商標登録とは、自社の大切なビジネスの顔とも言える商品名やサービス名、それに会社名や店名などを守るための商標権を発生させる、一つの法律上の手段です。
この商標権を手に入れるには、特許庁にその名前等を指定して登録する必要があります。
しかし、費用がかかり審査が必要な商標登録以外で商標を保護する方法はないのでしょうか。
不正競争防止法もあるのに、なぜわざわざ商標登録をしなければならないのでしょうか？
不正競争防止法は、自社のビジネスの名前が十分に知られていれば、費用を払う必要もなく、特別な登録をせずとも保護してくれるという、ある種の夢のような存在です。
しかし、この夢の力を借りるには、「一定以上有名になっている」という条件をクリアする必要があります。
問題は、この「一定以上有名になっている」という基準があいまいで、どこまで有名であれば条件を満たすのか分かりにくい点です。
守りたい商標がその基準を満たしているかどうかを裁判所で主張立証する責任はこちら側にあります。
一方で、商標登録は、あなたの商標が他人のものと似ているかどうか、そして指定された商品やサービスが重複しているかどうかをチェックするだけで、その強力な保護が得られます。
つまり、商標登録をしておけば、自社のビジネス名が有名かどうかは問われません。
油断して不正競争防止法だけに頼っていると、こちらが大切に思っている商標を他人が先に登録してしまうリスクがあります。
もし他人が先に登録してしまった場合、その登録を取り消すことは不可能ではありませんが、相当な費用と時間、そしてエネルギーが必要になります。
結論として、自社のビジネスの大切な顔である商標を守る最も確実な方法は、商標登録を行うことです。
これは自社のビジネスを未来のリスクから守る、賢明な投資になるといえます。
商標登録と不正競争防止法の違いに関するよくある質問
Q1: 商標登録とは何ですか？
A1: 商標登録とは、商品やサービスを識別するための標識（ロゴ、名称など）を法的に保護する制度です。特許庁に登録を行い、承認されることで、登録された商標の独占的な使用権が得られます。
Q2: 不正競争防止法とは何ですか？
A2: 不正競争防止法は、他人の商品やサービスを模倣したり、他人の信用を不当に利用するなどの不正競争行為を禁止し、事業者の競争秩序を守るための法律です。商標のような特定の登録を必要とせず、一定の要件を満たす場合に保護を受けることができます。
Q3: 商標登録をした方が良い理由は何ですか？
A3: 商標登録をすることで、その商標を独占的に使用する商標権を得ることができます。これにより、他人が同じまたは類似の商標を使用することを防ぎ、あなたのブランドや商品の独自性を保護することができます。また、商標権の侵害が発生した場合に商標が有名かどうか立証する必要がなく、法的措置を取りやすくなります。
Q4: 不正競争防止法による保護を受けるための条件は何ですか？
A4: 不正競争防止法による保護を受けるためには、一般にその商標が有名であることが必要です。つまり、一定の知名度があり、消費者がその商標を見ただけで特定の事業者の商品やサービスと認識できる程度になっている必要があります。ただし、この「有名」の基準はケースバイケースで異なります。
Q5: 商標登録と不正競争防止法の保護の違いは何ですか？
A5: 商標登録は、登録された商標に対して独占的な使用権を与え、他人が類似の商標を使用することを法的に防ぐことができます。一方、不正競争防止法は、商標登録をしていなくても、ある商標が一定の知名度を有していれば、その模倣や不当な利用を禁止します。しかし、不正競争防止法の場合、保護を受けるためには商標が「有名」であることを証明する必要があり、このプロセスは商標登録の場合よりも複雑かつ困難です。
ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
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