*2017年2月25日改訂 *2017年1月22日改訂
索 引
(1)商標の簡易検索画面による商標登録の確認
(1-1) 最も簡単な特許情報プラットフォームの商標簡易検索による商標登録確認
ここで説明する手順をたどれば、専門の知識がなくても初心者でも商標の検索調査は自分で可能です。
商標登録を確認する最も簡単な方法は、特許庁のサイトからアクセスできる特許情報プラットフォームのデータベースを使った検索でしょう。
ちなみに特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)は、実際に出願された商標の情報が満載されている、無料で使用できる最強の商標検索ツールです。検索の条件を変更していくら検索しても商標の費用が発生しませんので、安心して調べられるメリットがあります。
また商標だけでなく、特許、実用新案、意匠等の情報も調べることができます。
まず特許庁が公開しているデーターベース「J-PlatPat」に行きます。このデータベースは、2015年3月まで使われていた「特許電子図書館」がリニューアルされてできました。
特許情報プラットフォームの最初の画面に簡易検索の画面がでてきます。サイトを開くと商標の簡易検索画面です。これを利用して検索調査できます。
図1 特許情報プラットフォームのトップページ
最初に、画面センターのプルダウンメニューより、商標検索の項目を選びます。商標以外の種別を間違って選択しないようにします。
図2 商標の簡易検索画面を選択
次に、調査する商標名をカタカナで打ち込んで、検索ボタンを押します。図3では解説の例に「ファーイースト」を取り上げて商標登録の有無を確認しています。
検索のために入力するのはひらがな、カタカナ、アルファベット、漢字、数字のいずれでもよいです。
図3 商標の入力
検索を実行すると34件ヒットしました。一覧表示ボタンをクリックしてみましょう。
図4 簡易検索結果の表示
似たような商標として、前後して「CALGON FAR EAST」からアルファベッ トの商標が3つ、そして「株式会社ファー・イースト・クラブ」があり、実際には下に続いて、計34個の登録商標が表示されます。
(1-2) なぜこの簡易検索を、お奨めするのか?
ご紹介した簡易検索による方法は、あくまでも簡単に結果が分かる点に重点をおいています。仮に類似商標がゼロとの結果であっても、直ちに登録可能と判断することは出来ません。
ではなぜ、簡易検索による方法をお奨めするのでしょうか?
それはあなたが商標を考える際に、とても役に立つからです。
仮にAとBの2つの商標を考えたとしたら、最初にこの簡易検索で調べることを考えます。類似商標がないならこちらの商標が登録しやすいだろうと、判断の目安が得られます。
上記の簡易検索画面で目安を得た後に、商標権について詳細な結果をみるためには次の称呼検索を使う調査を検討すればよいでしょう。
(2)称呼検索画面による商標登録の確認
(2-1) 商標の称呼を手がかりに商標登録を確認する
上記の簡易検索により容易に商標が確認できます。反面、目的とする検索結果以外の商標が数多く表示さる、いわゆるノイズが多くて困るケースとか、逆に欲しい結果が正しく得られていないケースがあります。
その場合に備えて商標の称呼検索により商標登録を確認します。商標を入れて検索ボタンを押して済む商標簡易検索と異なり、検索結果の精度が向上します。
加えて称呼検索であれば、会社名、個人の屋号、店名、商品名、キャラクター名、人名等の複数のネーミングをカタカナにより調べることができます。
図5 商標の称呼検索画面を選択
画面のプルダウンメニューから、称呼検索の項目を選びます。
図6 称呼の入力
次に、商標名をカタカナで入れて、検索ボタンを押します。例として「プラウド」という商標が登録されてないか、確認しています。
検索のために入力できるのはカタカナだけです。読み方で検索するからです。
1848件ヒットしました。検索結果の件数が1000件を超えると結果画面は見られません。
1000件を超えたら商標を使用する商品か役務(サービス)の区分を入力しましょう。
区分とは、商品や役務の分類で、第1類の化学品から第45類の冠婚葬祭まであります。45個の区分より、自分のものを選びます。
また調査確認に類似群コードを使えます。
例えば、称呼検索の事例として商標「プラウド」を”映画”に使いたいとします。映画を選ぶなら、上記の「類似群コード一覧表」のところで、コントロール+Fのキー操作でブラウザの検索モードに切り替えた後に検索ウインドウに「映画」と入れて、対応する類似群コードを探します。
図7 類似群コードを調べる
すると映画については、「41E02 映画の上映・制作又は配給」というのが見つかります。この”41E02″の半角英数字が類似群コードです。
この半角英数字の類似群コードを図6の類似群コードに入れて再度検索します。
なお類似群コードに替えて区分を調べたいときには、同様に上記の「商標区分一覧表」のところで、コントロール+Fのキー操作でブラウザの検索モードに切り替えてから検索ウインドウに「映画」と入れて、対応する類似群コードを参照します。
図8 類似群コードを入れた称呼検索の結果
今度はヒット件数が291件に減りました。この中で商標「プラウド」が映画関係の役務で商標登録可能か確認します。次に検索結果の中にある個々の商標登録番号を押せば詳細な結果表示を参照可能です。この方法により称呼に基づいて商標登録を確認できます。
(3)商標の出願登録番号が分かるならば
(3-1) 商標登録を確認できる二つの番号に着目
登録を確認できるナンバーとして商標出願番号と、商標登録番号の二つの番号があります。
- 商標出願番号:特許庁に願書を提出した際につく番号です。「商願」で始まる番号で、西暦が入っています。商標登録出願の番号です。
