改正商標審査基準

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改正商標審査基準

目 次

第1 第3条第1項(商標登録の要件)

  • 一 第3条第1項全体
  • 二 弟3条第1項柱書
  • 三 第3条第1項第1号(商品又は役務の普通名称)
  • 四 第3条第1項第2号(慣用商標)
  • 五 第3条第1項第3号(商品の産地、販売地、品質等の表示又は
  • 役務の提供の場所、質等の表示)
  • 六 第3条第1項第4号(ありふれた氏又は名称)
  • 七 第3条第1項第5号(極めて簡単で、かつ、ありふれた標章)
  • 八 第3条第1頃第6号(前号までのほか、識別力のないもの)

第2 第3条第2項(使用による識別性)

第3 第4条第1項及び第3項(不登録事由)

  • 一 第4条第1項第1号(国旗、菊花紋章等)
  • 二 第4条第1項第2号、第3号及び第5号(国の紋章、記章等)
  • 三 第4条第1項第4号(赤十字等の標章又は名称)
  • 四 第4条第1項第6号(国、地方公共団体等の著名な標章)
  • 五 第4条第1項第7号(公序良俗違反)
  • 六 第4条第1項第8号(他人の氏名又は名称等)
  • 七 第4条第1項第9号(博覧会の賞)
  • 八 第4条第1項第10号(他人の周知商標)
  • 九 第4条第1項第11号(先願に係る他人の登録商標)
  • 十 第4条第1項第12号(他人の登録防護標章)
  • 十一 第4条第1項第13号(商標権消滅後1年を経過していない他人の商標)
  • 十二 第4条第1項第14号(種苗法で登録された品種の名称)
  • 十三 第4条第1項第15号(商品又は役務の出所の混同)
  • 十四 第4条第1項第16号(商品の品質又は役務の質の誤認)
  • 十五 第4条第1項第17号(ぶどう酒又は蒸留酒の産地の表示)
  • 十六 第4条第1項第18号(商品又は商品の包装の機能を確保するために不可欠な立体的形状)
  • 十七 第4条第1項第19号(他人の周知商標と同一又は類似で不正の目的をもって使用をする商標)
  • 十八 第4条第3項(第4条第1項各号の判断時期)

第4 第5条(商標登録出願)

第5 第6条(一商標一出願)

第6 第7条(団体商標)

第7 第7条の2(地域団体商標)

  • 一 第7条の2第1項柱書
  • 二 第7条の2第1項第1号、第2号及び第3号(登録を受けられる商標)
  • 三 第7条の2第2項(地域の名称)

第8 第8条(先願)

第9 第10条(出願の分割)

第10 第15条の3(先願未登録商標)

第11 第16条(商標登録の査定)

第12 第16条の2及び第17条の2(補正の却下)

第13 第64条(防護標章登録の要件)

第14 第65条の2、3及び4(防護標章登録に基づく権利の存続期間の更新登録)

第15 第68条の9、10、11、12、13、15、16、17、18、20及び28(国際商標登録出願に係る特例)

第16 附則第2条、第3条、第4条、第6条、第11条、第12条及び第24条(書換)

第17 その他

第18 平成18年法律第55号附則第7条及び第8条(特例小売商標登録出願)

 

第1 第3条第1項(商標登録の要件)

 

一、第3条第1項全体

第3条 自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については 、次に掲げる商標を除き、商標登録を受けることができる。

  • その商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章 のみからなる商標
  • その商品又は役務について慣用されている商標
  • その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状 (包装の形状を含む。)、価格若しくは生産若しくは使用の方法若しくは 時期又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途 、数量、態様、価格若しくは提供の方法若しくは時期を普通に用いられ る方法で表示する標章のみからなる商標
  • ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみか らなる商標
  • 極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標
  • 六 前各号に掲げるもののほか、需要者が何人かの業務に係る商品又は役 務であることを認識することができない商標

1.第3条第1項の規定に該当するか否かの判断時期は、査定時とする。

2.第3条第1項各号に該当する文字に単に厚みをもたせたにすぎない立体的形状のみからなる立体商標は、原則として、第3条第1項の当該号の規定に該当するものとする。

二、第3条第1項柱書

第3条 自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については、次に掲げる商標を除き、商標登録を受けることができる。

1.「自己の業務に係る商品又は役務について使用」をしないことが明らかであるときは、原則として、第3条第1項柱書により登録を受けることができる商標に該当しないものとする。

(例)

  • 出願人の業務の範囲が法令上制限されているために、出願人が指定商品又は指定役務に係る業務を行わないことが明らかな場合
  • 指定商品又は指定役務に係る業務を行うことができる者が法令上制限されているため、出願人が指定商品又は指定役務に係る業務を行わないことが明らかな場合

2.願書に記載された指定商品又は指定役務が次の(1)又は(2)に該当するときは、原則として、商標の使用の前提となる指定商品又は指定役務に係る業務を出願人が行っているか又は行う予定があるかについて合理的疑義があるものとして、第3条第1項柱書により登録を受けることができる商標に該当しないものとする旨の拒絶理由の通知を行い、出願人の業務を通じて、商標の使用又は使用意思を確認するものとする。

ただし、出願当初から後記3.に基づく資料が提出され、商標の使用又は使用意思が確認できる場合を除く。

(1) 商標法第2条第2項に規定する役務(以下「小売等役務」という。)について

  • 「衣料品、飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下、「総合小売等役務」という。)に該当する役務を個人(自然人をいう。)が指定してきた場合。
  • 総合小売等役務に該当する役務を法人が指定してきた場合であって、「自己の業務に係る商品又は役務について使用」をするものであるか否かについて調査を行っても、出願人が総合小売等役務を行っているとは認められないとき。
  • 類似の関係にない複数の小売等役務を指定してきた場合。

(2) 商品・役務の全般について

1区分内での商品又は役務の指定が広範な範囲に及んでいるため、指定商品又は指定役務について商標の使用又は使用の意思があることに疑義がある場合。

3.上記2.による拒絶理由の通知をした場合、商標の使用又は使用意思の確認は、次のとおり行うものとする。

(1) 「自己の業務に係る商品又は役務について使用」をするものであることを明らかにするためには、少なくとも、類似群ごとに、指定商品又は指定役務に係る業務を出願人が行っているか又は行う予定があることを明らかにする必要があるものとする。

(2) 指定商品又は指定役務に係る業務を出願人が行っていることの証明は、例えば、次の証拠方法によるものとする。

  • 印刷物(新聞、雑誌、カタログ、ちらし等)
  • 店舗及び店内の写真
  • 取引書類(注文伝票、納品書、請求書、領収書等)
  • 公的機関等(国、地方公共団体、在日外国大使館、商工会議所等)の証明書
  • 同業者、取引先、需要者等の証明書
  • インターネット等の記事
  • 小売等役務に係る商品の売上高が判る資料等

(3) 小売等役務に係る業務を行っていることの証明は、次によることとする。

総合小売等役務に属する小売等役務については、例えば、次の資料によって総合的に証明される。

  • 小売業又は卸売業を行っていること。
  • その小売等役務の取扱商品の品目が、衣料品、飲食料品及び生活用品の各範疇にわたる商品を一括して1事業所で扱っていること。
  • 衣料品、飲食料品及び生活用品の各範疇のいずれもが総売上高の10%~70%程度の範囲内であること。

総合小売等役務以外の小売等役務については、例えば、次の資料によって総合的に証明される。

  • 小売業又は卸売業を行っていること。
  • その小売業又は卸売業が小売等役務に係る取扱商品を取り扱うものであること。

(4) 指定商品又は指定役務に係る業務を出願人が行う予定があることの証明については、概ね出願後3~4年以内(登録後3年に相当する時期まで)に商標の使用を開始する意思を示す必要があるものとし、そのために商標の使用の意思を明記した文書、及びその準備状況を示す書類(事業計画書)の提出を求める。

前者については、

  • (1)出願に係る商標を使用する意図
  • (2)指定商品の生産、譲渡(販売を含む)のいずれの事業を具体的に行うのか(指定役務の場合はその提供の計画)
  • (3)商標の使用の開始時期

を明記し、出願人が記名及び押印(法人の場合は、少なくとも当該事業の担当責任者の記名及び押印)したものとする。

後者については、使用開始に至るまでの具体的な事業の準備状況や計画(商品又は役務の企画の決定、工場や店舗の建設等)を記載したものとする。

なお、商標の使用意思が明確でない場合や当該事業計画に疑義がある場合には、必要に応じその事業の実施や計画を裏付ける書類の提出を求めることとする。

(注)上記2.及び3.の基準は、平成19年4月1日以降にされた商標登録出願より施行するものとする。

4.国際商標登録出願において、国際登録に係る商標が第2条第1項に規定する商標に該当しないことが明らかなときは、第3条第1項柱書により登録を受けることができる商標に該当しないものとする。

(例)

  • Sound mark(音響商標)
  • Olfactory mark(匂い商標)
  • Color mark(色彩のみからなる商標)

※色彩のみであって、文字、図形、記号又は立体的形状と結合していないもの

5.団体商標の商標登録出願については、当該団体及びその構成員の双方が使用をしないものばかりでなく、当該団体が指定商品又は指定役務について使用するのみで、その構成員が使用をするものでないときも、第3条第1項柱書 (第7条第2項の規定により読み替えて適用)により登録を受けることができる商標に該当しないものとする。

6.「団体商標」に相当する商標である旨の記載がなされた国際商標登録出願において、第7条第3項に規定する証明書(第7条第1項の法人であることを証する書面)の提出がされないときは、第3条第1項柱書の規定により商標登録を受けることができる商標に該当しないものとする。

なお、団体商標の商標登録出願(国内出願)については、補正指令(方式)の対象となる。

7.立体商標である旨の記載があっても、願書中の商標登録を受けようとする商標を記載する欄(以下「商標記載欄」という。)への記載が立体商標としての商標の構成及び態様を特定し得るものと認められないときは、第3条第1項柱書の規定により商標登録を受けることができる商標に該当しないものとする。

また、国際商標登録出願についても、同様に取り扱うものとする。

(1) 立体商標の構成及び態様を特定し得るものと認められる例

(2) 立体商標の構成及び態様を特定するものとは認められない例

  • 商標記載欄に三次元の物の外観としての立体的形状が記載されていない場合

(注)立体的形状としての厚み等の三次元の物の外観としての形状が表示されておらず、立体商標として認識することができない。

  • 商標記載欄に立体的形状と平面標章が分離した構成及び態様をもって記載されている場合

(注)平面標章が立体的形状に係る物の表面に貼り付けられたような構成及び態様でなく、分離した構成及び態様であるため、全体としては、三次元の物の外観としての形状が表示されているとはいえず、立体商標として認識することができない。

  • 商標記載欄に複数の図が記載されているが、各図の示す標章が合致しない場合

(注)各図が表す立体的形状、図形、文字、色彩の付し方等の標章が合致していない。

三、第3条第1項第1号(商品又は役務の普通名称)

その商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標

1.本号でいう「普通名称」とは、その名称が特定の業務を営む者から流出した商品又は特定の業務を営む者から提供された役務を指称するのではなく、取引界において、その商品又は役務の一般的な名称であると認識されるに至っているものをいう。

(例)

  • 商品「時計」について、「時計」の商標
  • 役務「美容」について、「美容」の商標

2.商品又は役務の普通名称には、原則として、その商品又は役務の略称、俗称等も含まれるものとする。

(例)

  • 略称・・・・「アルミ」(アルミニウム)
  • 「パソコン」(パーソナルコンピュータ)
  • 「損保」(損害保険の引受け)
  • 「空輸」(航空機による輸送)
  • 俗称・・・・「波の花」(塩)
  • 「おてもと」(箸)
  • 「一六銀行」(質屋による資金の貸付け)
  • 「呼屋」(演芸の興行の企画又は運営)

3.「普通に用いられる方法で表示する標章」には、その書体や全体の構成等が特殊な態様のものは、該当しない。

ただし、この場合については、当該商品又は当該役務の取引の実情を十分に考慮するものとする。

4.商品又は役務の普通名称をローマ字又は仮名文字で表示するものは、「普通に用いられる方法で表示する」ものに該当するものとする。

四、第3条第1項第2号(慣用商標)

その商品又は役務について慣用されている商標

1.本号の「慣用されている商標」とは、同種類の商品又は役務について同業者間において普通に使用されるに至った結果、自己の商品又は役務と他人の商品又は役務とを識別することができなくなった商標をいい、例えば、次のようなものが該当する。

(例)

  • 「正宗」(清酒)
  • 「羽二重餅」(餅菓子)
  • 「オランダ船」の図形(カステラ)
  • 「かきやま」(あられ)
  • 「観光ホテル」(宿泊施設の提供)
  • 「プレイガイド」(興行場の座席の手配)

五、第3条第1項第3号(商品の産地、販売地、品質等の表示又は役務の提供の場所、質等の表示)

その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状(包装の形状を含む。)、価格若しくは生産若しくは使用の方法若しくは時期又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、数量、態様、価格若しくは提供の方法若しくは時期を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標

1.商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状(包装の形状を含む。)、価格若しくは生産若しくは使用の方法若しくは時期を表示する2以上の標章よりなる商標又は役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、数量、態様、価格若しくは提供の方法若しくは時期を表示する2以上の標章よりなる商標は、本号の規定に該当するものとする。

2.図形又は立体的形状をもって、商品の産地、販売地、品質、生産若しくは使用の方法等又は役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、提供の方法等を表示する商標は、本号の規定に該当するものとする。

3.国家名、著名な地理的名称(行政区画名、旧国名及び外国の地理的名称を含む。)、繁華な商店街(外国の著名な繁華街を含む。)、地図等は、原則として、商品の産地若しくは販売地又は役務の提供の場所(取引地を含む。)を表示するものとする。

4.指定商品の「品質」、「効能」、「用途」等又は指定役務の「質」、「効能」、

「用途」等を間接的に表示する商標は、本号の規定に該当しないものとする。

5.「コクナール」、「スグレータ」、「とーくべつ」、「うまーい」、「早ーい」等のように長音符号を除いて考察した場合において、商品の品質、用途、効能等又は役務の質、用途、効能等を表示するものと認められるときは、原則として、本号の規定に該当するものとする。

6.指定商品の形状(指定商品の包装の形状を含む。)又は指定役務の提供の用に供する物の形状そのものの範囲を出ないと認識されるにすぎない商標は、本号の規定に該当するものとする。

7.(1) 書籍の題号については、題号がただちに特定の内容を表示するものと認められるときは、品質を表示するものとする。

(2) 新聞、雑誌等の定期刊行物の題号は、原則として、自他商品の識別力があるものとする。

8.映像が記録された「フィルム」については、題名がただちに特定の内容を表示するものと認められるときは、品質を表示するものとする。「録音済みの磁気テープ」、「録音済みのコンパクトディスク」、「レコード」等についても同様とする。

9.「放送番組名」については、指定役務(放送番組の制作、テレビジョン放送等)との関係において、番組名がただちに特定の内容を表示するものと認められるときは、役務の質を表示するものとする(連続の放送番組名を含む。)。

10.指定役務(映写フィルムの貸与、録画済み磁気テープの貸与、録音済み磁気テープの貸与、録音済みコンパクトディスクの貸与、レコードの貸与等)との関係において、その役務の提供を受ける者の利用に供する物(映写フィルム、録画済みの磁気テープ、録音済みの磁気テープ、録音済みのコンパクトディスク、レコード等)の題名がただちに特定の内容を表示するものと認められるときは、役務の質を表示するものとする。

11.「飲食物の提供」に係る役務との関係において、外国の国家名、地理的名称等が特定の料理(フランス料理、イタリア料理、北京料理等)を表示するものと認められるときは、その役務の質を表示するものとする。

12.建築、不動産業等の建築物を取り扱う役務を指定役務とする立体商標であって、それが当該建築物の形状を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものであるときは、役務の提供の用に供する物を普通に用いられる方法で表示するものとして、本号の規定を適用することとする。

(注)「使用」の定義の解釈規定である商標法第2条第4項においては、その形状を標章の形状とし得る物を規定しているが、立体商標に関しては、本号及び第6号の基準に加え、商標法においては商品には建築物等の不動産が含まれないことを勘案するならば、結果として、建築物の形状について商標登録を受けることができる場合は、その指定商品又は指定役務に関する広告として機能する場合に実質上限られることとなる。

