ゴリラのシャバーニが商標に

無料商標調査 商標登録革命

名古屋市東山動植物園で暮らすイケメンゴリラとして全国的な人気を博したシャバーニ。彼の魅力はSNSで瞬く間に拡散し、多くのファンを魅了しました。

そんなシャバーニの名前が、実は商標として正式に登録されていることをご存知でしょうか。動物の名前が商標登録される背景には、知的財産権の保護という重要な意味が込められています。

1. シャバーニブーム到来!その人気の裏側に潜む商標戦略

シャバーニの人気は想像を超えるものでした。東山動植物園には連日多くの来園者が詰めかけ、当時は彼の誕生日には実に500人ものファンが集結するほどの社会現象となりました。

この熱狂的な人気に応える形で、園では100種類を超えるグッズを展開し、写真集やDVDまで制作されました。これらの商品は飛ぶように売れ、シャバーニは単なる動物園のアイドルを超えた存在となったのです。

しかし、人気が高まれば高まるほど、模倣品や無断使用のリスクも増大します。

東山動植物園を運営する名古屋市は、この貴重な「シャバーニブランド」を守るため、2016年3月に商標出願に踏み切りました。以降登録されたのは「シャバーニ」と「SHABANI」という2つの標準文字商標です。同年9月には無事に登録が完了し、名古屋市が権利者として正式に商標権を取得しました。以降も出願し、現在4つの登録商標が存在します。

2. 動物の名前も立派な知的財産!過去の成功事例から学ぶ

「動物の名前が商標になるの?」と驚かれる方も多いでしょう。

実は、特定の動物の名前に商業的価値が生まれた場合、商標として保護されることは珍しくありません。

シャバーニの場合、単なる一般的なゴリラの名前ではなく、「東山動植物園の人気者ゴリラ」として特定できる存在であることがポイントとなりました。

過去には、立ち上がる愛らしい姿で一世を風靡したレッサーパンダの風太も商標登録されています。

2005年から2006年にかけて千葉市動物公園を運営する千葉市により標準文字商標として登録された風太は、当時の動物ブームの先駆者的存在でした。

ただし、現在では更新されておらず、商標権は期間満了により失効しています。このことからも分かるように、商標権は継続的な管理と更新が必要な権利なのです。

3. シャバーニの商標権、その幅広さ

出願番号/登録番号/国際登録番号:登録5883178(商願2016‑030027)
商標(検索用):SHABANI
区分:09 14 16 …
出願人/権利者/名義人:名古屋市
出願日/国際登録日(事後指定日):2016/03/04
登録日:2016/09/23
出願番号/登録番号/国際登録番号:登録5883179(商願2016‑030028)
商標(検索用):シャバーニ
区分:09 14 16 …
出願人/権利者/名義人:名古屋市
出願日/国際登録日(事後指定日):2016/03/04
登録日:2016/09/23
出願番号/登録番号/国際登録番号:登録6884754(商願2024‑005470)
商標(検索用):SHABANI
区分:03 05 08 …
出願人/権利者/名義人:名古屋市
出願日/国際登録日(事後指定日):2024/01/10
登録日:2025/01/14
出願番号/登録番号/国際登録番号:登録6884755(商願2024‑005471)
商標(検索用):シャバーニ
区分:03 05 08 …
出願人/権利者/名義人:名古屋市
出願日/国際登録日(事後指定日):2024/01/10
登録日:2025/01/14

シャバーニの商標登録は実に戦略的で、多くの区分にわたって幅広く権利を確保しています。第9類では音楽や画像ファイル、DVDなどのデジタル商品を、第14類ではキーホルダーや時計などのアクセサリー類をカバーしています。第16類は文房具や印刷物、ポスター、写真といった紙媒体商品を、第18類ではかばんや傘などの日用品を保護対象としています。

さらに第24類では布製品や毛布、カーテンなどの生活用品を、第30類では茶やコーヒー、菓子、パンなどの食品関連商品を網羅しています。第35類は広告や小売業務といったサービス業を、第41類では写真展やセミナーの企画・運営、書籍や放送番組の制作など、エンターテインメント分野まで含んでいます。

この包括的な商標登録により、今後「シャバーニ」や「SHABANI」の文字を商業利用する際には、権利者である名古屋市からライセンスを受ける必要があります。これにより、悪質な模倣品や無断使用を効果的に防ぐことが可能となったのです。

4. なぜ商標登録が必要だったのか?その重要性を解説

もしシャバーニの商標登録を怠っていたらどうなっていたでしょうか。

最悪の場合、まったく無関係な第三者がシャバーニの名前を使った商品を自由に販売することが可能になってしまいます。さらに恐ろしいのは、悪意ある第三者が先に商標出願を行い、権利を取得してしまうケースです。

このような事態が発生すれば、本来の飼育元である東山動植物園がシャバーニ関連のグッズを製造・販売する際に、逆に商標権侵害として訴えられる可能性すらあります。

実際に、人気キャラクターや有名人の名前を第三者が勝手に商標出願する「商標ブローカー」と呼ばれる問題は、現実に存在する深刻な課題なのです。

適切なタイミングでの商標登録は、シャバーニというブランドの価値を守り、ファンの皆さんが安心して正規品を購入できる環境を整えることにもつながります。名古屋市の先見の明ある判断により、シャバーニの魅力を末永く皆さんに届け続けることが可能となったのです。

5. まとめ:商標登録が築くシャバーニブランドの未来

シャバーニの商標登録成功は、単なる法的手続きの完了以上の意味を持っています。

これは動物園という公的機関が、現代のメディア社会における知的財産権の重要性を理解し、積極的にブランド保護に取り組んだ先進的な事例といえるでしょう。

今回の商標登録により、シャバーニの名前は法的に保護され、適切な品質管理のもとでファンに愛される商品が継続的に提供されることになります。

これは東山動植物園の収益向上にもつながり、ひいてはシャバーニをはじめとする動物たちのより良い飼育環境の実現にも貢献するでしょう。

SNSが普及し、一瞬で全国的な話題となる現代において、シャバーニの商標登録は他の動物園や類似施設にとっても重要な先例となっています。

愛らしい動物たちの魅力を適切に保護し、ファンとの絆を深めていくために、商標登録という知的財産戦略の重要性は今後ますます高まっていくことでしょう。

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247

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