- 商標登録番号:特許庁で登録を終えて商標権が発生した際につく番号です。「商標登録第0000000号」等です。登録商標の番号です。
(3-2) 出願番号が分かっている場合の商標登録の確認
特許情報プラットフォームの経過情報の番号紹介を使って検索します。
図9 特許情報プラットフォームの経過情報
特許情報プラットフォームで「経過情報」を選択、「商標」のタブの中の「出願番号・書換登録申請番号」を指定します。
図10 出願番号があるものについて商標登録の概要が確認できます
仮に手元にある商標出願番号が「商願2007-059849」であるなら、半角数字とハイフンの部分の「2007-059849」を検索欄に入力して検索します。
図11 特許情報プラットフォームの経過情報
図11の検索結果に表れる「2007-054849」の部分をクリックすれば現在の状態を確認できます。
ただし、データは毎日更新されるのではなくて、実際の商標登録状況の結果表示が可能になるまで一定の時間がかかります。
調査した結果、登録になっていなくても、現在審査を通過して、商標権が生じているケースもありえます。
(3-3) 商標登録番号が分かっているケースの商標登録の確認
出願番号から調べたケースと同じく、特許情報プラットフォームで「経過情報」に指定、「商標」のタブの中の「登録番号」を選びます。
仮に手元にある商標出願番号が「商標登録第5139650号」であるなら、半角数字の「5139650」を検索欄に入力して検索します。
図12 登録番号があるものについて商標登録の状況が確認できます
商標出願番号で検索したケースと同様に、検索結果の「2007-054849」の部分をクリックすれば現在の状態を確認できます。
ただし、一度商標登録されたとしても、商標権の権利失効前に更新をしなかったために、存続期間の満了により権利が消滅した結果のものが含まれている可能性があります。
また特許情報プラットフォームを参照しても、権利の更新の有無についての情報も、権利が消滅したかどうかの情報も、必ずしもリアルタイムで特定できるわけではありません。特許庁が管理しているデータは即日反映されるわけではない点に注意します。
ここでの検索結果は参考情報に留め、権利が存続しているかどうかの最終的な結論は特許庁に登録されているデータを確認して行うのがよいです。
特許庁で正式に管理してあるデータは直接特許庁に行けば閲覧できます。また東京に簡単に行く機会がない人は、特許事務所の弁理士に依頼して、現在の商標権の状態に該当する正式事項を入手できます。
(4)図形・ロゴ商標の商標登録の確認
(4-1) 文字とは異なる商標登録の確認
図形商標、ロゴマーク、記号商標等の文字とは異なる商標で登録を確認するなら上記のケースと比べて難易度が上がるのです。
商標のマークに文字の名称もないケースなら、文字による検索でも正確な検索結果にはならないです。図形やロゴのコードを参照して調査しましょう。
図13 商標の図形等商標検索画面を選択
画面のプルダウンメニューから、図形等商標検索画面を選んでください。ただこれだけでは図形等分類1に何を入れてよいか不明です。図形等分類コードを特定するには図形等分類表の画面をみましょう。
図14 図形等分類表の画面を選択
図形等分類表の画面で、該当する図形等分類のコードを探します。分からないケースでは図14の「図形等分類表」のページで、コントロール+Fのキー操作によりブラウザの検索欄へ調べたい言葉を代入して、探してみるとよいでしょう。
図15 該当する図形等分類コードを選択
今回はモデルケースとして、ロゴなどに幾何図形を構成する文字とか数字が含まれる例を取り上げます。この場合は「*27.1.1 幾何図形を構成する文字あるいは数字」をクリックします。
すると図15の最下段の欄に「27.1.1」とのコードが自動で入ります。最後にセットボタンを押します。
図16 図形等分類コードが入ったら実際に検索
図16に戻れば、図15で選択済みの図形等分類コードの「27.1.1」のセット済みが分かるでしょう。
また図15に戻って、必要なコードを探す操作を繰り返します。後は称呼検索と同様です。
最初は戸惑うと思いますが、何度か試行錯誤を繰り返すうちに要領がつかめるはずです。
(5)J-PlatPatによる確認方法が分からなければ?
(5-1) 商標登録の確認がどうすればよいか不明なら?
特許情報プラットフォームにはヘルプデスクが準備されているのです。平日の午前中の9時から夜の9時までであれば、ヘルプデスクに電話できくと無料で使い方を聞くこことが可能です。ヘルプデスクに電話して問合せても費用は生じませんので安心して使い方を聞けます。
ヘルプデスクの問合せ先は、図1のトップ中央にありますので、実際にネットで確認してみてください。
ただし何も分からない段階でやみくもに電話を掛けても時間を取るばかりで得られるものが少ないです。
まずは実際にJ-PlatPatを実際に触ってみて、感度を得てからポイントを絞って質問するようにしましょう。
(6)まとめ
特許情報プラットフォームは応用範囲が広く、国際特許や国際商標などの日本における権利状況を確認できます。
ただ商標については現実に登録可能かについての判断は、商標の発音に限定されず、類似する意味の言葉とか記号、図形がないか、さらには商標区分の問題等、多岐に渡ります。
現実の話をすれば、これを初心者である一般の方が正確に判断するのは、極めて難しいと言わざるを得ません。
またネーミングの調査をした際に、商標登録の確認が自分流のままなのに十分といえるか、他の権利者の商標権を侵害するかのチェックが行き届いているかまでは自分一人で検索結果をみても判断が難しいです。
これらの事情から、弁理士等の専門家に相談に行く以前のネーミングのアイデア出しの段階用に、図1の簡易検索の活用を考えてほしいのです。それは商標登録の確認になるばかりか、より良い商標を作成する手助けになるはずです。
ファーイースト国際特許事務所