13.小売等役務に該当する役務において、商標がその取扱商品を表示する標章と認められるときは、その役務の「提供の用に供する物」を表示するものとする。

14.本号における「普通に用いられる方法で表示する標章」については、基準第1三、第3条第1項第1号の3.を準用する。

六、第3条第1項第4号(ありふれた氏又は名称等)

ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標

1.「ありふれた氏又は名称」とは、原則として、同種のものが多数存在するものをいうが、例えば、「50音別電話帳(日本電信電話株式会社発行)」等においてかなりの数を発見することができるものをいう。

2.「ありふれた氏又は名称」を仮名文字又はローマ字で表示したときは、原則として、本号の規定に該当するものとする。

3.ありふれた氏、業種名、著名な地理的名称(行政区画名、旧国名及び外国の地理的名称を含む。)等に、「商店」「商会」「屋」「家」「社」「堂」 「舎」「洋行」「協会」「研究所」「製作所」「会」「研究会」「合名会社」「合資会社」「有限会社」「株式会社」「K.K.」「Co.」「Co., Ltd.」「Ltd.」等を結合してなる商標は、原則として、本号でいう「ありふれた名称」に該当するものとする。

ただし、行政区画名と業種名とを結合してなる会社名については、普通に採択されうる名称である場合でも、他に同一のものが現存しないと認められるときは、この限りでない。

(例)「ありふれた名称」でないもの

日本タイプライター株式会社

日本生命保険相互会社

4.特定の役務について多数使用されている店名(例えば、アルコール飲料を主とする飲食物の提供及び茶、コーヒー・・・・を主とする飲食物の提供についての「愛」「蘭」等)は、本号には該当せず、第3条第1項第6号の規定に該当するものとする。

5.本号における「普通に用いられる方法で表示する標章」については、基準第1三、第3条第1項第1号の3.を準用する。

七、第3条第1項第5号(極めて簡単で、かつ、ありふれた標章)

極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標

1.仮名文字(変体仮名を含む。)1字、1本の直線、波線、輪郭として普通に用いられる△、□、○、◇、 、 、月桂樹若しくは盾の図形、又は球、立方体、直方体、円柱、三角柱の立体的形状等は、本号の規定に該当するものとする。

2.(1) ローマ字の1字若しくは2字からなるとき、ローマ字の1字にその音を仮名文字で併記したとき、又は、ローマ字の1字の音を仮名文字で表示したときは、本号の規定に該当するものとする。

(2) ローマ字の2字の音を仮名文字で表示したときは、本号の規定に該当しない。ただし、ローマ字が商品又は役務の記号・符号として普通に使用される商品又は役務については、この限りでない。

(3) ローマ字の2字を「-」で連結したとき、又は、ローマ字の1字若しくは2字に「Co.」、「Ltd.」若しくは「K.K.」を付した場合において「Co.」、「Ltd.」若しくは「K.K.」がそれぞれ「Company」、「Limited」若しくは「株式会社」を意味するものと認められるときは、本号の規定に該当する。ただし、ローマ字の2字を「&」で連結したときは、この限りでない。

(4) ローマ字の2字をモノグラムで表示したときは、本号の規定に該当しない。

3.(1) 数字は、原則として、本号の規定に該当する。

(2) 1桁又は2桁の数字から生ずる音を、例えば「ワンツウ」、「トウエルブ」、「じゅうに」のように表示したとき、又は、これらに数字を併記したときは、原則として、本号の規定に該当するものとする。

(3) 3桁以上の数字から生ずる音を仮名文字で表示したときは、次のように取り扱うものとする。

(イ) 本号の規定に該当する例

  • 「ワンハンドレツド アンド トウエンテイスリー」
  • 「ヒヤクニジユウサン」

(ロ) 本号の規定に該当しない例

  • 「ワン ツウ スリー」

4.簡単な輪郭内に、上記1.、2.の(1)及び(3)、並びに3.の(1)、(2)及び(3)(イ)の文字を記したものは、原則として、本号の規定に該当するものとする。

八、第3条第1項第6号(前号までのほか、識別力のないもの)

前各号に掲げるもののほか、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標

1.地模様(例えば、模様的なものの連続反覆するもの)のみからなるものは、本号の規定に該当するものとする。

2.標語(例えば、キャッチフレーズ)は、原則として、本号の規定に該当するものとする。

3.商慣習上、例えば、「Net」、「Gross」等のように、その商品又は役務の数量等を表示する場合に用いられる文字等は、原則として、本号の規定に該当するものとする。

4.現元号をあらわす「平成」の文字は、本号の規定に該当するものとする。

5.(1) 特定の役務について多数使用されている店名(第3条第1項第4号に該当するものを除く。)は、本号の規定に該当するものとする。

(該当する例)

  • アルコール飲料を主とする飲食物の提供 茶、コーヒー・・・・・・を 「愛」「純」「ゆき」「蘭」
  • 主とする飲食物の提供 「オリーブ」「フレンド」

(2) (1)に該当する店名に「スナック」、「喫茶」等の業種をあらわす文字を付加結合したもの又は当該店名から業種をあらわす文字を除いたものも、原則として、本号の規定に該当するものとする。

6.指定商品又は指定役務を取り扱う店舗又は事業所の形状にすぎないものと認められる立体商標(第3条第1項第3号に該当するものを除く。)は、原則として、本号の規定を適用するものとする。

7.小売等役務に該当する役務において、商標がその取扱商品の産地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状(包装の形状を含む。)、価格若しくは生産若しくは使用の方法若しくは時期を表示するものと認められるときは、原則として、本号に該当するものとする。ただし、第3条第1項第3号に該当するものを除く。

第2 第3条第2項(使用による識別性)

前項第3号から第5号までに該当する商標であつても、使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものについては、同項の規定にかかわらず、商標登録を受けることができる。

1.本項でいう「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるもの」とは、特定の者の出所表示として、その商品又は役務の需要者の間で全国的に認識されているものをいう。

2.(1) 本項を適用して登録が認められるのは、出願された商標及び指定商品又は指定役務と、使用されている商標及び商品又は役務とが同一の場合のみとする。

(2) 例えば、次のように、出願された商標と証明書に表示された商標とが異なる場合は、使用により識別力を有するに至った商標とは認められないものとする。

  • 出願された商標が草書体の漢字であるのに対し、証明書に表示された商標が楷書体又は行書体の漢字である場合
  • 出願された商標が平仮名であるのに対し、証明書に表示された商標が片仮名、漢字又はローマ字である場合
  • 出願された商標がアラビア数字であるのに対し、証明書に表示された商標が漢数字である場合
  • 出願された商標がPのような態様であるのに対し、証明書に表示された商標がP、P又はPのような構成である場合
  • 出願された商標が立体商標であるのに対し証明書に表示された商標が

平面商標である場合、又は出願された商標が平面商標であるのに対し証明書に表示された商標が立体商標である場合

(3) 出願された商標と証明書に表示された商標とが厳密には一致しない場合であっても、例えば、その違いが明朝体とゴシック体、縦書きと横書きにすぎない等外観において同視できる程度に商標としての同一性を損なわないものと認められるときには、本項の判断において考慮するものとする。

3.(1) 商標が使用により識別力を有するに至ったかどうかは、例えば、次のような事実を総合勘案して判断するものとする。具体的には、商標の使用状況に関する事実を量的に把握し、それによってその商標の需要者の認識の程度を推定し、その大小ないし高低等により識別力の有無を判断するものとする。

  • A 実際に使用している商標並びに商品又は役務
  • B 使用開始時期、使用期間、使用地域
  • C 生産、証明若しくは譲渡の数量又は営業の規模(店舗数、営業地域、 売上高等)
  • D 広告宣伝の方法、回数及び内容
  • E 一般紙、業界紙、雑誌又はインターネット等における記事掲載の回数及び内容
  • F 需要者の商標の認識度を調査したアンケートの結果

(2) 上記(1)の事実は、例えば、次のような証拠方法によるものとする。

  • A 広告宣伝が掲載された印刷物(新聞、雑誌、カタログ、ちらし等)
  • B 仕切伝票、納入伝票、注文伝票、請求書、領収書又は商業帳簿
  • C 商標が使用されていることを明示する写真
  • D 広告業者、放送業者、出版業者又は印刷業者の証明書
  • E 同業者、取引先、需要者等の証明書
  • F 公的機関等(国、地方公共団体、在日外国大使館、商工会議所等)の証明書
  • G 一般紙、業界紙、雑誌又はインターネット等の記事
  • H 需要者を対象とした商標の認識度調査(アンケート)の結果報告書

ただし、需要者の認識度調査(アンケート)は、実施者、実施方法、対象者等その客観性について十分に考慮するものとする。

(3) 商標が使用により識別力を有するに至ったかどうかについては、出願人以外(団体商標の商標登録出願の場合は「出願人又はその構成員以外」とする。)の者による使用の有無及びその使用の状況を確認の上、判断するものとする。

(4) 団体商標が使用により識別力を有するに至ったかどうかの判断については、特に、その構成員の使用に関する(1)の事実を勘案するものとする。

なお、各構成員の(2)に関する書類を証拠方法とするときは、その者が構成員であることを証する書類を要するものとする。

(5) 小売等役務についての商標が使用により識別力を有するに至ったことを証明する場合においては、この基準第1の二(第3条第1項柱書)の3.(3)により、小売等役務に係る業務を行っていることの証明を要するものとする。

(6) 小売等役務についての商標に関する使用の証明においては、商標が商品や商品の包装、商品の価格表、取引書類、広告自体に表示されている場合には、その表示態様に応じて、商標が個別具体的な商品の出所を表示しているのか、または、取扱商品に係る小売等役務の出所を表示しているのかを考察し、小売等役務についての使用であるか否かを判断するものとする。

第3 第4条第1項及び第3項(不登録事由)

一、第4条第1項第1号(国旗、菊花紋章等)

第4条 次に掲げる商標については、前条の規定にかかわらず、商標登録を受けることができない。

国旗、菊花紋章、勲章、褒章又は外国の国旗と同一又は類似の商標

1.「勲章、褒章又は外国の国旗」は、現に存在するものに限るものとする。また「外国」とは、我が国が承認している国に限らず、承認していない国をも含むものとする。

2.商標の一部に国旗又は外国の国旗の図形を顕著に有するときは、国旗又は外国の国旗に類似するものとする。国旗又は外国の国旗の尊厳を害するような方法で表示した図形を有する商標は、たとえ、それらと類似しない場合であっても、第4条第1項第7号の規定に該当するものとする。

3.菊花の紋章でその花弁の数が12以上24以下のもの及び商標の一部に菊花紋章又は上記の菊花の紋章を顕著に有するものは、原則として、菊花紋章に類似するものとする。ただし、次のものは、この限りでない。

  • (1) 花心の直径が花弁の長さより大きいもの
  • (2) 菊花の3分の1以上が他のものにより蔽われ、又は切断されているもの
  • (3) 花心が花の中心からその半径の4分の1以上片寄ったもの
  • (4) 菊花の形状が確然と紋章を形成せず、かつ、生花を模倣したと認められるもの

二、第4条第1項第2号、第3号及び第5号(国の紋章、記章等)

第2号 パリ条約(1900年12月14日にブラッセルで、1911年6月2日にワシントンで、1925年11月6日にヘーグで、1934年6月2日にロンドンで、1958年10月31日にリスボンで及び1967年7月14日にストックホルムで改正された工業所有権の保護に関する1883年3月20日のパリ条約をいう。以下同 じ。)の同盟国、世界貿易機関の加盟国又は商標法条約の締約国の国の紋章その他の記章(パリ条約の同盟国、世界貿易機関の加盟国又は商標法条約の締約国の国旗を除く。)であつて、経済産業大臣が指定するものと同一又は類似の商標

第3号 国際連合その他の国際機関を表示する標章であつて経済産業大臣が指定するものと同一又は類似の商標

第5号 日本国又はパリ条約の同盟国、世界貿易機関の加盟国若しくは商標法条約の締約国の政府又は地方公共団体の監督用又は証明用の印章又は記号のうち経済産業大臣が指定するものと同一又は類似の標章を有する商標であつて、その印章又は記号が用いられている商品又は役務と同一又は類似の商品又は役務について使用をするもの

1.下記例示は、「経済産業大臣が指定するもの」であり、これらは官報に掲載されている。

  • 第2号関係:
  • 第3号関係:
  • 第5号関係:

三、第4条第1項第4号(赤十字等の標章又は名称)

赤十字の標章及び名称等の使用の制限に関する法律(昭和22年法律第159号)第1条の標章若しくは名称又は武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律(平成16年法律第112号)第158条第1項の特殊標章と同一又は類似の商標

1.赤十字の標章及び名称等の使用の制限に関する法律第1条の標章は次のとおりである。

  • (1)(白地に赤十字)
  • (2)(白地に赤新月)
  • (3)(白地に赤のライオン及び太陽)

2.赤十字の標章及び名称等の使用の制限に関する法律第1条の名称は次のとおりである。

  • (1)「赤十字」
  • (2)「ジュネーブ十字」
  • (3)「赤新月」
  • (4)「赤のライオン及び太陽」

3.武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律第158条第1項の特殊標章は、オレンジ色地に青色の正三角形の標章であり、ひな型は次のとおりである。

(オレンジ色地に青色の正三角形)

4.上記の1.ないし3.の標章又は名称を商標の一部に顕著に有する場合は、本号の規定に該当するものとする。

四、第4条第1項第6号(国、地方公共団体等の著名な標章)

国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関、公益に関する団体であつて営利を目的としないもの又は公益に関する事業であつて営利を目的としないものを表示する標章であつて著名なものと同一又は類似の商標

1.都道府県、市町村、都営地下鉄、市営地下鉄、市電、都バス、市バス、水道事業、大学、宗教団体、オリンピック、IOC、JOC、ボーイスカウト、 JETRO等を表示する著名な標章等は、本号の規定に該当するものとする。

五、第4条第1項第7号(公序良俗違反)

公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標

  • 1.「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には、その構成自体がきょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合及び商標の構成自体がそうでなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反するような場合も含まれるものとする。なお、「差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形」に該当するか否かは、特にその文字又は図形に係る歴史的背景、社会的影響等、多面的な視野から判断するものとする。
  • 2.他の法律によって、その使用等が禁止されている商標、特定の国若しくはその国民を侮辱する商標又は一般に国際信義に反する商標は、本号の規定に該当するものとする。

六、第4条第1項第8号(他人の氏名又は名称等)

他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く。)

  • 1.本号でいう「他人」とは、現存する者とし、また、外国人を含むものとする。
  • 2.自己の氏名等と他人の氏名等が一致するときは、その他人の承諾を要するものとする。
  • 3.本号でいう「著名」の程度の判断については、商品又は役務との関係を考慮するものとする。

七、第4条第1項第9号(博覧会の賞)

政府若しくは地方公共団体(以下「政府等」という。)が開設する博覧会若しくは政府等以外の者が開設する博覧会であつて特許庁長官が指定するもの又は外国でその政府等若しくはその許可を受けた者が開設する国際的な博覧会の賞と同一又は類似の標章を有する商標(その賞を受けた者が商標の一部としてその標章の使用をするものを除く。)

  • 1.博覧会は広く解し、品評会を含むものとする。
  • 2.本号でいう「その賞を受けた者」には、その者の営業の承継人を含むものとする。

八、第4条第1項第10号(他人の周知商標)

他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であつて、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの

  • 1.本号でいう「需要者の間に広く認識されている商標」には、最終消費者まで広く認識されている商標のみならず、取引者の間に広く認識されている商標を含み、また、全国的に認識されている商標のみならず、ある一地方で広く認識されている商標をも含む。
  • 2.本号の規定を適用するために引用される商標は、商標登録出願の時に(第4条第3項参照)、我が国内の需要者の間に広く認識されていなければならない。

3.本号の規定に関する周知性の立証方法及び判断については、この基準第2 (第3条第2項)の3.(1)及び(2)を準用する。

4.本号でいう「需要者の間に広く認識された」他人の未登録商標と他の文字又は図形等とを結合した商標は、その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの又は観念上の繋がりがあるものを含め、原則として、その未登録商標と類似するものとする。

