え、商標権の更新登録の手続を忘れてしまった?〜その救済方法と対応策〜

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商標権は事業上の大切な財産です。しかし、更新手続きをうっかり忘れてしまい、「あれ?もう期限が過ぎてる…」と焦った経験はありませんか?

実は、そんなときにも諦める必要はないかもしれません。

本記事では、商標権更新の基本から、うっかり期限を過ぎてしまった場合の救済措置まで、徹底解説します。

1. 商標権の更新登録とは?〜自動車免許と同じ、期限内の更新が必須〜

商標権は永久に続くものではありません。自動車運転免許証と同様に、定期的な「更新」が必要なのです。

商標権の有効期間は登録から10年間。この10年が経過する前に更新手続きを行わなければ、せっかく取得した大切な権利が消滅してしまいます。

更新手続きには、主に2つの期間があります。

  • 1. 通常の更新申請期間:権利満了の6ヶ月前から満了日まで
  • 2. 追納期間:権利満了後6ヶ月以内(ただし倍額の更新料が必要)

ビジネスの多忙さに紛れて「うっかり」通常期間内の更新を逃してしまっても、追納期間であれば、倍額の印紙代を納付することで商標権を維持できます。

しかし、この追納期間も過ぎてしまうと、法律上、商標権は「さかのぼって消滅した」ものと扱われるのです(商標法20条4項)。

2. 追納期間を過ぎてしまった!〜諦める前に知っておきたい救済措置〜

「更新期限から6ヶ月が経過し、追納期間も過ぎてしまった…もう商標権は復活できないの?」とお悩みの方へ朗報です。

実は、令和5年4月1日以降、救済措置が拡充され、以前よりも権利回復のハードルが下がりました。

商標権回復のキーポイント

商標法21条1項に基づく「復活期間」は、追納期間を過ぎてしまった権利者を特別に救済する制度です。この制度のポイントは:

  • 「故意でなかった」ことの証明:単なる「うっかり」であれば救済される可能性がある
  • 迅速な対応:気づいてから6ヶ月以内に手続きを完了する必要あり
  • 最終期限:いかなる場合も、本来の更新期限から1年を超えると救済不可

以前は「正当な理由」という厳格な基準がありましたが、現在は「故意でなかった」という比較的クリアしやすい基準に変更されています。

つまり、意図的に放棄したわけではなく、単純に失念していた場合は救済される可能性が高くなったのです。

3. 商標権回復申請の5ステップ〜実践的な手続きガイド〜

では、実際に商標権を回復するにはどうすればよいのでしょうか?具体的な手続きを5つのステップでご説明します。

STEP1:対象手続きの完了

まず、本来行うべきだった更新手続きそのものを完了させます。この時点で納付する更新料として特許庁に支払う印紙代は原則として倍額になりますので、ご注意ください。電子申請を利用すれば、手続きがスムーズです。

STEP2:回復理由書の作成

「故意ではなかった」ことを説明する回復理由書を作成します。社内での管理体制や、なぜ期限を逃してしまったのかを具体的かつ簡潔に記載しましょう。

STEP3:回復手数料の納付

回復申請には倍額更新料としての印紙代に加えて、特許庁に対し、86,400円の手数料が必要です。この費用は回復のための審査料として特許庁に納付します。

決して安い金額ではありませんが、商標権を失うリスクを考えれば、必要な投資と言えるでしょう。

STEP4:証拠書類の添付

必要に応じて、「故意でなかった」ことを裏付ける証拠を添付します。例えば、社内メールのやり取り、システム障害のログ、担当者の病気・入院の診断書などが有効です。

STEP5:特許庁への提出と結果待ち

書類一式を特許庁に提出し、審査結果を待ちます。特許庁では、提出された書類が期間内に提出されているか、手数料が納付されているか、そして最も重要な「故意でない基準」を満たしているかが審査されます。

4. 救済されないケース〜「故意」と判断される典型例〜

すべての申請が認められるわけではありません。

特に以下のようなケースは「故意による不更新」と判断され、救済が認められないことが多いので注意が必要です:

  • 会社の方針として一度権利を放棄した後、方針転換で復活を希望
  • 資金難を理由に意図的に支払いを見送った場合
  • 廃業を決めて権利を放棄した後、事業継続を決定

これらは全て「意図的に」手続きをしなかったと判断されるため、救済の対象外となります。

5. 商標権管理のベストプラクティス〜二度と更新を忘れないために〜

最後に、そもそも更新忘れを防ぐための管理方法をご紹介します。

  • 1. 管理カレンダーの導入:更新期限を複数人で共有できるカレンダーシステムを使用
  • 2. アラート設定:期限の1年前、6ヶ月前、3ヶ月前にリマインダーを設定
  • 3. 担当者の複数化:一人だけでなく複数人で管理責任を分散
  • 4. 専門家への依頼:弁理士など専門家に管理を委託する方法も検討

6. まとめ〜商標権は企業の命、適切な管理を〜

商標権の更新忘れは、企業のブランド価値に直結する重大な問題です。しかし、もし期限を過ぎてしまっても、「故意でなかった」ことを証明できれば、救済の道はあります。

とはいえ、そもそも更新を忘れないよう、日頃からの適切な管理体制を整えることが最も重要です。

あなたの大切な商標、きちんと管理できていますか?今一度、更新期限を確認してみてはいかがでしょうか。

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247

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