ドライバーの味方「道の駅」を支える商標登録

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1. 全国1,200箇所を超えた「道の駅」の進化

「道の駅」とは?制度創設から30年の歩み

1993年4月22日、当時の建設省により第1回登録として全国103箇所の道の駅が誕生しました。

この制度が生まれた背景には、一般道路における重要な課題がありました。高速道路にはサービスエリアが整備されている一方で、一般道路には24時間無料で使える休憩施設がほとんど存在していなかったのです。

加えて、地方の過疎化や経済停滞への対策として、観光振興や地元産業の活性化が急務となっていました。

道の駅は市町村などの地方自治体が設置主体となり、国土交通省が登録・認定する仕組みで運営されています。制度開始以来、その数は着実に増え続け、2007年には道の駅八王子滝山の開業により全国47都道府県すべてに道の駅が設置されました。現在では全国に1,200箇所以上の道の駅が展開し、私たちの生活に欠かせない存在となっています。

今日の道の駅は、単なる休憩施設という枠を超えて多様な機能を持つようになりました。休憩、情報発信、地域連携という基本の3つの機能に加え、防災拠点やMaaSの発着拠点、コワーキングスペース、行政サービスコーナーなど、地域の多機能型拠点として地域社会を支えています。

道の駅の案内板に描かれているシンボルマークは、1992年に公募で選ばれた作品をもとに作成されました。

道の駅のマーク
国土交通省HPより引用

このデザインには、樹木と家がモチーフとして描かれており、室内にいる人はインフォメーションの「i」の形にも見えるよう工夫されています。左側の樹木と駐車場、道路の配置は「道」という文字のしんにょうを表現し、立ち寄るドライバーや地域の人々にとって親しみやすい交流の場であることを象徴しています。

「道の駅」の商標について

道の駅は国土交通省道路局長により商標登録され、そのブランド価値が法的に保護されています。複数の登録により道の駅のブランドが守られています。この商標登録があることで、利用者は安心して本物の道の駅を利用でき、品質やサービスの一定水準が保証されているのです。「道の駅」のずばりの商標登録だけでも10件があり、がしがしに固められていて、無断では使えないようになっています。

出願番号/登録番号/国際登録番号:登録3112623(商願平04-277311)
商標(検索用):道の駅
区分:29
出願人/権利者/名義人:国土交通省道路局長
出願日:1992/09/30
登録日:1996/01/31
出願番号/登録番号/国際登録番号:登録3112624(商願平04-277312)
商標(検索用):道の駅
区分:30
出願人/権利者/名義人:国土交通省道路局長
出願日:1992/09/30
登録日:1996/01/31
出願番号/登録番号/国際登録番号:登録3112625(商願平04-277313)
商標(検索用):道の駅
区分:31
出願人/権利者/名義人:国土交通省道路局長
出願日:1992/09/30
登録日:1996/01/31
出願番号/登録番号/国際登録番号:登録3120101(商願平04-277314)
商標(検索用):道の駅
区分:39
出願人/権利者/名義人:国土交通省道路局長
出願日:1992/09/30
登録日:1996/02/29
出願番号/登録番号/国際登録番号:登録3120102(商願平04-277316)
商標(検索用):道の駅
区分:42
出願人/権利者/名義人:国土交通省道路局長
出願日:1992/09/30
登録日:1996/02/29
出願番号/登録番号/国際登録番号:登録3266201(商願平04-277315)
商標(検索用):道の駅
区分:41
出願人/権利者/名義人:国土交通省道路局長
出願日:1992/09/30
登録日:1997/03/12
出願番号/登録番号/国際登録番号:登録3352211(商願平06-053549)
商標(検索用):道の駅
区分:39
出願人/権利者/名義人:国土交通省道路局長
出願日:1994/05/31
登録日:1997/10/17
出願番号/登録番号/国際登録番号:登録3359449(商願平06-120026)
商標(検索用):道の駅
区分:42
出願人/権利者/名義人:国土交通省道路局長
出願日:1994/11/28
登録日:1997/11/14
出願番号/登録番号/国際登録番号:登録5468473(商願2011-046977)
商標(検索用):道の駅
区分:41
出願人/権利者/名義人:国土交通省 道路局長
出願日:2011/07/05
登録日:2012/02/10
出願番号/登録番号/国際登録番号:登録6269151(商願2019-087230)
商標(検索用):道の駅
区分:01 02 03 …
出願人/権利者/名義人:国土交通省 道路局長
出願日:2019/06/21
登録日:2020/07/14

2. 第3ステージへと進化する「道の駅」

世界ブランド化への挑戦

2020年代に入り、道の駅は第3ステージと呼ばれる新たな展開期を迎えています。国土交通省は2025年までに世界ブランド化を実現することを目標に掲げ、さまざまな取り組みを進めています。

