出願してから結果が返ってくるまでの期間
商標登録の期間を迅速化するために下準備が大切
実際に特許庁に商標登録出願の願書を提出すると、その審査結果が返ってくるのは日本では2023年1月から8月までの時点で商標公報が発行された約8万件の商標権についての商標登録出願から登録までの期間は、6ヶ月が最頻値です。
早期審査の場合は約2ヶ月、最長では24ヶ月以上かかっています。全体として12ヶ月程度で審査が終了することがグラフから分かります。
図1 【令和5年度最新版】出願日から、商標権が発生するまでの期間を示すグラフ
商標登録の期間は国際的にばらばらで、国によって相当違います。商標登録の手続きは国ごとに審査を受ける必要があり、商標権は権利の生じた国に限り有効になります。
条約により手続は統一されてはいますが、審査も権利も国ごとに別々です。
なお、審査に合格可能か否かは、商標登録の審査の期間とは連動していないです。同一の内容の商標登録出願が特許庁に複数出されると、願書を早く特許庁に受理された者が勝ちます。
もちろん早い者が勝つ制度といっても、願書の作成方法にミスがあったり、提出書類のページに抜けがあったり、類似する他人の出願を見落としたりすると、最初から手続をやり直すはめになったり、審査に合格できなかったりして、却って時間を浪費してライバルよりも出遅れてしまいます。このため後で困らない願書を作成することが重要です。
さらに商標登録の際にいずれの区分を選ぶのかについても、経験が少なくて知らないと区分の選択漏れが生じます。
急がば回れ、で特許庁に願書を出す前に、商標専門の経験豊富な弁理士のいる特許事務所に詳細な調査を依頼して、作成した書面の内容に不備がないか、要件を満たしているかチェックして解説してもらえば安心です。
調査の結果、第三者の権利取得情報の概要が入手できますので、どのような条件なら審査を突破できそうかについての情報も簡単に得られます。
特にこちらに関連がある他人の商標権があるかどうかの調査はプロに検討してもらうのがよいです。
自由に特許事務所を選んでチェックを依頼できますが、あなたのライバルが先に依頼した特許事務所はあなたの業務を請けられないことになっています。
ファーイースト国際特許事務所では、知財専門の弁理士・弁護士が直担当となる無料の商標の検索調査を実施しています。無料ですので安心してお気軽に申し込みください。
調査結果は書面にて提供します。調査報告書を見て疑問点が生じたときも無料でお客様に説明します。都合のよいときに電話で調査報告書の分からない点をお問い合わせください。
特許庁における商標登録出願の審査の流れ
(1)特許庁での商標登録出願の願書の受理
特許庁で願書が受理されると、特許庁の方式審査課で、出願書類が受理される程度に整っているかどうかがチェックされます。
商標法で規定された願書の記載内容の中に手続きミス等の形式的な不備があると、期間を指定して補正命令があります。補正のための期間は通常は30日になります。この期間内に特許庁の指示通りに補正しないと出願が却下されてしまいます。
商標法は細かいところも含めると、毎年といってよいほど頻繁に改正があります。手続の際には古い情報で願書を作成しないようにします。
願書の記載内容のうち、実質的な記載内容とは権利の内容そのもののことをいい、願書の商標の記載や、指定商品・指定役務の区分の分類記載が実質的な記載内容です。これに対して、形式的な記載内容とは、実質的な記載事項以外の事項のことを意味し、具体的には住所、氏名等の記載のことをいいます。
出願受理の段階では、実質的な記載内容についてはチェックはなされず、形式的な記載内容のみがチェックされます。チェック対象の出願に問題がなければ審査待ちのレーンに出願書類が電子データの形でセットされます。
なお、技術を扱う特許出願のケースでは特許庁に審査請求をしなければ審査が始まらないですが、ブランドを扱う商標出願のケースは特許庁に特段請求は要求されず自動的に審査が始まります。
(2)特許庁における審査待ちの期間
特許庁には、一年間に10万件以上の商標登録出願がされ、出願された商標登録出願全件について、東京都千代田区の虎ノ門にある特許庁一箇所で全件を審査します。このためどうしても商標登録の期間に一定の時間が必要です。
日本の特許庁には毎日400件前後の商標登録出願の願書が届きます。
特許庁での商標登録までの審査期間は、申請済みの商標を審査に通過させるかどうかを審査官が悩んでいる期間ではありません。