ただし、その未登録商標の部分が既成の語の一部となっているものその他著しく異なった外観、称呼又は観念を生ずることが明らかなものを除く。

(例)該当例は、この基準第3の九(第4条第1項第11号)の5.(6)と同様である。

5.取引形態が特殊な商品又は役務(例えば、医療用医薬品のように特定の市場で流通する商品、又は医薬品の試験・検査若しくは研究のように限定された市場においてのみ提供される役務)に係る商標についての上記3.の立証方法及びそれに基づく周知性の認定については、特に当該商品又は役務の取引の実情を充分考慮するものとする。

6.外国の商標の我が国内における周知性の認定にあたっては、当該商標について外国で周知なこと、数カ国に商品が輸出されていること又は数カ国で役務の提供が行われていることを証する資料の提出があったときは、当該資料を充分勘案するものとする。

7.本号でいう「需要者の間に広く認識されている商標」の認定に当たっては、防護標章登録を受けている商標又は審決若しくは判決で需要者の間に広く認識された商標と認定された商標(注1)については、その登録又は認定に従い需要者の間に広く認識された商標と推認して取り扱うものとする。

(注1)特許庁がインターネットで提供している特許電子図書館中の「日本国周知・著名商標検索」でこれらの商標を検索することができる。

(参考)その他「需要者の間に広く認識されている商標」に関連する資料については商標審査便覧を参照。

九、第4条第1項第11号(先願に係る他人の登録商標)

当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標又はこれに類似する商標であつて、その商標登録に係る指定商品若しくは指定役務(第6条第1項(第68条第1項において準用する場合を含む。)の規定により指定した商品又は役務をいう。以下同じ。)又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの

1.商標の類否の判断は、商標の有する外観、称呼及び観念のそれぞれの判断要素を総合的に考察しなければならない。

2.商標の類否の判断は、商標が使用される商品又は役務の主たる需要者層(例えば、専門家、老人、子供、婦人等の違い)その他商品又は役務の取引の実情を考慮し、需要者の通常有する注意力を基準として判断しなければならない。

3.本号に該当する旨の拒絶理由通知において引用した登録商標の商標権者による取引の実情を示す説明書及び証拠の提出が出願人からあったときは、次のとおり取り扱うこととする。

(1) 本号の審査において、引用商標の商標権者による取引の実情を示す説明及び証拠が提出された場合には、取引の実情を把握するための資料の一つとして参酌することができる。

ただし、次の場合を除く。

  • 願書に記載された商標が同一又は明らかに類似(注1)し、かつ、願書に記載された指定商品又は指定役務も同一又は明らかに類似(注2)するものである場合。
  • 提出された書類が、取引の実情の客観的な説明及び証拠ではなく、単に商標登録出願に係る商標の登録について引用商標の商標権者が承諾している旨を示すものである場合。

(注1)ここでいう商標の「同一又は明らかに類似」とは、例えば、商標法第50条における社会通念上同一と判断される商標、独立して出所表示機能を有する2以上の構成要素において、構成要素中の一が同一と判断される商標、及び、これらに準ずるほど類似していると判断される商標をいう。

(注2)ここでいう指定商品又は指定役務の「同一又は明らかに類似」とは、後記10.ないし12.の基準で掲げる商品・役務に係る類否の比較全項目について、一致する蓋然性が高いと判断されるものをいう。

(2) 上記(1)の取扱いにより提出された引用商標の商標権者による取引の実情を示す説明及び証拠を参酌した結果、本号に該当しないと判断し得るのは、次の場合に限られるものとする。

  • 引用商標の指定商品又は指定役務と類似商品・役務審査基準において類似すると推定される指定商品又は指定役務の全てについて、取引の実情の説明及び証拠が提出され、それらを総合的に考察した結果、両者の商標又は指定商品若しくは指定役務が類似しないと判断し得る場合。
  • 引用商標の商標権について専用使用権又は通常使用権が設定されている場合にあっては、商標権者、専用使用権者及び通常使用権者の全てについて、取引の実情の説明及び証拠が提出され、それらを総合的に考察した結果、両者の商標又は指定商品若しくは指定役務が類似しないと判断し得る場合。

(注)上記3.の基準は、平成19年4月1日より施行するものとする。

4.振り仮名を付した文字商標の称呼については、次の例によるものとする。

  • 例えば、「紅梅」のような文字については、「ベニウメ」と振り仮名した場合であっても、なお「コウバイ」の自然の称呼をも生ずるものとする。
  • 例えば、「白梅」における「ハクバイ」及び「シラウメ」のように2以上の自然の称呼を有する文字商標は、その一方を振り仮名として付した場合であっても、他の一方の自然の称呼をも生ずるものとする。
  • 例えば、商標「竜田川」に「タツタガワ」のような自然の称呼を振り仮名として付したときは、「リュウデンセン」のような不自然な称呼は、生じないものとする。

5.結合商標の類否は、その結合の強弱の程度を考慮し、例えば、次のように判断するものとする。ただし、著しく異なった外観、称呼又は観念を生ずることが明らかなときは、この限りでない。

(1) 形容詞的文字(商品の品質、原材料等を表示する文字、又は役務の提供の場所、質等を表示する文字)を有する結合商標は、原則として、それが付加結合されていない商標と類似する。

(例) 類似する場合

  • 「スーパーライオン」と「ライオン」
  • 「銀座小判」 と「小 判」
  • 「レデイグリーン」 と「レ デ イ」

(2) 大小のある文字からなる商標は、原則として、大きさの相違するそれぞれの部分からなる商標と類似する。

(例) 類似する場合

  • 「富士白鳥」と「富士」又は「白鳥」
  • 「サンムーン」と「サン」又は「ムーン」

(3) 著しく離れた文字の部分からなる商標は、原則として、離れたそれぞれの部分のみからなる商標と類似する。

(例) 類似する場合

  • 「鶴亀 万寿」と「鶴亀」又は「万寿」

(4) 長い称呼を有するため、又は結合商標の一部が特に顕著であるため、その一部分によって簡略化される可能性がある商標は、原則として、簡略化される可能性がある部分のみからなる商標と類似する。

(例) 類似する場合

  • 「cherryblossomboy」と「チェリーブラッサム」
  • 「chrysanthemumbluesky」と「クリサンシマム」又は「ブルースカイ」

(5) 指定商品又は指定役務について慣用される文字と他の文字とを結合した商標は、慣用される文字を除いた部分からなる商標と類似する。

(例) 類似する場合

  • 清酒について「男山富士」と「富士」
  • 清酒について「菊正宗」と「菊」
  • 興行場の座席の手配について「プレイガイドシャトル」と「シャトル」
  • 宿泊施設の提供について「黒潮観光ホテル」と「黒潮」

(6) 指定商品又は指定役務について需要者の間に広く認識された他人の登録商標と他の文字又は図形等と結合した商標は、その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの又は観念上の繋がりがあるものを含め、原則として、その他人の登録商標と類似するものとする。

ただし、その他人の登録商標の部分が既成の語の一部となっているもの等を除く。

(例) 類似する例

  • テープレコーダについて「SONYLINE」、「SONY LINE」又は
  • 「SONY/LINE」と「SONY」
  • 化粧品について「ラブロレアル」と「L’0REAL」「ロレアル」
  • かばん類について「PAOLOGUCCI」と「GUCCI」
  • 航空機による輸送について「JALFLOWER」と「JAL」
  • 映画の制作について「東宝白梅」と「東宝」

類似しない例

  • 金属加工機械器具について「TOSHIHIKO」と「IHI」
  • 時計について「アルバイト」と「ALBA/アルバ」
  • 遊戯用機械器具について「せがれ」と「セガ」

(注)需要者の間に広く認識されているか否かの認定に当たっては、この基準第3の八(第4条第1項第10号)の7.を準用する。

(7) 商号商標(商号の略称からなる商標を含む。以下同じ。)については、商号の一部分として通常使用される「株式会社」「商会」「CO.」「K.K.」「Ltd.」「組合」「協同組合」等の文字が出願に係る商標の要部である文字の語尾又は語頭のいずれかにあるかを問わず、原則として、これらの文字を除外して商標の類否を判断するものとする。

6.(1) 商標の構成部分中識別力のある部分が識別力のない部分に比較して著しく小さく表示された場合であっても、識別力のある部分から称呼又は観念を生ずるものとする。

(2) 商標が色彩を有するときは、その部分から称呼又は観念を生ずることがあるものとする。

(3) 商標の要部が、それ自体は自他商品の識別力を有しないものであっても、使用により識別力を有するに至った場合は、その部分から称呼を生ずるものとする。

7.商標の称呼の類否を称呼に内在する音声上の判断要素及び判断方法のみによって判断するときには、例えば、次の(I)及び(II)のようにするものとする。

商標の称呼類否判断にあたっては、比較される両称呼の音質、音量及び音調並びに音節に関する判断要素(〔注1〕ないし〔注4〕)のそれぞれにおいて、共通し、近似するところがあるか否かを比較するとともに両商標が特定の観念のない造語であるか否か(例えば、明らかな観念の違いによってその音調を異にしたり、その称呼に対する注意力が異なることがある。)を考慮し、時と所を異にして、両商標が称呼され、聴覚されるときに聴者に与える称呼の全体的印象(音感)から、互いに相紛れるおそれがあるか否かによって判断するものとする。

両商標が下記の(1)ないし(8)の基準〔注5〕のいずれかに該当〔注6〕するときは、原則として、〔注7〕称呼上類似するものとする。

〔注1〕音質(母音、子音の質的きまりから生じる音の性質)に関する判断要素としては、

  • 相違する音の母音を共通にしているか、母音が近似しているか【例えば、1音の相違にあって(i)その音が中間又は語尾に位置し、母音を共通にするとき (ii)子音が調音の位置、方法において近似(ともに両唇音であるとか、ともに摩擦音であるとかのように、子音表において、同一又は近似する調音位置、方法にある場合をいう。ただし、相違する音の位置、音調、全体の音数の多少によって異なることがある。)し、母音を共通にするとき等においては、全体の音感が近似して聴覚されることが多い。】
  • 相違する音の子音を共通にしているか、子音が近似しているか【例えば、1音の相違にあって(i)相違する音の子音がともに50音図の同行に属しその母音が近似(例えば、口の開き方と舌の位置の比較から、母音エはアとイに近似し、母音オはアとウに近似する。ただし、相違する音の位置、音調、全体の音数の多少によって異なることがある。) するとき (ii)相違する音が濁音(ガ、ザ、ダ、バ行音)の半濁音(パ行音)、清音(カ、サ、タ、ハ行音)の違いにすぎないとき等においては、全体の音感が近似して聴覚されることが多い。】等が挙げられる。

〔注2〕音量(音の長短)に関する判断要素としては、

  • 相違する音がその前母音の長音であるか(長音の有無にすぎないか)
  • 相違する音がその後子音の長音であるか(促音の有無にすぎないか)

等が挙げられる。

音の長短は、長音、促音が比較的弱く聴覚されることから、音調(音の強弱)と関係があり(通常、長音、促音の前音が強く聴覚される。)、また、長音、促音は発音したときに1単位的感じを与えることから、1音節を構成し音節に関する判断要素とも関係がある。

〔注3〕音調(音の強弱及びアクセントの位置)に関する判断要素としては、

  • 相違する音がともに弱音(聴覚上、ひびきの弱い音)であるか、弱音の有無にすぎないか、長音と促音の差にすぎないか(弱音は通常、前音に吸収されて聴覚されにくい。)
  • 相違する音がともに中間又は語尾に位置しているか(中間音、語尾音は比較的弱く聴覚されることが多い。)
  • 語頭若しくは語尾において、共通する音が同一の強音(聴覚上、ひびきの強い音)であるか(これが強音であるときには、全体の音感が近似して聴覚されることが多い。)
  • 欧文字商標の称呼において強めアクセントがある場合に、その位置が共通するか
  • 等が挙げられる。

音の強弱は音自体(口の開き方の小さな音、イ・ウ、口を開かずに発せられる音、ム・ン、声帯が振動せずに発せられる音、フ・ス等は聴覚上、明瞭でないために弱音とされる場合)からだけでなく、相違する音の位置、全体の音数の長短等によって、相対的にその強弱が聴覚されることが多い。(例えば、相違する1音が音自体において上記のような弱音であっても、その前後の音も弱音である場合には弱音とはいえない場合がある。)

〔注4〕音節に関する判断要素としては、

  • 音節数(音数。仮名文字1字が1音節をなし、拗音は2文字で1音節をなす。長音(符)、促音、撥音もそれぞれ1音節をなす。)の比較において、ともに多数音であるか(1音の相違があっても、音数が比較的多いときには、全体の音感が近似して聴覚されることが多い。)
  • 一つのまとまった感じとしての語の切れ方、分かれ方(シラブル、息の段階)において共通性があるか(その共通性があるときには、全体の音感が近似して聴覚されることが多い。)

等が挙げられる。

〔注5〕これらの基準は、両商標が称呼上、類似すると判断された事例にあって判断を構成した主たる要素として、また、各事例に共通する要素となるものを整理し、列挙したものである。

〔注6〕基準(1)ないし(8)(及びそれらの事例)と〔注1〕ないし〔注4〕に記載された判断要素との関係は、基準(1)ないし(3)が主として音質に関するものであり、基準(4)は主として音調、基準(5)は主として音量、基準(6)及び基準(7)は主として音節、基準(8)は、各判断要素に関するものである。なお、〔注1〕ないし〔注4〕に記載されていないが考慮すべき判断要素として、発音の転訛の現象(例えば、連続する2音が相互にその位置を置換して称呼されるような場合)が挙げられる。

〔注7〕基準(1)ないし(8)に該当する場合であっても、つぎに挙げる事由があり、その全体の音感を異にするときには、例外とされる場合がある。

  • 語頭音に音質又は音調上著しい差異があるとき
  • 相違する音が語頭音でないがその音質(例えば、相違する1音がともに同行音であるが、その母音が近似しないとき)音調(例えば、相違する音の部分に強めアクセントがあるとき)上著しい差異があるとき
  • 音節に関する判断要素において

(i) 称呼が少数音であるとき(3音以下)

(ii) 語の切れ方、分かれ方(シラブル、息の段落)が明らかに異なるとき

なお、基準(6)及び(7)は、基準(1)ないし(5)に該当しない場合に適用される。

(1) ともに同数音の称呼からなり、相違する1音が母音を共通にするとき

  • 「スチッパー」 「SKiPPER」(スキッパーの称呼)
  • 「VANCOCIN 「BUNCOMINバンコシン 」 バンコミン 」
  • 「ミ ギ オ ン」 「ミ チ オ ン」

(2) ともに同数音の称呼からなり、相違する1音が50音図の同行に属するとき

  • 「ア ス パ」 「ア ス ペ」
  • 「アトミン 「ATAMIN
  • Atomin 」 アタミン 」
  • 「VULKENE」 「VALCAN」
  • (バルケンの称呼) (バルカンの称呼)

(3) ともに同数音の称呼からなり、相違する1音が清音、濁音、半濁音の差にすぎないとき

  • 「HETRON」 「PETRON
  • (ヘトロンの称呼) ペ ト ロ ン 」
  • 「KUREKA 「GLECAク レ カ」 グ レ カ」
  • 「サンシール」 「SANZEELサンジール 」

(4) 相違する1音がともに弱音であるか、又は弱音の有無の差にすぎないとき

「DANNEL」(ダンネルの称呼) 「DYNEL」(ダイネルの称呼)

「山 清 「ヤ マ セ」やませい」

「VINYLA」(ビニラの称呼) 「Binilus」(ビニラスの称呼)

(5) 相違する1音が長音の有無、促音の有無又は長音と促音、長音と弱音の差にすぎないとき

  • 「レーマン」 「Lemanレ マ ン」
  • 「コロネート」 「CORONET」(コロネットの称呼)
  • 「たからはと」 「タカラート」

(6) 同数音からなる比較的長い称呼で1音だけ異なるとき

  • 「サイバトロン」 「サイモトロン」

(7) 比較的長い称呼で1音だけ多いとき

  • 「CAMPBELL」 「Cambell(キャンプベルの称呼) キャンベル 」
  • 「BPLEXビプレックス」 「ビタプレックスVITAPLEX」

(8) その他、全体の音感が近似するとき

(イ) 2音相違するが上記(1)ないし(5)に挙げる要素の組合せであるとき

  • 「COREXIT」(コレクシットの称呼) 「コレスキット」
  • 「ビセラジン」 「ビゼラミン」
  • 「Frigen フレーゲン」 「フリゲン ふりげん 」
  • 「天 神 丸」(テンジンガンの称呼) 「電 信 丸」(デンシンガンの称呼)
  • 「COMPA コ ン パ」「COMBERコ ン バ ー 」

