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商標登録の区分について分かりやすく解説します
区分表を見てみよう!
まずは実際に、区分を見てみましょう。これが特許庁の定める区分表です。
⇒ (注記)特許庁「類似商品・役務審査基準」抜粋
商標登録 区分表
区 分 | 区 分 の 名 称 |
---|---|
第1類 | 工業用、科学用又は農業用の化学品、金属用腐食剤、自動車用冷却液 |
第2類 | 塗料、着色料及び腐食防止用の調整品 |
第3類 | 洗浄剤及び化粧品、家庭用帯電防止剤、化粧用着色料、家庭用洗浄剤、植物性の石けん |
第4類 | 工業用油、工業用油脂、燃料及び光剤 |
第5類 | 薬剤、衛生マスク、ビタミンを含有するサプリメント、医療用のバクテリア調製剤 |
第6類 | 卑金属及びその製品、調整弁 |
第7類 | 動力伝導装置、加工機械、原動機(陸上の乗物用のものを除く。)その他の機械、農業用機械器具、電動式シャッター自動開閉装置、蒸気機関、給水ポンプ |
第8類 | 手動工具、手動式手持工具 |
第9類 | 科学用、航海用、測量用、写真用、音響用、映像用、計量用、信号用、検査用、救命用、教育用、計算用又は情報処理用の機械器具、音響機械器具、光学式の機械器具及び電気の伝導用、電気回路の開閉用、変圧用、蓄電用、電圧調整用又は電気制御用の機械器具、配電用又は制御用の機械器具、電気回路の開閉用の機械器具、変圧器、電圧計、蓄電器、計量器、航海用計器・計測及び通信装置、移動体電話、移動体通信機器、ソフトウェア、救命胴衣、消火器、光学機械器具、交通信号機、電子信号用ケーブル、計算器、インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル |
第10類 | 医療用機械器具及び医療用品 |
第11類 | 照明用、加熱用、蒸気発生用、調理用、冷却用、乾燥用、換気用、給水用又は衛生用の装置、照明器具、加熱調理器具、換気扇 |
第12類 | 陸上の乗物用の動力機械、乗物その他移動用の装置、陸上の乗物用の伝導ベルト、自動車、原動機付きの二輪車 |
第13類 | 火器及び火工品 |
第14類 | 貴金属、貴金属製品であって他の類に属しないもの、宝飾品及び時計、宝玉の模造品 |
第15類 | 楽器 |
第16類 | 紙、紙製品及び事務用品(事務用品は家具を除く)。 |
第17類 | 電気絶縁用、断熱用又は防音用の材料及び材料用のプラスチック、電気絶縁・断熱・防音用材料 |
第18類 | 革及びその模造品、旅行用品並びに馬具 |
第19類 | 金属製でない建築材料、断熱ガラス |
第20類 | 家具及びプラスチック製品であって他の類に属しないもの |
第21類 | 家庭用又は台所用の手動式の器具、化粧用具、ガラス製品及び磁器製品、磁器、手動式美容用ローラー |
第22類 | ロープ製品、帆布製品、詰物用の材料及び織物用の原料繊維、詰物用材料(ゴム製のもの及びプラスチック製のものを除く。) |
第23類 | 織物用の糸 |
第24類 | 織物及び家庭用の織物製カバー、帆布 |
第25類 | 被服及び履物 |
第26類 | 裁縫用品、裁縫用小物 |
第27類 | 床敷物及び織物製でない壁掛け |
第28類 | がん具、遊戯用具及び運動用具、遊戯器具、スポーツ用具 |
