商標登録の費用はいくらかかる?事前調査から正式登録までの注意点

無料商標調査 暴走人工知能

商標登録の費用は、どの事務所もWebで説明しますが、今ひとつ、分からないのではないでしょうか。どの事務所も、自分に有利な説明をするので、依頼者に分かりにくくなっています。

そこでファーイースト国際特許事務所は、依頼者の視点で料金を比較できるよう、手続きの流れに沿って整理しました。見た目の安さでなく、本当にかかる費用を、知ってほしいからです。特に商標登録は、料金表から分からない「隠れた費用」もありますので、注意してお読み下さい。

 費用の整理は、手続きの流れで!

商標登録は4つのステップで進みます(上記チャート図ご参照)。費用は各ステップ毎に発生するとお考えください。

  • 1.調査: 商標が、既に登録されてないかどうか、弁理士が調べる作業です。
  • 2.出願: 商標を特許庁に出願します。
  • 3.審査: 特許庁の審査です。不許可なら審査官と交渉します。
  • 4.登録: 特許庁が許可した場合、正式に登録します。

(1)商標登録の手続きの流れ

商標登録の手続の流れを時系列に沿って説明すると次の通りです。

(1-1)商標の事前調査

特許庁に対する商標登録の手続の前に、商標が既に登録されてないかどうかを調べる作業が必要です。これからの登録に障害となる他人の商標が既に存在しているかも知れないからです。

互いに権利内容が衝突しあう内容の商標出願については、先に特許庁に手続をした者だけが商標権者になることができます。他人の商標権に抵触する内容の出願は特許庁が審査に合格させません。似た内容の商標権があることを知らずに出願をすると手続費用や時間が無駄になってしまうので、これを避ける必要があります。

(1-2)商標の出願作業

商標調査の結果、問題となる他人の先行登録商標が見つかった場合には専門家と相談して善後策を練ります。他人の商標権との権利衝突を回避する変更対策等を行ってから実際に商標の出願準備に移ります。

商標登録出願の願書は東京・虎ノ門にある特許庁に提出します。特許事務所に業務を委任する場合には専門家が全て手続を行いますので、あなた自身が特許庁に手続を行う必要はありません。

特許庁に願書を提出する前に、文字だけの商標で行くのか、文字以外にマーク、記号、図形等を組み合わせた商標でいくのか等の出願方針を専門家と詰めます。

また願書には権利を請求する商標をどの商品や役務に使うのかを指定する必要があります。指定された商品や役務の種類が少ないと商標権の取得漏れが生じ、漏れた部分について他人に権利を取られてしまう可能性があります。

逆に指定された商品や役務の種類が多いほど商標権の権利範囲は広くなります。反面、権利範囲が広くなれば費用も増える関係にあります。

このため必要かつ十分な範囲で商標権を取得するようにします。権利範囲と費用との関係は後述します。

(1-3)商標を特許庁に出願

準備が整ったら、実際に特許庁に願書を提出します。

ただし一度特許庁に商標登録出願の願書を提出すると、商標の内容を書き換えたり、その商標を使用する商品や役務の内容を追加したりすることができなくなります。このため出願する商標に間違いがないか、後で商標を使用する商品や役務を追加する必要がないかどうかをよくチェックします。

なお願書には権利申請する本人または会社の名前と住所を正確に記入する必要があります。この情報は権利化後に公開されます。偽名や存在しない住所等を記載して権利申請すると虚偽申請となり、後から商標権者であることが証明できずに商標権を使えない状態になる場合もありますので注意してください。

(1-4)商標の審査

特許庁に願書を提出して商標登録出願を行うと、特許庁の審査が行われます。
最初は特許庁に提出された書類が、商標法上受理できる程度に整っているかの形式上の方式審査がおこなわれます。

この方式審査を無事通過すると、願書は特許庁の商標審査官の審査待ちの状態になります。

なお特許庁には年間10万件以上の出願がなされていて、東京・虎ノ門の特許庁の一箇所だけで全件審査を行っています。あたなの出願の前に数万件存在する先の出願を片付けてからでないと、あなたの出願内容のチェックが始まらないのです。

審査の結果、商標の審査官が商標法に定められている出願を不合格にする理由を見つけた場合には、いきなりそこで審査が終了するのではなく、審査官はこちらに反論の意見を求めてきます。

このように、出願が不許可の場合は審査官と弁理士との間で交渉が行われます。
弁理士が意見書を提出することにより、不許可の理由が全て解消したと審査官が認定すれば審査合格となります。

