1. はじめに
商標登録では、ロゴやネーミングだけを出願するわけではありません。その商標をどの商品に使うのか、どのサービスに使うのかを願書に明記します。これが「指定商品」と「指定役務」です。
指定商品・指定役務の選び方を間違えると、守りたい範囲が商標権のカバー外になったり、追加出願で余計な費用がかかったりします。ここでは、指定商品と指定役務の基本と選び方のポイントを説明します。
2. 指定商品とは
指定商品とは、商標を使用する商品の範囲を特許庁への願書に記載したものです。商標権の「射程範囲」を決める基準になります。
たとえば飲料メーカーが商標を登録する場合、「清涼飲料水」「果汁飲料」など、商標を付けて販売する具体的な商品を願書に書きます。
なぜ指定商品の選択が重要なのか
商標権は、指定した商品についてだけ保護されます。願書に書かなかった商品は権利の対象外です。
しかも、特許庁は一度提出した願書への商品の追記を一切認めていません。記載漏れがあれば新たに出願し直すしかなく、特許庁印紙代だけで5万円近い追加費用が発生します。
3分で適当に選んで出願すると、3分で5万円近い追加費用が確定する計算です。
3. 指定役務とは
指定役務とは、商標を使用するサービスの範囲を願書に記載したものです。商品ではなく業務を提供する場合に指定します。
役務の例としては、自動車修理、理容・美容、冠婚葬祭業、ITサービスなどがあります。
IT企業が自社のクラウドサービスに商標を付ける場合、「データ管理サービス」「オンラインストレージサービス」といったサービス内容を願書に記載します。
指定役務でも追記は認められない
指定商品と同じく、願書提出後の追記は特許庁で認められていません。記載漏れがあれば追加出願が必要になり、出し直しの印紙代が発生します。
追加出願の手数料を二重に請求できる業者側にはメリットがあっても、依頼者側にはデメリットしかありません。最初の出願で漏れなく指定することが肝心です。
4. 指定商品・指定役務の選び方
他社に取られると困る範囲を基準にする
選び方の出発点は「他社にこの商品・サービスで同じ商標を登録されたら困るか?」という視点です。
たとえば洗剤メーカーなら、他社に同じ商標で洗剤の商標権を取られると、自社が洗剤を販売できなくなります。洗剤が権利範囲に入っているかの確認が出発点になります。
将来の事業展開も見据える
現在使っている商品・サービスだけでなく、将来使う予定のものも指定できます。ただし、登録後に「やっぱりあの商品も追加したい」と思っても、願書の修正は認められません。
費用とのバランス
他社に取られるのが嫌だからと際限なく広げると、区分数が増えて費用が膨らみます。「この範囲で商標権が取れないなら、お金を払って登録する意味がない」という核心部分をまず特定してください。
それ以外の商品・役務は、核心部分を指定する際に無料で追加できる範囲から探します。
競合調査も忘れずに
出願前に、同一・類似の商標がすでに登録されていないか調査してください。先行商標があると、審査で拒絶される可能性があります。
5. まとめ
指定商品と指定役務は商標権の射程範囲を決める基準です。願書提出後の追記は一切認められないため、出願時の選択がそのまま権利の広さになります。
「他社に取られたら事業に支障が出る範囲」を核心として特定し、費用とのバランスを見ながら、将来の展開も含めて漏れなく指定しましょう。
6. よくある質問
Q1. 指定商品と指定役務の違いは?
指定商品は商標を付けて販売する商品の範囲、指定役務は商標を付けて提供するサービスの範囲です。
Q2. 選ぶ際のポイントは?
他社に取られると困る範囲を最優先で指定し、将来の事業展開も考慮に入れてください。
Q3. 登録後に追加はできる?
できません。追加する場合は一から新たに出願し直す必要があります。最初の出願時に将来の展開も見据えた選択が求められます。
Q4. 同じ商標で指定商品が異なれば別の登録になる?
はい。商標が同一でも指定商品が異なれば別の商標登録として扱われます。ただし、類似する商品で先行登録があると拒絶されることもあります。
Q5. 指定役務はサービス業だけの話?
いいえ。商品を製造・販売する企業でも、関連するサービスを提供する場合は指定役務として登録できます。商品と役務の選択に業種の制限はありません。
ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247
商標のことでお困りですか?
商標登録の出願・調査・侵害対応について、
弁理士が無料でご相談に応じます。お気軽にお問い合わせください。
ファーイースト国際特許事務所|弁理士 平野泰弘