願書の最初の方式審査が終了した後は、特許庁の方式審査課の担当官はもちろんのこと、どの特許庁商標課の審査官も出願内容をチェックしないです。各審査官は現在どどういった商標登録出願があるのか、全く把握していないです。
ひたすら、自分の机に回ってきた出願内容をただただ毎日チェックしているだけです。
各商標の特許庁審査官の机の上には未決案件が山のように積まれていて、毎日それらの処理に追いまくられているのが実情です。
商標審査官は毎日機関銃のように商標登録出願の願書の処理を続けてはいるのですが、今日出願した願書が特許庁の商標審査官の机に届くのが、約11ヶ月先なのです。
商標登録の審査期間の約11ヶ月は、実際は順番待ちの時間です。審査官の机に願書が到達して審査に着手するまでの時間が約11ヶ月です。
それまでに、商標審査官は先に申請のあった願書を審査する必要があり、その処理に忙殺されます。
(3)商標の種類による商標登録の期間の違い
文字商標の名称だけか、とか、マークのあるロゴ商標であるとか、図形商標とかの違いがあっても審査期間に大した相違はないです。ただし、音商標、色彩のみの商標等、新しいタイプの商標については、商標登録の期間は一年以上かかっています。
(4)個人か会社かによる商標登録の期間の違い
個人の出願でも会社等の法人の出願でも、審査期間にほとんど違いはありません。個人だからといって法人に比べて商標登録の期間が長くなることはないです。
(5)他人と比べて商標登録の期間が遅いときはどうすればよいか
同時期に申請した他人の出願の処理が済んでいるのに、自分の出願の結果が返ってこないケースでは、特許庁に審査伺いを出して状況を問い合わせることができます。
回答書により、審査状況を把握することができます。
(6)特許庁からの審査結果の通知
出願してから約11ヶ月ほどで特許庁から審査結果が返ってきます。早い場合には6ヶ月程度で審査結果が返ってくることもあります。
審査を通過すれば「登録査定」との合格通知がきます。
審査に合格できない理由がある場合には、「拒絶理由通知」が届き、指定期間内なら反論の機会があります。拒絶理由通知に応答できる期間は、通常は40日間です。
拒絶理由通知を受け取った時点で、その出願内容により審査を突破できるか、あるいは突破できないかがほぼ分かります。
審査対応費用は事前に出願前に提示した見積の範囲内で対応します。
ただし、やみくもに審査官に反論するのは得策ではなく、審査官の意見を全て受け入れて、内容を改善した出願を新たにやり直す方が、急がば回れで、トータルのコストが安くなる場合もあります。
審査を突破できそうであれば突破を試みますし、それが無理筋であれば別の作戦を探ります。どのように審査官に対応するかは審査官の指摘を十分解析した後に、あなたに説明して相談しながら最初に提示した見積書の範囲内で進めます。
(7)拒絶理由通知があったら意見書・補正書により反論
意見書・補正書を提出して、審査官の拒絶理由通知に反論した場合、1ヶ月前後で最終結果が返ってきます。
ただし審査官の手持ち材料の混み具合によっては半年程度待たされる場合もあります。
審査官に反論することにより、だいたいの拒絶の理由を解消させても、一部でもクリアできていない不合格理由が残っていると拒絶査定になります。審査官による不合格の指摘に反論だけしても足りず、お客さまに来る通知の全ての項目に十分に答えたかどうかを見直します。
(8)登録査定の通知
無事審査を突破したなら特許庁より登録査定の通知があります。
登録査定の通知は、大学の入学試験になぞらえると合格通知に対応します。
ただし、大学入試の場合と同じで、合格通知を受領しただけでは大学に入学することができません。
定められた期間内に入学手続と入学金の支払いを済ませる必要があります。
商標登録の手続も全く同様になります。登録手続と登録費用の支払いを特許庁から指定のあった30日の期間内に全て完了させる必要があります。この手続の進行にご協力をお願いいたします。
なお、住所変更や権利者の変更手続がある場合には、審査合格後より登録手続前の間に行うのをお勧めします。
審査に合格できないと、手続費用がかかる一方、逆に商標権発生後では手続費用が高くなります。
(9)商標権の発生
特許庁への登録手続が済み、特許庁の設定登録があって商標権が生じます。登録手続から約30日程度で登録証が届きます。これをお客様にお届けして、一連の流れが完結します。
特許庁の指定した期間内に料金を納付しないと権利が消滅しますので、期間内に手続を終えます。
