索 引
1. 商標登録区分の第5類:医薬品・サプリメントなど〔2025年最新版〕
第5類の見出し
- 医療用薬剤、医療用剤及び獣医科用剤
- 医療用の衛生剤
- 食餌療法用食品・飲料・薬剤(獣医科用のものを含む。)、乳児用食品
- サプリメント・動物用サプリメント(薬剤に属するものを除く。)
- 膏薬、包帯
- 歯科用充てん材料、歯科用ワックス
- 消毒剤
- 有害動物駆除剤
- 殺菌剤、除草剤
注釈:
第5類には、主として、薬剤及び他の医療用剤又は獣医科用剤を含む。
2. 商標登録区分の第5類に含まれるもの
第5類には、特に、次の商品を含む
- 身体衛生用剤(化粧品を除く。)
- 乳児用及び失禁用おむつ
- 防臭剤(人用及び動物用のものを除く。)
- 医療用シャンプー、医療用せっけん、医療用ローション及び医療用歯磨き
- 通常の食事を補うため又は健康に益するためのサプリメント
- 医療用又は獣医科用の食事の代替品並びに食餌療法用食品及び飲料(獣医科用のものを含む。)
3. 商標登録区分の第5類に含まれないもの
- 医薬品製造用成分、例えば、ビタミン、保存剤及び酸化防止剤(第1類)
- 化粧品(医療用のものを除く。)、せっけん類(医療用のものを除く。)及び歯磨き(医療用のものを除く。)としての衛生剤(第3類)
- 人用又は動物用の防臭剤(第3類)
- 支持包帯、整形外科用包帯(第10類)
- 食事の代替品並びに食餌用食品及び飲料(医療用又は獣医科用のものを除く。)であって適当な食品又は飲料の類に分類されるもの、例えば、低脂肪のポテトチップス(第29類)、高タンパク質シリアルバー(第30類)、アイソトニック飲料(第32類)
4. 詳細解説
薬剤 医療用試験紙(01B01, 01B02)
1. 薬剤(農薬に当たるものを除く。)医療用試験紙(01B01)
「薬剤(農薬に当たるものを除く。)」に該当する商品は、次のものです:
(1) 薬機法に規定する「医薬品」の大部分
薬機法の規定に基づく日本薬局方の規格に適合し、医薬品として取引される商品は、物質そのものとしては、第1類に属する「化学品」、第4類に属する「工業油脂」、第30類に属する「調味料」等と同様のものであっても、この商品に含まれます。
(2) 薬機法に規定する「医薬部外品」のうち、治療を目的とする等の商品
「医薬部外品」のうち「医療用ベビーパウダー」「医療用ベビーオイル」は、この商品に含まれます。
ただし、「医薬部外品」であっても、その使用目的において身体を清潔にし、美化し、魅力を増す等の用途に使用されるもの、例えば、「医療用化粧品」は、この商品と類似する商品として本類に属します。
以下、薬効又は用途による分類が示されています:
(ア) 感覚器官用薬剤
「眼科用剤」「耳鼻科用剤」は、眼科又は耳鼻科に特有なものが多いので特に列挙。これらには、眼科又は耳鼻科に専用される薬剤だけが含まれます。
ただし、抗生物質を製剤したものは、この概念には含まれず、「抗生物質製剤」に属します。
(イ) 消化器官用薬剤
抗生物質を製剤したものは、この概念には含まれず、「抗生物質製剤」に属します。
「歯科用剤」は、「眼科用剤」「耳鼻科用剤」と同様の分類です。
(ウ) 外皮用薬剤
「化のう性疾患用剤」「寄生性皮膚疾患用剤」は、化学療法剤であっても、内服用ではなく外皮用として用いられるものは、この概念に属します。
「医療用せっけん」は「外皮用薬剤」に属します。
「毛髪用剤」は、医薬品として取引されるものだけが「外皮用薬剤」に該当し、「頭髪用化粧品」としての「ヘアトニック」等は含まれません。
(エ) 滋養強壮変質剤
「糖類剤」は医薬品として取引されるぶどう糖等です。
「薬用酒」は成分としてはほとんど同じ酒でも、医薬品として取引される場合は「薬用酒」であり、酒類として取引される場合は、第33類「薬味酒」に含まれます。
(オ) 抗生物質製剤
内服薬をはじめ、抗生物質を製剤したものは、すべてこの概念に属します。
(カ) 化学療法剤
内服薬のみがこの概念に属します。塗布薬は「外皮用薬剤」に属します。
(キ) 調剤用剤
それ自体としては何ら薬効を持たないが、薬を飲みやすいようにするために加えるものです。
「矯味剤」は、サッカリン、砂糖等の第1類「工業用人工甘味料」、第30類「調味料」に属するものとほとんど同じであっても、日本薬局方の規定に合い、かつ医薬品として取引されるものはここに属します。
