(1)「シャバーニ」と「SHABANI」での登録
シャバーニが広く知られるようになると、東山動植物園には彼をひと目見ようと多くの人が足を運び、誕生日には500人ものファンが集まりました。その人気を反映し、100種類以上のグッズや写真集、DVDなどは、いずれも好調な売り上げを記録していました。
そのため東山動植物園では、この先も「シャバーニ」の権利を守り、広く商品を展開して行くために、商標登録を考えたようです。
登録を希望したのは「シャバーニ」と「SHABANI」という2つの標準文字商標です。
これは2016年3月に出願され、9月に無事登録されました。
東山動植物園は市営のため、権利者は名古屋市となっています。
(2)動物の名前も商標登録が可能です
動物の名前が商標として登録できたことを意外に思われるでしょうか?
今回、商標登録された「シャバーニ」と「SHABANI」は、東山動植物園にいる「人気者のゴリラの名前」として、特定の存在を認識できる文字商標として登録されました。
このように商標登録された人気の動物は過去にもいます。
2005年頃、立ち上がる姿のかわいらしさで有名になったレッサーパンダの風太です。
風太もやはり標準文字商標として、2006年に商標登録されています。
権利者は、飼育されている千葉市動物公園を運営する千葉市となっています。
(3)シャバーニはどのような区分で登録を?
では、具体的に「シャバーニ」と「SHABANI」の商標はどのような区分で登録されているのでしょうか?
区分数は8つあり、その詳細は以下のようになっています。
・第9類
インターネットを利用した音楽や画像のファイル、録画済みDVDやその他の記憶媒体など
・第14類
キーホルダー、身飾品、時計など
・第16類
文房具類、印刷物、ポスター、写真など
・第18類
かばん類、傘など・第24類布製身の回り品、毛布、カーテンなど
・第24類
布製身の回り品、毛布、カーテンなど
・第30類
茶、コーヒー、菓子、パン、ドレッシングなど
・第35類
広告や新聞記事の情報提供、小売や卸売の業務での顧客に対する便益の提供など
・第41類
写真展やセミナーなどの企画・運営や開催、書籍や放送番組の制作など
シャバーニの幅広い活躍を網羅できるよう、多くの区分で登録されていることがわかります。
これにより、この先「シャバーニ」や「SHABANI」という文字を使用する場合には、権利者である名古屋市から使用の許諾(ライセンス)を受ける必要があり、悪質な使用を防ぐことができます。
(4)まとめ
今回、シャバーニは無事に商標登録されました。けれどもし何も知らないまま、出願や登録を行わずにいたら、まったく関係のない人がシャバーニの名前のついた商品を勝手に販売することも可能でした。
また、万が一、第三者によって先に商標登録されてしまった場合、シャバーニのいる東山動植物園がグッズの製造や販売を行うときに困難が伴う事態になっていたかもしれません。
そのため適切な時期に商標の登録を行えたことは、飼育する東山動植物園や名古屋市、シャバーニの多くのファンにとっても喜ばしいことだと考えられます。
ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247
[参考]
- [1]朝日新聞デジタル(2016年10月7日)
- [2]asahi.com(2005年05月31日)