逆に弁理士が意見書を提出したとしても、不許可の理由が一つでも残っていると、拒絶査定になって審査が終了します。

(1-5)商標登録

特許庁が許可した場合、正式に登録の手続が行われます。特許庁で商標登録されてはじめて商標権が発生します。以降、商標権の管理は特許庁で行われます。権利発生の際の手続も特許庁で行われ、商標登録を取り消したり無効にしたりするのも特許庁で行われます。

商標登録の費用が発生する主要なポイントは上記の手続のうち、(イ)調査時、(ロ)出願時、(ハ)審査対応時および(ニ)登録時の四つです。以下に詳細について見ていきましょう。

(2)商標の調査時の費用

商標の調査は実は無料ではありません。調べる内容によって無料で対応できるものと、無料では対応できないものがあります。

例えば、商標Aについて指定商品を「被服」として日本の特許庁に商標登録出願した事例について、スペインの「お酒」の商標が存在することを理由に商標登録が認められなかった事例が実際にありました。

まだスペインの有名な被服ブランドであることを理由として商標登録できなかった事例なら分からないでもありませんが、被服とは全く関係のない外国のお酒の存在が問題となるなら、世界中のありとあらゆる商品名を調べ尽くさなくてはならなくなります。

仮に「ウクライナのお酒を調べました。障害となる商標はありませんでした。翻訳代や手数料をあわせると数十万円になります」、と言われたとしてもあなたは全然納得しないでしょう。

なぜなら、仮にウクライナのお酒を調べても問題の解決にはならないからです。可能性を追及すれば、例えば、イスラエルで有名な家具の名前で日本の被服についての商標登録が認められない可能性すらあるからです。可能性だけの話をすれば、どこまで調べてもキリがないです。

ですので無料商標調査の際は無料で調査できる範囲で商標を調べる、ということが前提になります。

登録したい商標の事前調査費用

特許庁のデータをもとに行う調査は、商標登録が可能かどうかを調査するものです。
大体の金額としては、商標の調査専門会社に商標調査の依頼をした場合、一つの商標について一つの区分(商品・役務のカテゴリーで、45個の区分に分かれています)で、数千円から数万円程度の費用を請求されます(特許事務所の平均額については後述します)。

ちなみに問題を起こして実際には採用されなかった東京五輪ロゴマークの場合は、一つの商標につき5000万円の商標調査費用がかかったことがマスコミにより報道されました。オリンピックの場合は全世界で全ての範囲で漏れ無く商標権を取得しようとすると、この桁の費用が必要になります。オリンピックの場合は全世界を巻き込むイベントなので、最大級の費用が掛かります。

日本で商標調査を実施する場合、次の無料調査と有償調査の二つのパターンがあります。

注意すべき点は、無料レベルの調査報告を有料で提供している業者とか、無償だが定形ひな型にレ点のチェックマークが入っているだけの説明なしの調査報告を提供している業者がいるということです。

無料で結論理由を隠した報告書が届き、なぜそのような理由になるのか尋ねると追加費用を請求してくる業者もあります。

これとは全く反対に有償レベルの調査報告書を無料で出してくれる特許事務所もあります。

残念ながら事前にどこに頼むのかよいかは外部からは分かりにくいです。どこも自分のところがよいと宣伝しているからです。ただ、業者ごとに対応のレベルが違う、ということを知っているだけでも情報がない場合に比べて有利になります。

無料の場合

商標調査を無料で行っている場合にはホームページやウエブサイトでその旨が明記してあります。

ただし、「最初の三つの商標だけが無料」とか「商標調査後、3日以内に出願しない場合には有料」等の、後で追加料金が請求される条件が追加されていないか、念入りにチェックしましょう。

有償の場合

[1] 調査費の単価が、「商標」ごとになっていないか?

仮にあなたが「A」という商標を希望するとします。調査すると「A」は未登録ですが、「A+」は登録済みでした。多くの場合、こういう結果になります。

日本の商標登録数は、約180万件以上もあり、毎日新たに申請される数は約400件です。ですから殆んどの場合、似たような商標が登録されています。登録できるかどうか、白黒が明確な場合はほとんどありません。必ずグレーになると思ってください。

そうすると、Aは出願しても不許可の危険がありますから、安全をみて「B」も調べてみましょう。こうなります。そして「B」を調べたら、「B+」が登録されていました。「B」も不許可の危険があるので、「C」も調べてみましょう。

このように調査費の単価が、商標数ごとに請求される場合、商標を調べれば調べるほど、費用が高騰します。依頼者の方は不許可を避けたいですから、どんどん商標を調べることになります。こうして調査費が思った以上に高くなります。

希望する商標に、どのような類似商標があるかは、調べてみないと分かりません。弁理士も調査する作業がありますから、費用請求は正当ですが、何らかの形で、事前に明示すべきでしょう。

[2] 調査費の単価が、「区分」ごとになっていないか?

