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商標登録の審査で問題になるのが、出願した商標が、他人の先行商標と同じか、似ているかどうかです。先に出願された他人の登録商標と同じ又は似た商標で、その指定商品・サービスと同じ又は似た商品・サービスに使うものは、登録を受けられません(商標法4条1項11号)。商標だけでなく、商品・サービスの重なりも合わせて見ます。
完全に同じ商標なら判断は簡単ですが、問題はその商標が類似している場合です。
全く同じでなくても、似ていると判断されれば、同じ又は似た商品・サービスの範囲では登録を受けられません。ただ、似ているかどうかの線引きは難しく、わずかな違いが結論を分けます。
商標の類否判断は、白から黒へ徐々に変わるグレーゾーンをどう評価するかにかかっています。実務で扱う事例は簡単なものばかりではなく、判断に迷う案件が続きます。審査で決着がつかず、拒絶査定不服審判、さらに審決取消訴訟で裁判所まで争われる事例もあります。
1. 教科書的な事例を除き、通常は専門家の間でも意見は分かれる
比べる商標同士が似ているかどうかの判断は、教科書に出てくるようなわかりやすい事例ばかりではありません。
教科書的な事例であれば、専門家でも意見は100:0になるでしょう。けれども実務ではこのように意見が一方に決まるのはまれです。
通常は、60:40とか55:45とか微妙なラインになります。後はどちら側で戦いたいか、という判断になります。
2. 人工知能の判断を持ってしても容易ではない
比べる商標同士が似ているかどうかの判断について、人工知能の判断結果は大いに役に立ちます。
では人工知能まかせでよいか、というとそうではありません。権利が衝突する内容の商標は特許庁で登録されませんので、似ているか似ていないの判断は前例がない場合が多いのです。
違う事例を参考に、自分の事例を検討することになりますが、よそ様の事例が自分の事例にあてはまるかどうかには疑問があります。
このため人工知能の判断情報は、あくまで参考情報で、多くの意見を聞いた上で決定する必要があります。
3. 特許庁内部でも商標が似ているかどうかの意見が分かれる
特許庁の商標審査官が似ていると判断して拒絶した出願が、拒絶査定不服審判で審判官の合議体により覆ることがあります。この場合、審査官の判断と審判官の判断は、結論として180度逆だったことになります。
この様な事例は少なくありません。簡単に決着がつかない場合もあります。
4. どうしても自分ひいきに判断してしまう
商標同士が似ているかどうかの判断については、どうしても立場によって自分の都合のよいように解釈する傾向から抜けきれません。
商標権者は比較的広く権利範囲を解釈するのに対し、新たに商標権を取得する人は、先行登録商標は似ているようにみえても、自分の商標とは関係がない、と考えがちです。
自分に都合のよい解釈で前進すると、後で痛い目にあいますので、商標同士が似ているかどうかの判断は慎重に行う必要があります。
商標が似ているかどうかは、商標そのものに加えて、使う商品・サービスの重なりも含めて検討します。自分に有利な見方に傾いていないか、第三者の目で確かめてから出願や使用に進んでください。
ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
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