特許庁に商標の登録を出願する際には、商標権の権利の効力がおよぶ商品や役務の範囲を指定する必要があります。
商標法で定められた指定商品の範囲には「雑貨」が含まれません。このため「雑貨一般」という商品の指定はできないことになります。
ですので、「雑貨」というおおざっぱなくくりではなく、「せっけん」、「タオル」、「ビール」などといった、具体的な商品を記載して権利を申請する必要があります。
特に商標登録出願を進める上で、大切なものが権利内容に含まれるようにしなければなりません。
特許事務所に指定商品を「雑貨」として商標権を取得して欲しい、と依頼したとします。この場合、仮に「たわし」だけについて権利を得ることはできるが、それ以外の商品について権利が得られない状況であった、とします。
そのまま商標権の取得手続を進めると、お金を払って、商品「たわし」を指定した商標権を取得することになってしまいます。
形式上は「たわし」は雑貨に含まれますから「たわし」以外のものが仮に全滅であったとしても「たわし」について商標権が得られたなら「雑貨」について商標権が得られたことになりますが、これは依頼者の方の望む商標権であったと言えるでしょうか。
依頼者のお話をよくきくと、「雑貨」と表現したが、本当に必要な権利は「浄水器」であった、というのなら「たわし」についてお金を払って権利取得の手続きを進める必要がそもそもありません。
この場合は、実は「雑貨」というくくりではなく、「浄水器」を必ず指定しておかなくてはなりません。
当事務所では申請の際の権利漏れを防ぐために、依頼者の方が本当は何について権利取得を希望されるのか、じっくり伺います。この際には「雑貨」ではなく、これが権利から漏れたら困るものについて、伝えて下さるようお願いいたします。
ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247