商標に使用する商品・役務はシンプルに選ぼう

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1.「商標法上の商品・役務」とは

商標法で言うところの「商品」と「役務」は以下の通りです。

商品とは「商取引の目的たり得るべき物、特に動産をいう」
役務とは「他人のために行う労務又は便益であって、独立して商取引の目的たりうべきものをいう」

(工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第20版〕より引用。)

簡単に言えば、「販売や提供を通じて対価を得るもの」を指します。これを念頭に置いて考えると理解しやすいでしょう。

2.商品・役務の指定方法

商標登録を受けるためには、使用する「商品・役務」だけでなく、それらが属する「区分」も記載しなければなりません。

区分は第1類から第45類まであり、例えば「第30類」は弁当、「第44類」は美容が含まれます。しかし、どの商品・役務がどの区分に属するかをすぐに把握するのは難しいでしょう。

そこで特許庁は、「類似商品・役務審査基準」(以下「類似基準」)を作成しています。

この基準には、どの商品・役務がどの区分に入るかが示されており、さらに「類似群コード」で類似する商品・役務もグループ分けされています。

https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/trademark/ruiji_kijun/ruiji_kijun12-2024.html

「類似商品・役務審査基準」特許庁HPより引用

「類似基準」に記載されている商品・役務は、特許庁が認めたものです。

無駄な手間を省くためにも、指定する商品・役務には「類似基準」に基づいた表記を使うことをお勧めします。ただし、この基準は非常に多くの情報を含んでいます。

そのため、まずは自分の商標がどのような商品・役務に使われるのかをしっかりと検討してください。法律に縛られず、自分で納得した後に「類似基準」を参照するのが効率的です。

3.商品・役務選びの際の豆知識

商品・役務を選択する際に参考になる面白い例をいくつかご紹介しましょう。

(1)「容器」も商品になる!

例えば、「ファーイースト」という名前を表示したジュースを販売するとします。この「ファーイースト」を登録すべき商品は何でしょうか?「容器」でしょうか、それとも「ジュース」でしょうか?

やはり中身の「ジュース」ですね。この「ファーイースト」は「ジュース」を買いたいと思う人のための目印です。

しかし、「容器」が商標法上の商品になる場面もあります。

飲料メーカーは通常、自社で容器を製造せず、容器メーカーから購入します。その容器に自社商品である飲料を詰めて販売します。つまり、「容器」も商品であり、「容器」に使う商標も存在します。

例えば、ビールの缶には、それぞれ違うマークがついています。これは各缶を製造しているメーカーのマーク、つまり「容器」に使っている商標です。

一般消費者にはあまり目立たないため、気づかないかもしれませんが、次回、缶の飲料を手に取る際にはぜひ気にしてみてください。

(2)「鍵」だけ英語?

第6類には「キー」という商品があります。これを見て「なぜ漢字でなくて英語のカタカナ表記?」と思うかもしれませんが、ここでいう「キー」は「玄関の鍵」ではなく、機械要素の一つです。

皆さんが毎日使う玄関の「鍵」も第6類に分類されますが、類似群コードが異なります。つまり「キー」と「鍵」は同じ第6類に属していても、類似する仲間ではないのです。

具体的には、機械要素の「キー」は第6類(類似群コード09F07)、「鍵」や「南京錠」は第6類(類似群コード13C02)、「錠(電気式または金属製のものを除く)」は第20類(類似群コード13C02)、「電気式錠」は第9類(類似群コード09G55,09G99,11C01)に分類されます。

広辞苑によると、「鍵」は「錠の穴にさし入れて、これを開閉する道具」「広くは、錠」。「錠」は「扉などに取り付けてしまりとする金具。鍵を用いて開閉する」と定義されています。

(3)入れ替え戦

時代の変化に伴い、新たな商品が生まれる一方で、消えていく商品もあります。

「類似基準」は毎年見直され、一定期間後に一度、大きな改訂が行われます。これは日本が採用している「国際分類」の改訂に合わせて実施されるものです。

直近の改訂では、今年の1月1日から「国際分類第12−2024版対応」が使用されています。

例えば、今回の改訂で「第16類 ティッシュペーパー」が新たに追加され、一方で「第21類 化学物質を充てんした保温保冷具」が削除されました。このような変遷も興味深いですね。

日本が「国際分類」を採用したのは平成4年からで、それ以前は日本独自の分類(旧分類)を使用していました。

そのため、過去の登録商標の商品・役務をそのまま記載すると、特許庁から拒絶理由通知を受ける可能性がありますので注意が必要です。

なお、役務の商標登録制度も平成4年から開始されました。商標制度自体は明治17年から始まったので、役務は商標法の歴史においてはまだ新しいものです。

商標登録出願の願書に記載する商品役務は毎年改正されるので、古い資料を参照しないようにしましょう。

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247

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