現時点で「東京オリンピック」の文字だけの商標は特許庁に登録されていません。
では、東京オリンピックの主催者以外の第三者が競技会などの役務を指定して商標登録した場合にはどうなるでしょうか。
通常はオリンピックの競技会は隔年に各都市で開催されることが予定されてます。このため、第三者がオリンピックの開催を阻む目的で商標登録を試みても特許庁は審査に合格させることはないでしょう。
東京オリンピックの文字だけの商標が登録されていなくても、競技会の分野に先に「オリンピック」の文字だけの商標が登録されています(商標登録第3275674号)。
東京は競技会が開催される場所を示すものですから、「東京オリンピック」の文字だけの商標が登録されていなくても、「オリンピック」の文字だけの商標が登録されていれば、類似する商品・サービスの範囲で「東京オリンピック」が商標登録されることはありません。
「東京」は単に競技会が開催される場所を示すものですから個人が独占するべき部分ではありません。このため「東京」の部分は商標の中では重要度が低く、「オリンピック」の部分が重要な部分であると考えられるからです。
このため商標「東京オリンピック」と「オリンピック」は互いに類似すると考えられ、今から登録を試みても、既に登録されている商品・役務の範囲では登録することはほぼ不可能と言えます。
また商標法以外にもオリンピックの商標は非常に有名になっていますから、不正競争防止法によってもオリンピックの商標は保護されます。
商標登録されていない分野については「東京オリンピック」の商標を使うのは大丈夫、と安心していると商標法ではなくて不正競争防止法などの別の法律により訴追される場合も考えられます。
東京オリンピックの主催者側は便乗商法には厳しい姿勢で臨むとの声も聞こえてきますので、オリンピックの商標を使用して商売ができるかどうかは事前によく検討して、後でトラブルに巻き込まれないように注意しておく必要があります。
ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
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