我が街のソウルフードも登録商標です!

無料商標調査 商標登録革命

1. あなたの地元の味、実は法律で守られています

日本全国には、その土地でしか味わえない特別な食べ物や飲み物があります。地元の人々に愛され、県外の人にとっては「あの地域といえばコレ!」と思い浮かぶソウルフード。実はこれらの中には商標登録によって法的に保護されていることをご存知でしょうか。

今回は、地域に根ざした食文化と知的財産権の意外な関係について、実例を交えながらご紹介します。「懐かしい!」「知らなかった!」となる、ローカルフードの商標物語を紹介します。

2. 鳥取県民の誇り「白バラ牛乳」が持つブランド力

白バラ牛乳のパッケージ

鳥取県民なら誰もが知っている「白バラ牛乳」。この牛乳は単なる地域限定商品ではありません。大山乳業農業協同組合が製造するこの牛乳は、鳥取県内すべての酪農家が組合員となっている、日本でも類を見ない協同組合から生まれた商品なのです。

学校給食でも提供されるこの牛乳は、まさに鳥取県民のソウルドリンク。パッケージデザインをプリントしたTシャツやiPhoneケースが若者を中心に大人気となり、地域ブランドの新しい可能性を示しました。レトロでありながら洗練されたデザインが、SNS世代の心を掴んだのです。

品質へのこだわりが生んだ商標価値

白バラ牛乳の美味しさの秘密は、徹底した品質管理にあります。鳥取県の酪農家は「牛群検定」という検査を97%が受けており、この受検率は全国第1位。牛の健康状態から生乳の品質まで、科学的なデータに基づいて管理されています。

さらに、搾乳から製品化まですべて県内で完結する一貫体制により、新鮮さは格別。獣医師を含む専門スタッフが土壌管理から飼料、牛の健康まで総合的にサポートする体制も整っています。こうした品質へのこだわりが、商標としての価値を高めているのです。

出願番号/登録番号/国際登録番号:登録5914797(商願2016-070777)
商標(検索用):白バラ牛乳
区分:29
出願人/権利者/名義人:大山乳業農業協同組合
出願日/国際登録日(事後指定日):2016/06/30
登録日:2017/01/20
出願番号/登録番号/国際登録番号:登録5914798(商願2016-070778)
商標(検索用):白バラコーヒー
区分:29 30
出願人/権利者/名義人:大山乳業農業協同組合
出願日/国際登録日(事後指定日):2016/06/30
登録日:2017/01/20

白バラブランドは「白バラ牛乳」だけでなく、コーヒー牛乳の定番「白バラコーヒー」も商標登録されています。地域に根ざしながら、時代とともに進化するブランド戦略の好例といえるでしょう。

3. 信州上田の伝統菓子「みすゞ飴」に込められた職人魂

みすず飴のパッケージ

長野県上田市を代表する銘菓「みすゞ飴」。果汁と寒天、グラニュー糖、水飴で作られたゼリーをオブラートで包んだこのお菓子は、明治時代から続く飯島商店の看板商品です。

江戸時代から続く穀物商だった飯島商店が、水飴製造で成功を収めた後、「これぞ信州!」という商品を作ろうと開発したのがこの「みすゞ飴」でした。商品名の「みすゞ」は信濃国を表す枕詞。まさに地域のアイデンティティを商品名に込めた、郷土愛あふれる命名です。

出願番号/登録番号/国際登録番号:登録1645947(商願昭55-012391)
商標(検索用):§みすゞ飴
区分:30
出願人/権利者/名義人:株式会社飯島商店
出願日/国際登録日(事後指定日):1980/02/20
登録日:1983/12/26
出願番号/登録番号/国際登録番号:登録5699420(商願2014-001439)
商標(検索用):みすず飴
区分:30
出願人/権利者/名義人:株式会社飯島商店
出願日/国際登録日(事後指定日):2014/01/10
登録日:2014/09/05

独特な食感が生む話題性

みすゞ飴の最大の特徴は、その独特な食感。国産果汁にこだわり、今も職人の手作業で作られるこのお菓子は、好き嫌いがはっきり分かれることでも知られています。

面白いことに、製造元の飯島商店は自社サイトに「みすず飴って美味しいの?」というページを設けています。賛否両論あることを認めながら、それでも自信を持って商品を提供する姿勢は、かえって消費者の信頼を集めています。SNS時代において、この正直さが新たな話題を生み出しているのです。

みすゞ飴に関する商標は複数登録されており、伝統を守りながら時代に対応していく老舗企業の知財戦略が垣間見えます。

4. 千葉・茨城のソウルドリンク「マックスコーヒー」の甘い挑戦

マックスコーヒーの商品

「甘すぎる缶コーヒー」として有名なマックスコーヒー。かつては千葉・茨城限定で販売されていたこの缶コーヒーは、その圧倒的な甘さで地元民の心を掴んできました。

マックスコーヒーの説明書き

原材料表示を見ると、なんとコーヒーよりも加糖練乳や砂糖が先に記載されています。これは使用重量の多い順に表示するルールによるもの。つまり、コーヒーよりも練乳と砂糖の方が多いという、現代の健康志向とは真逆を行く商品設計なのです。

出願番号/登録番号/国際登録番号:登録1565603(商願昭50-076915)
商標(検索用):MAX\Coffee
区分:30
出願人/権利者/名義人:株式会社鈴木コ-ヒ-
出願日/国際登録日(事後指定日):1975/06/19
登録日:1983/02/25
出願番号/登録番号/国際登録番号:登録5973673(商願2017-003975)
商標(検索用):MAX\coffee
区分:43
出願人/権利者/名義人:株式会社鈴木コーヒー
出願日/国際登録日(事後指定日):2017/01/19
登録日:2017/08/18

地域限定から全国へ、そして再び

2019年には「ジョージア」ブランドの一員として全国販売されましたが、現在は再び販売エリアが限定的になっています。しかし、この「幻の缶コーヒー」的な立ち位置が、かえってブランド価値を高めているとも言えるでしょう。

興味深いのは、マックスコーヒーの商標権者が「株式会社鈴木コーヒー」という別会社であること。この会社から使用許諾を受けて製造されているのです。さらに、あの特徴的なデザインは飲料だけでなく、イートイン関連の商標としても登録されており、無断で同じデザインの喫茶店を開くことはできません。

5. 地域の味を守る商標登録の意義

これらの事例から見えてくるのは、商標登録が単なる法的保護以上の意味を持っているということです。地域のソウルフードにとって商標は、その土地の文化や歴史、人々の思い出を守る盾となっています。

商標登録によって守られているのは、商品名やロゴだけではありません。そこには、地域の誇り、職人の技術、消費者との信頼関係など、数値化できない価値が詰まっています。

夏休みの帰省や旅行で各地を訪れる際は、ぜひその土地のソウルフードを味わってみてください。そして、その商品に込められた地域の想いと、それを守る商標の存在に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。きっと、いつもとは違った味わいを感じることができるはずです。

あなたの地元にも、商標登録されているソウルフードはありませんか?ぜひSNSで「#地元の登録商標」をつけてシェアしてみてください。意外な発見があるかもしれません。

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247

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