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商標の早期審査は、追加料金で審査を買う制度ではありません。特許庁が定める対象1から対象3のいずれかを満たす出願について、「早期審査に関する事情説明書」を提出し、対象に選ばれると審査順番待ち期間が短くなります。

2026年6月更新の特許庁案内では、申出から最初の審査結果の通知まで平均2か月程度です。これは登録までの保証期間ではなく、拒絶理由通知が出る場合も含む最初の審査結果までの実績です。

早期審査で早まるのは審査の着手

登録要件は通常出願と同じ

早期審査の対象に選ばれても、先行商標との類否、識別力、指定商品・指定役務の記載など、登録要件が緩くなるわけではありません。審査官が登録査定又は拒絶理由を通知するまでの順番が早まります。

出願自体は通常の商標登録出願と同じです。出願後に事情説明書を提出します。早期審査の申出について特許庁へ納める手数料はありません。代理人へ書類作成を依頼する場合の報酬とは分けて確認します。

発売日から逆算する

発売日が近い案件では、商標調査、指定範囲の確定、出願、使用資料の準備、事情説明書の提出に要する日数を見込みます。平均期間は個別案件の期限ではありません。拒絶理由への応答や登録料納付が加われば、登録までの期間は延びます。

対象1から対象3の違い

対象1は使用等に加えて緊急性を示す

対象1は、出願人又はライセンシーが指定商品・指定役務の一部で出願商標を使用しているか、使用準備を相当程度進めており、権利化に緊急性がある案件です。緊急性には、第三者の無断使用、第三者からの警告、使用許諾、日本以外への出願、マドプロ出願の基礎出願とする予定などが掲げられています。

対象2は指定した全範囲の使用等を示す

対象2は、出願人が出願商標を使用しているか、使用準備を相当程度進めている商品・役務だけを指定した案件です。願書に複数の商品・役務があれば、原則として全てについて使用又は使用準備を証明します。証明できない指定範囲が残ると対象になりません。

対象3は基準等表示との一致を見る

対象3は、指定範囲の一部について使用又は使用準備を示し、願書の全ての商品・役務を、商標法施行規則別表、類似商品・役務審査基準、ニース分類の掲載表示と同一にした案件です。対象2と違い、使用等の証明は指定範囲のいずれか一つで足りますが、商品・役務名は漢字や句読点まで基準等表示と一致させます。

対象1から3のどれを選ぶかは、出願商標の使用者、証明できる商品・役務、緊急事情、願書の表示から決めます。先に広い指定範囲で出願し、事情説明書の段階で考え始めると、補正による削除が必要になることがあります。

使用又は使用準備を証明する資料

資料から、使用商標が出願商標と同一であること、その商標を指定商品・指定役務に使っていること、使用者が出願人又は所定のライセンシーであることを読み取れるようにします。

  • 商標を表示した商品、容器、包装、店舗備品の写真
  • 商品・サービスと商標が分かるカタログ、広告、ウェブページ
  • 発注書、納品書、販売記録、印刷発注など時期を示す資料
  • 発売予定日、商品仕様、製造工程を示す使用準備資料
  • ライセンシーが使用する場合の契約書又は使用許諾書

出願商標との同一性を確認する

早期審査の選定では短期間で画一的に判断するため、使用商標と出願商標の同一性は厳格に確認されます。文字、図形、配色、配置が異なる版を提出する場合、同じブランドだという説明だけでは足りないことがあります。出願予定の見本と量産用データを横に並べてから出願します。

指定商品・指定役務の補正と限界

対象2で使用等を証明できない商品・役務が含まれる場合や、対象3で基準等表示と異なる商品・役務が含まれる場合は、該当部分を削除する補正により対象となる余地があります。補正で指定範囲を広げることはできません。早期化のために削除した商品・役務は、その出願の権利範囲には入りません。

新商品を含めた広い範囲を確保したい要請と、早期審査の対象に合わせる要請が衝突する場合があります。早期審査を使う出願と将来商品を扱う出願を分ける方法も含め、費用、優先順位、出願日の確保を比較します。区分選択は商標の区分を選ぶ方法も参照してください。

対象外の出願がある

日本を指定する国際商標登録出願、新しいタイプの商標、一定の立体商標は早期審査・早期審理の対象外です。コンセント制度の適用を主張する出願は早期審査の対象外です。制度改定があるため、申出時の特許庁ガイドラインを確認します。

申出前の実務チェック

  1. 使用中又は使用準備中の商標見本を確定する
  2. 商品・サービスごとに使用者と証拠を対応させる
  3. 願書の指定商品・指定役務と証拠の範囲を照合する
  4. 対象1なら緊急性を示す資料と日付を確認する
  5. 対象3なら出願年に対応する基準等表示を照合する
  6. 事情説明書と証拠の営業秘密を確認して提出する

早期審査を申し出るかにかかわらず、出願前の商標調査は省略できません。使用開始が迫っているほど、先行商標の調査と指定範囲の設計を同時に進めます。早期審査の制度全体は商標登録の早期審査と実務上の要点もご覧ください。

よくある質問

Q1.追加料金を払えば早期審査を利用できますか?

料金だけでは利用できません。対象1から対象3のいずれかを満たし、事情説明書と証明資料を提出します。特許庁へ納める申出手数料は不要です。

Q2.早期審査なら登録されやすくなりますか?

なりません。登録要件は通常の審査と同じです。早く届く最初の審査結果が拒絶理由通知となる場合もあります。

Q3.まだ販売していなくても申し出られますか?

使用の準備を相当程度進めていることを客観資料で示せれば対象となる余地があります。構想や口頭の予定だけではなく、発注、製造、広告準備、発売日などを資料で結びます。

Q4.申出から2か月で登録されますか?

2か月程度は最初の審査結果までの平均実績です。登録を保証する期間ではなく、案件の事情や拒絶理由への応答で変わります。

Q5.出願後でも早期審査を申し出られますか?

出願日以後に申し出られます。ただし、提出が遅いと通常審査の着手時期との関係で利点が小さくなることがあります。

早期審査を使う案件では、速さより先に、商標見本、指定範囲、使用資料の三つを一致させます。その一致を確認した上で事情説明書を作れば、対象外通知や不要な範囲削除を避けやすくなります。

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247

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