標権者が登録商標を指定商品・指定役務について独占的に使用できる権利です。指定した商品・役務について、まったく同じ商標を使用することは商標権者だけに認められます。
禁止権とは?
商標権者が、登録商標と類似する商標の使用や、類似する商品・役務での使用を排除できる権利です。専用権が「自分だけが使える」権利であるのに対し、禁止権は「他人に使わせない」権利です。この二つが商標権の柱になっています。
商標権の存続期間は?
商標権の存続期間は設定登録の日から10年間です。特許権や意匠権と異なり、更新手続を行えば半永久的に権利を維持できます。長く使えば使うほどブランド価値が高まるという商標の性質に合った仕組みです。
商標権の更新とは?
存続期間の満了前6ヶ月から満了日までの間に更新登録の申請を行い、更新登録料を納付する手続です。更新は何度でも可能です。更新を忘れると権利が消滅するため、期限管理が重要です。
5年分割納付とは?
登録料を10年分一括ではなく、5年分ずつ分割して納付する方法です。初期費用を抑えられますが、5年分割の合計額は10年一括より割高になります。
専用権と禁止権って、二段構えで商標を守っているんだね。
専用権だけだと「そっくり」な商標は止められない。禁止権があるからこそ、類似する商標も排除できるんだ。この二つを理解しておくと商標権の仕組みがよく分かるよ。
9. 商標権の活用・管理
商標の使用とは?
商標法第2条第3項に定義されています。商品に商標を付けること、その商品を販売すること、役務の提供に際して商標を使うこと、広告に商標を表示すること等が該当します。「使用」に該当するかどうかは、不使用取消審判で争点になることがあります。
商標権の移転・譲渡とは?
商標権は財産権であるため、売買や譲渡が可能です。全部の指定商品・指定役務について移転することも、指定商品・指定役務ごとに分割して移転することもできます。移転は特許庁への登録が効力発生要件です。
専用使用権とは?
商標権者が他人に対して、登録商標を独占的に使用する権利を設定する制度です(商標法第30条)。専用使用権者は、設定された範囲で商標を使用する権利を専有し、商標権者自身も使用できなくなります。設定登録が効力発生要件です。
通常使用権とは?
商標権者が他人に対して、登録商標の使用を許諾する制度です(商標法第31条)。専用使用権と異なり、非独占的な許諾であるため、複数の者に同時に許諾できます。フランチャイズ契約でよく使われる形態です。
商標権の消尽とは?
商標権者または使用権者が正当に商品を流通させた場合、その商品のその後の転売等について商標権の効力が及ばなくなる法理です。並行輸入品が日本国内で販売される場合に問題となることがあります。
10. 登録できない商標・類似判断
登録できない商標とは?
商標法第3条・第4条に登録できない商標が列挙されています。識別力がないもの(普通名称、品質表示等)、公益に反するもの(国旗、赤十字等)、他人の先行商標と紛らわしいもの等が該当します。
識別力とは?
商標が自他商品・役務を区別する機能を持つかどうかのことです。「りんご」で果物を指定しても、商品の普通名称であるため識別力がなく登録できません。一方、「りんご」でパソコンを指定すれば識別力があると判断されます。
類似商標とは?
既に登録されている商標と「紛らわしい」商標のことです。称呼(読み方)、外観(見た目)、観念(意味合い)の三つの観点で類似性が判断されます。類似する商標は、先行商標の指定商品・指定役務と同一または類似の範囲では登録できません。
称呼・外観・観念とは?
商標の類似を判断する三要素です。称呼は読み方の類似(例:「SAKURA」と「さくら」)、外観は見た目の類似(例:デザインが似たロゴ)、観念は意味合いの類似(例:「太陽」と「SUN」)です。一つでも類似すれば、全体として類似と判断される場合があります。
類似群コードとは?
特許庁が指定商品・指定役務を類似関係にあるグループごとに分類するために付与するコードです。同じ類似群コードに属する商品・役務は互いに類似すると推定されます。出願前の調査では、自分の指定商品・役務と同じ類似群コードの先行商標を必ず確認してください。
周知商標・著名商標とは?
周知商標は一定の地域で広く知られている商標、著名商標は全国的に広く知られている商標です。著名商標は、指定商品・指定役務が非類似であっても、不正競争防止法により保護される場合があります。
防護標章とは?