第29類 | 動物性の食品及び加工した野菜その他の食用園芸作物、食用油脂、動物性油脂 |
第30類 | 加工した植物性の食品(他の類に属するものを除く。)及び調味料 |
第31類 | 加工していない陸産物、生きている動植物及び飼料、園芸植物、園芸作物 |
第32類 | アルコールを含有しない飲料及びビール |
第33類 | ビールを除くアルコール飲料 |
第34類 | たばこ、喫煙用具及びマッチ |
区 分 | 区 分 の 名 称 |
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第35類 | 広告、事業の管理又は運営及び事務処理、市場調査、産業・企業動向に関する調査及び分析、小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、職業のあっせん、フランチャイズ事業の運営 |
第36類 | 金融、保険及び不動産の取引、金融・財務分析、金融取引、企業の信用に関する調査、生命保険の引受け |
第37類 | 建設、設置工事及び修理、建設工事、建築工事に関する助言、家具の設置工事 |
第38類 | 電気通信、映像の通信 音響・映像及び情報の送信 |
第39類 | 輸送、こん包及び保管並びに旅行の手配、トラックによる物品の配達、引越荷物のこん包、コンテナの保管、救助活動(輸送)、タクシーの手配 |
第40類 | 加工処理、乾燥処理 |
第41類 | 教育、訓練、娯楽、スポーツ及び文化活動、語学に関する能力の検査、建設工事に関する知識の教授、教育・訓練・娯楽・スポーツ及び文化活動に関するセミナーの企画・運営又は開催、イベントの運営・制作及び開催、娯楽施設の提供 |
第42類 | 科学技術又は産業に関する調査研究及び設計並びに電子計算機又はソフトウェアの設計及び開発、科学に関する実験及び研究、科学技術情報の提供、コンピュータによる情報処理、医薬品・化学品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究、農業・林業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究、測量 |
第43類 | 飲食物の提供及び宿泊施設の提供 |
第44類 | 医療、動物の治療、はり治療、人又は動物に関する衛生及び美容並びに農業、園芸又は林業に係る役務、水産動植物の養殖、有害動物の防除(農業・園芸又は林業に関するものにかぎる。) |
第45類 | 冠婚葬祭に係る役務その他の個人の需要に応じて提供する役務(他の類に属するものを除く。)、警備及び法律事務 |
特許庁ホームページ「類似商品・役務審査基準」より抜粋。
第1類から第45類まで、色々な商品やサービスが分類されていることが分かります。このように区分とは、世の中にある商品・サービスを特許庁が分類したものです。
そして皆さんが商標を申請する時は、自分の商品・サービスが、どの区分に該当するか、明記することが必要になります。
実際の申請時の商標登録区分実例
実際の申請用紙を見てみましょう。下記が申請の書式です。囲んだところが、区分を記載している箇所になります。
(参考記事)
申請の仕方は、書式に沿った説明があるので、参考にして下さい。
商標の申請には、必ず区分を記入する必要があります。ではこの区分とは、商標において、どのような意味を持つのでしょうか。
なぜ区分が、重要な意味を持つのか?