(ロ) 相違する1音が拗音と直音の差にすぎないとき

  • 「SAVOVETサボネット 」 「シャボネット」

(ハ) 相違する音の一方が外来語におこなわれる発音であって、これと

他方の母音又は子音が近似するとき

  • 「TYREX」(タイレックスの称呼) 「TWYLEX」(トウイレックスの称呼)
  • 「FOLIOL」(フォリオールの称呼) 「HELIOLヘリオール 」

(ニ) 相違する1音の母音又は子音が近似するとき

  • 「サリージェ SALIGZE」 「Sally Gee」(サリージーの称呼)
  • 「CERELAC」(セレラックの称呼)「セレノックSELENOC」

(ホ) 発音上、聴覚上印象の強い部分が共通するとき

  • 「ハ パ ヤ」 「パ ッ パ ヤ」

(ヘ) その他

  • 「POPISTANポピスタン 」 「HOSPITANホスピタン 」

「注.( )内の称呼は審決等で認定されたものである。」

8.(1) 立体商標の類否は、観る方向によって視覚に映る姿が異なるという立体商標の特殊性を考慮し、次のように判断するものとする。ただし、特定の方向から観た場合に視覚に映る姿が立体商標の特徴を表しているとは認められないときはこの限りでない。

(イ) 立体商標は、原則として、それを特定の方向から観た場合に視覚に映る姿を表示する平面商標(近似する場合を含む。)と外観において類似する。

(ロ) 特定の方向から観た場合に視覚に映る姿を共通にする立体商標

(近似する場合を含む。)は、原則として、外観において類似する。

(ハ) 立体商標は、その全体ばかりでなく、原則として、特定の方向から観た場合に視覚に映る姿に相応した称呼又は観念も生じ得る。

(2) 立体商標が立体的形状と文字の結合からなる場合には、原則として、当該文字部分のみに相応した称呼又は観念も生じ得るものとする。

9.(1) 地域団体商標として登録された商標については、使用をされた結果商標全体の構成が不可分一体のものとして需要者の間に広く認識されている事情を考慮し、商標の類否判断においても、商標全体の構成を不可分一体のものとして判断することとする。

(2) 地域団体商標として登録された商標と同一又は類似の文字部分を含む後願の他人の商標は、(1)で述べた地域団体商標の事情を考慮し、原則として、地域団体商標として登録された商標と類似するものとする。

10.商品の類否を判断するに際しては、次の基準を総合的に考慮するものとする。この場合には、原則として、類似商品・役務審査基準によるものとする。

  • 生産部門が一致するかどうか
  • 販売部門が一致するかどうか
  • 原材料及び品質が一致するかどうか
  • 用途が一致するかどうか
  • 需要者の範囲が一致するかどうか
  • 完成品と部品との関係にあるかどうか

11.役務の類否を判断するに際しては、次の基準を総合的に考慮するものとする。この場合には、原則として、類似商品・役務審査基準によるものとする。

  • 提供の手段、目的又は場所が一致するかどうか
  • 提供に関連する物品が一致するかどうか
  • 需要者の範囲が一致するかどうか
  • 業種が同じかどうか
  • 当該役務に関する業務や事業者を規制する法律が同じかどうか
  • 同一の事業者が提供するものであるかどうか

12.商品と役務の類否を判断するに際しては、例えば、次の基準を総合的に考慮した上で、個別具体的に判断するものとする。ただし、類似商品・役務審査基準に掲載される商品と役務については、原則として、同基準によるものとする。

  • 商品の製造・販売と役務の提供が同一事業者によって行われているのが一般的であるかどうか
  • 商品と役務の用途が一致するかどうか
  • 商品の販売場所と役務の提供場所が一致するかどうか
  • 需要者の範囲が一致するかどうか

十、第4条第1項第12号(他人の登録防護標章)

他人の登録防護標章(防護標章登録を受けている標章をいう。以下同じ。)と同一の商標であつて、その防護標章登録に係る指定商品又は指定役務について使用をするもの

1.本号の規定に該当する商標は、登録防護標章と同一のもの(相似形を含む。)に限る。登録防護標章と類似の商標若しくはその一部に登録防護標章と同一若しくは類似の商標を有する商標であって、その登録防護標章に係る指定商品又は指定役務に使用するもの、又は、登録防護標章と同一の商標若しくはその一部に登録防護標章と同一若しくは類似の商標を有する商標であって、その登録防護標章に係る指定商品又は指定役務と類似の商品又は役務に使用するものは、本号の規定に該当せず、第4条第1項第15号の規定に該当するものとする。

十一、第4条第1項第13号(商標権消滅後1年を経過していない他人の商標)

商標権が消滅した日(商標登録を取り消すべき旨の決定又は無効にすべき旨の審決があつたときは、その確定の日。以下同じ。)から1年を経過していない他人の商標(他人が商標権が消滅した日前1年以上使用をしなかつたものを除く。)又はこれに類似する商標であつて、その商標権に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの

1.本号の規定の適用に際しては、商標権の存続期間経過後であっても、第20条第3項又は第21条第1項の規定に基づく更新登録の申請があったときは、商標権の存続期間が更新されることに充分留意するものとする。

2.第53条の2に規定する商標登録の取消審判において登録を取り消す旨の確定審決を受けた請求人が、当該取り消された登録商標と同一又は類似の商標であって、その指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務を指定する商標登録出願をしたときは、本号の規定は適用されない(第4条第4項参照)。

十二、第4条第1項第14号(種苗法で登録された品種の名称)

種苗法(平成10年法律第83号)第18条第1項の規定による品種登録を受けた品種の名称と同一又は類似の商標であつて、その品種の種苗又はこれに類似する商品若しくは役務について使用をするもの

1.種苗法第18条第1項の規定により品種登録を受けた品種の名称については、その登録期間が経過した後は、商標法第3条第1項第1号又は同項第3号の規定に該当するものとする。

2.種苗法(平成10年法律第83号)施行(平成10年12月24日)の際、改正前の同法第12条の4第1項の規定により品種登録を受けていた品種の名称についても上記1.と同様に取り扱うものとする。

十三、第4条第1項第15号(商品又は役務の出所の混同)

他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標(第10号から前号までに掲げるものを除く。)

1.本号において「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある場合」とは、その他人の業務に係る商品又は役務であると誤認し、その商品又は役務の需要者が商品又は役務の出所について混同するおそれがある場合のみならず、その他人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品又は役務であると誤認し、その商品又は役務の需要者が商品又は役務の出所について混同するおそれがある場合をもいう。例えば、以下のような場合が挙げられる。

(1)事業者甲が自己の業務に係る商品Gに商標Mを使用し、これが全国的に周知になっている場合において、事業者乙が自己の業務に係る商品X(商品Gとは非類似でかつ、商品の生産者、販売者、取扱い系統、材料、用途等の関連性を有しないものであるとしても)に商標Mを使用したときに、その商品Xに接する需要者が、たとえ、甲の業務に係る商品であると認識しなくても、商品Xが甲の子会社等の関係にある事業者甲′の業務に係る商品であると誤認し(実際には存在しない甲′が出所として想定され)、商品の出所について混同する場合。

(注)上記 (1)については役務についても同様に考えるものとし、甲及び乙の業務が役務に係る場合においては、「商品」の文字については「役務」と読み替え、また「商品の生産者、販売者、取扱い系統、材料、用途等の関連性を有しないもの」とあるのは「役務の提供者、提供手段、目的、提供に関連する物品等との関連性を有しないもの」と読み替えるものとする。

(2)事業者甲が自己の業務に係る役務に商標Sを使用し、これが全国的に周知になっている場合において、事業者乙が自己の業務に係る商品(甲の業務に係る役務とは非類似)に商標Sを使用したときに、その商品に接する需要者が、その商品が甲の兼業に係る商品であると誤認し、商品の出所について混同を生ずる場合。

(注)上記 (2)については、甲の業務が商品に係るものであり、また乙の業務が役務に係るものである場合にも同様に考えるものとする。

2.「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」であるか否かの判断にあたっては、

  • その他人の標章の周知度(広告、宣伝等の程度又は普及度)
  • その他人の標章が創造標章であるかどうか
  • その他人の標章がハウスマークであるかどうか
  • 企業における多角経営の可能性
  • 商品間、役務間又は商品と役務間の関連性等を総合的に考慮するものとする。

なお、周知度の判断に当たっては、周知度が必ずしも全国的であることを要しないものとする。

3.2.周知度に関する立証方法については、この基準第2(第3条第2項)の3.(1)及び(2)を準用する。

4.他人の著名な商標を一部に有する商標については、次のとおり取り扱うこととする。

(1)それが他人の著名な登録商標と類似であって、当該商標登録に係る指定商品若しくは指定役務と同一又は類似の商品若しくは役務に使用すると認められる場合は、第4条第1項第11号の規定に該当するものとする。

(2)それが他人の著名な商標と類似しないと認められる場合又は他人の著名な商標と類似していても商品若しくは役務が互いに類似しないと認められる場合において、商品又は役務の出所の混同を生ずるおそれがあるときは、原則として、本号の規定に該当するものとする。

(3)それが他人の著名な商標と類似していても、商品又は役務が互いに類似せず、かつ、商品又は役務の出所の混同を生ずるおそれもないと認められる場合において、不正の目的をもって使用をするものであるときは、第4条第1項第19号の規定に該当するものとする。

5.他人の著名な商標と他の文字又は図形等と結合した商標は、その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの又は観念上の繋がりがあるものなどを含め、原則として、商品又は役務の出所の混同を生ずるおそれがあるものと推認して、取り扱うものとする。

ただし、その他人の著名な商標の部分が既成の語の一部となっているもの、又は、指定商品若しくは指定役務との関係において出所の混同のおそれのないことが明白なものを除く。

(例)混同を生ずるおそれのある商標の例

  • 被服について「arenoma / アレノマ」と「renoma」「レノマ」(カバン、バッグ等)
  • おもちゃについて「パー・ソニー」、「パー ソニー」又は「パーソニー」と「ソニー」(電気機械器具)

(例)混同を生ずるおそれのない商標の例

  • カメラについて「POLAROID」と「POLA」(化粧品)

6.著名標章を引用して、商標登録出願を本号に該当するものとして拒絶することができる商標には、外国において著名な標章であることが商標登録出願の時に(第4条第3項参照)、我が国内の需要者によって認識されており(必ずしも最終消費者まで認識されていなくともよい。)、出願人がその出願に係る商標を使用した場合、その商品又は役務の出所について混同を生ずるおそれがあるものを含むものとする。

7.他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがあるかどうかの認定にあたっては、取引の実情等個々の実態を充分考慮するものとする。

8.建築物の形状を表示する立体商標であって、当該建築物の形状が当該出願前から他人の建築物に係るものとして我が国において広く認識されているものであるときは、本号の規定を適用するものとする。

9.著名性の認定に当たっては、この基準第3の八(第4条第1項第10号)の7.を準用する。

十四、第4条第1項第16号(商品の品質又は役務の質の誤認)

商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標

1.「商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれ」とは、その品質又は質がその商品又は役務に現実に存在すると否とを問わず、その商品が有する品質又は役務が有する質として需要者において誤認される可能性がある場合をいう。

2.指定商品又は指定役務との関係上、品質又は質の誤認を生ずるおそれのある商品又は役務に対して拒絶理由の通知をした場合において、品質又は質の誤認を生じない商品又は役務に補正したときは、要旨を変更しない限り、その補正を認めるものとし、要旨を変更するときは、その補正を却下するものとする。

3.国家名・地名等を含む商標であって、それが指定商品又は指定役務との関係上、商品の産地・販売地又は役務の内容の特質若しくは役務の提供の場所を表すものと認識されるものについては、その商標が当該国若しくは当該地以外の国若しくは地で生産・販売される商品について使用されるとき、又は当該国家又は当該地名等によって表される特質を持った内容の役務若しくは当該国・地で提供される役務以外の役務について使用されるときは、商品の品質又は役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるものとして、本号の規定を適用するものとする。

特に、外国の国家名を含む商標である場合には、その外観構成がまとまりよく一体に表されている場合又は観念上の繋がりがある場合(既成語の一部となっている場合等国家名を認識しないことが明らかな場合を除く。)であっても、原則として、商品の産地・販売地又は役務の内容の特質若しくは役務の提供の場所を表すものと認識されるものとして、本号の規定を適用するものとする。

ただし、次のように商品の品質又は役務の質の誤認を生じさせることなく適正に表示されている場合はこの限りでないものとする。

  • 被服に係る商品において、商標中に「イギリス」の文字を含み、指定商品が「イギリス製の洋服」の場合
  • 飲食物の提供に係る役務において、商標中に「フランス」の文字を含み、指定役務が「フランス料理の提供」の場合

なお、商標中に単に付記的に用いられている商品の産地・販売地又は役務の質を表す国家名、地名等の文字は、補正により削除することができるものとする。

ただし、国際商標登録出願に係る商標については、これらの文字等を削除する補正をすることはできない。

(例)該当する例

  • 「SWISSTEX」 指定商品 第14類 時計

<備考> 「SWISS」の文字は「スイス国」を認識させる。

(例)該当しない例

  • 「どどいつ」 指定商品 第11類 浴槽

<備考> 「どどいつ」の文字は「都々逸」を認識させる。

4.商標中に「○○博覧会金牌受領」、「○○大臣賞受領」等商品の品質又は役務の質を保証するような文字、図形等の標章があるときは、その事実の立証を求め、立証されないときは、第4条第1項第9号を理由として拒絶するものを除き、本号の規定を適用するものとする。

5.商標の付記的部分に「JIS」、「JAS」、「特許」、「実用新案」、「意匠」等の文字又は記号があるときは、これらの文字等が補正により削除されない限り本号の規定を適用するものとする。

ただし、国際商標登録出願に係る商標については、これらの文字等を削除する補正をすることはできない。

6.地域団体商標は、これが商標中の地域の名称と密接な関連性を有する商品又は役務以外の商品又は役務について使用されるときは、商品の品質又は役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるものとして、本号の規定を適用するものとする。

ただし、指定商品又は指定役務が、例えば、次のように商品の品質又は役務の質の誤認を生じさせることなく適正に表示されている場合は、この限りでないものとする。

  • 地域の名称が当該商品の産地であれば、「○○(地域の名称)産の△△(商品名)」とする。
  • 地域の名称が当該役務の提供の場所であれば、「○○(地域の名称)における△△(役務名)」とする。
  • 地域の名称が当該商品の主要な原材料の産地であれば、「○○(地域の名称)産の□□(原材料名)を主要な原材料とする△△(商品名)」とする。
  • 地域の名称が当該商品の製法の由来地であれば、「○○(地域の名称)に由来する製法により生産された△△(商品名)」とする。ただし、例えば、「インドカレー」、「江戸前すし」のように地域との密接な関連性が希薄となり、一般的な製法と認識されるに至っている場合は、除かれる。

なお、上記は、地域団体商標における指定商品が「○○(地域の名称)に由来する製法により生産された△△(商品名)」と記載されている場合において、需要者がその商品について○○産の商品、又は、主に○○産の□□(原材料名)を用いた商品であるかのように品質を誤認するおそれがあるときに、本号の適用を妨げるものではない。

十五、第4条第1項第17号(ぶどう酒又は蒸留酒の産地の表示)

日本国のぶどう酒若しくは蒸留酒の産地のうち特許庁長官が指定するものを表示する標章又は世界貿易機関の加盟国のぶどう酒若しくは蒸留酒の産地を表示する標章のうち当該加盟国において当該産地以外の地域を産地とするぶどう酒若しくは蒸留酒について使用をすることが禁止されているものを有する商標であつて、当該産地以外の地域を産地とするぶどう酒又は蒸留酒について使用をするもの

1.本号は、例えば、ぶどう酒又は蒸留酒の産地を当該産地における文字で表示した標章のみならず、片仮名文字、その他その翻訳と認められる文字で表示した標章を有する場合も適用するものとする。