著名な登録商標について、指定商品・指定役務と非類似の分野でも他人の使用による混同を防ぐための制度です(商標法第64条)。防護標章登録を受けると、商標権の効力が非類似の範囲にまで拡張されます。
「りんご」で果物はダメだけど、パソコンならOKって面白い仕組みだね。
識別力の有無は商品との組み合わせで決まるんだ。だから出願前にJ-PlatPatで類似群コードを確認して、先行商標との衝突がないか調べておくことが大事なんだよ。
11. 商標権侵害・紛争解決
商標権侵害とは?
商標権者の許諾なく、登録商標と同一または類似の商標を、指定商品・指定役務と同一または類似の範囲で使用する行為です。故意・過失を問わず侵害が成立します。
差止請求とは?
商標権者が侵害者に対して、侵害行為の停止や予防を求める請求です(商標法第36条)。侵害者の故意・過失は要件ではなく、侵害の事実があれば請求できます。侵害品の廃棄等も併せて請求できます。
損害賠償請求とは?
商標権侵害によって被った損害の賠償を求める請求です(民法第709条)。商標法には損害額の推定規定があり、立証の負担が軽減されています。
刑事罰とは?
商標権の侵害には刑事罰も科されます。商標法第78条により、商標権を侵害した者は10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、もしくはその両方が科される場合があります。法人に対しては3億円以下の罰金が科されることもあります。
不使用取消審判とは?
登録商標が日本国内で継続して3年以上使用されていない場合に、第三者が特許庁に商標登録の取消を求める手続です(商標法第50条)。商標権者が使用の事実を立証できなければ、登録が取り消されます。
取消審判とは?
商標登録の取消を求める審判の総称です。不使用取消審判のほか、不正使用取消審判(商標法第51条・第53条)、代理人による不正登録の取消審判(同第53条の2)等があります。
審決取消訴訟とは?
特許庁の審判の結果(審決)に不服がある場合に、知的財産高等裁判所に提起する訴訟です。審決の謄本送達日から30日以内に提起する必要があります。
登録しても3年使わなかったら取り消されるの?厳しいね。
商標権は使ってこそ意味がある権利だからね。登録した商標はきちんと使い続けること、そして使っている証拠を残しておくことが大事だよ。
12. 他の知的財産権との違い
商号と商標の違いは?
商号は会社法に基づき法務局に登記する会社の名称で、商標は商標法に基づき特許庁に登録する識別標識です。商号登記をしても商標権は発生しません。同じ会社名でも、商品やサービスの名前として使うなら商標登録が別途必要です。
商標と特許の違いは?
商標は商品やサービスの「名前やマーク」を保護する権利、特許は「技術的なアイデア(発明)」を保護する権利です。商標権は更新により半永久的に存続できますが、特許権は出願日から最長20年で消滅します。
商標と著作権の違いは?
商標権は特許庁への登録で発生し、商品やサービスの識別標識を保護します。著作権は創作と同時に自動的に発生し、文学・芸術・音楽等の創作物を保護します。ロゴマークは商標権と著作権の両方で保護され得ます。
商標と意匠の違いは?
商標は名前やマークの「識別力」を保護し、意匠は商品のデザイン(形状、模様、色彩等)の「美感」を保護します。意匠権の存続期間は出願日から25年です。
不正競争防止法との関係は?
商標登録をしていなくても、周知・著名な商品等表示と混同を生じさせる行為は不正競争防止法で規制されます。ただし、周知性や著名性の立証は容易ではなく、商標登録をしておく方が権利行使は格段に容易です。
13. 国際商標
マドリッド協定議定書(マドプロ)とは?
一つの国際出願で複数の国に商標登録の効果を得られる国際条約です。日本の特許庁を窓口にして、加盟国(130カ国以上)を指定して出願できます。各国に個別出願するより手続が簡便で費用も抑えられます。ただし、基礎となる日本の出願・登録が5年以内に拒絶や取消しになると、国際登録も影響を受けます(「セントラルアタック」)。
ドメインと商標の関係は?
ドメイン名は登録商標と異なる制度で管理されていますが、他人の登録商標と同一・類似のドメイン名を不正に取得・使用する行為は、不正競争防止法違反やJPドメイン名紛争処理方針(JP-DRP)に基づく移転・取消しの対象となります。自社ブランドを守るため、商標登録と合わせて関連ドメイン名の取得も検討してください。
100連発、読みきったよ。商標ってこんなに奥が深いんだね。
商標は「登録して終わり」ではなくて、使い続けて、管理して、守り続けるものなんだ。分からないことがあれば、いつでも専門家に相談してほしいな。
ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247
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ファーイースト国際特許事務所|弁理士 平野泰弘