(ク) その他
「蚊取線香」ないし「防腐剤(農薬に当たるものを除く。)」
「殺菌剤」は、水道殺菌、衣料殺菌、器具殺菌等、公衆衛生を目的として用いられるものは、この概念に属しますが、水稲殺菌、園芸殺菌等の農業用に使用される「殺菌剤」は、この概念に属さず、本類「殺菌剤(農薬に当たるものに限る。)」に属します。
なお、人間の身体に直接つけて菌を殺す医薬品(例えば「皮膚用殺菌消毒剤」)は「外皮用薬剤」に属します。
また、これらの商品と類似群は同じですが、第3類(口臭用消臭剤 動物用防臭剤)に属する商品が存在します。
2. 農薬関連(01B02)
「燻蒸剤(農薬に当たるものに限る。) 殺菌剤(農薬に当たるものに限る。) 殺そ剤(農薬に当たるものに限る。) 殺虫剤(農薬に当たるものに限る。) 除草剤 防虫剤(農薬に当たるものに限る。) 防腐剤(農薬に当たるものに限る。)」
これらの商品は、「薬剤」に該当する商品のうち「農薬」と定義される商品の大部分が該当します。
農薬取締法によると、「農薬」とは、農作物(樹木及び農林産物を含む。)を害する菌、線虫、だに、昆虫、ねずみ、草その他の動植物又はウイルスの防除に用いられる殺菌剤、殺虫剤、除草剤その他の薬剤及び農産物等の生理機能の増進又は抑制に用いられる成長促進剤、発芽抑制剤その他の薬剤をいいます。
ただし、これらの商品と類似群が同じ「植物育成剤」「植物ホルモン剤」「発芽抑制剤」等、一般に「植物成長調整剤類」と呼ばれている商品は、第1類に属します。
医療用衛生材料(01C01)
「医療用油紙 医療用接着テープ 医療用綿棒 オブラート ガーゼ カプセル 眼帯耳帯 生理帯 生理用タンポン 生理用ナプキン 生理用パンティ 脱脂綿 ばんそうこう 包帯 包帯液 胸当てパッド」
これらの商品は、主として薬局、薬店で販売され、一般に家庭でも使われる衛生用品が該当しますが、これらの商品中には薬機法の医薬品の一部(例えば、ガーゼ、脱脂綿等)や医師が使用する「ガーゼ」「脱脂綿」も含まれます。
「医療用綿棒」は、医療現場において、病原体の採取、患部の消毒等に使用される綿棒が該当し、外科、内科、小児科、耳鼻科、産科等、各科の用途に合わせた様々な形状のものが含まれます。
なお、この商品とは類似群が一部異なりますが、綿棒のうち、一般家庭で使用される商品は第3類「化粧用綿棒」に属します。
「胸当てパッド」は、母乳の漏れを防ぐためのパッドが該当します。
また、これらの商品と類似群が同じですが、第8類(ピンセット)、第10類(医療用指サック 衛生マスク 等)、第21類(デンタルフロス)に属する商品が存在します。
歯科用材料(01C03)
専ら歯科医師が使用する医療関係品には、器具器械と材料的なものとがありますが、「歯科用材料」は、専ら歯科医師が使用する医療関係品のうち、材料的な商品で、薬剤を除いたものが該当します。
また、この商品と類似群が同じ「人工鼓膜用材料 補綴充てん用材料(歯科用のものを除く。)」は第10類に属します。
なお、この商品と類似群が異なる商品ですが、専ら歯科医師が使用する医療関係品のうち、器具器械に該当する商品は、第10類「医療用機械器具(「歩行補助器・松葉づえ」を除く。)」中の「歯科用機械器具」に属します。
おむつ関連(17A10)
「おむつ おむつカバー」
これらの商品は、乳児用又は大人用等の商品の用途、布製又は紙製等の材質を問わず、本類に属します。
なお、愛玩動物等の動物用のものは、これらの商品とは類似群が異なりますが、本類に属します。
参照:商品のアルファベット順一覧表
- 第5類「diapers for pets」(ペット用おむつ 19B33)
害虫駆除関連(19B30, 25A01)
「はえ取り紙」(19B30)
この商品は、はえの駆除用品の一種で、誘引剤が付いた粘着テープを天井や鴨居などから吊し、寄ってくるはえを捕獲するものが該当します。
また、この商品と類似群が同じ「ねずみ取り器 はえたたき」は第21類に属します。
「防虫紙」(25A01)
この商品は、蛾その他の虫類の食害を防ぐために石炭酸、ナフタリン等の化学薬品を塗布した紙が該当します。
