索引
(1)商標権はどれくらい続くのか?
商標権の更新期間について「10年と5年があるの?」と疑問に思われるかもしれませんが、商標権の基本的な更新期間は登録日から10年ごとです。運転免許の更新と同じで、更新を忘れなければ、ほぼ永遠に権利を保有できます。
特許庁に支払う更新費用は、10年分を一括で支払う方法と、5年ごとに分割して支払う方法の2つがあります。
ですので、更新期間は10年に一度行うものですが、支払いの選択肢として5年ごとの分割払いも可能です。
更新手続きを怠らないためのポイント
権利を維持するためには、存続期間が終わる前に必ず更新手続きを行うことが重要です。手続きは10年ごとに行い、費用の納付方法は一括払い(10年分)か分割払い(5年ごと)を選択できます。
ただし、5年ごとに分割して支払う場合、1年あたりの費用が高くなるため、通常は10年分をまとめて支払う方が経済的です。
もし5年ごとの分割払いを選んだ場合、後期分の支払いを忘れないように注意が必要です。
後期分を支払わないと、商標権は5年で失効してしまいます。これを防ぐためには、5年後経過前に必ず後期分を納めることが必要です。
更新を忘れるとどうなる?
更新手続きを怠ると、取得した商標権は失効となり、他者が同じ商標や似た商標を登録できるようになります。さらに、その商標を使い続けると他者の権利を侵害し、損害賠償を求められるリスクもあります。
商標を今後も使用し続ける予定があるならば、必ず更新手続きを行いましょう。商標権の維持は、ビジネスを守る重要な要素です
(2)いつ更新すればいいのか?
更新の基準日は、登録日です。出願日、審査合格時、料金支払時、登録証が届いた日等のどれでもありませんので注意が必要です。
商標を更新するタイミングをしっかりと管理することが大切です。
商標登録証には登録日が記載されていますので、これを基に更新時期を把握しましょう。
更新手続きが可能になるのは、存続期間満了の6カ月前からです。この期間内に手続きを完了することを心がけましょう。
さらに、出願番号を使ってインターネット上で確認することも可能です。この番号は登録商標に記載されていますので、確認してみてください。
更新手続きの手順
1. 特許情報プラットフォーム「J-Plat-Pat」のホームページを開きます。
ここでは登録商標の検索が可能です。
特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/
特許情報プラットフォームにアクセスし、出願番号や登録番号を入力して商標情報を検索します。出願番号や登録番号は、特許庁から届いた登録に記載されていますので、参照してください。
青の帯の「商標」の欄をクリックすると、メニューが展開しますので、この中から「商標番号照会」をクリックして選択します。
Fig 1. 特許情報プラットフォームの初期画面
すると、商標番号照会画面に切り替わるので、出願番号か、登録番号を入力します。ここでは一例として仮に東京都中央区のシンボルマークで検索してみましょう。
Fig 2. 特許情報プラットフォームへの入力例
出願番号は「商願平3−94484」となるため、「H3−94484」と入力して、下の青い照会ボタンを押します。
検索結果が表示されます。
Fig 3. 特許情報プラットフォームの結果表示
ここで、右下の「経過情報」を押してみましょう。
開いた経過情報照会の画面で、登録情報のタブをクリックすると、登録情報の詳細画面がでます。
Fig 4. 特許情報プラットフォームの登録情報詳細
この画面の下の「登録細項目記事」に着目してください。「本権利は抹消されていない 存続期間満了日(2024/10/31)」という項目から、期限は今年の10月31日と分かります。
また「最終納付年分記事」が「10年」となっているので、前回は10年分をまとめて支払ったことを確認できます。
(3)更新時にはいくらかかりますか?
更新登録料には、商標の登録料と同じく一括納付(10年分)と5年ごとの分割納付(前期・後期)があります。
具体的には、特許庁に納付する印紙代は、以下のような料金になります。
〈更新登録料〉
- 一括納付 区分数×43,600円(10年分)
- 分割納付(前期・後期) 区分数×22,800円(5年ごと)
(4)更新できずに期限が過ぎた場合には?
商標権の更新登録申請が満了日に間に合わなかったときにも、いくつかの方法が用意されています。
1)満了日を過ぎ、6カ月以内の場合
もし満了日を過ぎても、6カ月以内であれば申請することができます。
ただし、このケースでは更新登録料と同じ金額を割増して納付しなければなりません。もし一括納付(10年分)で納付する場合は、特許庁に支払う印紙代はこのようになります。
〈更新登録料・満了日を過ぎた場合〉
一括納付 (区分数×43,600円)+割増登録料
満了日前の登録料に比べて2倍の金額がかかってしまいます。
2)該当期間内であり、故意によるものでない理由がある場合
商標法の改正により、「故意によるものでないこと」による期間徒過後の救済は、令和5年4月1日以降に期間徒過をした手続が対象になります。
期限を過ぎてしまっても、故意によるものでない理由があり、規定の期間に該当する場合は、対象者を救済するための措置が用意されています。
その理由がなくなった日から2カ月以内であること、さらに更新申請ができる期間(満了後から6カ月を含む)であること、つまり満了日から1年以内、という期間に該当することが必要です。
これらのすべてに当てはまる場合には、更新登録料と同じ額の割増登録料と、追加の回復手数料(86,400円)を合わせた金額の納付と、回復理由書の提出等の必要な手続をすると、商標権を回復できます。
3)更新登録申請を行わなかった場合
更新登録申請が可能な期間に手続きをしないと、その商標権を失ってしまいます。これは存続期間の満了日にさかのぼります。
もしその商標を使い続けたい場合は、新たに商標登録をし直さなければなりません。
特許庁からは更新のお知らせはないです。自分で手続きをした場合には、誰からも更新の案内を受け取ることはないです。
更新を忘れて多額の追加料金を支払うことがないよう、自分で手続きをした場合には、ご自身でしっかり商標を管理していきましょう。
ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247