知っておきたい商標のマークの知識!R,TM,Cの違いとは?

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(1)Rマーク

Rマークとは?

Rのアルファベットのアールを丸で囲ったⓇのマークは、丸アール、丸R、Rマーク等と表現されます。
そもそもRマークはⓇと表記されるものであり、Rマークが付記された商標が、Registered Trademark(登録商標)である表現です。このRegistered Trademarkの頭文字のRを記号化してRマークが生まれました。

つまり、Rマークがあれば、その商標は登録済みだということを示すものです。

米国の連邦商標法上で規定されたもの

商標に関する米国の連邦制定法上でRマークが規定されています。この米国の連邦制定法はランサム法と呼ばれます。ランサム法第29条でRマークが扱われていて、Rマークありの商標は登録済みということになります。

米国も日本と同じく登録済みの商標へⓇとのRマークを付記は求められません。

しかしRマークは米国内で商標権の侵害訴訟の損害賠償請求をするために必要です。もし米国でRマークを付けていないと米国内での商標権侵害訴訟の際に損害賠償を受けることができません。

日本の場合

日本において、商標法を含め全ての法律についてRマークに関する規定が存在しません。この背景から日本においてRマークの表示は義務ではありません。

ただし、特許庁で商標登録を終えて商標権が発生した登録商標については、例えば「商標登録第○○○○○○○号」等といったように、商標が登録済みであると表現をする努力の必要性の規定が存在します(商標法第73条)。また「商標登録表示」は、商標が登録済みの商標との表示です。

ただ、商標登録表示の場合では堅い印象を与えるのに対し、Rマークを付けた方が柔らかい印象になること等の理由からRマークが使われるようになっています。

日本の場合、法律上の拘束力はありませんが、登録商標へRマークを付けると、第三者が許可無く当方の登録商標を使うことを防ぐことが期待できます。Rマークが加えられた商標なら、その商標が特許庁で登録済み、との意味につながり、商標権が存在することをRマークにより伝えることができるからです。

Rマークの有無に関わらず、商標の侵害者には差止・損害賠償請求を行える

そもそも日本にはRマークの法律もないから、Rマークの有無に関わらず商標権の侵害行為に基づいて、裁判所に差止請求や損害賠償請求を行うことができます。

表示の仕方

商標についてのRマークの表示に特別な規定はありません。実務上は商標が目立つように、商標の横や右肩に小さく表示されている場合が多いです。

具体例


Rマークの商品における使用例

各社商品をⓇの使用状況を説明する資料として引用


登録されていないのに、つけた場合

特許庁による商標の登録が済んでいないのにRマークを表示すると虚偽表示として刑罰が科せられる可能性があります。
登録商標と同じでない商標に、あたかも登録が済んでいると間違う表記は控えなさい、との定めが存在します(虚偽表示の禁止 − 商標法第74条)。同規定は登録前の商標にもあてはまります。特許庁に対する申請を終えていたとしても、出願中のものは登録されているわけではないのでRマークがあるとやはり虚偽表示です。

虚偽表示の法律に違反すると、3年以下の懲役または300万円以下の罰金刑が適用される場合があります。

(2)TMマーク

(2-1) TMマークとは?

TMマークとは、Trade Mark(商標)の頭文字であるTのアルファベットとMのアルファベットの二文字によります。TMマークがある商標は、商標として使う意図を表します。

色々な状態の商標に表記できる
先に述べたRマークとは違って、TMマークは様々な状態の商標へ記載可能です。

TMマークが表示可能な商標は、権利申請前の段階でも、出願済みの段階でも差し支えありません。

商標にTMマークがあれば「登録はまだないけれど、このマークで商売をしています」というアピールをしているわけです。

販売が見込めるかどうか分からない商品を、すぐに商標登録しない企業も多いという事情があります。未だ特許庁へ権利申請のない段階では先に述べたRマークを加えることができません。登録がまだだからです。

また商標権を取るとなると登録料等が必要です。また商標登録したとしても、登録された商標を日本国内で三年間使用していないと不使用取消審判を請求されて商標登録が取り消される場合もあります。

このため手間と費用のかかるRマークの代替案としてTMマークが使われるという実情があります。

TMマークを許可なく表示しても処罰の対象にはなりません。日本ではTMマークに関する法律上の定めが存在しないのです。
TMマークのある商標は商標と表現しているだけで、特段何らかの権利義務を発生させるものではないです。

注意点

Mマークを付けたとしても、何らかの法律上のメリットがあるわけではありません。TMマークがあっても商標の特別な保護はないです。

結局TMマークの有無に関係なく、特許庁へ権利申請の手続がないと、同じマークが他の人によって商標登録されるリスクが残ります。

具体例


TMマークの使用例

各社ウエブサイトから上記商標をTMマークの使用状況を説明する資料として引用


(2-2) SMマークとは?

