商標権の侵害訴訟に要する費用について教えてください

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1. はじめに

商標は企業の顔とも言える大切な財産です。その権利が侵害された場合、最終的な解決手段として民事訴訟という選択肢があります。

しかし、「訴訟」と聞くと、多くの経営者は「費用がかかりすぎるのでは?」と躊躇してしまうことでしょう。本日は、実際に商標権侵害訴訟を提起する際に必要となる費用について、専門家の視点から詳しく解説します。

かつては弁護士報酬に公的な基準が存在していましたが、現在はそれぞれの事務所が独自の基準で報酬を設定しています。

そのため、「訴訟にいくらかかるのか」という質問に一律の回答をすることは難しくなっています。しかし、費用の種類や算定方法を理解しておくことで、訴訟を検討する際の判断材料となるでしょう。

2. 費用の内訳

(1)民事訴訟法上の訴訟費用

ア 民事訴訟法上の訴訟費用の内容

商標権侵害訴訟を提起する場合、弁護士や弁理士などの専門家に支払う報酬とは別に、裁判所に納める「訴訟費用」があります。

これは、たとえ権利者本人が訴訟を進める場合でも必ず必要となる費用です。経済的に困難な状況にある場合には訴訟救助制度の利用も考えられますが、商標権侵害訴訟ではあまり想定されないケースでしょう。

訴訟費用については「敗訴者負担の原則」が適用されるため、訴訟に勝訴すれば理論上はこれらの費用負担を最終的に免れることができます。

しかし、実際には相手方から回収できないリスクも存在するため、訴訟開始時点では自己負担の覚悟が必要です。

イ 訴訟費用の例

訴訟費用には主に、申立ての手数料(印紙代)、送達費用、証人の旅費などが含まれます。特に申立ての手数料は訴訟の目的の価額によって決まり、商標権侵害訴訟では差止請求と損害賠償請求を合わせて請求することが一般的です。

差止請求の価額については、商標権の価値を正確に把握することが難しいため、裁判所が定めた算定式に基づいて計算します。

一方、損害賠償請求の価額はその請求額そのものとなります。これらを合算した額に基づいて手数料が決定されるため、請求額が大きくなるほど納付する印紙代も高額になります。

また、一審で終わらず控訴や上告になった場合は、その都度手数料が発生することにも注意が必要です。

(2)専門家の費用

ア 専門家の費用の内容

商標権侵害訴訟のような専門性の高い訴訟では、弁護士や弁理士などの専門家に依頼するのが一般的です。

これらの専門家の費用は各事務所の考え方によって異なります。また、訴訟が第一審だけで終わらず、控訴審や上告審まで進む場合には、審級ごとに専門家の費用が発生するのが通常です。

さらに、緊急性が高い場合には訴訟前に仮処分の申立てを行うこともあり、また訴訟終了後に強制執行が必要となる場合もあります。これらの手続きにも別途費用が発生します。

重要なポイントとして、専門家の費用は「敗訴者負担の原則」の対象外であり、訴訟に勝訴したとしても原則として自己負担となります。

ただし、損害賠償請求を行う場合には、請求額の約10%程度を「弁護士費用相当損害額」として請求できる可能性があります。とはいえ、専門家に支払う実際の費用全額をカバーできるわけではありません。

また、知的財産権訴訟では証拠資料の準備にコピー代などの実費も相当額発生することを見込んでおく必要があります。

イ 専門家の費用の算定方法

専門家の費用の伝統的な算定方法は、「着手金・報酬金方式」です。着手金は依頼時に支払う前払い金で、訴訟の結果に関わらず発生します。

報酬金は訴訟の結果に応じて支払う成功報酬です。この方式では、訴訟の目的の価額(請求額)に応じて金額が決まることが一般的です。

しかし、商標権などの知的財産権訴訟では、争いの金銭的価値と事件の難易度が比例しないことが多いため、「着手金・報酬金方式」を採用しない事務所も少なくありません。代わりに、「タイムチャージ方式」を採用する事務所が増えています。

タイムチャージ方式では、弁護士や弁理士の1時間あたりの単価(一般的には2万円~5万円程度)に、実際に業務に要した時間を乗じて費用を算定します。この方式は業務量に応じた合理的な計算方法ですが、依頼者にとっては最終的な費用の見通しが立てにくいというデメリットがあります。

3. 弊所が採用する料金設計の基本方針

商標権侵害訴訟をご依頼いただく際、当事務所では「実際に行う手続ごとに対価をご負担いただく」というシンプルかつ透明性の高い方式を採用しています。

訴訟は、訴状の提出に始まり、第1回口頭弁論期日、複数回にわたる弁論準備期日、そして判決言渡しへと段階的に進みますが、その一つひとつの局面で発生する業務を区切って費用を算定するため、依頼者の皆さまにとって“どこで・いくら”が明確になるのが特徴です。

手続ごとに区切った費用構造

まず、訴状を裁判所に提出して最初の期日が指定されるまでの一連の作業を「訴え提起費用」としてまとめます。

続いて、第1回口頭弁論以降の各期日では、その都度「期日対応費用」を頂戴します。

さらに、主張整理のために提出する準備書面の作成には「書面作成費用」を別途計上し、証拠提出や反論の厚みが増すごとに発生する実務負担を適正に反映させています。

着手金方式でもタイムチャージ方式でもないメリット

係争利益の大小で初期費用が変動する着手金・成功報酬方式や、専門家の作業時間が見積もりづらいタイムチャージ方式と比べて、当事務所の設計は「訴訟の工程=費用単位」となるため、費用の総額を事前にイメージしやすい点が強みです。

たとえば、必要な期日が何回程度で、準備書面を何通提出しそうかが読めれば、大まかな総額を早い段階で把握できるので、不確定要素が多い商標訴訟でも資金計画が立てやすくなります。

事件ごとに最適な見積りを提示

もっとも、商標権侵害事件は訴え提起前から相手方との主張書面の応酬が続くのが通常で、争点の数や証拠の量によって作業量は大きく変わります。そこで当事務所では、依頼を受ける前に必ず案件の全体像をヒアリングし、相手方の反論内容や技術的・法的難易度を踏まえた上で個別にお見積書をお示しします。

訴訟途中で想定外の争点が増えたり、控訴審以降へ発展する場合には、都度ご相談のうえで追加見積りを行い、費用面でサプライズが起きない運用を徹底しています。

安心して闘えるパートナーシップを

ブランドを守る戦いは長期戦になることも珍しくありません。

だからこそ費用の透明性と納得感は、依頼者と専門家が二人三脚でゴールを目指すための土台になります。

訴訟の工程ごとに区切った当事務所の料金設計が、読者の皆さまにとっても「これなら戦える」と感じられる指針となれば幸いです。

ファーイースト国際特許事務所
弁護士・弁理士 都築 健太郎
03-6667-0247

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