調査費が「区分」毎の場合も、注意が必要です。区分とは、商標をどの業種・業態で認めるかという、商標権の範囲です。

仮にあなたがラーメン屋さんなら、「店内飲食」として43類、さらに「持ち帰り」として30類に出願することが必要です。「店内飲食」だけで取得すれば、競合店が「持ち帰り」で同じ商標を使っても、商標権を主張できません。

アパレルショップの屋号なら、アクセサリー(14類)、かばん(18類)、クッション(20類)、衣服(25類)への申請が必要です。

このようにどの区分で申請するかは、商標の根幹に関わる重要な問題です。ですので、しっかりとコミュニケーションできる弁理士を選んでください。十分な話し合いをせず、機械的に申請する場合には、申請漏れの起きる危険があります。

何個の区分に申請するかは、あなたのビジネス次第ですが、一般的に言えば、3区分くらいです。ですので、調査費が「区分」毎に請求されるなら、1区分を前提に費用を見込むのでなく、3区分くらいで考えるようにしてください。

どこまでの区分をカバーするか分からない場合にはライバルや同業他社の商標権取得状況を調べて参考にします。

商標登録費用料金の一覧表(5年分:出願と登録合計)

最初にファーイースト国際特許事務所の5年分の商標登録費用料金の一覧表を示します。

5年登録分の費用です。また事務所手数料には請求時に適用される消費税が加算されます。

区分数 調査料 出願時特許庁
印紙代
出願時
手数料
登録時特許庁
印紙代
登録時
手数料
総計
1 無料 12,000円 30,000円 17,200円 33,000円 92,200円
2 無料 20,600円 50,000円 34,400円 53,000円 158,000円
3 無料 29,200円 60,000円 51,600円 63,000円 203,800円
4 無料 37,800円 70,000円 68,800円 73,000円 249,600円
5 無料 46,400円 80,000円 86,000円 83,000円 295,400円

商標登録費用料金の一覧表(10年分:出願と登録分合計)

次にファーイースト国際特許事務所の10年分の商標登録費用料金の一覧表を示します。

10年登録分の費用です。また事務所手数料には請求時に適用される消費税が加算されます。

区分数 調査料 出願時特許庁
印紙代
出願時
手数料
登録時特許庁
印紙代
登録時
手数料
総計
1 無料 12,000円 30,000円 32,900円 33,000円 107,900円
2 無料 20,600円 50,000円 65,800円 53,000円 189,400円
3 無料 29,200円 60,000円 98,700円 63,000円 250,900円
4 無料 37,800円 70,000円 131,600円 73,000円 312,400円
5 無料 46,400円 80,000円 164,500円 83,000円 373,900円

(3)商標出願時の費用(出願時のみ詳細)

商標の調査が完了し、実施に特許庁に権利申請する段階になった時に、商標登録出願(申請)の書類を作成する費用が商標出願時の費用です。出願時費用は区分数に応じて変動します。

表1 ファーイースト国際特許事務所の商標出願時の各区分ごとの加算内訳(消費税別)

出願時の商標登録費用の各区分の加算内訳表

出願手数料とは出願時の特許事務所への報酬です。5年登録か10年登録かは登録時のみに関係するので出願時は影響を受けません。

出願時の印紙代

商標登録出願すると全額が特許庁に納付されます。出願時の印紙代は自分で出願申請する場合でも必ず負担する必要があります。

特許庁への支払いは、この特許庁印紙代のみです。特許庁に対して商標登録出願を行い、審査をしてもらうための費用です。

注意点

調査が終わると、出願です。出願費で注意すべきは、1区分で考えず、複数区分で費用を見積もることです。既に調査費で説明したとおり、商標は1区分で済むケースは少ないからです。

費用の安さを掲げる事務所は、1区分の費用だけ安くして、2区分・3区分と増えるにしたがって、費用がかなりアップしいているかもしれません。多くの方が最低料金で済む1区分でしか考えないのを、見越しているからです。

1.格安・激安・事務所の出願費

1区分 2区分 3区分
5万円 8万円 11万円(増額は3万円づつ)

2.本来のあり方

1区分 2区分 3区分
3万円 5万円 6万円 (増額は2万、1万と下がっていく)

