秋の味覚にも、商標登録は欠かせません

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(1)2017年地域団体商標に登録「岩泉まつたけ」

(1−1)マイスターが厳選する「森の王様」

岩手県岩泉町は、その93%が森林に覆われています。
美しい清流とアカマツ林のなかで育まれる「岩泉まつたけ」は、「森の王様」とも呼ばれる町の特産品です。

岩泉町では10年以上松茸の仕事に携わってきた人を「岩泉まつたけマイスター」として認定しています。
このお墨付きをもらったものだけが名乗ることができるのが、「岩泉まつたけ」なのです。

また、岩泉町は本州の北に位置していることから、ほかの産地より早く出荷されます。味も香りも形もよい松茸を、ひと足早く味わえるのはうれしいことですね。

(1−2)地元との深い強い結びつき「岩泉松茸神社」

また、岩泉町の合の山(あいのやま)には、「岩泉松茸神社」があります。
ここは全国でもめずらしい神社で、狛犬の代わりに松茸のモニュメントが訪れる人を迎えてくれます。

収穫の時期には多くの人が足を運び、豊作を願うそうです。
単に特産品というだけではなく、ふるさとの山で育まれた松茸との深い結びつきがうかがえますね。

(1−3)「岩泉まつたけ」の商標登録

「岩泉まつたけ」は、2012年1月に商標登録されています(商標登録 第5463948号)。

その後、2017年3月には、新たに地域団体商標として登録されました(商標登録 第5931806号)。

KEY POINT!

地域団体商標とは

地域ブランドを保護するため、2006年4月から「地域団体商標制度」が始まりました。それまでの商標法では、地名は一個人に独占されるものではないという考えから、「地名+商品内容」だけの商標では登録が困難でした。

しかし「地域団体商標」はこれが可能となり、その土地で生産されたものや伝統工芸品などの「商品」はもちろん、温泉やご当地グルメなどの「サービス」も登録できます。そのため地元の人々が自身の手でブランドを守り、育てることができるのです。

「地域団体商標」についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

岩泉まつたけ(商標登録 第5463948号)


特許庁の商標公報・商標公開公報より引用

  • 権利者:岩泉まつたけ事業協同組合
  • 出願日:2011年7月22日
  • 登録日:2012年1月20日

区分は以下の通りです。

  • 第29類「岩手県岩泉町産の松茸を用いた肉製品、岩手県岩泉町産の松茸を用いた加工水産物(かつお節・寒天・削り節などを除く)、岩手県岩泉町産の乾燥松茸、岩手県岩泉町産の松茸の缶詰、岩手県岩泉町産の加工松茸」など
  • 第30類「岩手県岩泉町産の松茸を用いた茶、岩手県岩泉町産の松茸を用いた菓子およびパン、岩手県岩泉町産の松茸を用いたしょうゆ、岩手県岩泉町産の松茸を用いた穀物の加工品、岩手県岩泉町産の松茸を用いたべんとう」など
  • 第31類「岩手県岩泉町産の松茸」
  • 第33類「岩手県岩泉町産の松茸を用いた焼酎、岩手県岩泉町産の松茸を用いた日本酒、岩手県岩泉町産の松茸を用いた洋酒、岩手県岩泉町産の松茸を用いたリキュール、岩手県岩泉町産の松茸を用いた果実酒」など

岩泉まつたけ(商標登録 第5931806号)

これは地域団体商標です!

  • 権利者:岩泉まつたけ事業協同組合
  • 出願日:2016年2月29日
  • 登録日:2017年3月17日

区分は以下の通りです。

  • 第31類「岩手県岩泉町およびその周辺地域産の松茸」

(2)厳選された味と鮮度「大黒さんま」

(2−1)徹底した対策に込められた漁師の誇り

北海道南東部に位置する厚岸(あっけし)町は、自然に恵まれた歴史ある街です。
古くから「牡蠣の街」として知られており、アイヌ語で「牡蠣の漁場」を意味する「アツケシ」が転じて、町名になったという説もあります。

