商標登録出願の審査についての日々の経験から感じることを今日は書いてみます。
今回も、我々の手には特許庁からの商標登録証が届きました。これらの証書を手にする瞬間は、いつもうれしくなります。お客様の喜ぶ顔を想像するだけで、この仕事をしていて良かったと思います。
特許庁では、年間に10万件を超える商標登録出願が審査されています。
私たちファーイースト国際特許事務所も、年間数百件の出願を扱っておりますが、特許庁の審査基準は一貫していて、その判断には安定感があります。
もちろん、審査過程で稀に見受けられる明らかな誤りもありますが、それはほんの一握りです。
しかし、過去の事例に照らし合わせてみると、審査がより厳格になっているケースも散見されます。
私どものように20年程商標登録出願の手続きを特許庁に対して日常的に行っていると、商標登録出願の審査の流れを大きく掴むことができます。そのため、特許庁の審査官がどのようなポイントを重視するかが、出願する側にとっても予測可能になります。
審査を受ける側は、出願した商標の登録可能性をパーセンテージで議論することもあるでしょう。
しかし、審査官の判断は、登録か拒絶かの二者択一です。白か黒かの一つです。
審査官は、各事例に対して厳格な基準を適用します。そのため、出願人の個別の状況に基づく配慮は少ないのが現状です。
商標出願の審査の過程で拒絶査定を受けた場合でも、それで全てが終わりではありません。
拒絶査定不服審判を申し立て、結果を覆すことも可能です。
審判では、より広範な事情が考慮され、時には審査基準の見直しにつながることもあります。
このように、審査官の最終判断であきらめてしまうのではなく、自身の主張に正当性があると信じるならば、それを積極的に訴えることもできます。
このような努力が、最終的には審査の流れそのものを変えていく力となるのです。
ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247