商標の設定登録料や更新登録料を分割して納付する場合、後期分の料金が旧料金と新料金のどちらになるかは、前期分の納付日または納付期限によって決まります。
この記事では、令和4年(2022年)4月1日の料金改正に伴う分割納付の特別ルールについて解説します。
1. 分割納付の基本的な仕組み
商標権を維持するためには、設定登録料や更新登録料を特許庁に納付する必要があります。設定登録料とは商標登録時に最初に支払う10年分の費用であり、更新登録料とは登録から10年後に権利を延長するための費用です。
これらの費用は、10年分を一括で納付する方法と、5年分ずつ2回に分けて納付する方法があります。
分割納付を選択した場合、1回目の支払いが前期分(1年目から5年目まで)、2回目の支払いが後期分(6年目から10年目まで)となります。
分割納付は一括納付と比べて合計金額がやや高くなりますが、初期費用を抑えたい場合に活用されています。
2. 2022年4月1日の料金改正と特別ルール
令和4年(2022年)4月1日から、商標の登録料が改正されました。通常であれば、改正日以降に納付する費用には新料金が適用されます。しかし、分割納付については経過措置として特別なルールが設けられています。
この特別ルールでは、前期分の納付日または納付期限が2022年3月31日以前であれば、後期分についても旧料金が適用されます。
つまり、後期分を2022年4月1日以降に支払う場合でも、前期分の期限が改正前であれば旧料金のままで納付できるということです。
一方、前期分の納付期限が2022年4月1日以降の場合は、前期分・後期分ともに新料金が適用されます。
3. 設定登録料における具体的な適用
設定登録料を分割納付する場合、前期分の納付日または納付期限が2022年3月31日以前であれば、後期分も旧料金(1区分あたり16,400円)で納付できます。
たとえば、3区分の商標で前期分の納付期限が2022年3月20日だったとします。
この場合、後期分を2024年5月1日に支払う場合でも、3区分×16,400円という旧料金体系が適用されます。前期分の期限が改正前であったため、後期分の支払い時期にかかわらず旧料金が維持される仕組みです。
4. 更新登録料における具体的な適用
更新登録料についても同様のルールが適用されます。前期分の納付日または納付期限が2022年3月31日以前であれば、後期分も旧料金(1区分あたり22,600円)で納付できます。
逆に、2区分の商標で前期分の納付期限が2022年4月10日だった場合は、前期分・後期分ともに新料金が適用されます。前期分の期限が改正後であるため、後期分にも新料金が適用されるのです。
5. まとめ
商標登録料や更新登録料を分割して納付する際は、後期分の料金が前期分の納付日または納付期限によって決まることを覚えておいてください。
具体的には、前期分の期限が2022年3月31日以前であれば後期分も旧料金となり、2022年4月1日以降であれば前期・後期ともに新料金が適用されます。
分割納付を検討される際は、ご自身の商標の前期分納付期限がいつであったかを確認し、適用される料金体系を把握しておくことをお勧めします。
ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
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