2.本号にいう「ぶどう酒」には、アルコール強化ぶどう酒が含まれるものとする。また、「蒸留酒」には、例えば、泡盛、しょうちゅう、ウイスキー、ウォッカ、ブランデー、ラム、ジン、カオリャンチュー、パイカル等が含まれるが、リキュールは含まれないものとする。

十六、第4条第1項第18号(商品又は商品の包装の機能を確保するために不可欠な立体的形状)

商品又は商品の包装の形状であつて、その商品又は商品の包装の機能を確保するために不可欠な立体的形状のみからなる商標

1.本号は、例えば、第3条第2項の適用に係る広告書類、取引書類等において、商品又は商品の包装の実用的利点と謳われている商品又は商品の包装の形状から発揮される機能に着目して判断することとし、その際には、特に次の点に考慮するものとする。

  • その機能を確保できる代替的な形状が他に存在するか否か。
  • 商品又は包装の形状を当該代替的な立体的形状とした場合でも、同程度(若しくはそれ以下)の費用で生産できるものであるか否か。

(注)商品又は商品の包装の機能を確保するために不可欠な立体的形状であっても、「商品の形状」や「商品の包装の形状」であることに変わりないことから、そのような商標は、原則として、第3条第1項第3号に該当するものである。したがって、本号の適用が問題となるのは、実質的には第3条第2項の適用が認められる商標である。

十七、第4条第1項第19号(他人の周知商標と同一又は類似で不正の目的をもって使用をする商標)

他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であつて、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもつて使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)

1.例えば、次のような商標は、本号の規定に該当するものとする。

  • 外国で周知な他人の商標と同一又は類似の商標が我が国で登録されていないことを奇貨として、高額で買い取らせるために先取り的に出願したもの、又は外国の権利者の国内参入を阻止し若しくは代理店契約締結を強制する目的で出願したもの。
  • 日本国内で全国的に知られている商標と同一又は類似の商標について、出所の混同のおそれまではなくても出所表示機能を稀釈化させたり、その名声等を毀損させる目的をもって出願したもの。

2.本号でいう「需要者の間に広く認識されている商標」には、最終消費者まで広く認識されている商標のみならず、取引者の間に広く認識されている商標を含むものとする。

3.本号でいう「外国における需要者の間に広く認識されている商標」は、当該国において周知なことは必要であるが、必ずしも複数の国において周知であることを要しないものとする。また、我が国における周知性も要しないものとする。

4.「不正の目的」の認定にあたっては、例えば、以下に示すような資料が存する場合には、当該資料を充分勘案するものとする。

  • その他人の商標が需要者の間に広く知られている事実(使用時期、使用範囲、使用頻度等)を示す資料
  • その周知商標が造語よりなるものであるか、若しくは、構成上顕著な特徴を有するものであることを示す資料
  • その周知商標の所有者が、我が国に進出する具体的計画(例えば、我が国への輸出、国内での販売等)を有している事実を示す資料
  • その周知商標の所有者が近い将来、事業規模の拡大の計画(例えば、新規事業、新たな地域での事業の実施等)を有している事実を示す資料
  • 出願人より、商標の買取り、代理店契約締結等の要求を受けている事実を示す資料
  • 出願人がその商標を使用した場合、その周知商標に化体した信用、名声、顧客吸引力等を毀損させるおそれがあることを示す資料

5.本号の適用に当たっては、(1)及び(2)の要件を満たすような商標登録出願に係る商標については、他人の周知な商標を不正の目的をもって使用するものと推認して取り扱うものとする。

  • 一以上の外国において周知な商標又は日本国内で全国的に知られている商標と同一又は極めて類似するものであること。
  • その周知な商標が造語よりなるものであるか、若しくは、構成上顕著な特徴を有するものであること。

6.周知性の認定に当たっては、この基準第3の八(第4条第1項第10号)の7.を準用する。

十八、第4条第3項(第4条第1項各号の判断時期)

第1項第8号、第10号、第15号、第17号又は第19号に該当する商標であつても、商標登録出願の時に当該各号に該当しないものについては、これらの規定は、適用しない。

1.第4条第1項第8号、第10号、第15号、第17号又は第19号を適用するには、その商標登録出願が、出願時において各号の規定に該当し、かつ、査定時においても該当しなければならないものとする。

2.国際商標登録出願等が第4条第1項第8号、第10号、第15号、第17号又は第19号に該当する商標であるか否かの判断時期となる商標登録出願の時とは、以下のとおりとする。

  • 出 願
  • 判 断 時 期
  • 国際商標登録出願
  • 国際登録の日又は事後指定の日
  • 第68条の10に規定する出願時の特例の適用のある国際商標登録出願 該当する国内登録の登録商標に係る商標登録出願の日

なお、第68条の10に規定する特例は、国内 登録における指定商品又は指定役務と重複している範囲について認められることとなるので、その重複している指定商品又は指定役務 ごとに商標登録出願の日が異なる場合がある

第68条の32に規定する商標登録出願 (セントラルアタック後の国内出願)又は第68条の33に規定する商標登録出願(議定書廃棄後の商標登録出願)

  • 国際登録の日又は事後指定の日

3.上記以外の第4条第1項各号の規定に該当するか否かの判断時期は、査定時とする。

第4 第5条(商標登録出願)

第5条 商標登録を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した願書に必要な書面を添付して特許庁長官に提出しなければならない。

  • 一 商標登録出願人の氏名又は名称及び住所又は居所
  • 二 商標登録を受けようとする商標
  • 三 指定商品又は指定役務並びに第6条第2項の政令で定める商品及び役務の区分

2 商標登録を受けようとする商標が立体的形状(文字、図形、記号若しくは色彩又はこれらの結合との結合を含む。)からなる商標(以下「立体商標」という。)について商標登録を受けようとするときは、その旨を願書に記載しなければならない。

3 商標登録を受けようとする商標について、特許庁長官の指定する文字(以下「標準文字」という。)のみによつて商標登録を受けようとするときは、その旨を願書に記載しなければならない。

4 商標登録を受けようとする商標を記載した部分のうち商標登録を受けようとする商標を記載する欄の色彩と同一の色彩である部分は、その商標の一部でないものとみなす。ただし、色彩を付すべき範囲を明らかにしてその欄の色彩と同一の色彩を付すべき旨を表示した部分については、この限りでない。

1.第5条第1項にいう「必要な書面」に含まれる説明書は、すべての出願について必要とするものではなく、必要な場合にのみ提出すれば足りるものとする。

(例)

  • 商標の採択の理由を説明した書面
  • 指定商品の材料、製法、構造、用法、用途等を説明した書面、又は指定役務の質、効能、用途等を説明した書面
  • 願書に記載した立体商標を説明した書面

2.願書に立体商標である旨の記載がない商標登録出願に係る商標は、原則として、平面商標として取り扱うものとする。

3.標準文字である旨が記載された商標登録出願であって、願書に記載された商標の構成から、標準文字によるものと認められない出願は通常の出願として取り扱うものとする。

(1) 標準文字による出願と認められる商標の記載例

  • とっきょちょう
  • 国際ハーモのJpo
  • 特 許 庁

文字の大きさが異なるが促音・拗音を表示する文字と通常の文字のポイント数は同じである。

漢字、平仮名、アルファベット等を併せて記載することは可能である。大文字と小文字のポイント数は同じである。

スペースは連続しなければ複数用いることができる。

(2) 標準文字による出願とは認められない商標の記載例

  • (イ) 図形のみの商標、図形と文字の結合商標
  • (ロ) 指定文字以外の文字を含む商標
  • (ハ) 文字数の制限30文字を超える文字数(スペースも文字数に加える。)からなる商標
  • (ニ) 縦書きの商標、2段以上の構成からなる商標

特 許 庁

商 標 課

  • (ホ) ポイントの異なる文字を含む商標

日本国特許庁

特許庁

TOKKYOCHO

日本

国の

  • (ヘ) 色彩を付した商標
  • (ト) 文字の一部が図形的に、又は異なる書体で記載されている商標

TOKK YOCHO

INP UT

日本国特許庁

  • 花文字等特殊文字、草書体等特殊書体等で記載された商標
  • 上記(イ)ないし(チ)以外のものであって、記載文字が容易に特定できない商標

4.標準文字によるものと認められる商標登録出願に係る商標は、願書に記載されたものでなく、標準文字に置き換えて現されたものとする。

5.国際商標登録出願に係る商標について「standard characters」である旨の宣言があっても、第5条第3項で規定する標準文字としては取り扱わないこととする。

6.第5条第4項の「商標の一部でないものとみなす」部分からも外観、称呼又は観念が生ずるものとする。

第5 第6条(一商標一出願)

第6条 商標登録出願は、商標の使用をする1又は2以上の商品又は役務を指定して、商標ごとにしなければならない。

2 前項の指定は、政令で定める商品及び役務の区分に従つてしなければならない。

3 前項の商品及び役務の区分は、商品又は役務の類似の範囲を定めるものではない。

1.指定商品又は指定役務の記載は、省令別表(商標法施行規則第6条)に掲載されている商品又は役務の表示など、その商品又は役務の内容及び範囲が明確に把握できるものでなければならない。

2.小売等役務(小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供)については、次のとおり解するものとする。

  • (1) 小売等役務とは、小売又は卸売の業務において行われる総合的なサービス活動(商品の品揃え、陳列、接客サービス等といった最終的に商品の販売により収益をあげるもの)をいうものとする。
  • (2) 小売等役務には、小売業の消費者に対する商品の販売行為、卸売業の小売商人に対する商品の販売行為は含まれないものとする。

3.指定商品又は指定役務の表示が不明確で、かつ、政令で定める商品及び役務の区分に従ったものと判断できないときは、第6条第1項及び第2項の要件を具備しないものとして、拒絶の理由を通知する。

(例1)複数の区分に属する可能性のある商品又は役務を以下のような表示をもって指定商品又は指定役務とするもの。

  • 第 5類 衛生マスク及びこれらの類似商品
  • 第 7類 機械器具
  • 第37類 機械器具の貸与
  • 第40類 廃棄物の処理及びその関連役務

(例2)「○○○業」(業種名)や「○○○店」(施設を指称)という表示をもって指定商品又は指定役務とするもの。

  • 第25類 百貨店
  • 第42類 総合レンタル業

(例3)政令別表に掲載されている表示をもって指定商品又は指定役務とするもの。

  • 第12類 乗物その他移動用の装置
  • 第32類 アルコールを含有しない飲料及びビール

ただし、政令別表に掲載されている表示と、省令別表に掲載されている商品又は役務の表示とが一致している場合など、商品若しくは役務の内容及び範囲又は帰属する商品及び役務の区分が明確なものはこの限りでない。

4.指定商品又は指定役務の表示は不明確であるが、政令で定める商品及び役務の区分に従ったものと判断できるときは、第6条第1項の要件を具備しないものとして、拒絶の理由を通知する。

(例) 一区分に属する商品又は役務を以下のような表示をもって指定商品又は指定役務とするもの。

  • 第 2類 全ての商品
  • 第29類 食肉,その他本類に属する商品
  • 第35類 全ての役務
  • 第39類 貨物車による輸送, その他本類に属する役務

5.上記3.ないし4.の拒絶理由の通知に対し、出願人が実質的に商品等の説明のみを内容とする意見書又は物件提出書を提出した場合は、直ちに拒絶をすることなく、当該意見書又は物件提出書を斟酌し、例えば補正案を示すなど指定商品又は指定役務その他を適切な表示に補正すべきことを指示する(審査官名による手続補正指示)ものとする。

この場合において、出願人が当該手続補正指示に対し何らの対応もしないとき又は的確な補正等を行わないときは、その商標登録出願は、先の拒絶理由に基づき拒絶するものとする。

6.指定商品又は指定役務の表示は明確であるが、政令で定める商品及び役務の区分に従っていないときは、第6条第2項の要件を具備しないものとして、拒絶の理由を通知する。

(例) 第 9類 時計

この場合は、「第14類 時計」と補正することができる。

第36類 雑誌による広告の代理

この場合は、「第35類 雑誌による広告の代理」と補正するこ とができる。

(例) 第16類 雑誌, 雑誌による広告の代理

この場合は、「第16類 雑誌 第35類 雑誌による広告の代理」 と補正することができる。

7.指定商品又は指定役務の表示中に、特定の商品又は役務を表すものとして登録商標が用いられている場合は、原則として、第6条第1項の要件を具備しないものとして、拒絶の理由を通知する。

8.その他

(1) 商品及び役務の区分のみが記載されているときは、第5条の2第2項に基づく補完指令の対象となる。

(2) 指定商品又は指定役務のみが記載されているときは、補正指令(方式)の対象となる。

(3) 商品及び役務の区分が2以上である場合は、商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務を繰り返し記載していないものは補正指令(方式)の対象となる。

(例)

  • 第1類、第3類、第5類 化学品, 化粧品, 薬剤
  • 第35類、第36類 経営の診断及び指導, 有価証券の売買

9.商標法等の一部を改正する法律(平成8年法律第68号)施行の際、現に特許庁に係属している商標登録出願は、改正前の第6条第1項に基づき上記3.ないし6.と同様に取り扱うものとする。

第6 第7条(団体商標)

第7条 一般社団法人その他の社団(法人格を有しないもの及び会社を除く。)若しくは事業協同組合その他の特別の法律により設立された組合(法人格を有しないものを除く。)又はこれらに相当する外国の法人は、その構成員に使用をさせる商標について、団体商標の商標登録を受けることができる。

2 前項の場合における第3条第1項の規定の適用については、同項中「自己の」とあるのは、「自己又はその構成員の」とする。

3 第1項の規定により団体商標の商標登録を受けようとする者は、第5条第1項の商標登録出願において、商標登録出願人が第1項に規定する法人であることを証明する書面を特許庁長官に提出しなければならない。

1.本条第1項の「その他の社団(法人格を有しないもの及び会社を除く。)」には、例えば、商工会議所法に基づく商工会議所、商工会法に基づく商工会、特定非営利活動促進法に基づく特定非営利活動法人(いわゆるNPO法人)等が含まれるものとする。

2.団体商標の商標登録を受けようとする商標が「その構成員に使用をさせる」ものでないときは、第3条第1項柱書により登録を受けることができないものとする(本基準第1の二(第3条第1項柱書)5.参照)。

3.国際商標登録出願において「Collective mark, certification mark, or guarantee mark」(団体商標、証明商標又は保証商標)と記載されている場合であって、第7条第3項に規定する証明書(第7条第1項の法人であることを証する書面)の提出がない場合は、団体商標として第3条第1項柱書により登録を受けることができないものとする。

なお、団体商標の商標登録出願(国内出願)については、補正指令(方式)の対象となる(本基準第1の二(第3条第1項柱書)6.参照)。

第7 第7条の2(地域団体商標)

一、第7条の2第1項柱書

第7条の2 事業協同組合その他の特別の法律により設立された組合(法人格を有しないものを除き、当該特別の法律において、正当な理由がないのに、構成員たる資格を有する者の加入を拒み、又はその加入につき現在の構成員が加入の際に付されたよりも困難な条件を付してはならない旨の定めのあるものに限る。)又はこれに相当する外国の法人(以下「組合等」という。)は、その構成員に使用をさせる商標であつて、次の各号のいずれかに該当するものについて、その商標が使用をされた結果自己又はその構成員の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているときは、第3条の規定(同条第1項第1号又は第2号に係る場合を除く。)にかかわらず、地域団体商標の商標登録を受けることができる。

1.出願人が、本項柱書にいう「組合等」に該当するかどうかは、次のような項目に基づいて判断するものとする。

  • (1) 出願人が「組合等」に該当する法人として登記されていること
  • (2) 「組合等」の設立根拠法において、不当に構成員たる資格を有する者の加入を制限してはならない旨の規定が定められていること

2.地域団体商標の商標登録を受けようとする商標が、団体によって使用されており、その構成員に使用させないことを前提とする場合は、本項柱書の規定により登録を受けることができないものとする。

ただし、団体が自らその商標を使用している場合であっても、その構成員に使用させることが推定される場合は、この限りでない。

3.本項柱書の「その商標が使用をされた結果自己又はその構成員の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているとき」に該当するためには、次のすべてを満たさなければならないことに留意する。

  • 出願に係る商標が出願人又はその構成員によって使用されていること(後記5.を参照)
  • 出願に係る商標が需要者の間に広く認識されていること(後記6.を参照)
  • 出願人又はその構成員の業務に係る商品又は役務を表示するものとして認識されていること

