(1)商標登録とは?
商標権はどうやってできるのか?
商標登録とは、商標権を世に送り出す行政処分の一種。特許庁で受け付けられた商標登録出願の内容に審査上問題がなく登録査定になった後、設定登録を通して、指定商品・指定役務の関連枠内で商標権を生じさせる、特許庁によって行われる行政処分だ(商標法第18条第1項)。
審査を通過できる商標には条件がある。日常的に商品や役務の内容に使われる表現とは違うこと、先に存在する商標権の内容と重なるところがないこと、他人の有名な商標と近似していない等が必要だ。
審査で問題がないと判断された出願に対して特許庁で登録査定になれば、出願人へその内容が送達される。登録手続と登録料納付を行うと、特許庁の内部で設定に基づく登録を受けて、商標権が生じる。
登録商標と結び付けられた商品役務について、登録商標とそれに近似する商標を使えるのは商標権者だけだ。商標権者の事前承認がないのに、登録商標を関係する商品役務に使うと、差止請求、損害賠償請求等の民事的措置や、罰金、禁錮刑等の刑事的措置を求めることができる。
商標登録と登録商標の違いは?
なお、「登録商標」とは特許庁の商標原簿に登録されている商標のことだ。商標権を生じさせる行政処分の「商標登録」とは違から注意しよう。
商標とは?
商標法の規定は次の通りだ。
商標法第2条第1項
この法律で「商標」とは、人の知覚によつて認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの(以下「標章」という。)であつて、次に掲げるものをいう。
1 業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの
2 業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用をするもの(前号に掲げるものを除く。)
商標法第2条第1項
商標法の条文では、商標として認承を受ける上で、次の条件にクリアすることが求められる。
人の知覚によつて認識することができること(商標法第2条第1項)
2014年の改正前の商標法では、商標は平面か立体に表現された表示であった。法改正以降は、目で観て知覚できなくても商標として認めるために「人の知覚により認識」との表現がある。
文字、図形、記号等であること(商標法第2条第1項)
技術上のアイデアを基本とする発明とは異なり、商標は文字・図形等で表現する商品表示、営業表示と定義されている。
営業に伴い、商品や役務に使うこと(商標法第2条第1項)
商標と標章の違いとは?
商標を定める条文に、「商標(ショウヒョウ)」と「標章(ヒョウショウ)」との二つの専門用語がでてくる。
文字・図形・記号等は、営業表示の目的に商品役務へ使った後に「商標」と呼ばれ、使う前であれば「標章」と呼ばれる。
こういった事情から、商品や役務に使用する前のエンブレムそのものは、正確には「標章」ということになる。
営業に伴い使う、とは?
商標の定義規定には営業に伴い使うものが商標とのしばりがあるから、業務で商標を使わなければ商標法違反の問題は原則生じない。
このため家の中で個人で商標を使用する場合、友人間の連絡で商標を個人的に使用しても商標権侵害にはならない。
ただし、フリーマーケットやインターネットオークションで転売を繰り返していると問題が生じる。個人取引の領域を超えて、個人事業を行っているのと実態は同じになるからだ。商標を個人で使用していると思っていても商標法違反に問われることもあるので注意しよう。
商標登録の具体例
(1) 標準文字の商標
図1 標準文字の登録例
商標のうち、文字情報だけしか含まれていないものについてフォントを限定しないなら、特許庁長官の指定する標準文字を選択できることを知っておこう(商標法第5条第3項)。
商標権は同じ読み方のものを範囲に含むから、これで行くというフォントがなければ標準文字を選択するのがよいだろう。
(2) ロゴタイプの商標
図2 ロゴタイプの登録例
