索 引
1. 傘が語る4000年の物語
梅雨の季節になると、私たちの生活に欠かせない道具として真っ先に思い浮かぶのが傘です。関東甲信地方では7月中旬頃に梅雨明けを迎えますが、日本各地には年間を通して雨の多い地域も存在します。そんな雨の日の必需品である傘には、実は4000年もの長い歴史が隠されているのをご存知でしょうか。
傘が雨具として使われるようになったのは200年ほど前のことなのです。それまでの歴史の中で、傘は日差しを遮る日傘として、あるいは権威や地位を示す象徴的な道具として使われていました。古代エジプトや中国では、傘を持つことができるのは特権階級に限られており、その大きさや装飾の豪華さが持ち主の地位を表していたのです。
1928年に入ると、画期的な発明が生まれました。それまで開いたままだった傘に、折りたたみ機能が加わったのです。この革新により、傘の携帯性が飛躍的に向上し、より多くの人々が日常的に使えるようになりました。傘の持ち手をステッキのように曲げるという、一見些細な工夫が人気を呼び、傘の普及に大きく貢献したという背景です。
4000年という長い時を経ても、傘の基本的な形状はほとんど変わっていません。しかし、その中で無数の小さな改良が積み重ねられ、現代の私たちが使う便利な道具へと進化してきました。そして今も、傘は進化を続けています。機能性とデザイン性を兼ね備えた現代の傘たちは、もちろん商標登録によってその独自性が保護されているのです。
2. 傘の進化形。背中のリュックを守る革新的な非対称デザイン
現代人の悩みに答える製品が、Wpc.の「バックプロテクトアンブレラ」です。通勤・通学でリュックを背負う人なら誰もが経験したことがある背中が濡れる問題。傘をさしていても、どうしても背中のリュックが濡れてしまう。ノートパソコンや重要書類、教科書など、濡らしたくないものを背負っているときの、諦めの気持ち。
この長年の課題に対して、Wpc.が提案したのは実にシンプルで革新的な解決策でした。
傘を非対称にすればいい。後方部分がスライドして伸びる構造により、背中側のカバー範囲を拡大。親骨60cm、直径106cmから最長119cmまで伸縮する天蓋は、背中に小さな屋根を作るかのようにリュックを雨から守ります。
さらにこの傘は紫外線防止効果も備えており、晴雨兼用として使えます。梅雨が明けた後の強い日差しからも身を守ってくれる、まさに一年中活躍する相棒となります。
使用者からは「通勤時にリュックが濡れなくなって本当に助かる」「学生の必需品」といった声が寄せられています。確かに非対称な形状ゆえに、最初は畳む際に少し戸惑うかもしれません。しかし、その小さな手間を補って余りある利便性が、多くのユーザーに支持される理由となっています。
3. 雨の日専用靴からの解放:New Balanceが示す新たな選択肢
レインブーツは雨の日の機能性を優先し、ファッション性は二の次。晴れた日には決して履くことのない、雨の日専用の靴。そんな固定観念を打ち破る製品が、New Balanceの「M2002RX (GORE-TEX)」です。
このスニーカーの革新性は、見た目からは想像しにくいところにあります。一見すると、普通のNew Balanceのスニーカー。しかし、その内部にはGORE-TEX技術が完璧に統合されており、完全防水でありながら透湿性も確保しているのです。
これは単なる防水スニーカーではありません。雨の日も晴れの日も、オフィスでもカジュアルな場面でも、シームレスに履き続けられる「全天候型ライフスタイルシューズ」なのです。
GORE-TEXの優れた点は、防水性だけでなく透湿性を持つことです。従来のラバーブーツでは、水は防げても内部の湿気が逃げず、長時間履いていると足が蒸れて不快になります。
しかしM2002RXは、外からの水は完全にシャットアウトしながら、内部の湿気は外に逃がす。この相反する機能を両立させることで、一日中快適な履き心地を実現しています。
さらに、オリジナルのM2002が持つクッション性の高いソールはそのまま継承。長時間の歩行でも疲れにくく、雨の日の憂鬱な気分を軽やかにしてくれます。スタイル、快適性、そして全天候対応という三拍子が揃った、まさに現代のライフスタイルに最適な一足と言えるでしょう。