なお、この商品と類似群は同じですが、第1類(試験紙(医療用のものを除く。))、第16類(紙類)、第17類(コンデンサーペーパー バルカンファイバー)及び第27類(壁紙)に属する商品が存在します。
食品・栄養補助関連
乳幼児用粉乳(31D01)
この商品は、主に出生から離乳期までの乳幼児の育児用として適するように乳の成分を調整したものが該当します。
また、この商品と類似群は同じですが、第29類(乳製品)、第30類(アイスクリームのもと シャーベットのもと)及び第32類(乳清飲料)に属する商品も存在します。
なお、乳幼児の飲食に供することを目的とした「乳幼児用飲料」や「乳幼児用食品」は、この商品とは類似群が異なりますが、本類に属します。
サプリメント(32F15)
この商品は、人体に欠乏しやすいビタミン・ミネラル・アミノ酸・不飽和脂肪酸などを、錠剤・カプセル・飲料などの形にしたもので、医薬品に該当しない商品です。
なお、専ら愛玩動物等の動物に与える栄養補助を目的とした「栄養補助用飼料添加物(薬剤に属するものを除く。)」は、この商品と類似群は異なりますが、本類に属します。
食餌療法用飲料・食品(32F16)
これらの商品には、食物の品質・成分・分量などを調節して、疾病を治療し、又は罹患臓器を庇護しながら全身栄養を全うすることを目的として製造・販売されている飲料・食品が該当します。
乳幼児用飲料・食品(32F17)
これらの商品には、乳幼児の飲食に供することを目的としたものであり、いわゆるベビーフードや、特に乳幼児用に加工した飲料や食品が含まれます。
なお、主に出生から離乳期までの赤ちゃんの育児用として適するように乳の成分を調整した「乳幼児用粉乳」は本類に属しますが、これらの商品には含まれません。
また、幼児の飲食に供する食品であっても、例えば、第29類「幼児用の野菜を主原料とする惣菜」、第30類「幼児用の調理済み麺類」のように、通常の食品に類するものと考えられて、第29類又は第30類に属する商品も存在します。
動物関連製品
栄養補助用飼料添加物(33B01)
この商品は、専らペット等の動物に与える栄養補助を目的としたものが該当します。
また、この商品と類似群は同じですが、第31類(飼料)に属する商品が存在します。
人工受精用精液(33D05)
この商品は、人為的に卵子に受精させるための精液であって、犬、牛、羊、豚等のものが該当します。
5. 区分のポイント
1. 医薬品と非医薬品の区別
- 同じ物質でも、医薬品として取引されるか否かで区分が異なる
- 例:「ぶどう糖」が医薬品として取引される場合は第5類「糖類剤」、そうでない場合は第30類
2. 用途による区分
- 「殺菌剤」でも公衆衛生用は第5類(01B01)、農業用は第5類(01B02)
- 「綿棒」も医療用は第5類、化粧用は第3類
- 「薬用酒」は医薬品として取引される場合は第5類、酒類として取引される場合は第33類
3. 薬効・投与経路による細分化
- 同じ薬効でも投与経路が異なると区分が変わる(例:化学療法剤の内服薬と塗布薬)
- 抗生物質製剤は特別に区分される
4. 医薬部外品の区分
- 治療目的の医薬部外品は第5類
- 美容目的の医薬部外品は第3類
5. 乳幼児関連製品の区分
- 「乳幼児用粉乳」(31D01)と「乳幼児用食品」(32F17)は別の類似群
- 幼児用食品でも通常の食品に類するものは第29類・第30類
6. 材質を問わない区分
- 「おむつ」は布製・紙製を問わず第5類
- 「宝石箱」は材質を問わず第14類
7. 類似群による関連性
- 同じ類似群コードの商品が他の類に存在する場合が多い
- 例:第5類「はえ取り紙」(19B30)と第21類「はえたたき」は同じ類似群
8. 医療関連品の器具・材料による区別
- 歯科用材料は第5類、歯科用機械器具は第10類
9. 農薬と植物成長調整剤の区別
- 農薬は第5類(01B02)
- 植物成長調整剤類は第1類
10. サプリメントの定義
- 人体用は第5類(32F15)
- 動物用は第5類(33B01)で類似群が異なる
第5類の商標区分は主に薬剤、医療用品、栄養補助食品に関する商品を包含しています。特に薬効・用途による区分、医薬品か非医薬品かの区別、同一物質でも取引形態による区分の違いが重要なポイントとなります。また、類似群コードによる他類との関連性の理解も商標区分を正確に把握する上で重要です。