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登録した商標ロゴのデザインが変わったらどうすればよいか?


1. ロゴ変更で最初に押さえたいこと

会社のロゴを一新したとき、過去に特許庁へ登録したロゴ商標をどう扱うかは、意外と見落とされがちな問題です。

結論から言うと、登録済みの商標のデザインを特許庁の手続で書き換えることはできません。新しいデザインは、新しい商標として登録し直すのが原則です。

一方で、使わなくなった旧ロゴの登録にも、不使用取消審判という落とし穴が残ります。本稿では、ロゴ変更の際に確認したい手続とリスクの全体像をお話しします。

2. 登録した商標はあとから変更できない

更新登録申請は「期間」の更新だけ

商標権は設定登録の日から10年で満了しますが、更新登録の申請を繰り返すことで半永久的に維持できます。ただし、この更新はあくまで権利の存続期間を延ばす手続です。

登録されている商標の見た目や、指定商品・指定役務の内容を、更新のタイミングで差し替えることはできません。

登録後にできる手続

登録後に認められるのは、権利者の住所変更や名義変更(権利の移転)、指定商品・指定役務の一部放棄といった手続です。いずれも、権利者の情報を改めるか、登録の範囲を狭める方向のものに限られます。

指定商品を追加したり、商標のデザインを改めたりする手続は用意されていません。

出願中の補正にも制限がある

審査の途中であれば、拒絶理由への応答として指定商品・指定役務を削除・減縮する補正は認められます。しかし、出願した商標そのものを別のデザインに差し替える補正は、出願内容の要旨を変更するものとして認められません。

出願の段階でも、デザインが変わったら新しい出願で対応するのが基本です。

3. 新しいロゴでの登録し直しが原則

「登録商標」と少しでも違えば同一ではない

商標権の効力の中心にあるのは、特許庁に登録された商標そのものです。デザインの一部だけ手を加えたロゴは、登録商標と同一の商標ではなく、類似の商標として扱われるのが通常です。

類似の範囲にも他人の使用を禁止する効力は及びますが、権利の中心である「同一」の範囲で使えているかどうかで、権利の安定感は大きく変わります。ブランドの中心となるロゴを刷新したのであれば、その新しいデザインで商標権を取り直すのが本筋です。

ブランド管理の観点

正規のロゴは、色や形、フォントまで細かく規程で管理されている会社が少なくありません。担当者ごとの判断でロゴが少しずつ変わっていくと、模倣品が現れたときに、どれが正規の表示かを説明しにくくなります。

パッケージや販促物の都合でロゴの表示が崩れないように、どのデザインが登録商標なのかを社内で共有しておくと、権利行使の場面でも説明が通りやすくなります。

4. 旧ロゴの登録に残る不使用取消のリスク

不使用取消審判とは

商標法50条は、継続して3年以上、日本国内で商標権者・専用使用権者・通常使用権者のいずれもが指定商品・指定役務に登録商標を使用していない場合、誰でもその登録の取消しを審判で請求できると定めています。

使っていないだけで自動的に取り消されるわけではありません。ただ、第三者から請求されると、使用の事実は商標権者の側が証拠で示すことになり、証明できなければ登録は取り消されます。

使用は「義務」ではなくリスクの問題

商標法に、登録商標を使い続けなければ罰せられるという規定はありません。商標制度は実際に使われる商標を保護する仕組みなので、長く使われていない登録は取消請求の対象になり得る、という形でリスクが現れます。

新ロゴの使用が旧登録の使用と認められるか

取消しを免れるには、登録商標を「社会通念上同一」と認められる範囲で使っている実績が要ります。書体だけを変えた文字商標や、ひらがなとカタカナを相互に変更しても呼び方や意味が変わらない場合などがその典型です。

デザインを大きく変えた新ロゴの使用は、旧登録の使用とは認められないおそれがあります。新ロゴに全面的に切り替えたまま3年が経過すると、旧登録は取消請求に耐えられない状態になっていきます。

駆け込み使用は救済されない

審判請求の直前に慌てて使用を再開する方法も、当てにはできません。請求前3か月以内の使用について、請求されることを知った後の駆け込み使用だと証明されると、使用の実績とは認められないためです。

5. 実務での進め方

変更の程度を評価する

書体を整えた程度なのか、構成要素から変わったのかで、取るべき対応は変わります。社会通念上同一といえる軽微な変更であれば、旧登録のままで使用実績も維持できる場合があります。

判断に迷う程度の変更なら、新規出願を前提に検討するのが安全側です。

新規出願のタイミング

新ロゴの公表後に出願すると、公表から出願までの間に第三者の出願が入り込む余地が生まれます。ロゴの確定と同時に、公表前の出願を検討してください。

ロゴの検討に時間がかかる場合は、社名や商品名の文字商標を先に確保しておく方法もあります。文字商標があれば、名称そのものの先取りは防げます。

旧ロゴの扱いは事業計画に合わせて

移行期間中は旧ロゴの使用実績を残しつつ、新ロゴの登録が済んでから切り替える進め方が堅実です。ただし、旧新のロゴをいつまでも併用すると、ブランドの一貫性や管理の面で負担も生じます。

旧登録を維持し続けるか、役割を終えたものとして手放すかは、商品の切り替え時期や在庫、取引先との関係も踏まえて決めることになります。

6. よくある質問

Q1.ロゴを少しだけ手直ししました。登録し直しは必要ですか?

書体を整えた程度で、呼び方や意味、外観の印象が変わらないなら、社会通念上同一の範囲として旧登録でまかなえる場合があります。構成や図形の要素が変わったのであれば、新規出願をおすすめします。

Q2.更新登録のときに新しいデザインへ差し替えられますか?

できません。更新登録の申請は存続期間を延ばす手続で、商標の内容には手を付けられません。

Q3.新ロゴに完全に切り替えたら、旧ロゴの登録はどうなりますか?

登録自体はすぐには消えません。ただ、不使用の状態が3年以上続くと、第三者の請求で取り消される可能性が出てきます。

Q4.不使用取消審判は誰が請求できるのですか?

商標法50条は「何人も」請求できると定めており、競合他社に限られません。

Q5.旧ロゴの登録を維持する意味はありますか?

移行期間中の権利の空白を防ぐ意味があります。新ロゴの登録が確定し、市場の表示も切り替わったあとに、維持するかどうかを改めて判断すれば足ります。

7. まとめ

登録した商標のデザインは、特許庁の手続で後から変更できません。ロゴを一新したときは、新しいデザインでの商標登録が原則です。

あわせて、旧ロゴの登録には不使用取消審判のリスクが残ります。社会通念上同一といえる範囲かどうかを見極め、切り替えの計画に権利の整備を組み込んでおくと、ブランドを守る土台が揺らぎません。

ロゴ変更は、権利の空白が生まれやすいタイミングです。デザインの決定と並行して、出願の要否を検討してください。

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247

参考資料

  • e-Gov法令検索「商標法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000127
  • 特許庁「登録に関する手続」 https://www.jpo.go.jp/system/process/toroku/index.html
  • 特許庁「商標登録取消審判」 https://www.jpo.go.jp/system/trial_appeal/shubetu-shohyo_torikeshi/index.html
  • 特許庁「不使用取消審判請求に対する登録商標の使用の立証のための参考資料」 https://www.jpo.go.jp/system/trial_appeal/shubetu-shohyo_torikeshi/document/index/shiyou-risshou.pdf
  • 特許情報プラットフォーム(J-PlatPat) https://www.j-platpat.inpit.go.jp/

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ファーイースト国際特許事務所|弁理士 平野泰弘

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