文字商標のうち、フォントにデザインが加えられているのがロゴタイプの商標だ。標準文字の商標は、文章の中に溶け込んでしまい目立たないというデメリットが避けられない。これに対してロゴタイプの商標はデザインが追加されているので、他の文字情報に邪魔されず目立つというメリットがある。
反面、フォントのデザインが進み過ぎると、元の文字商標とは違うものと判断される可能性がある。そうなるとロゴタイプの商標権では、元の文字商標をカバーできなくなるデメリットもある。
(3) シンボルマークの商標
図3 シンボルマークの登録例
登録できる商標は、文字を含まないシンボルマークの商標でも受け付けられる。もちろん、他社の有名な商標権に触れないこと等が条件だ。
(4) 結合商標
図4 ロゴタイプとシンボルマークの結合商標の登録例
文字・図形・記号などは単独使用だけではなく、組み合わせることもできる。図4に示される、ロゴタイプとシンボルマークを組み合わせた商標でもよい。この結合商標のケースでは、ロゴタイプとシンボルマークとを一つの出願に盛り込むことができるので商標権取得の際のコストが下がるメリットがある。
ただし結合商標は、構成要素全てを合わせて一つの商標として扱われる。このため、シンボルマークが全く別のものに変わったものに対して権利範囲に入らない等のデメリットもある。
図5 シンボルマークと色彩の結合商標の登録例
シンボルマークには色彩を追加することができる。登録商標と色だけが違う商標は登録商標に含まれる(商標法第70条第1項)。この規定があるから、全ての色違い商標を登録する必要はない。どの色を使うか悩んだら、多く使う色を基準に考えるとよいだろう。
ただし色彩も商標を構成要素の一つなので、色を変更した結果、印象が別のものに変わったら、元の登録商標ではカバー不能だ。グラデーションカラーやレインボーカラー等、色そのものに特徴がある場合には色違い商標の登録も検討するとよい。
商標登録の歴史
1885年:商標条例
商標登録の制度は1885年の10月1日より施行された商標条例から始まる。
特筆すべき点は、商標登録の保護制度は、特許制度が発足する1886年よりも前に開始されたことだ。当時はまだ特許庁はなく、農商務省内で処理された。
登録された商標は役所等で見ることができたが、1886年からは商標公報も発行された。デザインを保護する意匠登録の内容は特許公報に含まれた形で発行があった。商標の場合は独立して公報の発行された。このように、制度発足当時から商標保護に国が取り組んできたことがわかる。
1959年:商標法として改正
商標法施行法により1959年に旧法が撤廃され、現在の商標法の形となる。
1992年:役務商標を保護する「サービスマーク登録制度」の導入
商品商標のみならず、役務についても商標の対象とするサービスマークも登録を受けられることになった。役務とは、顧客に商品を渡す代わりに、顧客の要求する雑務を代行する業務のことである。不動産物件の賃貸、宣伝広告、人材派遣などの業務については、顧客に商品を渡して対価をもらうのではなく、雑務を代行していることになる。
この雑務の代行のことを「便益の提供」という。この便益の提供が、「役務」、つまりサービスを示す。
商標法条は、サービスとは無料で配るものとは違い、業務として行うものであることに注意しよう。
2015年:新しいタイプの商標保護制度が施行
これまで平面商標、立体商標に商標登録を認承してきたが、これらに加え、音、動き、ホログラム、位置、色彩のみの商標も認承される。国際的に音商標等も保護を受けていたので、日本でも商標登録の基準を国際水準に合わせた。
商標登録のメリット
独占排他権
商標登録されると出願人は商標権を得る。商標権者は商標を使用する権利を占有できる。
商標権があるなら、指定商品・指定役務と関係ある範囲で他人が登録商標を使う行為を排除でき、他人に使用権をライセンス可能だ。
一方、商標権の存続期間は、登録日から10年である。ただし、特許権、実用新案権、意匠権、著作権等の場合と異なり、商標権の場合は権利更新が可能だ。
自動車の運転免許制度と同じく、最初の試験を通過した後は、10年毎の更新申請を忘れなければいつまでも権利を保有できる。
商標の保護
商標権者には以下の権利がある。
差止請求権
