店舗名・店舗の名前・お店の名前のネーミング

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索引

初めに

店舗やお店の名前を決める際に外してはいけない事項があります。それは一度つけた店舗やお店のネーミングを後から撤回することがないように、事前にチェックすることです。今回は、店舗や店の名前をチェックする方法を説明します。

また、今回説明する事項をチェックしていない方もチェックしてみてください。店舗やお店の名前は、時間が経てば経つほど変更が難しくなります。問題点に気がついたなら、誰よりも速く動くことです。遠回りに見えて、実は一番のライバルとの差別化対策にもなるからです。

(1)ネーミングの問題点をあぶり出す

安易にネーミングを決めると時間が経ってから後悔することが起こります。後になって困らないように基本的なチェックを行います。

(A)店舗名の読み方をインターネットで検索する

例えば、みんなで話し合って社長が決断した店舗の名前が仮に「銀河」であった、とします。この場合、「銀河」とのネーミングをネットで検索する方は多いと思います。また検索の際は同じネーミングの店がないかどうかをチェックすると思います。

ただ、店舗の名前を決定するには、同じものがあるかどうかを調べるだけでは十分ではありません。

お店のネーミングが「銀河」の場合は、「銀河」、「ギンガ」、「ぎんが」、「銀ガ」、「銀が」等といった具合に、漢字、カタカナ、ひらがな等を使って、インターネットで調べていきます。

同じネーミングや似たようなネーミングがでてきた場合は店名を変更することも含めて再検討します。例えば、こちらの店舗が駅の南側にあるのに対して、他社の同じ名前の店舗が駅の北側にあった場合、業種が同じなら、店の売上が二店の数の頭割りになって減少してしまいます。ネーミングを再検討するのは、このように名前の相互衝突により、店舗の利益が減少することを防ぐためです。

また漢字、カタカナ、ひらがな等を使って調べるのは、近い名称で社会的に評価の低い店が存在する場合に、そのまま店舗名を決定するとあなたの店が社会的に評価の低い店だと勘違いされますが、それを回避するためです。風評被害が発生する可能性があれば、事前にそれをできるだけ排除します。

同様に、店名が「銀河」なら「galaxy」等のアルファベットや英単語でも調べて問題がないかチェックします。

(B)ネーミングは口ずさみやすいか

店舗名の超・重要ポイントは、口コミで広がりやすい名称であるか、ということです。口コミで広がるネーミングを付けておくと自発的に店舗名はお客さまの間に広がっていきます。

口コミでお店の名前を広がりやすくするためには、口ずさみやすい、ということが条件になります。

ネーミングが口ずさみやすい、とは、途中でブレスを入れずに一息で発音できる、ということです。長過ぎる店名ですと、お客さまが勝手に省略してしまう結果、口コミの過程であなたの店舗の呼び方が複数発生することになります。

例えば、せっかく20人がネットで口コミであなたの店舗名をインターネットで広げてくれたのに、その呼び方が複数に分かれていると、後で正式名称で検索した場合の検索結果件数は確実に減少します。

また、長すぎる店名の場合は、需要者が一番よく使用する省略されたネーミングを他社が採用してしまうかもしれません。そうすると、あなたのお客さまの口コミの高評価は、省略形のネーミングを採用した他社に全て流れる結果になります。

(C)お店の名前は覚えやすいか

店舗名はお客さまに覚えてもらいやすいことが重要です。
覚えてもらうために必要な条件は、他の店と同じようなありふれた名前ではないこと、です。既に多くある店の名前と同じであれば、他の店と混同してしまって、こちらのことをしっかり覚えてもらえないからです。

名称に特徴があれば記憶に残りやすいです。例えば「きゃりーぱみゅぱみゅ」との名前は発音しにくいですが、同じ名称がそれまでになかったため、印象に残ります。

また流行語をお店の名前に選択するのは避けるべきです。時間が経った後の流行語はとても古くさい印象を与えます。それをドヤ顔で看板で提示されても、それを見たお客さまはとまどうばかりです。

流行語はお客さまの心の中に記憶としてありますが、記憶に残りやすいお店の名前は、お客さまの心の中に既にある名前という意味ではありません。

記憶に残りやすいお店の名前とは、初めて触れた場合にインパクトがあり、こちらの店舗名のネーミングに触れた後にその印象が記憶の中に刻まれるもの、という意味です。

(D)店舗そのものを説明する言葉になっていないか

独自に考えた名称は覚えにくいと考える人が多いせいなのかも知れませんが、店のネーミングとして業務の内容や取り扱い商品の内容をそのままお店の名前に選択することが多いです。

