アイコンは商標登録した方がいいですか?

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スマートフォンアプリの普及に伴い、アイコンの法的保護に関するご相談が増加しています。今回は、アイコンの商標登録について解説します。

1. アイコンの法的保護:商標権と意匠権の相違

アプリケーションのアイコンは、商標法による保護を受けることが可能です。

一方で、デザイン性を有することから、意匠法による保護も検討される場合があります。しかしながら、両者には明確な相違点が存在します。

商標法の中に、意匠法があるのではなく、商標法と意匠法は別の法律です。意匠をデザイン商標の商標として登録できない点に注意してください。

意匠法による保護の現状

2019年の意匠法改正により、画像デザインの保護対象が拡大されました。具体的には「画像意匠」および「物品等の部分に画像を含む意匠」として、画像の意匠登録が可能となっています。

ただし、画像意匠として保護を受けるためには、当該画像が「機器の操作の用に供されるもの」または「機器がその機能を発揮した結果として表示されるもの」である必要があります。

単に装飾的な目的で使用されるアイコンや、アプリケーションの識別のみを目的とするアイコンは、この要件を満たさない可能性があります。

さらに、意匠登録には新規性要件が課されます。公知となった意匠や、公知意匠から容易に創作可能な意匠は登録を受けることができません。

アプリケーションの公開後に意匠出願を行う場合、新規性喪失の例外規定の適用を受ける必要がありますが、その適用に求められる要件に合致しない場合は、意匠権が得られません。

2. 商標登録によるアイコン保護の優位性

商標登録によるアイコンの保護には、以下のような利点があります。

1. 排他的使用権の確保

商標登録により、登録商標と同一または類似の標章を、指定商品・役務について独占的に使用する権利が発生します。これにより、第三者による類似アイコンの使用を排除することが可能となります。

2. 国際的な権利保護の可能性

マドリッド協定議定書に基づく国際登録制度を利用することで、複数国における商標権を一括して取得することが可能です。アプリケーションのグローバル展開を想定する場合、効率的な権利取得手段となります。

3. 権利の永続性

商標権は、10年ごとの更新登録により半永久的に維持することが可能です。意匠権の存続期間が出願日から最長25年であることと比較すると、長期的なブランド保護の観点から優位性があります。

4. 信用力の向上

商標登録は、事業者の信用力向上に寄与します。取引先、投資家、消費者に対して、知的財産権を適切に管理している企業であることを示すことができます。

5. 権利行使の実効性

商標権侵害に対しては、差止請求権および損害賠償請求権を行使することができます。また、税関における輸入差止申立制度を利用することで、侵害品の流入を水際で防止することも可能です。

6. 使用による識別力の獲得

当初は識別力が弱いアイコンであっても、継続的な使用により需要者の間で認識されるようになれば、使用による識別力(セカンダリーミーニング)を獲得し、商標登録を受けられる可能性があります。

3. 商標登録を行わない場合のリスク

アイコンの商標登録を行わない場合、以下のようなリスクが想定されます。

先願主義に基づくリスク

日本の商標法は先願主義を採用しています。したがって、先使用の事実があっても、第三者が先に商標登録を行った場合、その使用が制限される可能性があります。先使用権の主張も可能ですが、その立証には相当の困難が伴います。

ブランド価値の毀損

類似アイコンを使用する他社アプリケーションの品質が劣悪である場合、需要者の混同により、自社のブランド価値が毀損される恐れがあります。商標権を有していない場合、このような事態に対する法的対抗手段が限定されます。

事業機会の逸失

競合他社による類似アイコンの使用により、本来獲得できたはずの顧客が流出する可能性があります。特にアプリストアにおける検索結果において、類似アイコンが表示される場合、誤認によるダウンロードが発生するリスクがあります。

4. 主要アプリケーションの商標登録事例

実際の商標登録事例を以下に示します。

Google(商標登録第6209108号)


特許庁の商標公報・商標公開公報より引用

Googleは、多くの方が使うブラウザのクロームマークについて商標登録を行っています。同社は、基本となるマークのほか、各種バリエーションについても網羅的に権利化を図っています。

Apple Inc.(国際登録第1585100号)


特許庁の商標公報・商標公開公報より引用

Apple Inc.のMusic アプリケーションのアイコンは、国際登録により保護されています。同社は、製品・サービスに関連する標章について、体系的な商標ポートフォリオを構築しています。

X CORP.-旧Twitter(商標登録第1833747号)


特許庁の商標公報・商標公開公報より引用

Twitter(現X)のXのアイコンは、日本において商標登録されています。ソーシャルメディアサービスにおいて、アイコンは極めて重要なブランド要素であることから、確実な権利保護が図られています。

Meta Platforms, Inc. -旧フェイスブック(商標登録第1075094号)


特許庁の商標公報・商標公開公報より引用

メタは、アプリケーションアイコンを統一的にデザインすることで、一つの商標登録により包括的な保護を実現しています。

5. 結論

アプリケーションのアイコンは、デジタル時代における重要なブランド資産です。商標登録により適切な法的保護を確保することは、事業の持続的発展のために不可欠な要素といえます。

商標登録は、単なるリスク回避策ではなく、積極的な事業戦略の一環として位置づけられるべきです。特に、アプリケーションビジネスにおいては、アイコンがユーザーとの主要な接点となることから、その重要性は一層高まっています。

知的財産権の適切な管理は、企業価値の向上に直結します。アイコンの商標登録についてご検討の際は、専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。早期の権利化により、将来的なリスクを回避し、安定的な事業展開が可能となります。

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247

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