FMのラジオ局であるJ-WAVEから出演依頼があり、6月24日の月曜日にJ-WAVEのある六本木ヒルズに行ってきました。
JAM THE WORLDのブレークスルーのコーナーで、野中ナビゲーターと共に職務発明について解説しました。
会社でした発明については、直接業務に関係する発明は職務発明として扱われます。職務発明については、特許を受ける権利は従業者側にあります。特許権を会社に譲渡した場合には、職務発明については従業者に対価を支払わなければならないことが特許法で決められています。
産業界では従業者側が特許を受けるのではなく、会社側が特許を受ける制度に改めて欲しい、という要望があります。この議論が現在活発になっています。
企業側としても莫大な開発費を負担していて、開発に失敗した場合には企業が費用面の負担をかぶり、開発に成功した場合には発明者に多額の対価を支払わなければなりませんでした。
また発明品が実際の市場に出るのは、発明の生みの親である発明者だけの努力ではなく、発明の育ての親である、工場、品質管理、物流、営業部門等の方々の貢献が遥かに大きいのが実情です。
サッカーでゴールを決めた選手だけが数億円ももらい、アシストした選手やゴールキーパーは一銭も貰えない制度では、多くの選手たちはやる気をなくします。
経営側としても、数億円を超えるかもしれない訴訟がいつ起こされるか分からない不透明な状況は改善したいと望んでいます。
これまでの歴史を振り返ってみると、20世紀のバブル崩壊前の終身雇用制度が維持されていた時代は、社員が会社を訴えるというシーンはあまり表に出ませんでした。
バブル崩壊とともに日本が低成長期に入って、会社と従業員との関係がよりドライになるに従って職務発明を巡る訴訟も増えてきたように私は感じます。
忘れて欲しくないのは、発明を行うのは機械でもモノでもなく人間です。人間の知的活動の成果が発明であるという点です。
会社が発明を行う従業者を大切にしなければ、発明自体が生まれてきません。
また従業員たちから発明が生まれる環境を整えなければ、やはり発明は生まれてきません。
特許権を従業者に取得させても、会社に取得させても、発明を生み出す従業員自身を会社が大切にしなければ、巡り巡って新製品が出なくなって損をするのは会社側になります。
資源のない日本は知恵を出して世界の中で生き残っていかなければなりません。
発明が生まれる環境の整備が、今問われています。
ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
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