4.地域団体商標の商標登録を受けようとする商標が団体の構成員によって使用されている場合において、その商標が「その構成員に使用をさせる商標」であるか否かを判断するときは、その構成員による商標の使用が団体の管理の下で行われているか否かを考慮するものとする。

5.本項柱書を適用して登録が認められるのは、出願に係る商標及び指定商品又は指定役務と、使用に係る商標及び商品又は役務とが同一の場合のみとする。

なお、商標の同一性の判断については、この基準第2(第3条第2項)の2.(2)及び(3)を準用する。

6.(1) 本項柱書にいう「需要者の間に広く認識されている」とは、商品又は役務の種類、需要者層、取引の実情等の個別事情によるが、全国的な需要者の間に認識されるには至っていなくとも、一定範囲の需要者、例えば、隣接都道府県に及ぶ程度の需要者に認識されていることを必要とする。

(2) 本項柱書の規定に関する周知性の立証方法及び判断については、この基準第2(第3条第2項)の3.を準用する。

7. 出願に係る商標の構成中の地域の名称が本条第2項に規定する「地域の名称」に該当しないために本条第1項各号のいずれにも該当しない場合には、本項柱書の規定により登録を受けることができないものとする。

8.地域団体商標に係る指定商品又は指定役務の記載については、この基準第3の十四(第4条第1項第16号)を参照することとする。

二、第7条の2第1項第1号、第2号及び第3号(登録を受けられる商標)

  • 第1号 地域の名称及び自己又はその構成員の業務に係る商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する文字のみからなる商標
  • 第2号 地域の名称及び自己又はその構成員の業務に係る商品又は役務を表示するものとして慣用されている名称を普通に用いられる方法で表示する文字のみからなる商標
  • 第3号 地域の名称及び自己若しくはその構成員の業務に係る商品若しくは役務の普通名称又はこれらを表示するものとして慣用されている名称を普通に用いられる方法で表示する文字並びに商品の産地又は役務の提供の場所を表示する際に付される文字として慣用されている文字であつて、普通に用いられる方法で表示するもののみからなる商標

1. 本項各号にいう「地域の名称」には、現在の行政区画単位の地名ばかりでなく、旧地名、旧国名、河川名、山岳名、海域名等も含まれるものとする。

2. 本項第1号及び第3号にいう「普通名称」の判断については、この基準第1三、第3条第1項第1号の1.及び2.を準用する。

3.(1) 第2号にいう「商品又は役務を表示するものとして慣用されている名称」には、例えば、次のようなものが該当する。

  • 商品「絹織物」「帯」について、「織」「紬」の名称
  • 商品「茶碗」「湯飲み」について、「焼」の名称
  • 商品「箸」について、「塗」の名称
  • 商品「盆」について、「彫」の名称
  • 商品「かご」「行李(こうり)」について、「細工」の名称
  • 商品「豚肉」について、「豚」の名称
  • 役務「入浴施設の提供」「宿泊施設の提供」について、「温泉」の名称
  • 役務「梨狩り園の提供」について、「梨狩り」の名称

(2) 商品又は役務の特質を表示する文字と普通名称からなるものであって、需要者に全体として特定の商品又は役務を表示するものとして使用され、認識されている名称は、上記3.(1)にいう「商品又は役務を表示するものとして慣用されている名称」に含まれるものとする。

(例)「天然あゆ」「完熟トマト」

4.(1) 第3号にいう「商品の産地又は役務の提供の場所を表示する際に付される文字として慣用されている文字」には、例えば、次のようなものが該当する。

  • 産地に付される文字の例

「本場」「特産」「名産」

  • 提供の場所に付される文字の例

「本場」

(2) 次に掲げる文字のように、商品又は役務について慣用されているものであっても、商品の産地又は役務の提供の場所を表示する際に付されるものとは認められないものは、本号には該当しない。

(例)「特選」「元祖」「本家」「特級」「高級」

5.例えば、次のような商標は、第1号から第3号のいずれにも該当しないものとする。

  • 「地域の名称」のみからなるもの、又は「地域の名称」が含まれないもの
  • 「商品又は役務の普通名称」のみからなるもの、又は「商品又は役務を表示するものとして慣用されている名称」のみからなるもの
  • 「商品又は役務の普通名称」、又は「商品又は役務を表示するものとして慣用されている名称」のいずれも含まないもの
  • 第1号から第3号に規定された文字以外の文字(例えば、上記4.(2)に該当するもの)、記号又は図形を含むもの
  • 識別力が認められる程度に図案化された文字からなるもの

三、第7条の2第2項(地域の名称)

第2項 前項において「地域の名称」とは、自己若しくはその構成員が商標登録出願前から当該出願に係る商標の使用をしている商品の産地若しくは役務の提供の場所その他これらに準ずる程度に当該商品若しくは当該役務と密接な関連性を有すると認められる地域の名称又はその略称をいう。

1.本項の規定の適用に際しては、本条第4項の規定により提出された「出願に係る商標が本項に規定する地域の名称を含むものであることを証明するため必要な書類」により、商品又は役務の種類、需要者層、取引の実情等の個別事情を勘案して、商標中にその地域の名称を用いることが相当と認められるか否かを判断するものとする。

2.本項にいう「商品の産地」とは、例えば、次のような地域をいうものとする。

  • (1) 農産物については、当該商品が生産された地域
  • (2) 海産物については、当該商品が水揚げ又は漁獲された地域
  • (3) 工芸品については、当該商品の主要な生産工程が行われた地域

3.本項にいう「役務の提供の場所」とは、例えば、次のような地域をいうものとする。

(1) 温泉における入浴施設の提供については、温泉が存在する地域

4.本項にいう「これらに準ずる程度に当該商品若しくは当該役務と密接な関連性を有すると認められる地域」とは、例えば、次のようなものが該当する。

(1) 原材料の産地が重要性を有する加工品について

原材料の産地が重要性を有する加工品については、その加工品の主要原材料が生産等された地域が本項に該当し、例えば、次のようなものがある。

  • 「そばのめん」について、原材料「そばの実」の産地
  • 「硯」について、原材料「石」の産地

(2) 製法の由来地が重要性を有する工芸品について

製法の由来地が重要性を有する工芸品については、当該商品の重要な製法が発祥し由来することとなった地域が本項に該当し、例えば、次のようなものがある。

  • 「織物」について、伝統的製法の由来地

5.(1) 出願に係る商標が、本項に規定する「地域の名称を含むものであることを証明するため必要な書類」により、例えば、次のような事実が確認できたときは、本項にいう「地域の名称」として取り扱うものとする。

地域の名称が当該商品の産地である場合

  • a. 出願人又はその構成員が当該商品をその地域において生産していること
  • b. 出願人又はその構成員が出願に係る商標を当該商品について使用していること

地域の名称が当該役務の提供の場所である場合

  • a.出願人又はその構成員が当該役務をその地域において提供していること
  • b.出願人又はその構成員が出願に係る商標を当該役務について使用していること

地域の名称が当該商品の主要な原材料の産地である場合

  • a.当該商品が、例えば、商品を生産するために不可欠な原材料や商品全体の大半を占める原材料であるなど、主要な原材料の産地が着目され取引されている商品であること
  • b.出願人又はその構成員がその地域において生産されたその主要な原材料を用いた当該商品を生産していること
  • c.出願人又はその構成員が出願に係る商標を当該商品について使用していること

地域の名称が当該商品の製法の由来地である場合

  • a.出願人又はその構成員がその地域に由来する製法で当該商品を生産していること
  • b. 出願人又はその構成員が出願に係る商標を当該商品について使用していること

(2) 上記(1)の事実は、例えば、次のような証拠方法によるものとする。

  • 新聞、雑誌、書籍等の記事
  • 公的機関等の証明書
  • パンフレット、カタログ、内部規則
  • 納入伝票、注文伝票等の各種伝票類

第8 第8条(先 願)

第8条 同一又は類似の商品又は役務について使用をする同一又は類似の商標について異なつた日に2以上の商標登録出願があつたときは、最先の商標登録出願人のみがその商標について商標登録を受けることができる。

2 同一又は類似の商品又は役務について使用をする同一又は類似の商標について同日に2以上の商標登録出願があつたときは、商標登録出願人の協議により定めた一の商標登録出願人のみがその商標について商標登録を受けることができる。

3 商標登録出願が放棄され取り下げられ若しくは却下されたとき、又は商標登録出願について査定若しくは審決が確定したときは、その商標登録出願は、前2項の規定の適用については、初めからなかつたものとみなす。

4 特許庁長官は、第2項の場合は、相当の期間を指定して、同項の協議をしてその結果を届け出るべき旨を商標登録出願人に命じなければならない。

5 第2項の協議が成立せず、又は前項の規定により指定した期間内に同項の規定による届出がないときは、特許庁長官が行う公正な方法によるくじにより定めた一の商標登録出願人のみが商標登録を受けることができる。

1.商標登録出願が同日に相互に同一又は類似の関係にある他人の出願と競合したときは、該当するすべての商標登録出願に対し、第8条第4項の協議命令と、第8条第2項及び第5項の拒絶理由の通知とを同時に行うこととする。

ただし、事前に第8条第2項の協議が成立した旨又は協議が不成立である旨の書面が提出されているときは、この限りでない。

2.商標登録出願人から登録を受けることのできる一の商標登録出願人を定める協議が不成立である旨の書面が提出された場合又は上記1.の協議命令に対し、特許庁長官の指定する期間内に協議が成立した旨の書面が提出されない場合は、特許庁長官が行う公正な方法によるくじの手続を行う。

3.協議が成立したときは、協議により定められた一の商標登録出願人に係る商標が登録された後、他の商標登録出願について、第8条第2項に基づき、拒絶査定をするものとする。また、くじが実施されたときは、くじにより定められた一の商標登録出願人に係る商標が登録された後、他の商標登録出願について、第8条第5項に基づき拒絶査定をするものとする。

4.協議の結果の届出については、例えば、下記様式1「商標法第8条第4項に基づく協議の結果届」(平成12年1月1日以後の出願については様式2「協議の結果届」)によるが、商標登録を受けることができる者について協議が成立した場合には、当該結果届には協議が成立したことを証する書面(下記文例参照)の添付を要するものとする。

様 式1(平成11年12月31日以前の出願)

商標法第8条第4項に基づく協議の結果届

(平成 年 月 日)

特許庁長官 殿

1 事件の表示

平成 年商標登録願第 号

2 商標登録出願人

(識別番号)

住所(居所)

氏名(名称) (印)

3 代 理 人

(識別番号)

住所(居所)

氏名(名称) (印)

4 協議命令の日付

5 協議の相手

住所(居所)

氏名(名称)

(出願番号 平成 年商標登録願第 号)

6 協議の結果

7 添付書類の目録

(1) (協議が成立したことを証する書面 1通)

(2)

様 式2(平成12年 1月 1日以後の出願)

【書類名】 協議の結果届

(【整理番号】)

(【提出日】 平成 年 月 日)

【あて先】 特許庁長官 殿

【事件の表示】

※【出願番号】商願 -

(国際登録第 号)

【商標登録出願人】

(【識別番号】)

【住所又は居所】

【氏名又は名称】

【代理人】

(【識別番号】)

【住所又は居所】

【氏名又は名称】

【協議命令の日付】

【協議の相手】

(【識別番号】)

【住所又は居所】

【氏名又は名称】

【出願番号】商願 -

(国際登録第 号)

【協議の結果】

【提出物件の目録】

【物件名】協議が成立したことを証する書面 1

※「【出願番号】」には、「商願○○○○-○○○○○○」、「国際登録第○○○○○○○号」又は「○○○○年○○月○○日に事後指定が記録された国際登録第○○○○○○○号」のように出願の番号を記載する。

協議が成立したことを証する書面の文例

協 議 証 書

平成 年 月 日

協議に係る商標登録出願の番号及び商標登録出願人

(1) 商標登録出願の番号※

平成 年商標登録願第 号

(国際登録第 号)

商標登録出願人

住所(居所)

氏名(名称) (印)

(2) 商標登録出願の番号

平成 年商標登録願第 号

(国際登録第 号)

商標登録出願人

住所(居所)

氏名(名称) (印)

上記出願人の間で商標法第8条第2項に基づく協議を行ったところ、下記の出願人がその商標について商標登録を受けることができる者と決定した。

協議により定めた一の商標登録出願の番号

平成 年商標登録願第 号

(国際登録第 号)

商標登録出願人

住所(居所)

氏名(名称)

※「商標登録出願の番号」には「平成○○年商標登録願第○○○○○○号」、「商願○○○○-○○○○○○」又は「国際登録第○○○○○○○号」、「○○○○年○○月○○日に事後指定が記録された国際登録第○○○○○○○号」のように出願の番号を記載する。

第9 第10条(出願の分割)

第10条 商標登録出願人は、商標登録出願が審査、審判若しくは再審に係属している場合又は商標登録出願についての拒絶をすべき旨の審決に対する訴えが裁判所に係属している場合に限り、2以上の商品又は役務を指定商品又は指定役務とする商標登録出願の一部を1又は2以上の新たな商標登録出願とすることができる。

2 前項の場合は、新たな商標登録出願は、もとの商標登録出願の時にしたものとみなす。ただし、第9条第2項並びに第13条第1項において準用する特許法(昭和34年法律第121号)第43条第1項及び第2項(第13条第1項において準用する同法第43条の2第3項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、この限りでない。

  • 1.指定商品又は指定役務が包括表示で記載されている場合でも、その包括表示に含まれる個々の指定商品又は指定役務ごとに出願を分割することができるものとする。
  • 2.国際商標登録出願については、第68条の12の規定により、本条の規定は適用しない。

第10 第15条の3(先願未登録商標)

第15条の3 審査官は、商標登録出願に係る商標が、当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の商標又はこれに類似する商標であつて、その商標に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするものであるときは、商標登録出願人に対し、当該他人の商標が商標登録されることにより当該商標登録出願が第15条第1号に該当することとなる旨を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えることができる。

2 前項の通知が既にされている場合であつて、当該他人の商標が商標登録されたときは、前条の通知をすることを要しない。

  • 1.本条第1項によって通知をした理由に基づき拒絶の査定をするときは、拒絶理由の通知で引用した先願の商標が登録された後に行うものとする。
  • 2.拒絶の理由で引用した先願商標の指定商品又は指定役務について補正があったとしても、改めて拒絶理由の通知をすることを要しないものとする。

第11 第16条(商標登録の査定)

第16条 審査官は、政令で定める期間内に商標登録出願について拒絶の理由を発見しないときは、商標登録をすべき旨の査定をしなければならない。

商標法施行令

第2条 商標法第16条(同法第55条の2第2項(同法第60条の2第2項(同法第68条第5項において準用する場合を含む。)及び第68条第4項において準用する場合を含む。)及び第68条第2項において準用する場合を含む。次項において同じ。)の政令で定める期間は、同法第5条の2第1項又は第4項(同法第68条第1項において準用する場合を含む。)の規定により認定された商標登録出願の日(当該商標登録出願が同法第15条第3号に該当する旨の拒絶の理由を審査官が通知した場合で手続の補正により同号に該当しなくなったときにあつてはその補正について手続補正書を提出した日、当該商標登録出願が次の各号に掲げる規定の適用を受けるときにあつてはこれらの規定の適用がないものとした場合における商標登録出願の日)から1年6月とする。

一 商標法第9条第1項、第10条第2項(同法第11条第5項、第12条第3項、第65条第3項及び第68条第1項において準用する場合を含む。)又は第68条の32第2項(同法第68条の33第2項において読み替えて準用する場合を含む。)の規定

二 商標法第17条の2第1項(同法第68条第2項において準用する場合を含む。)及び第55条の2第3項(同法第60条の2第2項(同法第68条第5項において準用する場合を含む。)及び第68条第4項において準用する場合を含む。)において準用する意匠法第17条の3第1項の規定

2 前項の規定にかかわらず、商標法第68条の9第1項の規定により商標登録出願とみなされた領域指定に係る同法第16条の政令で定める期間は、標章の国際登録に関するマドリッド協定の1989年6月27日にマドリッドで採択された議定書第3条の3に規定する領域指定の通報が行われた日(商標法第68条の3第1項に規定する国際事務局から同法第68条の9

