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商標の区分とは何か?

商標の区分というのは、ずばり、特許庁における商標登録の課金単位です。

商標権は商標単独に権利が設定されるのではなく、商標を何に使うかの範囲を指定して権利が設定されます。

この具体的な権利範囲を定めるものが指定商品・指定役務です。

これらの指定商品・指定役務の入る分類が商標の区分です。

それぞれの区分は、権利を申請する商標に使用される商品やサービスが属する範囲を指定するための受け皿で、商標法により第1類から第45類までの全45区分が設定されています。

文字通り課金単位なので、商標登録の申請の際の区分総数が増えると費用が区分数にほぼ比例して増大します。

商標を使用する全商品及びサービスは、必ずこれらの区分のいずれかに属することになります。具体的には、商品は第1類から第34類まで、サービス(役務)は第35類から第45類までの区分があります。

例として、もし「銀河」という商標をせっけんに使用する場合、出願時には「第3類のせっけんの商品」であることを申請書に記述します。

この場合は「第3類」が区分を示し、「せっけん」が指定商品に該当します。

また、「銀河」を英会話教室の名称として使用する場合には、「第41類の教育及び教授のサービス」であることを申請書に明記します。

この場合は「第41類」が区分を示し、「教育及び教授のサービス」が指定役務に該当します。

申請内容が不明瞭だと、審査過程で審査官によって拒否されるリスクが高まるため、申請前には内容を詳細に検討し、明確に記述する必要があります。

商標法の規定に従って権利範囲を定める指定商品・指定役務と共に、これらの指定商品・指定役務が入る区分に生理して願書を作成します。

恐ろしいことに、一度願書を提出すると、区分を追加したり、願書に記載していなかった指定商品・指定役務を追加したりすることは、特許庁では一切認めていません。

商標登録の審査は、いわば試験なので、一度提出した答案の書き換えは認めない、ということです。

後で追加訂正ができないため、事前の申請準備は、商標登録をスムーズに進めるために不可欠です。

商標の区分の具体例は何を見ると分かるか?

商標区分の内容は特許庁のホームページに詳細に記載されています。下記に情報を記載しますので参考にしてください。

今般、省令別表の改正(商標法施行規則の一部を改正する省令(令和5年12月8日経済産業省令第54号))が行われました。この改正に対応した改訂を、また商取引の実情の変化等に対応すべく、一部の商品及び役務について表示の明確化等を行うと共に、国際分類表に掲載の商品又は役務を参考表示として原則掲載する「類似基準」の改訂を行いましたので、公表いたします。 特許庁ホームページに記載された商標の区分:”類似商品・役務審査基準〔国際分類第12-2024版対応〕

商標の区分は頻繁に改訂されますので、特許庁に申請する際に最新版で商標の商品・役務内容をチェックしておくことが大切です。

実務で良く使う商標区分の一覧表

実務で使う商標区分の一覧表は下記にまとめましたので参考にしてください。

1)商標区分の一覧表

実務でよく使う商標区分の一覧表:リンクはこちらから=> 商標登録の区分

2)実務でよく使う区分の抜粋まとめ

実務でよく使うのは、商品関連の区分では、化粧品等の第3類、医薬品・サプリメント等の第5類、電子機器関連の第9類、自動車関連の第12類、アクセサリー等の第14類、書籍・文房具等の第16類、かばん等の第18類、被服等の第25類、おもちゃ・運動具等の第28類、食品関連の第29〜33類です。

また役務関連の区分では、企業コンサルティングや広告等の第35類、金融関係の第36類、建築関係の第37類、通信インフラ関係の第38類、旅行関係の第39類、教育やイベント関係の第41類、IT関連の第42類、宿泊・飲食業関連の第43類、美容・医療関連の第44類、冠婚葬祭関連の第45類等です。

商標区分は多く申請する方が得か

商標登録を申請する際には、登録を希望する商標の区分を願書に記載します。区分の数を多くすることは、商標権によって守られる範囲を広げることにつながり、結果として権利を強化するメリットがあります。

しかし、区分の数が多いほど、区分そのものが課金単位になっている関係上、特許庁への印紙代が増加するというデメリットもあります。

つまり、申請する区分の数を増やすほど、支払う総額も増えるわけです。

そのため、申請する際には「必要かつ十分な範囲」での区分選択が重要となります。特許庁に対しては、区分ごとに個別に申請することも、複数の区分を一つの申請にまとめて提出することも可能です。

複数の区分を一括して申請する場合、管理がしやすいというメリットがあります。しかし、一つでも審査を通過できない区分があると、出願全体が拒絶されるリスクがあります。

例えば、「化粧品」の商品を示す第3類と、「美容」のサービスを示す第44類を一つの申請書で済ますことができます。しかし、一方が問題なくても他方に問題があれば、両方とも拒絶される可能性があります。

逆に、複数の区分を個別に申請する場合、それぞれにかかる費用が多くなり、総費用が高くなるデメリットがあります。

したがって、商標登録の戦略を練る際には、これらの点を慎重に考慮することが求められます。

一つの商標区分に入れることのできる商品・役務の制限

商標登録において、一つの区分に指定できる商品や役務の数には実際には制限があります。

特許庁への印紙代は区分ごとに一律ですので、一見すると一区分に多くの商品や役務を含めた方が経済的に見えます。しかし、このアプローチにはいくつか注意点があります。

1)一つの区分にてんこ盛りにすると審査官から指導が入ります

まず、商品や役務をあまりにも多く一つの区分に含めると、特許庁の審査官から「実際にこれら全てを使用予定ですか?」と問われる場合があります。

そして、実際に使用する予定のない商品や役務については、審査官が認めるまで削減するよう指導を受けます。これは、過度に広範な権利範囲を申請することの抑制を意図しています。

審査官から指導を受けた場合、実際に使用する意思がある場合には、その旨を意見書で説明すると共に、使用の意思を示す一連の書面を提出することにより、審査に合格することができます。

2)一つの区分にてんこ盛りにすると他の商標権と権利が抵触しやすくなります

必要最小限の商品や役務だけで申請していれば問題なく通過するかもしれませんが、余計なものまで含めることで、不必要にリスクを高めることになります。

しかし、反面、提出した願書に記載されている商品や役務の範囲を後から拡大することは特許庁では認められていません。

もしうっかり権利申請漏れがあると、申請漏れのあった商品役務だけを、同じ料金を払って権利を再取得しなければならず、悲惨な結果になります。

そのため、最初の申請段階で少し広めに範囲を設定しておくことが、将来的に不要な再申請や追加費用を防ぐためには賢明な戦略と言えるでしょう。

このように、商標登録においては、適切な商品や役務の範囲を見極め、必要かつ十分な範囲内で権利を確保することが重要です。

過剰に広げることのデメリットと、適切な範囲での申請のバランスを見極めることが求められます。

ファーイースト国際特許事務所

平野泰弘所長弁理士