他社が登録商標や登録商標に近似する商標を、指定商品・指定役務と関係する商品役務について、許可なく使うことを中止させることが可能だ。
商標権の差止請求の場合は、標章であるエンブレムを削除すれば商標権侵害から逃れられる。ただ、通常は商品包装を破壊しなければエンブレムを削除できない。また侵害品が多すぎて実質的にエンブレムを削除仕切れないできないケースも多い。このため差止請求が認められたケースでは、全国の市場からエンブレム付きの商品を回収せざるを得なくなるだろう。
損害賠償請求権
差止請求は現在の侵害対する手段であるが、損害賠償請求は過去の侵害に対する手段だ。
損害賠償請求は、3年の時効期間まで認められるので、最大3年分の損害に対して請求が可能だ。
名誉回復措置請求権
商標権の侵害により、侵害品が正規品に紛れ込むと、商品の品質や役務の質が粗悪であると消費者に誤解される場合がある。このケースでは新聞やインターネットメディア等に謝罪記事の掲載を求めることも可能だ。
(2)商標登録の要件
商標権を入手するには、商標登録のための願書を特許庁に申請して審査を通過する必要がある。特許庁の審査に合格する上で、次に挙げる条件に当てはまることが求められる。
自らの業務に使う商標であること
商標法の目的は、商標を使う業者の業務上の信用の維持を保つ、いわゆる公正な取引を維持することにある(商標法第1条)。
このため、そもそも業務に使われないことが分かっている商標については審査を通過できない。
ただし、業務に使われるかどうかは、出願時点では求められない。審査の判断時点で、商標を業務に使う意思が反映されれば足りる。
他社の業務と区別可能な商標を選ぶこと
商標の持つ大切な機能の一つに、数多くある他社の商品の中から、自社の商品のみを需要者に識別させて選び出す手がかりとしての機能がある。
この商標の持つ機能を自他商品役務識別力という。識別表示がないと、手に取った商品を見ても、それが誰が提供している商品か分からない。
他社商品とは違って、自社の商品を選択させる識別表示が商標だ。
こちらの商品か、他人の商品か、判別不能な商標は審査の通過は難しい。
登録が認められない商標の代表例
誰もが商品や役務に使ってきた商標は、後から一個人が独占できない。一人のものではなく、みんなのものだからだ。
- 「家具」等の誰もが使える普通名称
- 「観光ホテル」等の慣用的に使われている表示
- 「丈夫な家具」等の商品の品質を示す表示
- 「あ」等の極めて簡単でありふれた表示
- 「田中」「高橋」等のありふれた名前
先行する商標権に重ならないこと
商標権は独占権なので、先にある商標権の範囲に少しでも重なる商標は登録は認められない。権利範囲に共通部分があると、独占権とはいえなくなる。
また商標権は同一の商標のみならず似た商標をも権利範囲に入るから、同一の商標がなくても、登録可能かは分からない。
先行する有名な商標と混同のないこと
たとえ登録がなかっても、先にある有名な商標と混同のある商標は、登録を拒否される。
登録が認められない商標の代表例:既に使われている有名商標
商標登録がなくても、既に使われている有名商標と似た商標は、登録は認められない(商標法第4条第1項第10号)。
有名になった商標であれば、法律上保護するに値する財産上の価値が生じていると考えて保護対象となる。
裏を返せば、先に使っていても、有名とはいえない商標については、後から関係のない業者に商標を取られてしまう可能性が残る。
登録が認められない商標の代表例:誰も使っていない商標なのに
例えば、有名な東急グループが仮に不動産業務について「東急不動産」という商標を使用していない場合があったとしよう。東急グループとは全く関係のない別企業が商標「東急不動産」との商標を出願申請したらどうなるのか。
誰も東急不動産との商標を使用していないなら、登録を認めてもよいと思う人もいるだろう。しかし商標法によれば、他人の商標と間違える商標は登録しないと規定している(商標法第4条第1項15号)。
東急不動産との商標を使用することによって、一般需要者が、東急不動産と東急グルームとの間に何らかの資本関係があるかのような勘違いが生じる可能性があると認定されると、東急不動産の商標の登録は認められない。