※ 上記価格は説明を理解するための例示であり、実際の金額ではありません。

(4)商標の中間審査時の費用(審査対応費用のみ)

不許可の場合は特許庁と交渉費用がかかる

申請から6ヶ月後、許可なら問題ありませんが、不許可なら特許庁と交渉になります。ここで費用が発生します。ふつうは書面で意見書を提出して審査官の判断に異議を申し立てますが、特許庁に近い弁理士は直接出向く場合もあります。

拒絶理由通知への応答費用

弁理士が意見書、手続補正書を作成した場合、内容の軽重に応じて費用が発生します。

大体の金額としては、軽微なものの場合は無料で対応し、難しいものになると費用が高くなります。ただし格安でお客さまを集める業者は、審査対応費用を増額してその増額分で格安分を補おうとする傾向があります。

特に「審査対応費用0円〜」といったように、審査対応費用の”上限”を示さない業者には絶対に業務を依頼してはいけません。事前に確認しておかないと審査対応費用として追加で15万円以上を請求してくる場合があるので要注意です。

不許可を避けるためのポイント

最終的に出願が拒絶されてしまう不許可は本来あってはならないのです。

この反面不許可を恐れるあまり、審査官が許可する範囲よりも権利範囲の狭い内容を出願すると後で必要なところに漏れがでる結果になります。出願が完了した後は権利内容を追加することができないからです。

権利範囲に漏れがあることが分かった場合、その漏れた部分のみについて再度権利を取り直す必要が後で出てきます。この権利取り直しが発生した場合に必要となる費用よりも、審査対応費用を支払って必要な権利を取りきった方が安いかどうかを見て、審査に対応するかどうかを判断します。

審査対応で注意すべきは、支払額でなく、事務所がどの程度審査に不合格になっているか、すなわち審査の不合格率が重要です。

審査官からくる拒絶理由通知通知を見越して、どれだけ必要かつ十分な権利範囲に正確に申請対応できるかが、弁理士の腕の見せ所になります。

弁理士の見分け方

残念ながら依頼者の方が、不許可率を知る方法はありませんが、次の3点から見分けることが出来ます。

1.経験は豊富か?

当たり前ではありますが、経験豊富な弁理士は、グレーゾーンの濃淡を区別する能力があります。経験から、これはアウト、これならセーフと区別できます。

2.入念に調査をするか?

どれだけ入念に調査をするかは、とても重要です。ここが不許可率に一番大きく影響します。依頼者がどんな事業をしているのか。どんな商標を考えているのか。どんな類似商標があるのか。時間を割けば割くほど、不許可率は下がります。

調査は無料で行う事務所がありますから、無料を謳っている事務所はその際の対応をチェックすることで判断してください。

3.依頼者の立場にたつ人柄か?

特許庁が許可と不許可を判断するときは、類似群コード(5桁のコード)に類似商標がないかどうかで判別します。これは先に説明した「区分」とは別の話です。不許可を避けるには、この類似群コードを変更すれば良いのですが、それは商標権の範囲を狭めることになり、依頼者の意図に沿わない場合があります。

相当に専門的な話なので、これ以上立ち入りませんが、こう考えてください。単に不合格が少ないだけでなく、依頼者の立場にたって誠実に対応する弁理士かどうか、その人柄が重要ということです。

4.ファーイースト国際特許事務所の審査対応費用

ファーイースト国際特許事務所の場合は審査対応費用に62,000円(消費税別)の上限を定めていますので、これ以上の追加料金が発生しません。

なお拒絶理由通知があった場合に上限総額がかかる、という意味ではありません。ファーイースト国際特許事務所では昨年1,800件前後の商標登録出願を行いましたがこの上限額が必要となった方は数人です。

また審査対応費用は必ず払わなければならないわけではありません。逆に審査官の指摘を全て取り入れた新しい出願をしなおす方が全体として安上がりになる場合もあります。

注意点

審査官から拒絶理由通知が届いて意見を求められた場合、その時点で費用を払わずに撤退できるかどうかも重要なポイントです。

もし拒絶理由通知が届いてからは費用を払わずには撤退できないら、もがけばもがくほど費用が膨らみます。

しかも困難な状況になればなるほどお客様の支払い費用の総額が脹らむことになります。

このような状況になるのを避けるため、拒絶理由通知が届いた際には無料で撤退する道があるのかないのか、事前に必ず確認するようにしてください。

ファーイースト国際特許事務所では、審査に合格できない場合には例外なくファーイーストの取り分はゼロ、です。

このため拒絶理由通知が届いた後でも無料撤退が可能です。

(5)商標登録時の費用(登録時のみ詳細)