訪日外国人観光客への対応として、キャッシュレス決済の導入、多言語対応の充実、無料Wi-Fi環境の整備などが着々と進められています。日本の道の駅モデルは海外からも高い評価を受けており、インドネシアやタイなど9か国においてODAを通じて「Michi-no-Eki」として設置される動きも広がっています。日本発のこのシステムが、世界各国の地域振興モデルとして採用されているのです。

防災拠点としての重要性

道の駅の防災拠点としての役割は、2011年の東日本大震災で大きくクローズアップされました。宮城県内の6つの道の駅が相互に物資を融通し合い、孤立集落を支援した「農海山(のうかいさん)ロード6」の活動は、道の駅の新たな可能性を示す重要な事例となりました。

この経験を踏まえ、2021年には防災道の駅制度が創設され、2023年までに79駅が選定されています。これらの施設は災害時に支援物資の集積拠点や避難所として機能し、地域の安全を守る中核的な役割を担うことが期待されています。平常時は通常の道の駅として機能しながら、非常時には地域の命を守る重要な施設へと変わる、この二面性が道の駅の大きな特徴となっています。

3. 「道の駅」グルメの頂点を決定・「道−1グランプリ」の進化

「道–1グランプリ」の歴史と現在

2016年から始まった道−1グランプリは、全国の道の駅グルメNo.1を決定する食の祭典として定着しています。

京都府の道の駅丹後王国「食のみやこ」を会場に、コロナ禍による中断期間を除いて毎年開催されています。

このイベントの特徴は、来場者が購入したフードチケットに付属する投票券で、実際に食べて美味しいと感じたグルメに投票するシステムにあります。消費者の生の声が直接反映される仕組みは、まさに食の民主主義を体現したものといえるでしょう。

歴代グランプリ受賞者の軌跡

2016年から2018年にかけて、道の駅もてぎの「もてぎのゆず塩ら〜めん」が史上初の3連覇を達成し、殿堂入りという偉業を成し遂げました。地元茂木町産のゆずを使用したこの塩ラーメンは、食事の途中でゆず酢を加えることで味が変化するという工夫が話題を呼び、売上が6倍に増加するという経済効果も生み出しました。

2019年には道の駅土佐さめうらの「幻の和牛 土佐あかうしの炭火焼き」がグランプリを獲得しました。年間出荷頭数が限られた希少な和牛をシンプルな調理法で提供し、素材の持つ本来の美味しさを追求した点が高く評価されました。

コロナ禍を経て2023年に復活した大会では、道の駅かさまの「笠間和栗0.5ミリ極細モンブラン」が優勝し、2024年には2連覇を達成しています。わずか0.5ミリという極細の栗ペーストが生み出す、まるで空気のような食感が多くの来場者を魅了しました。スイーツが総合グランプリを制したのは史上初のことで、道−1グランプリの新たな歴史を刻みました。

2025年第7回大会への期待

2025年10月4日から5日に開催予定の第7回大会では、道の駅かさまが史上2例目となる3連覇・殿堂入りを目指します。すでに17の道の駅から20品のエントリーが確定しており、各地の道の駅が地域の誇りをかけた激戦が予想されています。

「道–1グランプリ」の商標

道−1グランプリは商標登録第5905106号として、イベント事務局を務める会社により商標登録されています。このブランド価値も適切に保護されることで、イベントの信頼性と継続性が確保されています。


特許庁の商標公報・商標公開公報より引用
出願番号/登録番号/国際登録番号:登録5905106(商願2016-033234)
商標(検索用):§道-1\グランプリ∞道-1グランプリ
区分:29 30 41
出願人/権利者/名義人:株式会社RSP道の駅
出願日:2016/03/11
登録日:2016/12/16

4. 商標登録が支える「道の駅」の未来

全国1,200箇所を超える道の駅は、地域振興の核として、防災拠点として、そして日本が世界に誇るブランドとして成長を続けています。年間延べ数億人規模の来訪者を集め、地域経済に大きく貢献する道の駅の成功には、商標登録による確固たるブランド保護が重要な役割を果たしています。

商標登録により第三者による不正使用が防がれ、利用者が安心して本物の道の駅を利用できる環境が守られています。制度創設から30年以上が経過した今も、道の駅が多くの人々に愛され続けているのは、このような法的保護があってこそです。

道−1グランプリのような新しい取り組みも、商標登録によってその価値が守られ、地域の誇りをかけた競争が日本の食文化と地域振興を後押しし、新たな観光資源を生み出し続けています。

ドライバーの心強い味方として、地域コミュニティの拠点として、そして日本が世界に誇るブランドとして、道の駅はこれからも発展を続けていくでしょう。その礎となる商標登録の重要性は、今後ますます高まっていくものと考えられます。

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247

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