商標登録代行のメリット・デメリット

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(1)商標登録の代行とは?

一般の方が使う「代行」の意味

自分以外の第3者に、商標登録の手続きを広くお願いする場合を指しています。

法律上の「代行」の意味

類作成のみ第3者が行い、特許庁への申請は権利者本人が行う場合を「代行」と言います。

書類作成に留まらず特許庁へ申請まで、本人に成り代わって第3者が行う場合は「代理」と言います。

なぜこのように言葉が分かれるかと言えば、代行は専門家以外が行う場合がありますが、代理ができるのは弁理士に、法律上で制限されているからです。

このページでは一般の方に合わせ、代行とは商標登録の手続きを申請まで含めて、第3者に委託する場合としてご説明します。

(2)なぜ弁理士のみが代理を許可されているのか?

法律上の制限がなければ、弁理士以外の、行政書士さんや司法書士さんも、特許庁に申請・交渉できるようになります。自由競争が広がり、依頼費も下がりますから、本来はそうあるべきです。

それではなぜ、法律は弁理士に制限しているのでしょうか?

制限が設けられている理由は、商標申請者の保護にあります。専門知識がなければ、特許庁の審査官に対して適切な反論を行うことができません。商標の世界は複雑であり、詳細な事前調査と審査官を納得させる能力が必要です。

申請された商標が許可されれば、何の問題もありませんが、審査官がNOの判断をした時に、専門知識を持たない人では反論が出来ません。日本の商標登録数は10年前は年間10万件程度でしたが、2022年では年間18万件以上も登録されています。

専門知識のない方が申請した場合、既存の商標とバッティングする可能性が高いです。ですので十分な事前調査を行うことで、特許庁の審査官が許可するような商標を選定し、仮にNOの判断が出ても反論し、審査官を説得できる専門性が必要になるわけです。

このように商標登録を代行するメリットは、一言で言えば、高い専門性を持つ人にお願いすることで、商標を確実に取得できる点にあります。

それではこの高い専門性とは、どのような点を言うのでしょうか? 代行のメリットとして、7つほど説明します。

商標登録代行のメリット

代行のメリット1. 適切な商標選択: 商標として認められるかの判断を専門家が行います

一般に広く使われている名詞は、商標として認められません。例えば「タクシー」です。運送業の方が「タクシー」で申請しても審査には合格しません。

ところがファッション関係の方なら「タクシー」は認められる可能性があります。このように、どこまでなら商標として認められるか、微妙な領域を判断した上で申請してくれるのが、代行の大きなメリットです。

メリット2. 類似商標の回避: 類似商標とのトラブルを避けるための正確な判断を提供します

「スターワーズ」という言葉を商標申請しようとした場合、「スターウォーズ」との類似性が問題になります。商標における類似性を、どのように見るべきか、正確な判断を下すことが出来ます。

メリット3. 商標の効力最大化: 申請方法により商標の保護範囲が変わるため、専門家は最適な方法を選定します

申請の仕方によって、商標の効力は異なります。仮に「飲食店」のビジネス区分で商標を取得しても、「持ち帰り」のビジネス区分に申請しなければ、「持ち帰り」ビジネスで商標は効力を持ちません。

専門家に依頼することで、ビジネスの実情に応じた商標を取得することができます。

メリット4. 審査速度の向上: 早期審査制度の利用可能性を判断します

通常の場合、商標の審査には6か月ほどかかりますが、早期審査が認められると審査期間は2か月ほどになります。このように早期審査制度は、非常に魅力があるのですが、全ての方に早期審査が認められるわけではありません。

専門家に代行することで、早期審査が使えるかどうか、適切に判断することができます。

メリット5. 請書類の正確な作成: 出願書類の適切な準備をサポートします

出願書類の作成は、やり方さえ分かれば、誰でも行うことが出来ます。ただ半角文字は禁止で英数字も全て全角にする、余計な項目は書き込まない等、細かいルールもあります。

間違った形で申請すると再度申請し直すため、手間もかかります。この意味で専門家に代行させた方が、楽といえるでしょう。

メリット6. 拒絶理由への反論: 拒絶された場合の適切な反論を行います

特許庁の審査官が拒絶した場合、反論をすることが出来ます。商標は非常に多くの出願があるため、判断がグレーゾーンに入ることも多いです。仮に審査官が拒絶をしても、適切な反論をすることで、商標を認めてもらうことが出来ます。

メリット7. 他者からの異議申し立て時の対処異議申し立てへの対処: 商標権を守るための戦略を提供します

商標を取得しても、その後他者から異議の申し立てを受ける場合があります。その商標は、当社商標と類似するので、認められないという異議です。このような場合でも、専門家に代行させていれば、正しく反論し、商標を守ることができます。

以上7つほど、メリットを説明しましたが、もちろん代行することでのデメリットもあります。3つほど、ご説明しましょう。

商標登録代行のデメリット

デメリット1. 費用: 専門家への手数料が発生します

代行してもらうのであれば、まず手数料がかかります。手数料については、特に基準がないため、各弁理士によって費用はかなり差があります。

デメリット2. 専門分野が不明: 弁理士によって得意分野が異なります

弁理士も、それぞれ得意な分野があります。商標ではなく特許に強い弁理士もいれば、個人客の多い弁理士、法人相手の弁理士など、まちまちです。地元の弁理士だからといって、商標を得意とするわけではありません。

また商標分野でみても、飲食店に強い弁理士もいれば、化粧品に強い弁理士もいます。それぞれ得意分野を持っているので、どの分野に強いのか、特に実績をホームページで確認するのが、良いと思います。

デメリット3. 登録の保証なし: 最終的には特許庁の判断によります

商標が認められるかどうかは、最終的には特許庁の判断です。専門家に代行してもらったからと言って、100%登録されるとは限りません。制度上いかんともしがたい部分ですが、1つのデメリットになるかも知れません。

(3)商標登録の代行費用

商標登録の代行費用については、特許庁に支払う印紙代についてはどの特許事務所でも同じです。それ以外の特許事務所手数料は、特許事務所ごとに異なります。

(4)まとめ

以上、商標登録を代行してもらうメリットを7つ、デメリットを3つご説明しました。

商標登録の代行を例えて言えば、山岳ガイドをつけるようなものだと、思ってください。山岳ガイドさんは、山の癖や難所を知っています。だから危機が起きても、適切に対応することが出来ます。

商標登録を専門家に依頼することは、複雑なプロセスをスムーズに進めるための有効な手段です。しかし、その選択をする際には、費用や専門家の選定に注意が必要です。適切なガイドとして、商標登録の道を進むことができれば、より安全かつ確実に権利を保護することが可能になります。

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247

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