(5-1) 商標登録時の費用

無事に許可がおりれば、正式に登録です。

登録の際には5年登録と10年登録を選択できます。5年登録の場合は安いですが割高になっています。短期間しか使わない場合は5年登録を選択し、権利更新が必要なら10年登録が割安になります。登録時費用は区分数に応じて変動します。

表2 ファーイースト国際特許事務所の商標登録時の各区分ごとの加算内訳(5年分、消費税別)

5年登録時の商標登録費用の各区分の加算内訳表

表3 ファーイースト国際特許事務所の商標登録時の各区分ごとの加算内訳(10年分、消費税別)

10年登録時の商標登録費用の各区分の加算内訳表

登録時の手数料

登録手数料とは登録時の特許事務所への報酬です。5年登録か10年登録かは登録手続の際に選択できます。

登録時の印紙代

登録時の印紙代の全額が特許庁に納付されます。登録時の印紙代は自分で手続する場合でも必ず負担する必要があります。

登録および登録維持のための特許庁への支払いはこの特許庁印紙代のみです。次回の5年分の残りの印紙代を納入する時か、10年後の更新申請まで特許庁へ支払う費用はありません。

(5-2) 注意点

0円の場合

登録費で注意すべきは、手数料ゼロ円の場合です。ゼロ円の場合、依頼者にとってプラスのような気がしますが、現実は違います。注意してほしいのは、登録費は許可がおりて、初めて発生する費用である点です(ふつうは申請から6ヶ月後)。

費 用 登録費ゼロ ふつうの場合
出願費 5万円 3万円
登録費(6ヵ月後) 0円 3万円
総 額 5万円 6万円

※ 上記価格は説明を理解するための例示であり、実際の金額ではありません。

登録手数料がゼロ円の場合、逆に出願手数料は割高になっているはずです。登録費を、出願費に上乗せしているからです。支払い総額で比較すれば、安いかも知れませんが、なぜ総額を下げてまで、登録費をゼロにするのでしょうか。

それは審査に合格できなかった時でも、損をしないためです。申請時に全費用を請求しておけば、6ヵ月後に審査に不合格になっても弁理士は困りません。言い換えれば、不合格のリスクを依頼者に負担させているわけです。

もちろん総額で安いなら、それで構わないと思う方もいるでしょう。ただ、どの時点で費用を請求するかは、不許可のリスクをどちらが負うかという、事務所の経営姿勢を表していることは忘れないで下さい。

(6)費用の注意点

(6-1) その他の費用

特許庁の印紙代はどこの特許事務所でも同じですし、ご自身で手続される場合も同額です。この一方、手数料は特許事務所毎に異なります。

業者によっては、上記の手数料以外に、書類の電子化手数料、相談料等を請求する場合があります。

費用総額を安く見せるために、広告で全体費用の一部だけが表示されていないか、注意が必要です。
例えば、事務所手数料1万円と表示しておき、その格安広告に釣られた人に対して実際には事務所手数料とは名目を変えた費用請求が追加される場合です。

総額費用の一部だけを見せて宣伝する手法には、パソコン販売によくある手法が取り入れられています。

パソコン販売の場合にたとえて説明すると、パソコン本体価格を格安に設定しておき、格安価格でお客さまを呼び込みます。

ところがこの格安価格は本体だけが対象で、表示価格にはキーボードもマウスもモニターもCD-DVD装置も基本ソフトも含まれていないのです。パソコンの場合であればパソコン本体だけではパソコンが動かないため、オプションとして付属品を買い揃えなければならず、全体として高額になってしまうというわけです。

手数料以外に手数料とは名目を変えた請求がある場合には、なぜ表示されている手数料以外に別の手数料を払う必要があるのかの理由を必ず確認するようにしてください。

(6-2) 費用の注意点

特許庁に対する印紙代の支払いは分割納付が認められています。

商標権の権利の存続期間は10年です

10年分の特許庁印紙代は5年分にして分割納付できます。
前記・後期に分けて各5年分ずつをそれぞれ一括して納付します。

分割納付を選択して後期分を納付しない場合

商標権は前記の5年で消滅します。支払い期限をすぎるとペナルティーとして追加料金が増え、さらには権利の復活が認められない場合もあります。

商標登録以外の手続には別途費用が必要

住所変更、氏名変更、権利移転など、商標登録以外の手続には別途費用が必要になります。審査合格前と審査合格後では費用が変わる場合がありますので、商標登録以外の手続があれば早めに相談をお願いします。

また商標権侵害を巡る紛争解決のためには別途費用が必要となります。

(7)一般的な特許事務所の料金モデルとは?