また、太平洋に面した厚岸沖は、寒流と暖流、親潮と黒潮が交わる場所であり、豊富な海の幸に恵まれています。

そして、味と鮮度を誇る厚岸のさんまのなかでも、さらに厳しい規定に合格したものだけが「大黒さんま」を名乗ることができるのです。

厚岸のさんま漁では、船上で特大のものだけを選別し、直ちに箱詰めされます。
この鮮度保持のための徹底した対策からは、漁師の誇りがうかがえます。

(2−2)「大黒さんま」の商標登録

「大黒さんま」は、2011年4月に地域団体商標として登録されました(商標登録 第5407849号)。

その後、下記の図形付きの商標も登録されています(商標登録 第5414982号)。

大黒さんま(商標登録 第5407849号)

これは地域団体商標です!

  • 権利者:厚岸漁業協同組合
  • 出願日:2009年4月15日
  • 登録日:2011年4月22日

区分は以下の通りです。

  • 第29類「北海道厚岸町大黒島沖で漁獲され、北海道厚岸漁港で水揚げされたさんま」

大黒さんま(商標登録 第5414982号)


特許庁の商標公報・商標公開公報より引用

  • 権利者:厚岸漁業協同組合
  • 出願日:2010年11月5日
  • 登録日:2011年5月27日

区分は以下の通りです。

  • 第29類「北海道厚岸町大黒島沖で漁獲され、北海道厚岸漁港で水揚げされたさんま、北海道厚岸町大黒島沖で漁獲され、北海道厚岸漁港で水揚げされたさんまの加工水産物」

(3)大粒で深い甘み「厚保(あつ)くり」・「中山栗」

(3−1)厳しい規格管理でブランドを守る「厚保くり」

山口県美祢市厚保地区は、県内有数の栗の産地として知られています。
その歴史は250年におよび、大ぶりで甘みのある「厚保くり」は、全国でも人気があります。

収穫された栗は、まず生産者によって選別され、小ぶりなものや虫食いのあるものは外されます。そして選果場へ運ばれた後、もう1度規格を満たしているか確認されます。

このとき約3分の1が規格外になるというから、いかに厳選されているのかがわかりますね。

「厚保くり」は、地域団体商標制度が施行された2006年に出願され、2008年2月に登録されました。

厚保くり(商標登録 第5109216号)

これは地域団体商標です!

  • 権利者:山口美祢農業協同組合
  • 出願日:2006年12月25日
  • 登録日:2008年2月1日

区分は以下の通りです。

  • 第31類「山口県美祢市厚保地区およびその周辺地域産のくり」

「日本一」と称される上品な味わい「中山栗」

瀬戸内海に面した愛媛県伊予市は、3つの地区(伊予地区、双海地区、中山地区)からなる豊かな自然に囲まれた街です。

そのため特産品も多く、伊予地区ではみかんや唐川びわ、チリメン、双海地区ではじゃこてんなどが人気を集めています。
そして、中山地区で栽培されているのが「中山栗」です。

中山間部に位置する中山地区は、昼夜の寒暖差が大きく、栗の栽培に適した土地です。
そのため、大粒で上品な甘みのある栗が生産され、「日本一の中山栗」とも称されています。

「中山栗」は、2013年3月に地域団体商標として登録されました。

中山栗(商標登録 第5565057号)

これは地域団体商標です!

  • 権利者:えひめ中央農業協同組合
  • 出願日:2011年12月27日
  • 登録日:2013年3月15日

区分は以下の通りです。

  • 第31類「愛媛県伊予市中山町産のくり」

(4)まとめ

食卓に並ぶ秋の味覚には、それぞれの地域の特性や生産者のこだわりが込められています。
そして商品のブランドについても、関係者の手でしっかりと守り続ける必要があります。

もし、第三者に商品名を勝手に使われ、味や品質の劣るものが食卓に並ぶようになったら、本物の価値も下がってしまいます。そのような事態は避けたいものですね。

丹精込めた品が消費者の元に届けられ、多くの人が季節の味を堪能するためにも、商標登録は欠かせないものとなっています。

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247

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