SMマークとは、Services Markのそれぞれの頭文字であるアルファベットのSとMとを略したもので、SMマークは役務商標です。

商標は商品の包装に示しますが、業務によっては商品を売らないで商取引を行う場合もあります。例えば、レストランやホテル、運送業などは形のない役務(サービス)を提供するものですが、この役務(サービス)に関する商標がSMマークです。

TMマークの場合と同様、SMマークを許可なく加えても処罰の対象外です。日本ではSMマークに関する法律上の定めが存在しないです。

SMマークが加えられた商標はそれが商標であると表すだけで、特段何らかの権利義務を発生させるものではないことはTMマークの場合と同様です。

具体例


SMマークの使用例

各社ウエブサイトから商標のSMマークの使用状況を説明する資料として引用


(3)Cマーク

(3-1) Cマークとは?

Cマークとは、Copy rightの頭文字であるアルファベットのCを略したもので、著作権を表します。
歴史上Cマークと関連して、著作権の方式主義を選択した国と、著作権の無方式主義を選択した国では、それぞれ著作物の扱いも異なりました。

方式主義を選択した国では創作したものが著作物に相違ないことを表すCマーク(©)を付けた登録申請が原則です。無方式主義を選択した国では、権利発生に対する条件として、指定されたマークを付けたり登録を申請したりすることまでは求められません。

方式主義はかつては米国などが中心であり、それ以外の多くの国では無方式主義が選択されました。

(3-2) 万国著作権条約に加入している場合

Cマークなしでは著作権の保護がない外国で、無方式主義の国の著作物は、Cマーク、著作権者名および最初の発行年を一括表記すれば保護が生じます。

逆に、Cマークなしでは方式主義による著作権の保護が生じません。

(3-3) ベルヌ条約に加入している場合(日本)

ベルヌ条約では、著作権の発生に登録などの手続を必要としない無方式主義を条約上の原則とします。無法式主義を選択すれば、全然手続とか記載とかないケースでも著作権が生じるのです。

日本では特にCマークがなくても著作物を創作した瞬間より著作権が生じます。
このためCマークの有無に関係なく、著作権による保護は変わりません。

(3-4) All Right Reservedも同様の意味

Cマークに続いて表示される「All Right Reserved」も同様の表現であって、「全ての権利が保有される」、との意味です。

(3-5) 書き方

「© 著作権者 最初の公開年(後に更新年) 」のように記載します。なおかっこの中のそれぞれの表記は順番が間違っていてもよいです。

具体例


Cマークの使用例

各機関におけるウエブサイトからCマークに関する使用状況の説明資料として引用


(4)注意点

結局、Rマーク、TMマーク、Cマークいずれについても、日本では法律の規定が存在しないのです。結局どのマークも、記載がなくても何かの不都合はないです。

ただ、Rマークについては登録商標そのものにしか付けることができない点に注意してください。

下記の図で説明します。
Rマークの使用上の注意
例えば、「ぱんだ」が商標登録済みの場合を考えます。このケースでは登録商標は「ぱんだ」です。商標権の範囲は同一の読み方の商標も入るので、「ぱんだ」に類似する「パンダ」も「Panda」も他人は無断で使うことができません。

このため「ぱんだ」以外の「パンダ」も「Panda」も商標権で保護されていますので、改めて登録する必要はありません。

ただ、登録されている商標は「ぱんだ」そのものだけで、「パンダ」や「Panda」が登録されているわけではありません。このため、登録商標以外のものにⓇを付けないようにします。

またTMマークはライバルにこちらの商標が未登録であることを教えてしまう結果になりますので、日本では進んで使うメリットはないです。

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘

03-6667-0247