2020年前後を境に、商標登録の実務が大きく変わってきています。具体的には、2020年以降に登録された一つひとつの商標権の権利範囲が恐ろしく狭くなっていることです。

もちろん、不必要な範囲までお金を払って商標登録する意味はありません。問題は、追加料金が発生しない範囲で、取得する指定商品役務の範囲が狭くなっていることです。もし追加費用が発生しない範囲で、商品役務の権利申請漏れを起こすと、漏れた権利を取り戻すためには、1区分当り、最初に支払った額と同額の費用が別に発生します。

権利申請漏れがあることは、権利申請段階では気が付きにくいです。しかも権利申請漏れを起こすと、特許庁では、一切追加補正を認めていないので、申請漏れ是正には倍額費用の支払いが確定します。

順番に実例をみていきましょう。

(7-1) ヘアートリートメントやリンスが商標権の権利範囲に入っているのに、シャンプーの権利範囲を取り忘れた疑いのある事例

ヘアートリートメントを含むがシャンプーが権利から抜け落ちた商標権数の年度推移
Fig.1 権利範囲にヘアートリートメントやリンスを含むのに、シャンプーの権利が抜け落ちた商標権数の推移

2019年は「シャンプーの権利が抜け落ちた案件」は1402件だったのに対し、2020年では1832件、2021年では2401件に増加しています。権利申請漏れの疑いがある案件が2年の間に1000件程度増えています。

プロなら、ヘアートリートメントやリンスを含む商標登録を行う際に、シャンプーを見逃すはずがないです。もちろん、ヘアートリートメントやリンスを含む商標登録にシャンプーの範囲を追加申請しても、追加料金は発生しません。

けれども、シャンプーの権利申請の追加をうっかり忘れると、後からシャンプーを追加することが特許庁では認めていないので、ヘアートリートメントやリンスを含む商標登録と同額の費用が発生します。つまり、後から補充するとなると、本来払う必要がなかった費用も加えて、倍額費用を払うはめになります。

(7-2) 携帯電話が商標権の権利範囲に入っているのに、スマホの権利範囲を取り忘れた疑いのある事例

携帯電話を含むのにスマホが抜け落ちた商標権の年度推移
Fig.2 権利範囲に携帯電話を含むのに、スマホを指定したことにはならない商標権数の推移

2019年は「スマホの権利が抜け落ちた案件」は3972件だったのに対し、2020年では4274件、2021年では6044件に増加しています。権利申請漏れの疑いがある案件が2年の間に2072件程度増えています。

最初の出願の時点で、携帯電話にスマートフォンを追加しても、追加費用はゼロ円だったのに対し、後からスマホを追加するとなると、本来払う必要がなかった費用も加えて、倍額費用を払うはめになります。

(7-3) 印刷用紙が商標権の権利範囲に入っているのに、何故か、印刷物の権利範囲を取り忘れた疑いのある事例

紙は権利に含むのに肝心の印刷物の権利が抜け落ちた商標権数の年度推移
Fig.3 権利範囲に紙を含むのに、印刷物の権利がごっそり抜け落ちた商標権数の推移

2019年は「印刷物の権利が抜け落ちた案件」は1824件だったのに対し、2020年では3030件、2021年では3910件に増加しています。権利申請漏れの疑いがある案件が2年の間に2086件程度増えています。

常識的に考えて、印刷前の紙の権利だけに限定して、商標権を取ることがあるでしょうか。印刷前の紙の商標権を取得する際に、印刷後の紙の商標権を取得すれば、追加料金が発生するなら、あえて印刷後の紙の権利を商標権の権利範囲から外すことは理解できます。

けれども、実際は、印刷前の紙の権利も、印刷後の紙の権利も、追加費用なしで、一つの商標権の中に含めることができます。

もし、最初に印刷後の紙の権利範囲を最初の申請時に含めていなければ、権利申請後にあとから印刷後の紙の権利範囲を最初の出願に追加する補正は、特許庁では一切認めていません。

最初の出願の時点で、紙の権利範囲に印刷物の権利範囲を追加しても、追加費用はゼロ円だったのに対し、後から印刷物の権利範囲を追加するとなると、本来払う必要がなかった費用も加えて、倍額費用を払うはめになります。

きっと権利申請漏れを起こすだろう、と予測できる、見落としやすい範囲を調べてみると、果たしてその通り、ぼろぼろ権利申請漏れが疑われる案件がでてきます

なぜ、こんなことになったのでしょう?

