豪雨で商標登録証が流されても商標権は消えません。救済措置と確認方法

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1. 被災時に知っておきたい救済措置と確認方法

平成29年7月 九州北部豪雨をふまえて

商標登録証が流された。書類もPCも全部だめになった。特許庁から何か届いていた気がするけど確認できない。平成29年7月に発生した九州北部地方の集中豪雨のような突然の災害で日常が一変したとき、知的財産の手続まで頭が回らないのは当然です。

ただ、先にお伝えしておきます。登録証や書類を失っても、商標権が即座に消えることはありません。期限の延長や回復といった救済措置が使えることもあります。

被災時に多い不安を、知りたい順に整理しました。落ち着いたらで構いません。何が守られていて、何を確認すればいいのかを掴んでください。

2. 九州豪雨の様な洪水で商標登録証が流されてしまった場合

平成29年7月の九州北部豪雨で被災された皆さまに、改めて心よりお見舞い申し上げます。

災害で商標登録証や関連書類が流出・紛失・焼失しても、商標権そのものは消えません。商標権の本体は紙の登録証ではなく、特許庁が管理する商標原簿の記録です。商標原簿に登録が残っている限り、商標権は存在し続けます。逆に、手元に登録証があっても商標原簿の登録が抹消されれば権利は維持できません。登録証は権利の参考に役立つ書類であって、権利そのものではないのです。

手元の資料がすべて無くなっても、被災を直接の理由として商標権が失効することはありません。いま大切なのは生活と事業の立て直しです。登録証の再発行は、状況が落ち着いてからでも手続できます。焦らなくて大丈夫です。

3. 特許事務所に依頼した案件はどうなるか

事務所にお願いしていた案件がどうなっているのか、という不安も多いです。

すでに特許事務所に依頼している商標出願・商標登録の手続は、解任などの手続を特許庁にしない限り、被災前の関係が維持されます。被災された方が亡くなられた場合や、被災により法人が倒産した場合でも、法律上、代理関係が自動的に消えるとは限りません。商標法第77条で準用する特許法第11条(代理権の不消滅)の考え方によるものです。

災害時は連絡が取れない、担当者が不在、書類がない、といった事態が起こりがちで、代理人側も状況確認が難しくなります。

法定相続人の方や社内の関係者の方は、分かる範囲で構いませんので、依頼していた特許事務所へ早めに一報を入れてください。出願番号が分からない、商標の名前しか分からない、それでも手がかりになります。連絡がつながるだけで、期限徒過などの事故を防ぎやすくなります。

4. 特許庁からの審査結果に対応する時間がない場合

災害後は郵便物の遅配、事業再開の優先順位、人手不足などが重なり、特許庁からの通知への対応が難しくなります。拒絶理由通知などに対する応答期間は、申請により延長できることがあります。

期限管理で怖いのは気づいたときには過ぎていたというパターンです。被災時は特に、いつもなら当たり前にできる確認作業が機能しません。郵便受け、メール、社内回覧。何か来ていたかもしれないと少しでも思ったら、依頼先の特許事務所に期限が近い通知が出ていないか確認してください。代理人がいない場合でも、後述する方法で状況確認はできます。

延長の可否、延長できる期間、必要書類は案件ごとに異なります。一般論で何とかするより、個別に確認して最短で安全策を取るほうが確実です。

5. 登録料や更新料の支払期限を過ぎた場合

商標は審査に通ったあとに登録料を納めて初めて登録になります。登録後も一定期間ごとに更新手続が必要です。被災直後は資金繰り、銀行手続、経理体制の復旧などで支払い実務が止こともあります。

期限を過ぎても一定の回復期間が設けられていることがあります。猶予や追納といった制度です。ただし猶予には期限があり、期間を超えると回復できなくなる可能性が高まります。追加費用が発生することもあります。

被災直後であっても、支払いが無理そうだと分かった時点で、できるだけ早く依頼中の特許事務所や専門家へ相談してください。救済措置は使える期間内に手続を取ることが前提です。早めの確認が、そのまま権利の存続につながります。

6. 自分で手続をしたので状況が分からない場合

出願も登録も自分でやった、だから依頼先もない。書類が流出して出願番号も登録番号も分からない。そういう状況でも絶望しないでください。特許庁のデータベースには手続情報が保存されています。インターネット経由で確認できます。

代表的な無料サービスが特許情報プラットフォーム、通称J-PlatPatです。商標情報を検索し、出願や登録の状況、権利者情報、存続期間などを確認できます。紙がゼロでもデータで追いかけられる。これが災害時の大きな安心材料になります。

検索のコツは、番号が分からなくても手がかりを組み合わせることです。ご自身の氏名でヒットします。商標のロゴや名前の文字、権利者名、指定商品や役務など、覚えている範囲の情報から辿れます。一度ヒットすれば番号が分かり、後の確認や手続が一気に進みます。検索の仕方が分からない、似た名前が多くて判断できない、という場合は専門家に相談してください。調査の当たりをつけられることもあります。

7. 九州地方の商標登録相談窓口

被災時は、権利を守ろうとしても何から始めればいいか分からない、相談先が分からない、ということで時間が過ぎてしまいます。北九州地方を中心に、当時公表されていた相談窓口の例を挙げます。窓口の名称・所在地・電話番号は変更されることがありますので、利用時は各機関の最新情報を確認してください。

  • 九州経済産業局 知的財産室
    福岡県福岡市博多区博多駅東2-11-1
    092-482-5463
  • 公益財団法人 福岡県中小企業振興センター
    福岡県福岡市博多区吉塚本町9-15
    092-622-0035
  • 公益財団法人 北九州産学術推進機構
    福岡県北九州市戸畑区中原森町2-1
    093-873-1432
  • 一般社団法人 大分県発明協会
    大分県大分市高江西1-4361-10
    097-596-6171

窓口に連絡する目的は完璧な説明をすることではありません。いま何が危ないか、期限や支払いを洗い出すことです。分からないことが分からない状態でも、専門窓口は整理を手伝ってくれます。災害時ほど、早めに外部の知見を借りる価値があります。

8. 災害時に覚えておきたいこと

被災によって登録証や書類が失われても、商標権そのものは特許庁の商標原簿で管理されており、簡単には消えません。一方で、審査対応や支払いなど期限が絡む手続には救済措置があるものの、放置すると取り返しがつかなくなることもあります。

権利は急に消えない。でも期限は急に過ぎる。この違いを知っているだけで、次に取る行動が変わります。

ファーイースト国際特許事務所では、九州地方の激甚災害や熊本地震などで被災された方の商標案件について、特許庁に対して可能な限りの救済措置の申請を検討し、被災者の方々の利益保全に努めています。手元に何も残っていない、何から確認すべきか分からない、その状態からで構いません。

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247

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