4. アウトドア技術が街に降りてきた:ミレー「ティフォン50000ストレッチジャケット」
都市生活者にとって、雨具選びにジレンマがあります。機能性を求めれば見た目が犠牲になり、デザイン性を優先すれば濡れてしまう。そんな二者択一に終止符を打つのが、ミレーの「ティフォン50000ストレッチジャケット」です。
商品名に含まれる「50000」という数字は、透湿性の数値を表しています。これは、24時間で1平方メートルあたり50000gもの水蒸気を通すという驚異的な性能を意味します。多くの高性能素材でも20000〜25000程度が一般的な中、この数値は群を抜いています。しかも、耐水圧20000mmという高い防水性能も同時に実現。激しい雨でも内部への浸水を防ぎます。
このジャケットの真の革新性は「ストレッチ」にあります。従来のハードシェルジャケットは、防水性能と引き換えに硬く、動きづらく、着用時に「シャカシャカ」という不快な音を立てるものでした。
ティフォン50000は、まるでソフトシェルのような柔らかさとしなやかさを持ち、日常の動作を妨げません。電車の中で腕を上げても、自転車に乗っても、違和感なく動けるのです。
デザイン面でも都市生活を意識した工夫が随所に見られます。ミニマルでマットな質感は、ビジネスカジュアルにも違和感なく溶け込みます。ポケットの位置はリュックのストラップと干渉しないよう計算され、フードは風の強い都市部でも安定するよう高度に調整可能。過酷な登山環境で培われた技術を、都市という新たなフィールドに最適化した製品と言えるでしょう。
2025年注目のレイングッズ
製品名 | 分類 | イノベーション | 価格帯 | ユーザー層 |
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Wpc.「バックプロテクトアンブレラ」 | 傘 | 非対称の天蓋がリュックを雨から守る | 3,500円 – 4,000円 | 日常的にリュックを利用する通勤者、学生、プロフェッショナル |
New Balance「M2002RX (GORE-TEX)」 | スニーカー | 定番のファッショナブルなスニーカーにGORE-TEXをシームレスに統合 | 20,000円 – 22,000円 | 日常の美学を犠牲にせず全天候型の保護を望む、スタイル重視の都市生活者 |
ミレー「ティフォン50000ストレッチジャケット」 | ジャケット | 驚異的な透湿性と伸縮性素材が、活動的なシーンで比類なき快適さを提供 | 35,000円 – 40,000円 | 技術的性能と一日中の快適さを重視する、アクティブな通勤者や都市探検家 |
5. 商標が守る、雨の日のイノベーション
これらの革新的な製品に共通するのは、単に雨を防ぐだけでなく、雨の日の生活をより豊かにしようという発想です。そして、それぞれの製品名は商標登録によって保護されています。実は、これらの便利グッズの中には、商標権だけでなく特許権や実用新案権を取得しているものも少なくありません。
商品名を見ていくと、興味深い傾向が見えてきます。「バックプロテクトアンブレラ」は機能をそのまま表現した分かりやすさ、「ティフォン50000」は性能を数値で示す説得力、そして各ブランド名との組み合わせによる信頼性。これらの商標は、単なる名前以上の価値を持ち、消費者との約束として機能しているのです。
中には、2つの言葉を掛け合わせたダジャレのような、思わずクスッと笑ってしまう商標も存在します。こうした遊び心のある命名は、雨の日の憂鬱な気分を少しでも明るくしたいという、開発者の想いの表れかもしれません。
次に雨が降ったら、あなたが使っている傘や雨具の商標を確認してみてはいかがでしょうか。
そこには、雨の日を少しでも快適にしたいという開発者の工夫と、それを守る知的財産権の世界が広がっているはずです。商標登録は、単なる法的保護ではなく、私たちの生活を豊かにするイノベーションを支える重要な仕組みなのです。
ファーイースト国際特許事務所所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247