本日関西テレビで16:48から放送される「スーパーニュースアンカー」で、ファーイースト国際特許事務所の所長弁理士 平野泰弘が商標登録の解説をします。
現在中国でアップルのiPadが、中国関連企業の商標権を侵害するとして使用の差止を裁判で争っている事例について解説します。
つい先日、中国の裁判所でアップルに対してiPadの商標の使用を認めないとする判決がでました。
アップルのiPadは非常に有名です。なのにどうして中国関連企業がその商標権を持っていて、アップルに対して「iPad」を使うな、とどうしていえるのか、不思議に思われる方もいると思います。
中国で商標「iPad」について中国の特許庁に対し商標登録の申請を行うことにより商標権が得られます。
商標権が得られると、商標「iPad」を使用できるのは商標権者だけになります。
誰が商標権者になるか、という問題は、中国も日本も、先に自国の特許庁に申請をした者に権利を与える、という法制度を採用しています。
つまり、「iPad」という商標を使用しているだけでは商標権者にはなれない、ということです。
「iPad」という商標を最初に使用した者に商標権を与える制度が一見合理的に見えます。
しかし最初に商標を使用した者が権利者である、とすると、
「俺が最初にiPadを使用した!」
「いや、俺の方が先だ!」
・・・と、自分こそがiPadの本当の権利者であると名乗り出る者が大量に出て収拾がつかなくなります。
最初に商標を使用した者が権利者とする法律の制度ですと、誰が本当の権利者であるのか決定する手続きが非常に複雑になります。
このため、ほぼ全ての国は先に特許庁に商標登録の手続きを済ませた者に権利を与える法制度を採用しています。
中国も日本も、先に特許庁に手続きをした者に商標権を与える法制度(「登録主義」といいます)を採用しています。
日本や米国等で有名な商標を中国でこっそり商標登録する行為は決して是認されるべきではありません。
しかしながら中国や日本の法律の制度をよく理解していないと先に商標権を取得されてしまう場合があります。
一度商標権を取得されてしまうと、それを取り戻すためには膨大なお金と時間と手間暇が必要になります。
ビジネスを行う際には、先の先まで読んで、先んじて商標登録を終えておくことがとても大切です。
ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247