(7-4) 権利範囲を狭く絞り込む方が、業者側が儲かる

業者側の立場に立てば分かりますが、実は、権利範囲を狭く絞り込む方が、業者側が儲かります。

商標登録の費用は、原則、区分毎になっています。商標権の権利範囲を指定する商品役務は第1類から第45類まで、45個に分類されています。

この区分の数が増えると、費用はどんどん高くなります。ですので、区分数が増えると、確実に商標登録費用が高くなります。

区分の総数は費用の決め手になるので、お客さま側からみれば、区分数が不要に増加しないことに注意を払っている、と思います。

問題は、区分の数が増えない場合です。同じ区分数の範囲では、その区分の中に含まれる商品役務の範囲の数を増やしても減らしても、業者側に支払う手数料は変わりません。ここが盲点になります。

下記のFig,4は、一つの区分の中の指定商品役務の範囲を例示したものです。

同一料金で取得できる範囲を細かく分割すると、分割数のかけ算で手数料が得られる

区分の数が増えない場合は、同じ区分の中の権利を一人のお客さまに販売しても、業者側がもらえる手数料は一単位だけです。

これに対して同じ区分の中の権利を細かく多数に分割して多くのお客さまに販売すれば、業者側がもらえる手数料は権利範囲を狭く区切った数の倍額をもらうことができます。同じ区分の中の権利範囲を二つに分割して二人に売れば、もらえる手数料は2倍に、三分割して三人に売れば、もらえる手数料は3倍になる、といった具合です。

(7-5) 権利範囲を狭く絞り込む方が、業者側が儲かるだけではありません

一つの出願の権利範囲となる商品役務の範囲を狭く絞り込めば絞り込むほど、業者側には多大なメリットがでます。

一つの出願の権利範囲となる商品役務の範囲が狭ければ、他人のもつ商標権との権利衝突を事前に回避することができます。

他人の商標権と権利範囲が衝突した場合には審査官が登録を認めません。その拒絶理由を解消するには、実務経験のないバイトや下請けでは対応ができないので、正直、業者側からすれば、最初から商品役務をできるだけ狭く設定して、他人の商標権との権利範囲衝突を最初から防ぐ方が、多くの出願件数を処理できるので業者が儲かります。

お客さまに対しては、正直に、権利範囲を狭くしないとバイトや下請けでは対応できません、審査官との審査折衝力がないので、拒絶理由通知に対応できません、とは説明できないです。その真逆を説明します。

「質が高いので、審査官から不備を指摘されることがなく、一発で合格できる」
「審査官から拒絶理由を受けることがないので、短期に審査に合格できる」

この説明を受けたお客さまは安心すると思います。

特許庁の審査官から登録を認めない、との拒絶理由通知がないのであれば、対応力が高いと錯覚するからです。まさか、自分の取得する商標権が、意味もなく、狭くなっていることにまで気がつく人は少ないと思います。

取得した自分の商標権の権利範囲が、同じ金額を払って登録した他の人より狭いかどうかは、他人の商標権の範囲を日常的に見ていないと気が付かないです。

通常、商標登録した人は、自分の権利が不当に狭くなっていることには、まず、気が付かないです。商標登録の費用が安いか、審査に合格できたか、だけに注意を払っていて、手元にある権利範囲に、本来なら無料で追加できたはずの商品役務に申請漏れがあることまで分からないからです。

もし、自分の取得する商標権が狭くなっていることに気がつくことができるなら、上記に示したグラフの様な、権利取得漏れを起こす事例が年を追うごとに増えることはないと思います。

(7-6) 不要な権利範囲を押し付けられて、不要な費用を払いたくないとの思いが逆手に取られている

権利範囲を広く設定した場合、追加料金が発生するなら、不要な権利範囲を取る必要はない、と誰もが感じると思います。ですので、多くの方が、不要な権利範囲が含まれることにより、費用が高くなったり、権利取得まで時間がかかったりすることがないように注意を払っていると思います。

が、無料で追加できる商品役務を最初の出願に含めるという点は見逃しやすいです。

もし、最初の商標登録出願で、無料で追加できる範囲の商品役務の権利申請を見送った場合、後から権利を取り直すには、区分単位で最初に支払った費用の倍額支払いが確定します。