第1項に規定する国際登録簿に登録された事項についての更正の通報で経済産業省令で定めるものが行われた場合であつて、当該更正の通報に係る事項について拒絶の理由を審査官が通知するときは、当該更正の通報が行われた日)から1年6月とする。

1.商標登録出願について、本条で規定する「政令で定める期間」内に拒絶の理由を発見したか否かは、当該出願に係る拒絶理由通知書を発送した日を基準にすることとする。

2.拒絶理由通知書が出願人に到達せず特許庁へ戻され、再度発送された場合であっても、本条の「政令で定める期間」内に拒絶の理由を発見したか否かは、当該拒絶理由通知書を最初に発送した日を基準にすることとする。

第12 第16条の2及び第17条の2(補正の却下)

第16条の2 願書に記載した指定商品若しくは指定役務又は商標登録を受けようとする商標についてした補正がこれらの要旨を変更するものであるときは、審査官は、決定をもつてその補正を却下しなければならない。

2 前項の規定による却下の決定は、文書をもつて行い、かつ、理由を付さなければならない。

3 第1項の規定による却下の決定があつたときは、決定の謄本の送達があつた日から3月を経過するまでは、当該商標登録出願について査定をしてはならない。

4 審査官は、商標登録出願人が第1項の規定による却下の決定に対し第45条第1項の審判を請求したときは、その審判の審決が確定するまでその商標登録出願の審査を中止しなければならない。

第17条の2 意匠法(昭和34年法律第125号)第17条の3(補正後の意匠についての新出願)の規定は、第16条の2第1項の規定により、決定をもつて補正が却下された場合に準用する。

2 意匠法第17条の4の規定は、前項又は第55条の2第3項(第60条の2第2項において準用する場合を含む。)において準用する同法第17条の3第1項に規定する期間を延長する場合に準用する。

意匠法第17条の3 意匠登録出願人が前条第1項の規定による却下の決定の謄本の送達があつた日から3月以内にその補正後の意匠について新たな意匠登録出願をしたときは、その意匠登録出願は、その補正について手続き補正書を提出した時にしたものとみなす。

2 前項に規定する新たな意匠登録出願があつたときは、もとの意匠登録出願は、取り下げたものとみなす。

3 前2項の規定は、意匠登録出願人が第1項に規定する新たな意匠登録出願について同項の規定の適用を受けたい旨を記載した書面をその意匠登録出願と同時に特許庁長官に提出した場合に限り、適用があるものとする。

1.要旨変更であるかどうかの判断の基準は、次のとおりとする。

(1) 指定商品又は指定役務について

  • 指定商品又は指定役務の範囲の変更又は拡大は、非類似の商品若しくは役務に変更し、又は拡大する場合のみならず、他の類似の商品若しくは役務に変更し、又は拡大する場合も要旨の変更である。
  • 指定商品又は指定役務の範囲の減縮、誤記の訂正又は明瞭でない記載を明瞭なものに改めることは、要旨の変更ではない。

小売等役務に係る補正は、次のとおりとする。

  • 「衣料品、飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(総合小売等役務)を、その他の小売等役務(以下「特定小売等役務」という。)に変更する補正は、要旨の変更である。
  • また、特定小売等役務を総合小売等役務に変更する補正も、要旨の変更である。
  • 特定小売等役務について、その取扱商品の範囲を減縮した特定小売等役務に補正するのは要旨の変更ではないが、その取扱商品の範囲を変更又は拡大した特定小売等役務に補正するのは、要旨の変更である。
  • 小売等役務を商品に変更する補正も、また、商品を小売等役務に変更する補正も、要旨の変更である。

(2) 商標について

商標中の付記的部分に、「JIS」、「JAS」、「特許」、「実用新案」、「意匠」等の文字若しくは記号又は商品の産地・販売地若しくは役務の提供の場所を表す文字がある場合、これらを削除することは、原則として、要旨の変更ではない。

商標中の付記的部分でない普通名称、品質若しくは質の表示、材料表示等の文字、図形、記号又は立体的形状を変更し、追加し、又は削除することは要旨の変更である。

(例)

  • 商標「桜羊かん」のうち「羊かん」の文字を削除し、又は変更すること
  • 商標「桜」について「羊かん」の文字を追加すること
  • 商標「椿銀行」のうち「銀行」の文字を削除し、又は変更すること
  • 商標「椿」について「銀行」の文字を追加すること
  • 商標の色彩の変更は要旨の変更である。
  • 商標登録出願後、第5条第2項の規定による「立体商標」である旨の願書への記載を追加することによって平面商標を立体商標へ変更しようとすること、又は削除することによって立体商標を平面商標へ変更しようとすることは、原則として、要旨の変更である。
  • 商標登録出願後、第5条第3項の規定による「標準文字」である旨の願書への記載を補正によって追加又は削除することは、原則として、要旨の変更である。
  • 商標登録出願後、第5条第4項ただし書きの規定による色彩の適用を受けようとすることは、要旨の変更である。

2.国際商標登録出願については、第68条の18の規定により、第17条の2第1項において準用する意匠法第17条の3の規定は、適用しない。

第13 第64条(防護標章登録の要件)

第64条 商標権者は、商品に係る登録商標が自己の業務に係る指定商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている場合において、その登録商標に係る指定商品及びこれに類似する商品以外の商品又は指定商品に類似する役務以外の役務について他人が登録商標の使用をすることによりその商品又は役務と自己の業務に係る指定商品とが混同を生ずるおそれがあるときは、そのおそれがある商品又は役務について、その登録商標と同一の標章についての防護標章登録を受けることができる。

2 商標権者は、役務に係る登録商標が自己の業務に係る指定役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている場合において、その登録商標に係る指定役務及びこれに類似する役務以外の役務又は指定役務に類似する商品以外の商品について他人が登録商標の使用をすることによりその役務又は商品と自己の業務に係る指定役務とが混同を生ずるおそれがあるときは、そのおそれがある役務又は商品について、その登録商標と同一の標章についての防護標章登録を受けることができる。

3 地域団体商標に係る商標権に係る防護標章登録についての前2項の規定の適用については、これらの規定中「自己の」とあるのは、「自己又はその構成員の」とする。

1.「需要者の間に広く認識されている場合」とは、「著名の程度に至った場合」をいう。

2.著名度の判断基準については、次のとおりとする。

  • (1) 防護標章登録出願に係る登録商標(以下「原登録商標」という。)の使用開始時期、使用期間、使用地域、使用商品又は使用役務の範囲等の事実を考慮する。
  • (2) 原登録商標の広告、宣伝等の程度又は普及度について考慮する。
  • (3) 原登録商標権者の企業規模、営業関係(生産又は販売状況等)、企業の取扱い品目等について商品又は役務との関連を考慮し、当該企業の状況を考察する。
  • (4) 原登録商標の著名であることが特許庁において顕著な事実であるかどうかを検討する。

3.商品又は役務の出所の混同を生ずるか否かは、原登録商標の指定商品又は指定役務と防護標章登録出願の指定商品又は指定役務との関係について、次の事項を考慮し、総合的に判断するものとする。

  • (1) 非類似商品との関係では、生産者、販売者、取扱い系統、材料、用途等の見地からみて、また、非類似役務との関係では、提供者、提供内容、提供の用に供する物等の見地からみて、同一企業からでたものと一般的に認識されること
  • (2) (1)以外の場合であっても、商品又は役務の出所につき原登録商標権者と密接な関連があるものと一般的に認識されること

4.商品又は役務の普通名称を含む商標を、その商品又は役務以外の商品又は役務について防護標章登録出願をした場合であっても、他の要件を具備している限り、防護標章登録を認めるものとする。

第14 第65条の2、3及び4(防護標章登録に基づく権利の存続期間の更新登録)

第65条の2 防護標章登録に基づく権利の存続期間は、設定の登録の日から10年をもつて終了する。

2 防護標章登録に基づく権利の存続期間は、更新登録の出願により更新することができる。ただし、その登録防護標章が第64条の規定により防護標

章登録を受けることができるものでなくなつたときは、この限りでない。

第65条の3 防護標章登録に基づく権利の存続期間の更新登録の出願をする者は、次に掲げる事項を記載した願書を特許庁長官に提出しなければならない。

  • 一 出願人の氏名又は名称及び住所又は居所
  • 二 防護標章登録の登録番号
  • 三 前2号に掲げるもののほか、経済産業省令で定める事項

2 更新登録の出願は、防護標章登録に基づく権利の存続期間の満了前6月から満了の日までの間にしなければならない。

3 防護標章登録に基づく権利の存続期間の更新登録の出願をする者は、その責めに帰することができない理由により前項の規定により更新登録の出願をすることができる期間内にその出願ができなかつたときは、その理由がなくなつた日から14日(在外者にあつては、2月)以内でその期間の経過後6月以内に限り、その出願をすることができる。

4 防護標章登録に基づく権利の存続期間の更新登録の出願があつたときは、存続期間は、その満了の時(前項の規定による出願があつたときは、その出願の時)に更新されたものとみなす。ただし、その出願について拒絶をすべき旨の査定若しくは審決が確定し、又は防護標章登録に基づく権利の存続期間を更新した旨の登録があつたときは、この限りでない。

第65条の4 審査官は、防護標章登録に基づく権利の存続期間の更新登録の出願が次の各号の一に該当するときは、その出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければならない。

  • 一 その出願に係る登録防護標章が第64条の規定により防護標章登録を受けることができるものでなくなつたとき。
  • 二 その出願をした者が当該防護標章登録に基づく権利を有する者でないとき。

2 審査官は、防護標章登録に基づく権利の存続期間の更新登録の出願について拒絶の理由を発見しないときは、更新登録をすべき旨の査定をしなければならない。

1.商標原簿上の権利者の氏名若しくは名称又は住所若しくは居所と出願人のこれらの表示とが相違しているときは、その原簿上の権利者と出願人とは、同一人ではないものとする(例えば、一方の表示が「△△△株式会社」とあるのに対し他方の表示が「△△△カムパニー」とある場合)。

2.防護標章の更新登録出願の願書に誤って標章が記載され、又は指定商品若しくは指定役務が記載されているときは、それらの記載はないものとして取り扱うものとする。

3.防護標章の更新登録出願に係る登録防護標章が第64条の規定により防護標章登録を受けることができなくなったものであるか否かの判断においてはこの基準第13(第64条)の1.ないし3.を準用する。その場合には、特に原登録商標の使用状況を充分に勘案するものとする。

第15 第68条の9,10,11,12,13,15,16,17,18,20及び28(国際商標登録出願に係る特例)

第68条の9 日本国を指定する領域指定は、議定書第3条(4)に規定する国際登録の日(以下「国際登録の日」という。)にされた商標登録出願とみなす。ただし、事後指定の場合は、議定書第3条の3(2)の規定により国際登録に係る事後指定が議定書第2条(1)に規定する国際事務局の登録簿(以下「国際登録簿」という。)に記録された日(以下「事後指定の日」という。)にされた商標登録出願とみなす。

2 日本国を指定する国際登録に係る国際登録簿における次の表の上欄に掲げる事項は、第5条第1項の規定により提出した願書に記載された同表の下欄に掲げる事項とみなす。

  • 国際登録の名義人の氏名又は名称及びその住所
  • 国際登録の対象である商標
  • 指定商品又は指定役務並びに第六条第二項の政令で定める商品及び役務の区分
  • 商標登録出願人の氏名又は名称及び住所又は居所
  • 商標登録を受けようとする商標
  • 国際登録において指定された商品又は役務及び当該商品又は役務の類

第68条の10 前条第1項の規定により商標登録出願とみなされた領域指定(以下この章において「国際商標登録出願」という。)に係る登録商標

(以下この条において「国際登録に基づく登録商標」という。)がその商標登録前の登録商標(国際登録に基づく登録商標を除く。以下この条において「国内登録に基づく登録商標」という。)と同一であり、かつ、国際登録に基づく登録商標に係る指定商品又は指定役務が国内登録に基づく登録商標に係る指定商品又は指定役務と重複している場合であつて、国際登録に基づく登録商標に係る商標権者と国内登録に基づく登録商標に係る商標権者が同一であるときは、国際商標登録出願はその重複している範囲については、国内登録に基づく登録商標に係る商標登録出願の日にされていたものとみなす。

2 第68条の32第3項及び第4項の規定は、前項の国際商標登録出願に準用する。

  • 第68条の11 国際商標登録出願についての第9条第2項の規定の適用については、同項中「商標登録出願と同時」とあるのは、「国際商標登録出願の日から30日以内」とする。
  • 第68条の12 国際商標登録出願については、第10条の規定は、適用しない。
  • 第68条の13 国際商標登録出願については、第11条及び第65条の規定は、適用しない。
  • 第68条の15 国際商標登録出願については、第13条第1項において読み替えて準用する特許法第43条第1項から第4項までの規定は、適用しない。

2 国際商標登録出願についての第13条第1項において読み替えて準用する特許法第43条の2第3項において準用する同法第43条第1項の規定の適用については、同項中「特許出願と同時」とあるのは、「国際商標登録出願の日から30日以内」とする。

第68条の16 国際商標登録出願についての第13条第2項において準用する特許法第34条第4項の規定の適用については、同項中「相続その他の一般承継の場合を除き、特許庁長官」とあるのは、「国際事務局」とする。

2 国際商標登録出願については、第13条第2項において準用する特許法第34条第5項から第7項までの規定は、適用しない。

第68条の17 国際登録の名義人の変更により国際登録において指定された商品又は役務の全部又は一部が分割して移転されたときは、国際商標登録出願は、変更後の名義人についてのそれぞれの商標登録出願になつたも のとみなす。

第68条の18 国際商標登録出願については、第17条の2第1項又は第55条の2第3項(第60条の2第2項において準用する場合を含む。)において準用する意匠法第17条の3の規定は、適用しない。

2 国際商標登録出願については、第17条の2第2項において準用する意匠法第17条の4の規定は、適用しない。

第68条の20 国際商標登録出願は、その基礎とした国際登録が全部又は一部について消滅したときは、その消滅した範囲で指定商品又は指定役務の全部又は一部について取り下げられたものとみなす。

2 前条第1項の規定により読み替えて適用する第18条第2項の規定により設定の登録を受けた商標権(以下「国際登録に基づく商標権」という。)は、その基礎とした国際登録が全部又は一部について消滅したときは、そ

の消滅した範囲で指定商品又は指定役務の全部又は一部について消滅したものとみなす。

3 前2項の効果は、国際登録簿から当該国際登録が消滅した日から生ずる第68条の28 国際商標登録出願については、第15条の2(第55条の2第1項(第60条の2第2項において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)又は第15条の3(第55条の2第1項(第60条の2第2項において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)の規定により指定された期間内に限り、願書に記載した指定商品又は指定役務について補正をすることができる。

2 国際商標登録出願については、第68条の40の規定は、適用しない。

1.第68条の10(国際商標登録出願の出願時の特例)については次のとおり取り扱うものとする。

(1)第68条の10の適用を受けることができるのは、当該国際商標登録出願の査定時において有効に存続している国内登録に基づく登録商標(以下「国内登録商標」という)であって、同条に規定する要件をすべて満たしている場合に限るものとし、例えば、出願中の商標又は国際商標登録出願に基づく登録に係る商標については適用されないものとする。

(2)国際商標登録出願と国内登録商標に係る指定商品又は指定役務が重複しているか否かの判断は、次のとおりとする。

  • 国際商標登録出願に係る指定商品又は指定役務が、当該国内登録商標の出願時には存在していないという充分な心証を得られたときは、重複しているものとはしない。
  • 国際商標登録出願に係る指定商品が、当該国内登録商標の出願時に存在していないものであっても、(1)の基準にかかわらず、商品の品質、形状、用途、機能等及び当該商品が属すべき指定商品のもつ商品概念並びに取引の通念を総合的に勘案して、当該国内登録商標に係る指定商品と実質的に同一種類のものとみられる場合は、当該指定商品と重複しているものとする。また、国際商標登録出願に係る指定役務についても、指定商品の場合と同様に取り扱うものとする。

