販促目的で使用されるノベルティ商品(例:ポケットティッシュ、ボールペンなど)の商標登録に際しては注意が必要です。
たとえば、美容院がオープニングセールの一環として、店名を印刷したポケットティッシュを無料で配る場面を考えてみましょう。
この場合、実際はポケットティッシュを配布していますが、実質的には美容院のサービスを宣伝しているのであり、ポケットティッシュの販売を行っているわけではありません。
このため、ポケットティッシュに印刷された店名による商標権の侵害を主張する場合、「ポケットティッシュ」の販売を指定商品とした商標権を取得しておくのではなく、美容院のサービス提供を指定役務とする商標権に基づいて、商標権の侵害を主張する必要があります。
ポケットティッシュの配布自体が直接的な商標使用には当たらない場合でも、その配布されたティッシュが商標権侵害の疑いがあるサービス宣伝に利用されている場合、問題となる可能性があります。
ポケットティッシュに記載されている宣伝の対象が美容のサービスなら、先まわりして美容サービスの商標権が抑えられているなら、ポケットティッシュを配っても、美容サービスの提供は商標権の侵害となり、実施できないです。
つまり、ポケットティッシュを配布する意味がなくなります。
このような場合、問題の根源を明確にして対処することが重要です。
ノベルティ商品だけでなく、通常の商品においても、指定商品や役務の選択には誤解が生じやすい点があります。
例として、「清涼飲料」を考えます。コンビニなどで販売されているコカコーラのペットボトル商品について、その指定商品は「清涼飲料」が適切であり、「ペットボトル」のみを指定するのは不適切です。なぜなら、お客さまに販売するのは飲料そのものであり、その容器だけを販売するのではないからです。
商標登録をする際には、どの指定商品や役務を選択するか慎重に検討することが求められます。
間違った選択をしてしまうと、支払ったお金が無駄になるだけでなく、実際のビジネスで想定していた保護を得られない可能性もあります。
ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
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