業者側の立場からみれば、お客さまが狭い範囲の権利範囲を取得してくれれば、後から取り忘れた権利を取得してもらえるので儲かります。

仮に後から追加の出願をしなくても、別のお客さまに売れば儲かります。

それだけではありません。

最初に申請しなかった、無料で追加できた商品役務が、別の商標権者に取られてしまったなら、その状態を解消するための異議申し立て、審判請求に、これまた業者は儲かります。

権利範囲を狭くして商標登録出願をすることは、業者側からみて、いたれりつくせりの結果になります。

しかも業者側がもらえる増加手数料は一回限りではないです。

一つの出願に商品役務の申請漏れがあった場合、権利申請漏れを後から補充したとすれば、本来なら一つの商標権を維持するだけで済んだのに、結果的に二つの商標権を維持することになるので、業者側は、未来永劫、手続きごとに倍額の手数料をもらうことができることになります。

(7-7) 権利範囲を広げると、審査期間が長くなるのでは?

商標登録できるかどうかは、審査期間で決定されるのではなく、他人よりも先に出願したかどうかで決定されます。

つまり、後から出願した他人の同じ内容の商標登録出願は、こちらの商標登録出願が登録された後に、全て拒絶査定になります。

後から権利申請された商標登録出願が、先に権利申請をした商標登録出願を追い越して審査に合格することはないです。

(7-8) 権利範囲を広げると、審査対応費用が高くなるのでは?

業者側の視点に立つと分かりますが、審査対応費用で儲けるよりも、権利範囲を狭くして、審査官との折衝を避ける方が儲かります。審査官に対応するよりも、新たな別の出願をする方が、正直にいうと、手間がかからず、楽です。

権利範囲を広くすると、先に存在する他人の商標権の権利範囲と衝突する可能性が高くなります。この可能性を避ければ避けるほど、単位時間あたりに出願できる件数が増えます。

特に、審査官に対応して審査を突破するには、相当程度経験がないと難しいです。実務経験のない下請けや、バイトでは審査官の指摘に対応できず、短時間に大量の出願を捌くことができなくなります。

権利申請の際に、商標登録出願の商品役務をせまく絞り込むだけなら、実務経験のない下請けとかバイトでも対応できるため、審査官との折衝を省略することができます。

権利範囲を狭くする方が、みかけの費用が安くなります。そのかわり、権利申請漏れを起こしたことに後から気がついて、権利を取り直すとすれば、最初にかかった費用の倍額支払いが確定します。

この倍額支払いで対応するか、または、審査官と折衝して商標権を取るかは、どちらの支払い総額が高くなるかを考慮して判断するのがよいです。

商標権が力を発揮するのは、現在ではなくて、商売がうまくいった未来のいつかの時点です。

将来のことも見越して、無料で権利範囲に含めることができる商品役務が存在するなら、権利申請漏れを起こして後で困らないようにします。最初の出願の際に無料で追加できる商品役務を含めておけば、後で損をしなくて済みます。

(8)情報弱者として損をしないために

商標登録の費用は安いか、最終的に商標権が得られるか、に注意を払っている方は多いと思いますが、上記のグラフから、得られた商標権の権利範囲が適正がどうかを検討する方が少なくなっていることが分かります。

裏を返せば、業者側が、本当にこの権利範囲の申請内容でよいか、確認してくれていないことを示唆します。

これは私の感想ですが、お客さまがどのような商品役務の権利範囲の商標権を取得するか、全く関心がない者が、お客さまの願書を作っているように外部からは見えます

たとえば、実務に疎い無資格下請け業者とか、人工知能という名前の機械対応とか。

商標登録出願の際に、弁理士・弁護士に直接相談しないで商標登録出願をすると、上記のグラフの様な、権利申請漏れを実際に起こす危険があります。

商標登録の願書に記載されている弁理士・弁護士が、商標登録出願の願書内容を把握していないことはありえないです。もぐりでなければ、商標登録の願書に記載されている弁理士・弁護士の誰に質問しても、丁寧に答えてもらえます。

商標登録の願書に記載されている弁理士・弁護士に、本当にこの権利申請内容で、商品役務の選択に漏れがないか、直接聞いてみてください。

その手間を省くと、情報弱者として、権利申請漏れのある商標権を掴まされる可能性があります。追加費用の発生しない範囲で、権利取得漏れがないか、常に注意してください。

商標権は土地の権利と同じで、他人に貸してライセンス料をもらったり、売却して収益を得ることもできます。せっかく取得した商標権の権利範囲が穴だらけでは、高額の収益は期待できず、二束三文の権利を取得したことになります。

後になってから困らないように、先手先手で内容を確認する必要があります。

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247