誰よりも先に申請したこと
互いに並列できない関係の商標が出願された場合には、特許庁の申請順により商標権者が決定される。この制度のことを先願主義という。
先願主義の下では、商標を使っているだけで権利申請しなければ、商標権者にはなれない。つまり先願主義の下では、他人に先に商標を取られてしまうことがある。この点が先願主義のデメリットである。
反面、先に申請した者が権利者になれるという統一ルールにより登録制度が運用されているため、後日権利者が誰かについて揉める必要がなく、公平感が高いというメリットがある。
一商標一出願
商標登録出願は、一つの申請について、商品役務の区分に沿って商標それぞれにするように決められている(商標法第6条)。
一つの出願に複数の商標を入れておいて商標権を得る。その後に、複数の商標権の保有を主張することは認められない決まりだ。
また商標出願は、商品役務それぞれに沿ってすることになっているから、商品役務の指定が不明確であると審査を通過できない。事前に権利申請する商品役務の内容を十分詰めておく必要がある。
(3)商標登録の手続
手続きの流れ
商標登録の手続の流れは以下の通りだ。
(1) 既存商標の調査
商標登録出願に挑戦しても、先に登録されている商標と権利の重なり部分があれば審査を通過できない。商標登録出願するなら既存登録商標を調べよう。
既存商標をチェックしても、特許庁の特許情報プラットフォームであれば、無課金でいつでも制限なくインターネットを通じてチェック可能だ。
このJ-PlatPatを使って、障害になる既存商標の有無をチェックできる。
(2) 願書の制作
商標登録出願の願書は商標記入のためのスペースが存在する。このスペースに記入する表現に従って、権利申請する商標に違いがでる。
スペースに文字だけを記入すれば文字商標だ。文字にデザインのあるロゴタイプを記入すればロゴタイプの商標だ。
標準文字、立体商標、新しいタイプの商標等は、願書に申請内容を別途記入しなければならないので注意しよう。
また願書に商標画像を貼る場合、画像サイズの制限がある(最大縦横15cm)。
さらに商標を使用する商品役務を指定する。商品役務は商標法の区分に従う決まりだ。
(3) 書面の提出
願書に添付記載した商標とか、指定商品・指定役務は、後からの変更が一切できない。指定商品・指定役務については削除が認められるだけなので、後で変更の必要がないよう、十分に見直しをしよう。
商標登録出願の願書の提出先は、虎ノ門駅近くの東京・霞が関にある特許庁だ。ここ以外に特許庁は各都道府県には存在しない。願書は直接持参しても、郵送してもよい。
またインターネット回線を通じて願書を提出可能だ。インターネットによる電子出願には専用の回線準備の手配が先に必要だ。
(4) 特許庁による審査
商標登録出願があると、特許庁で書面が受付可能か方式審査が実施される。
記載に誤記等があると、特許庁から直すように指示される。その際に対応期間が指定される。その対応期間内に正しく直して提出しないと出願が却下になる。特許庁から連絡を見逃さないように注意しよう。
方式審査突破の後は実体審査だ。
審査官が行う実体審査は通常、5から7ヶ月程度だ。特許庁には毎月1万件前後の商標出願があり、これをたった一箇所だけで全部に対応している。先に累積している5から7ヶ月程度分の出願を処理しないと、こちらの順番が回ってこない。
審査にかかる時間は審査官が悩んでいる時間ではなく、こちらの処理に着手するまでの時間がほとんどだ。
審査の結果、商標担当審査官が審査に合格できない理由を見つけたケースでは、
審査官から理由と共に意見を書面で提出するように指示がくる。
商標登録出願人は、指示のあった期間内に意見書や補正書を送付して審査官の認定に不服があることを伝えることができる。
反論によって拒絶理由が全部なくなれば、無事審査通過だ。
ただし、ほとんどの拒絶理由に答えても、一つでも審査に通過できない事項が残っていると出願全体が拒絶される。
