索 引
1. 新たな時代を作る湖池屋の挑戦
2017年、日本のスナック菓子業界への挑戦が始まりました。日本で初めてポテトチップスを世に送り出した湖池屋が、55年の歴史に新たな一歩を踏み出したのです。
創業以来培ってきた伝統と革新への情熱を込めて、湖池屋は新たなブランドアイデンティティとともに、私たちの前に現れました。
長年、ポテトチップス市場で2位の座に甘んじていた湖池屋。
市場シェアの7割以上を占める首位企業に大きく水をあけられながらも、そこには日本のポテトチップスのパイオニアとしての誇りがありました。
そして2016年11月、湖池屋は新しいロゴマークを発表。これは単なるデザインの変更ではなく、企業としての新たな決意表明だったのです。
2. 六角形に込められた6つの約束
特許庁の商標公報・商標公開公報より引用
新しいロゴマークを見て、多くの人が最初に気づくのは、「湖」の文字を囲む美しい六角形でしょう。
それまで親しまれていた「コイケヤ」というカタカナ表記から、漢字の「湖」を中心に据えたこのデザインには、深い意味が込められています。
六角形の6つの辺は、湖池屋が掲げる6つのコアバリューを表現しています。創業以来大切にしてきた「親しみ」「安心」「楽しさ」という3つの価値観に、新たに「本格」「健康」「社会貢献」を加えました。
これらは単なる企業理念ではなく、湖池屋が消費者に対して約束する6つの誓いなのです。
この「湖」という文字の由来にも注目です。創業者である小池和夫氏は、故郷・長野県の諏訪湖のように大きく成長する企業を目指し、自身の姓「小池」の「小」を「湖」に変えて社名としました。
新しいロゴの中心に据えられた「湖」の一文字には、創業者の壮大な夢と、その夢を受け継ぐ現在の湖池屋の決意が凝縮されているのです。
1つの商標には、いろいろな意味が込められているんだね。
それを知ると、会社で働く人たちや商品が身近に感じられそうだね。
3. 耳に残るフレーズも大切な財産
湖池屋の新たな挑戦は、視覚的なロゴマークだけにとどまりません。テレビCMで流れる「イケイケGOGO 湖池屋〜♪」というフレーズを聞いたことがあるでしょうか。実はこの「イケイケGOGO」というフレーズも、しっかりと商標登録されています(商標登録第5980751号)。
一見すると単なる言葉遊びのようですが、この商標登録には重要な意味があります。
ブランドの音声的な口ずさみやすい表現を法的に保護することで、湖池屋は視覚と聴覚の両面から消費者の記憶に残る存在を目指しているのです。
なお、他社がお菓子の商品名に「イケイケGOGO」を使用すると商標権侵害になりますので、業界関係者の方はご注意ください。
4. プライドをかけた渾身の一品「KOIKEYA PRIDE POTATO」
新生湖池屋の象徴として2017年2月に発売された「KOIKEYA PRIDE POTATO」は、社名に込められた「プライド」を体現する商品でした。日本産じゃがいもを100%使用し、製法においても一切の妥協を許さない姿勢で開発されたこの商品は、発売直後から爆発的な人気を博し、一時は販売休止に追い込まれるほどでした。
さらに2017年9月に発売された「手揚食感」シリーズにも注目です。
これは1962年の創業当時、職人が一枚一枚手作業で揚げていた頃の食感を最新の技術で再現したもの。55年の時を超えて、創業時の味わいを現代に蘇らせるという挑戦は、まさに温故知新の精神を体現しています。
もちろん、この「KOIKEYA PRIDE POTATO」も商標登録(第5936998号)されており、湖池屋の新たな看板商品としての地位を法的にも確立しています。
5. 商標が語る企業の物語
湖池屋の新しい商標群を見ていると、そこには単なる法的保護以上の意味があることがわかります。六角形のロゴは企業の新たな価値観を視覚化し、「イケイケGOGO」は聴覚的な印象を強化し、「KOIKEYA PRIDE POTATO」は商品を通じて企業の誇りを表現しています。
これらの商標は、湖池屋が単に市場シェアの拡大を目指すだけでなく、日本のポテトチップスのパイオニアとしての誇りを持ちながら、新たな価値を創造していく決意を示しているのです。商標とは、企業の過去・現在・未来をつなぐ架け橋であり、消費者との約束でもあるのです。
1962年に日本で初めてポテトチップスを発売してから63年。湖池屋の新たな挑戦は、商標という形で私たちの前に示されます。それは単なるビジネス戦略ではなく、日本の食文化に新たな1ページを加えようとする、一つの物語の始まりなのかもしれません。
ファーイースト国際特許事務所所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247