記憶に残るテレビディレクターの言葉

無料商標調査 商標登録革命

1. 「専門家ならテレビに出る機会があるかも」と思っていませんか?

昔からメディアに顔を出す機会が多かったこともあり、今でも新聞・雑誌の記者の方やテレビ局から、商標登録に関する問い合わせをいただきます。

インターネットや人工知能から、ある程度の知識は簡単に手に入る時代です。

それでもなお、報道側が人間の専門家に電話をかけてくるのは、「これから自分たちが世に出す情報に、きちんと裏付けを取りたい」という思いがあるからです。

そのご縁から、現在もテレビ番組や記事の監修という形で、報道に関わる仕事をさせていただいています。

そんな中で、今も忘れられない、テレビディレクターのある一言があります。

2. テレビディレクターの一言が教えてくれた現実

ある番組に専門家として出演したとき、収録前にディレクターと雑談をしていました。そのとき、ディレクターはこんな趣旨のことを、はっきりと言い切りました。

「専門家であっても、話が上手なだけの方はテレビには出さないし、知識が豊富なだけの方もテレビには出さないんです。」

この一言は、私の中で強く記憶に残っています。

「知識があって、話すことができる」というレベルでは、テレビに出演する専門家としては、まだ足りないということです。

画面の向こうにいる視聴者に、限られた時間の中で、正確に、分かりやすく、誤解なく届くかどうか。それをテレビの世界では、非常に厳しく選別しているのだと感じました。

3. 選別は、取材依頼の電話から始まっている

ディレクターの話から逆算して想像できるのは、選別が始まるタイミングです。

取材依頼の電話がかかってきたその瞬間から、テレビに出てもらう専門家としてふさわしいかどうかの見極めが始まっていると感じました。

声のトーン、説明の順序、専門用語の扱い方、例え話のセンス。そういったものを通じて、「この人は、視聴者にとって親切な専門家になり得るか?」が測られているようです。

もちろん、こちらからディレクターの意図を事前に知ることはできません。ディレクターの意図に合わなければつながりが切れるのですから、メディアとのつながりが生まれるのは、偶然といえます。

実際には、その偶然の裏側で、知識と伝える力の両方が問われています。この事実は、ビジネスの世界にもそのまま当てはまると感じています。

4. 書籍が運んでくれた、新しいご縁

私にとって大きな転機となった出来事があります。それは、ダイヤモンド社から商標登録に関する書籍を出版する機会をいただいたことです。

この本がきっかけとなり、それまで接点のなかった方々から、多くのご相談や取材依頼をいただくようになりました。

テレビ、雑誌、書籍というメディアを通じて、商標登録について伝える機会を与えていただけるのは、本当にありがたいことです。

メディアに出る出ないは法律を知ってもらう機会としては重要ではないかもしれません。

しかし、メディアに出た瞬間、商標の話は一気に多くの人の目に触れるようになります。「知らなかったでは済まない法律」と「知られていない現実」のギャップを埋める役割を、少しでも果たせるのであれば、これほど嬉しいことはありません。

5. 人生で正面からぶつかる法律は、実はそれほど多くない

少し視点を変えてみましょう。

多くの方にとって、人生の中で法律に直接関係する場面は、それほど多くありません。私の感覚では、多くの人が日常生活の中で具体的に意識する法律は、次のようなものではないでしょうか。

自動車を運転する人にとっての道路交通法、そして事業をしている人にとっての商標法です。

もちろん、業種によっては、薬機法や景品表示法など、他の法律が深く絡んでくるケースもあります。ビジネスをしている限り、多くの方にとって避けて通れないのは、やはり道交法と商標法だと感じています。

にもかかわらず、商標法は、普段の生活の中ではほとんど話題になりません。それはなぜでしょうか。

6. 商標法が「目立たない」本当の理由

商標法は決してマイナーな法律ではありません。むしろ、ビジネスをする人にとっては、会社の名前・商品名・ブランドを守るための、非常に重要な法律です。

それなのに、あまり話題にならない一番の理由は、ビジネスが順調でなければ、商標トラブルに巻き込まれる可能性が低いという、少し皮肉な現実にあります。

ビジネスがまだ小さく、取引量や露出が少ないうちは、あなたが使っている商品名やサービス名を、既存の商標権者が見つけるのに時間がかかります。

誰にも知られていない状態では、そもそも権利者の目に留まりません。その意味で、売れていないうちは、表面上は何も起こらないことが多いのです。

7. 売上が伸びた瞬間、商標トラブルは予期せぬタイミングでやってくる

ところが、ビジネスが順調に伸び、ある一定レベルの売上に到達した途端に、状況は一変します。

広告を打ち、SNSで話題になり、口コミで広がり、商品やサービスの名前が一気に世の中に出ていくと、今度は商標権者の目に留まるようになります。

このとき、あなたが自分のブランドを守るための商標登録という備えを持っていなければ、商標法に基づく警告やクレームが届く可能性が、一気に高まります。

言い換えれば、商標トラブルは、ビジネスがうまくいっている人だけがぶつかる壁とも言えるかもしれません。

商標で問題が起きるほど有名になる前に、商標登録で守りを固めておくことが何より重要です。

8. 成功してからでは遅い — 商標登録は「攻める前の守り」

起業や新規事業のご相談を受けていると、よく聞かれる質問があります。

「もう少し売上が上がってから、商標登録を考えればいいですよね?」

これは、発想としては自然ですが、リスク管理としては非常に危うい考え方です。

売上が上がり、ブランド名が世の中に浸透してから、いざ商標調査をしてみたら、すでに同じような名前が登録されていた。こういったケースは珍しくありません。

この場合、最悪のケースでは、今まで育ててきた名前を、泣く泣く変更しなければならないことがあります。

看板・パッケージ・ウェブサイト・パンフレットなど、あらゆるツールを作り直すことになります。時には、過去の使用に対して損害賠償を請求されるリスクもゼロではありません。

「うまくいってから考える」ではなく、「うまくいく前に、うまくいったときのリスクを潰しておく」。これが、商標登録における正しい順番です。

9. これからビジネスを始めるあなたへ

テレビディレクターの「知識があるだけの人も、話が上手なだけの人もテレビには出さない」という言葉は、私にとって、専門家としてのスタンスを見直す大きなきっかけになりました。

同じように、ビジネスの世界でも、「商品やサービスが良い」「マーケティングが上手」では、守りの面で大きな穴が空いたままになってしまいます。

質の高い商品・サービスと、その価値を伝える力、そしてそれを守るための法的な備え。この三つが揃ってはじめて、安心してビジネスを伸ばしていくことができます。

これからビジネスを始める方、すでに事業を展開している方に、ぜひお伝えしたいのは、次の一言です。

商標登録は、売れた後のご褒美ではなく、売れる前に済ませておく最低限の準備です。

テレビ、雑誌、書籍など、様々なメディアを通じて、これからも商標登録について伝え続けていきたいと考えています。

そして、この記事が、「そろそろ自分のブランドも、商標のことを真剣に考えてみようかな」という一歩を踏み出すきっかけになれば、とても嬉しく思います。

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247

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