審査に最終的に通過できないなら、特許庁の審査見直し手続である、拒絶査定不服審判により、審査に通過できなかった結論を再度審理してもらえる。
(5) 審査を通過したら
審査を無事通過できたら、特許庁より登録査定の謄本送達がある。登録査定とは審査突破の証だ。
(6) 登録料の支払い
審査を通過したら登録料を払おう。登録料を特許庁に払えば庁内で権利設定手続が開まる。
(7) 商標権の発生
商標権は特許庁に備え付けられた商標原簿への設定登録により生じる(商標法第18条第1項)。商標登録完了と共に商標権が生じる。
商標登録が完了すれば、商標登録証が郵送されてくる。
商標登録証に掲載のある登録日が商標権の存続期間の起点となる。登録日から10年間、商標権は続く。
(8) 商標権の維持管理
登録料を5年分払った場合
残りの5年分の支払い忘れがないように注意しよう。権利期間が10年あるといっても、残りの5年分の支払いを忘れると権利がなくなっていまう。
更新申請ができる
商標権の場合は権利更新により、また権利期間を10年先まで伸ばすことができる。
ただし、特許庁からは次回更新のお知らせはこないので注意しよう。うっかり更新を忘れると商標権がなくなってしまう。
3年間使わないと取消されることも
日本国内で3年間登録商標を指定商品・指定役務に使わないと、登録が取り消される。
取消は自動的には行われず、他の誰かの請求があった場合に審判の対象となる。取消請求されてから登録商標を使用しても取消されてしまうので、普段から登録商標を使う義務が商標権者にはある。
(4)商標登録制度の特徴
商標登録と意匠登録との違い
商標登録は、商品や役務に使う営業表示を保護する制度だ。これに対して意匠登録は、物品のデザインを保護する制度だ。意匠登録で扱うデザインは、物品そのもののデザインとなっていて、物品と分離したモチーフは意匠登録の対象とならない。
一方、商標の場合は、物品そのものとは切り離すことができる。商標は商品にはるタグ、エンブレムの形で提供されるからだ。
商標登録を選択するか、意匠登録を選択するかを迷ったら、デザインの対象物品そのものを販売するのか、それともデザインをタグとして商品に付けて販売するのかにより判断するとよい。
デザインされたそのものを販売する場合は意匠登録を選択し、デザインをタグとして利用するなら商標登録を選択する。
例えば、ご当地キャラクターの場合では、ご当地キャラクターの着ぐるみそのものを販売することは少ないはずだ。このご当地キャラクターなら、商標登録を考える。商標登録を選択すれば、販売の対象は着ぐるみだけでなく、お菓子や文房具、書籍等の多種多様なアイテムを指定することが可能だ。
商標登録と特許・実用新案との違い
商標登録は営業上の表示が保護されるのに対し、特許や実用新案は技術上のアイデアが保護される。
特許や実用新案により技術のアイデアが保護できたとしても、製品の外観からはその技術が一見しただけでは分からない。これに対して商標であれば製品に表示できる。しかも商標権で商標は保護されているので、他社は登録商標を使えない。
そこで商標に商品イメージを浸透させて、その商標を製品に表示する。流れるようなブランド戦略で比較的高額な商品に売り込みに成功している企業がある。ダイソン社だ。
同じ物品に特許権と商標権が並列する事例
特許権
- 発明の名称:掃除器具のためのサイクロン分離装置
- 登 録 日:2011年3月11日
- 特許番号 :特許第4696320号
- 特許権者 :ダイソン テクノロジー リミテッド
商標権
- 登録商標 :DYSON
- 登 録 日:2001年6月1日
- 登録番号 :商標登録第4479791号
- 区 分:第7類等
- 指定商品 :掃除機等
- 商標権者 :ダイソン テクノロジー リミテッド
上記の例ではサイクロン分離掃除機に関して、技術的アイデアについては特許権が、商品表示については商標権が、それぞれ登録済みだ。
このように商標登録と特許とにより権利を複合的に取得することで、他社はネーミングも技術もまねをすることができ防護壁を築くことが可能だ。
ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247