商標権が得られると、権利を侵害した相手に警告、差止請求、損害賠償請求等ができます。商標権があれば、自社のブランドを強力に保護可能です。
加えて他人へ登録商標の使用を許諾してライセンス料が得られ、商標権を売却して収益が得られます。
日本国の場合は商標権を得る際の期間は上記の通りになります。海外で商標権を得る際は国それぞれに審査してもらわなくてはならず、商標登録までの期間も国毎で同一ではないです。
海外へ商標登録をする際は商標の国際条約の、マドプロと呼ばれるマドリッドプロトコルがお勧めです。
マドプロなら日本国の特許庁から商標の国際機関である国際事務局へ出願可能で、それぞれの国で生じた商標権の一括管理が可能です。ただし、日本国の商標権がなくなれば、国際商標登録の権利もなくなることから、まずはしっかり日本で権利を取ることが先決です。
早期審査制度を活用したときの期間
特許庁では商標登録の期間を短縮できる早期審査制度があります。
早期審査制度の活用により、通常11ヶ月程度必要となる審査期間が2ヶ月前後に短縮可能で、相当早くなります。
審査を早くしてもらいたいのは誰でも同じですから、早期審査には優先して処理するための一定の要件を満たすことが要求されます。
ただし迅速に処理が進む早期審査制度には商標登録までの期間が大幅に短縮され、スピードのある審査を利用できるメリットがある反面、権利範囲が、使用準備の進んでいることを証明できる範囲に限定されるデメリットがあります。デメリットも大きいため、
スピード審査を受けるためには「これくらい商品販売の準備が整っていますので早く審査をお願いします」と、特許庁に説明します。特許庁が納得できる程度に販売準備が進んでいない商品・役務は権利範囲からの削除を求められます。また特許事務所の手数料もかかります。
早期審査のメリット・デメリットはこちらにまとめておきましたので、参考にしてください。
競合する内容の出願が併存する場合、商標登録の審査に合格できるかどうかは審査期間には依存しません。先に出願を終えたかどうかだけで決定されます。
早期審査を特許庁に請求した場合、審査期間が短縮されるだけで、審査に合格しやすくなるわけではありません。この点は誤解なきようお願いいたします。
商標登録の異議申立期間
特許庁の審査を突破し、登録についての手続を終え、商標権が生じると、商標公報の発行日を起算日として2ヶ月間は、異議申立できます。
特許庁による商標登録に対し、誰でも「ちょっと待った」が可能です。
第三者による異議申立があった場合、審査官がした審査合格の判断が正しかったかどうかが審理されます。審理期間は現時点では1年以内です。
この手続は東京地裁の第一審手続に該当し、審理により、商標登録の取り消しもあり得ます。
商標登録が取り消されれば、商標権は初めのなかった状態に戻ります。
商標権の存続期間の満了について
商標権は、登録日より10年以内の期間に更新があると、商標権の期間をさらに伸ばせます。この手続を繰り返すことにより、理論的には永続的に商標権を保持可能です。
権利期間を過ぎても直ぐに権利は失効しませんが、納付期限を超えたなら特許庁に追加の費用(通常料金の倍額)が求められます。
特許権は出願日を起点として20年を過ぎればなくなり、意匠権は登録日を起点として20年が過ぎればなくなりますが、商標権は更新の手続を忘れないなら永久に存在します。知財の権利で永久に権利を独占できるのは商標権だけです。
商標権の存続期間は、「登録日」を起点として10年単位です。
一方、登録料を5年分に分けて収めると、登録日より5年が過ぎる前に残りの5年分を収めます。この登録料納付を忘れると、商標権がなくなるのです。
上記の更新手続は商標権を失効させる原因のため重要です。商標権の更新の管理は、特許庁は特段なにもしません。
また10年分の登録料を納付したなら、登録日より10年を過ぎる手前で次の10年分(5年分に分けて収める選択もあります)の登録料を収めます。
登録日は、お送りする登録証に表示があることから確認できます。商標権が複数存在すると、商標権一つ一つは登録日が違うので更新時期が異なります。
ファーイースト国際特許事務所では、申し込みをしてファーイースト国際特許事務所を代理人に選任し出願して登録された案件について、次の更新期間の連絡をするサービスを実施しています。
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