店舗名の名前を付ける上で一番多く生じやすいミスが、この業務の内容や取り扱い商品の内容を名前に選択することです。

例えば、「銀座駅前飲食店」などのネーミングは、避けたい代表例です。その理由は「銀座駅前飲食店」に該当するレストラン、居酒屋、飲食店は、ほぼ数えきれないくらいに多くあるため、「銀座駅前飲食店」とのネーミングでは、お客さまがあなたの店にたどり着くことができないからです。

駅前に同じような名前の店が複数あった場合には、お客さまはどの店があなたの店か分からないため、複数ある店の数の分だけ、確率的にこちらに来てくれるお客さまの数が減ってしまいます。

銀座のように、非常に多くの店舗がある場所の場合でも、その場所に一つしかない特徴のある名称であれば、お客さまは確実にあなたの店をみつけてくれます。

(2)店舗名が使えるものかどうかを確認する

店舗の名前には法律上、使えないものがあります。

店舗名に関連する法律としては、例えば商標法があります。既に特許庁で商標登録されている店舗名は業務に使用することができない場合があります。

(A)商標が登録されているか調査を行う

お店の名前を決める前に、その店舗名が使えるものかどうかを調べる必要があります。先に他社によりその商標について同じ業務に登録されている場合には、店舗名が商標として使えなくなるからです。

ちなみに商標権を侵害した場合、懲役10年以下、法人の場合は罰金3億円以下の罰則規定の適用もありますので注意が必要です。

店舗名が既に商標登録されているかどうかは、特許庁の商標登録データベース(J-Platpat)で調べることができます。

商標の調べ方を解説しておきましたので、こちらも参考にしてください。

(B)商標検索結果の評価

こちらと同じ店舗の名前を発見することができなかった場合でも、似た店舗の名前が登録されているかも知れません。

全く同じ店舗名がこちらと同じ業務について登録されている場合には店舗のネーミングが使えないことは分かります。

問題は、全く同じものはないが、似たものがある場合は、店舗名が使えるのか使えないのかが簡単には判別できないことです。このためご自身で行う商標の検索は、お店の名前の選別作業に使うべきであって、最終的な店舗名の決定には専門家の判断を聞いておくのがよいです。

万が一、後で店舗名が使えないことが判明した場合、看板、パンフレット、名刺、印刷物を全て書き換える必要がでてきます。

場合によっては、既に出荷した製品を回収しなければならない状態になるかもしれません。

後から店舗名を変更するためには相当な手間と時間と費用が必要になります。このような事態は避けるべきです。

(3)店舗名は、先に商標権を押さえておく

(A)店舗名の商標登録は早い者勝ち

この記事を読んでいる人の中には、お店の名前については特許庁で商標登録されているかどうか既に調べて問題がないことを確かめたよ、という方がいると思います。

ところが、最も注意しなければならないのが、過去に商標調査を実施したけれども特許庁に権利申請手続をしなかった人です。

というのは、商標権者になることができるのは、先に店舗のネーミングを使った人ではなくて、先に特許庁に商標登録出願の願書を提出した人だからです。

商標権は土地の権利と似た性質を持っています。商標権ではイメージしにくいかもしれませんので、ここでは便宜上、商標権の権利を土地の権利と考えると理解しやすいと思います。

例えていうなら、店舗を出す土地を調べてみたが、権利者は調べた時点ではいなかった。
商売が軌道に乗ってきたので、もう一度店舗の土地を調べたところ、現時点では他人が土地の権利を取得していることがわかった。

このような事態が発生します。

実際、ファーイースト国際特許事務所に商標権の相談に来られる方の多くはこのパターンで、現在の土地の立ち退きを迫られている方が多いです。

店舗の名前が使えなくなるという問題は使えなくなるまでは気がつきにくいです。

これまで築き上げてきたお客さまからの信頼を根こそぎ奪われたことが理解できたときに、その問題の深さに気が付きます。

商標を調査して、商標権が取られていないことがわかったら、すぐに商標権を確保しておくのがよいです。後でライバルに商標権を取られてしまうのを避けるためです。

ファーイースト国際特許事務所

平野泰弘所長弁理士