区分は商標の価値を決める、生命線です。極めて重要な記載事項だと、ご理解ください。それは商標が、区分においてのみ効力を持つからです。具体的にご説明しましょう。
飲食店を例にすれば、「店内飲食」として第43類に申請することが必要です。ところが「持ち帰り」は第29類と30類になります。区分として第43類だけに申請すれば、その商標が登録されても、効力は「店内飲食」にしか及びません。
つまり競合店が「持ち帰り」において、その商標を侵害しても、権利侵害を主張できなくなる。こういうことです。
このように商標とは、どの区分で登録されるかが、効力そのものを決めることになります。ですので自社のビジネス形態に即して、適切な区分を選択することが、極めて重要になります。
区分を選ぶ時の注意点。
区分の選択はとても重要なのですが、この後で説明するように、区分を絞り込むには、かなり専門的な知識が必要になります。
そのため初めての方は、商標の効力が及ぶ範囲を広くしようと、多くの区分に申請する傾向があります。ただこれは好ましくないので、注意して下さい。問題は2点あります。
1.申請・登録費用が高くなる。
特許庁に収める印紙代は、区分数に応じて決まります。申請する区分が多くなるほど、高い費用を支払う仕組みです。
ご自分で商標を申請する方は、なるべく費用を抑えたいはずです。弁理士に払う手数料を省くために、ご自分で申請するのではないでしょうか。
費用を抑えようとご自分で申請するのに、不必要な印紙代を支払い、逆に弁理士手数料を上回っては、何のためにご自分で申請するか、意味がなくなってしまいます。
商標登録の費用は、下記の記事が分かりやすいと好評なので、参考にしてください。
(参考記事)
2.登録の認められない可能性が高まる。
特許庁の審査官は、なるべく区分の数を減らそうとします。それは次のような事情があるからです。
日本の商標の申請件数は、年間約11万件であり、毎日300件の申請があることになります。皆さんが思っている以上に、商標は申請されていることを、まずは知ってください。
特許庁の審査官にすれば、不用意に区分を広げれば、本来登録できる他の商標が登録できなくなります。これは機会の公平に反します。ですので審査官は、不必要に区分の多い申請を、拒絶する傾向にあります。
実務の現場において、私ども弁理士が一番問いただされるのは、「本当に、この区分は必要なの?」です。商標が登録されるか否かは、申請された区分が適切か否かに、大きく左右されると思ってください。
適切な区分を、どうやって見つけるのか?
これまでの説明で、区分がいかに重要か、お分かり頂けたと思います。ではどうすれば、適切な区分が分かるのでしょうか。方法は2つしかありません。
1.特許庁の区分リストを、丹念にチェックする。
ご自身で申請する場合は、特許庁の区分リストを、丹念にチェックして下さい。非常に数が多いので、大変な作業になりますが、残念ながらこれしか方法がありません。
まず区分は、大きく商品とサービスに分かれます。商品の区分は第1類〜第34類で、サービスの区分が第34類〜第45類です。
この時に注意してほしいのは、対象が商品だからサービスは関係ないと、早合点しないことです。仮に飲食業であれば、商標が商品に関するものであっても、店内で食べるものは商品ではなくサービスの第43類になります。
ですので、まず最初にハッキリさせることは、自社のビジネス形態です。ビジネスの形態から、どのような場合に商標を役立てるか、イメージを持つことが大切です。
このイメージを持って、区分リストを丹念にチェックして下さい。そうすれば、間違えることはありません。
2.ライバルが取得している商標権の区分内容を、チェックしてみる。
闇雲に区分を選択してもその選択が的を射たものかどうかは自分ひとりだけでは分からないです。
区分選択の視点が一方に偏らないように、ライバルが取得している商標権の区分状況を調べて解析することがとても重要です。
何から始めてよいか分からない場合には、まずは競業者の区分の取得状況をチェックしてみましょう。
3.専門家のアドバイスを得る。
既に何回か、商標登録の経験がある方は、1番目の方法でも良いと思いますが、初めての方には、正直あまりお奨めできません。やはり専門家からアドバイスを受ける方が、後々のことを考えれば、よいと思います。
まずは最寄りの弁理士会に、相談されてはいかがでしょうか。地元の弁理士さんを紹介してくれるはずです。
また「商標登録」等の言葉でネット検索すれば、色々な弁理士事務所が出てきます。各事務所のサービス内容を確認して、問い合わせてみて下さい。
ただどちらの方法をとるにしても、弁理士選びでは注意点が1つあります。
それは弁理士事務所にも、得意・不得意の分野があることです。弁理士であれば、申請の手続きは良く分かっています。しかしながら、適切な区分を判断するのは、手続きではなく、その業界事情に詳しいか否かがポイントになります。
ですので問合せ時には、業界での登録実績が多いかどうか、必ず確認するようにして下さい。商標を申請すれば、登録までに半年ほどの期間が必要です。その期間を無駄にしないためにも、相談する事務所をシッカリ選ぶことが大切です。
ファーイースト国際特許事務所