ただし、例えば、当該指定商品が「木製机」のように特定されている場合に「金属製机」まで重複しているものと取り扱うものではない。

(3)国際商標登録出願に係る商標と国内登録商標に係る商標との同一については、厳格に解し、その構成及び態様が同一(相似形のものを含む。)のものに限るものとする。

(4)国際商標登録出願が2以上の商品又は役務を指定している場合であって、重複に係る国内登録商標が1又は2以上ある場合について、第68条の10の規定により出願の日が遡及するか否かは、それぞれ国内登録商標との関係で第68条の10が規定する要件を満たすものであるかを考察し、要件を満たすものである場合は、その指定商品又は指定役務ごとにそれぞれ国内登録商標における出願の日に遡及するものとする。

2.国際商標登録出願に係る商標の補正は、国際登録の性質上、これをすることができない。

第16 附則第2条、第3条、第4条、第6条、第11条、第12条及び第24条(書換)

附則

第2条 平成4年3月31日までにされた商標登録出願に係る商標権を有す る商標権者は、申請により、次条第1項の申請書の提出の日に効力を有す る第6条第2項の政令で定める商品及び役務の区分に従つて、その商標権 の指定商品の書換の登録(以下「書換登録」という。)を受けなければな らない。

2 特許庁長官は、書換登録の申請及びその審査の状況を勘案して、前項の 規定により指定商品の書換登録を受けなければならない商標権の範囲及び書換登録の申請の受付を開始する日(次条第2項において「受付開始日」 という。)を指定するものとする。

第3条 書換登録の申請をする者は、次に掲げる事項を記載した申請書に必 要な説明書を添付して特許庁長官に提出しなければならない。

  • 一 申請者の氏名又は名称及び住所又は居所
  • 二 商標登録の登録番号
  • 三 書換登録を受けようとする指定商品並びに前条第1項に規定する商品 及び役務の区分

2 書換登録の申請は、受付開始日から起算して6月に達する日以後最初に 到来する商標権の存続期間の満了の日(以下「存続期間満了日」という。 )から起算して前6月から存続期間満了日後1年までの間にしなければな らない。

3 書換登録の申請をすべき者がその責めに帰することができない理由により前項に規定する期間内にその申請をすることができないときは、同項の 規定にかかわらず、その理由のなくなつた日から14日(在外者にあつて は、2月)以内でその期間の経過後6月以内にその申請をすることができ る。

第4条 書換登録の申請は、その申請に係る商標権の指定商品の範囲を実質 的に超えないように、附則第2条第1項に規定する商品及び役務の区分に 従つてしなければならない。

2 書換登録の申請をする者は、第35条において準用する特許法第97条 第1項(放棄)に規定する者があるときは、これらの者の承諾を得なけれ ばならない。

第6条 審査官は、書換登録の申請が次の各号の一に該当するときは、その 申請について拒絶をすべき旨の査定をしなければならない。

  • 一 その申請が、附則第4条第1項に規定する要件を満たしていないとき。
  • 二 その申請をした者が当該商標権者でないとき。

第11条 書換登録の申請をすべき者が附則第3条第2項若しくは第3項に 規定する期間内に書換登録の申請をしなかつた場合、書換登録の申請につ いて拒絶をすべき旨の査定若しくは審決が確定した場合、附則第14条第 1項の審判において書換登録を無効にすべき旨の審決が確定した場合又は 附則第27条第2項において準用する特許法第18条第1項若しくは同法 第18条の2第1項の規定により書換登録の申請が却下された場合には、 その商標権は、存続期間満了日の後に到来する存続期間の満了の日に消滅 する。

第12条 書換は、登録によりその効力を生ずる。

2 附則第8条の査定があつたときは、商標権の指定商品を書き換えた旨の 登録をする。

3 前項の場合において、申請書に記載されなかつた指定商品に係る商標権 は、登録の時に消滅する。

4 第2項の登録があつたときは、次に掲げる事項を商標公報に掲載しなけ ればならない。

  • 一 申請者の氏名又は名称及び住所又は居所
  • 二 商標登録の登録番号
  • 三 書換登録前の指定商品及び商品の区分
  • 四 書換登録後の指定商品並びに商品及び役務の区分
  • 五 商標登録出願の年月日
  • 六 書換登録の年月日
  • 七 前各号に掲げるもののほか、必要な事項

第24条 書換登録の申請その他書換登録に関する手続をした者は、事件が 審査、審判又は再審に係属している場合に限り、その補正をすることがで きる。

1.附則第6条第1号については、次のとおり取り扱うものとする。

  • (1) 書換登録を受けようとする指定商品がその書換申請に係る商標権の指定
  • 商品の範囲を実質的に超えている場合ばかりでなく、書換登録を受けようとする指定商品が商品及び役務の区分に従っていない場合も、「附則第4条第1項に規定する要件を満たしていないとき」に該当する。
  • (2) 当該商品及び役務の区分は、申請書の提出の日に効力を有する商品及び役務の区分である。
  • (3) 書換登録を受けようとする指定商品がその商標権に係る商標登録出願の時に存在していないという充分な心証を得たときは、商標権の指定商品の範囲を実質的に超えているものとして、拒絶するものとする。
  • (4) (3)の基準にかかわらず、商品の品質、形状、用途、機能等及び当該商品が属すべき指定商品のもつ商品概念並びに取引の通念を総合的に勘案して、当該指定商品と実質的に同一種類のものとみられる場合は、当該指定商品に属するものとして取り扱うものとする。

ただし、例えば、当該指定商品が「木製机」のように特定されている場合に「金属製机」まで指定商品に属するものとして取り扱うものではない。

2.書換登録を受けようとする商品については、書換申請書に記載した商品(先に手続補正書の提出があった場合においては、補正後の商品を含む。)を変更又は拡大する補正も認めるものとする。

ただし、書換申請に係る商標権の指定商品の範囲を実質的に超える商品に補正したときは、附則第6条第1号に該当するものとして、当該書換申請を拒絶するものとする。

3.書換申請中の商標権が消滅した場合(例えば、存続期間の更新の申請がないため又は更新申請が却下されたために存続期間が更新されずに満了した場合、当該商標権の全指定商品について放棄、無効又は取消しがあった場合等)には、当該書換申請を却下するものとする。

4.書換申請中の商標権の指定商品の一部について放棄、無効又は取消しがあった場合において、当該一部指定商品が書換登録を受けようとする商品と同一であるか、又は含むものであるときは、商標権の指定商品の範囲を実質的に超えるものとして、その書換申請を拒絶するものとする。

第17 その他

1.2以上の拒絶の理由を発見したときは、原則として、同時にすべての拒絶の理由を通知することとする(その中には、例えば第6条に基づく拒絶の理由も含まれるものとする。)。

2.第6条に基づく拒絶の理由に応答して商品等の説明のみを内容とする意見書等が提出された場合であっても、新たに他の拒絶の理由を発見したときには、本基準第5(第6条)の5.による補正を指示することなく、当該他の拒絶の理由を通知することができるものとする。

3.代理人を解任せず新たに他の代理人を追加委任したときは、書類は、新たな代理人にあて送付するものとする。ただし、前の代理人にあて送付してもらいたい旨の申出があったときは、この限りでない。

4.第4条第1項第11号等の審査においては、手続の補完がされた商標登録出願については、第5条の2第4項により手続補完書を提出した日が商標登録出願の日と認定されていることに充分留意するものとする。

5.第11条及び第12条に規定する「査定・・・が確定した」時とは、登録査定にあっては登録査定謄本の送達があった時とする。

6.同一人が同一の商標について同一の商品又は役務を指定して重複して出願したときは、第68条の10の規定に該当する場合を除き、原則として、先願に係る商標が登録された後、後願について「商標法制定の趣旨に反する。」との理由により、拒絶をするものとする。商標権者が登録商標と同一の商標について同一の商品又は役務を指定して登録出願したときも、同様とする。

7.防護標章の更新登録出願をすることができる期間内に防護標章登録に基づく権利を有する者から同一の登録防護標章について重複して2以上の防護標章の更新登録出願があったときは、先願に係る存続期間更新の登録がされた後、後願について「商標法制定の趣旨に反する。」との理由により、拒絶をするものとする。

第18 意匠法等の一部を改正する法律

(平成18年法律第55号)附則第7条及び第8条

(特例小売商標登録出願)

(施行後三月間にした商標登録出願についての特例)

第七条 この法律の施行の日から起算して三月を経過する日までの間にした商標登録出願であって、小売等役務について使用をする商標に係るもの(以下この条において「特例小売商標登録出願」という。)についての商標法第四条第一項(第十一号に係る部分に限る。)の規定の適用については、同号中「するもの」とあるのは、「するもの(その商標登録に係る指定役務が第二条第二項に係るものである場合において、同項に係る役務について使用をするものを除く。)」とする。

2 特例小売商標登録出願についての商標法第四条第一項(第十三号に係る部分に限る。)の規定の適用については、同号中「するもの」とあるのは、「するもの(その商標権に係る指定役務が第二条第二項に係るものである場合において、同項に係る役務について使用をするものを除く。)」とする。

3 特例小売商標登録出願についての商標法第八条第一項の規定の適用については、同項中「役務」とあるのは、「役務(第二条第二項に規定する役務を除く。)」とする。

4 特例小売商標登録出願についての商標法第八条第二項の規定の適用については、当該特例小売商標登録出願は、同日にしたものとみなす。

(使用に基づく特例の適用)

第八条 前条第四項の規定により同日にしたものとみなされた二以上の商標登録出願がある場合において、その商標登録出願がこの法律の施行前から自己の業務に係る小売等役務について日本国内において不正競争の目的でなく使用をしている商標について商標登録を受けようとするものであるときは、その商標登録出願人は、使用に基づく特例の適用を主張することができる。

2 使用に基づく特例の適用を主張しようとする者は、商標法第八条第四項の規定により指定された期間内に、その旨を記載した書面及びその商標登録出願が次の各号のいずれにも該当することを証明するために必要な書類を特許庁長官に提出しなければならない。

  • 一 その商標登録出願に係る商標がこの法律の施行前から日本国内において自己の業務に係る小売等役務について使用をしているものであること。
  • 二 その商標登録出願に係る指定役務が前号の小売等役務であること。

3 使用に基づく特例の適用の主張を伴う商標登録出願であって、前項各号のいずれにも該当するもの(以下この条において「使用特例商標登録出願」という。)についての商標法第四条第一項(第十号に係る部分に限る。)の規定の適用については、同項第十号中「使用をするもの」とあるのは、「使用をするもの(自己の業務に係る役務(第二条第二項に規定する役務に限る。)を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標であつてその役務について使用をするものを除く。)」とする。

4 第一項に規定する場合において、当該二以上の商標登録出願のいずれかが使用特例商標登録出願であるときは、商標法第八条第五項の規定の適用については、同項中「特許庁長官が行う公正な方法によるくじにより定めた一の商標登録出願人」とあるのは、「意匠法等の一部を改正する法律(平成十八年法律第五十五号)附則第八条第三項に規定する使用特例商標登録出願の商標登録出願人(当該使用特例商標登録出願が二以上あつたときは、それらの使用特例商標登録出願の商標登録出願人)」とする。

5 商標法第二十四条の四及び第五十二条の二の規定は、前項の規定により読み替えられた同法第八条第五項の規定の適用により、同一又は類似の小売等役務について使用をする同一又は類似の二以上の登録商標に係る商標権について異なった者を商標権者とする設定の登録があった場合に準用する。

1.先後願に関する審査の特例(附則第7条関係の特例)

(1) 小売等役務に係る商標登録出願についての先後願の審査は、次のとおり扱うこととする。

  • 平成19年4月1日から同年6月30日までの間(以下「特例期間」という。)にした商標登録出願であって、小売等役務について使用をする商標に係る出願(以下「特例小売商標登録出願」という。)については、小売等役務について使用する商標を引用商標としては、商標法第4条第1項第11号及び第13号並びに第8条第1項を適用しない。
  • 特例期間内に、同一又は類似の小売等役務について使用をする同一又は類似の商標について2以上の特例小売商標登録出願があるときは、特例小売商標登録出願が改正法附則第7条第4項により同日出願とみなされることから、商標法第8条第4項の協議命令を発するとともに、同条第2項及び第5項の拒絶理由を通知する。
  • 特例小売商標登録出願について、商品について使用をする商標又は小売等役務以外の役務について使用する商標を引用商標とする場合は、出願日を基準に先後願を判断し、商標法第4条第1項第11号及び第13号並びに第8条第1項及び第2項を適用する。

(2) 特例期間内の商品又は小売等役務以外の役務に係る商標登録出願については、小売等役務について使用する商標を引用商標とする場合を含め、出願日を基準に先後願を判断し、商標法第4条第1項第11号及び第13号並びに第8条第1項及び第2項を適用する。

(3) 特例期間中に出願された商標のうち、先後願の審査の特例(附則第7条及び第8条)が適用されるのは、小売等役務について使用する商標のみであって、同一の商標登録出願において小売等役務のほかに商品や小売等役務以外の役務が指定されていたとしても、商品に係る商標や小売等役務以外の役務に係る商標の部分についてまで先後願の審査の特例は適用されない。

2.使用に基づく特例の適用(附則第8条第1項及び第2項関係)

(1) 使用に基づく特例の適用に関する判断において、その特例小売商標登録出願が次の(1)及び(2)に該当するか否かは、附則第8条第2項に従って協議命令の指定期間内に提出された書類によって判断することとする。

  • 出願に係る商標が施行前から日本国内において自己の業務に係る小売等役務について使用しているものであること。
  • 出願に係る指定役務が(1)の小売等役務であること。

(2) 上記(1)の(1)における施行前からの商標の使用は、原則として、出願人でなければならない。

(3) 特例小売商標登録出願に係る商標の使用を証明するために必要な書類において、商標が商品や商品の包装、商品の価格表、取引書類、広告自体に表示されている場合には、その表示態様に応じて、商標が個別具体的な商品の出所を表示しているのか、または、取扱商品に係る小売等役務の出所を表示しているのかを考察し、小売等役務についての使用であるか否かを判断するものとする。

(4) 附則第8条第2項の規定による書類が形式的には提出されていたとしても、その特例小売商標登録出願が次の?又は?のいずれかに該当すると認められるときは、使用に基づく特例の適用を認めないこととする。

その結果、その特例小売商標登録出願が商標法第8条第5項により商標登録を受け得る出願と認められない場合であっても、直ちにくじの実施の通知や、商標法第8条第5項による拒絶査定をするのでなく、その特例小売商標登録出願が次の?又は?のいずれかに該当するために使用に基づく特例の適用を認められない旨を通知し、出願人に反論の機会を与えることとし、その反論をもってしても、依然として次の?又は?のいずれかに該当すると判断されるときに、くじの実施の通知又は商標法第8条第5項による拒絶査定を行うこととする。

  • 附則第8条第2項に従って提出された書類によって、その特例小売商標登録出願が附則第8条第2項各号に該当すると認められなかった場合。
  • 出願人による小売等役務についての商標の使用が不正競争の目的によるものであると認められる場合。

3.使用に基づく特例を適用した特例小売商標登録出願の審査(附則第8条第3項及び第4項関係)

(1) 使用に基づく特例の適用が認められる特例小売商標登録出願(以下「使用特例商標登録出願」という。)については、その出願に係る商標が他人の周知商標と同一又は類似の関係(同一又は類似の商品又は役務について使用する同一又は類似の商標であること)にあったとしても、使用特例商標登録出願に係る商標が出願人の業務に係る小売等役務を表示するものとして周知であるときは、商標法第4条第1項第10号の規定は適用しない。

ただし、当該使用特例商標登録出願に係る商標より他人の周知商標の方が著名と認められるときは、出所の混同を生ずるおそれがある商標として当該使用特例商標登録出願に商標法第4条第1項第15号の規定を適用するものとする。

(2) 複数の特例小売商標登録出願について商標法第8条第4項の規定による協議命令があった場合には、他の拒絶理由が存在しない限り、使用特例商標登録出願を優先的に登録することとする。その場合において、使用特例商標登録出願が2以上あるときは、それぞれの使用特例商標登録出願が重複して登録し得ることとする。

なお、使用に基づく特例の適用がない特例小売商標登録出願については、原則として、使用特例商標登録出願を登録した後に、附則第8条第4項の規定により読み替えて適用する商標法第8条第5項の規定に違反することを理由に拒絶査定をすることとする。

4.附則第8条第5項において準用する商標法第52条の2第1項の審判において商標登録を取り消すべき旨の審決が確定した日から5年を経過していない場合においても、商標法第51条第2項の適用があるものとする。

5.国際商標登録出願についても上記1.ないし4.を適用する。