商標登録で何が得られるのか?弁理士弁護士が徹底解説

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初めに

特許庁に商売で使うネーミング、ロゴ、キャラクター等の商標を登録して何が得られるかは分かりにくいです。商標権は独占権と言われますが、その独占権が自分の業務との関係でどのように働くかをイメージしにくいと思います。今回は弁理士・弁護士の商標のプロフェッショナルが分かりやすく解説します。

(1)登録により商売のアドレスが得られる

(A)最初に商売を始めても追い出される場合がある

自ら販売する商品とか提供する役務に使う商標の場合、最初に誰も使っていないし、誰も登録していないし、商標について誰も権利を持つ人がいないのを確認してから商標の使用を開始した場合でも、法律上のトラブルに巻き込まれる場合があります。

誰も権利を持つ人がいない商標なら、法律で使用を禁止する様な法令上の問題がないことを確認すればその商標を使うのは何ら問題はないはずです。

ところが、何も問題がない、というのは、確認を実際に行った時点の話です。ある時点で安全を確認したとしても、その時点以降に安全でなくなる場合があります。

検査時点でOKの判断は検査日以降のOKを意味しない

新型コロナウィルスのPCR検査の場合でも問題になるのですが、突き詰めるとコロナウイルスに感染していない証明というのは基本的にできないです。検査を実施した場所で感染するとか、検査の当日以降にどこかで感染しても、先に行った検査ではその検査時点以降の状態は何も分からないから、です。

商売の専用表示として使用する商標の場合も同じです。

店舗名、商品名等についての権利である商標権は、最初にその商標を使った人が独占できる制度ではありません。特許庁に商標権を求める権利申請を行い、審査を通過して特許庁で登録されて初めて発生する権利です。

つまり特許庁にしかるべき手続を行わないと、商標を使用しているという事実だけでは商標権者になることができません。

後発事業者が他人の商標を権利化するのは違法では?

特許庁が先に願書を提出した人から優先的に商標権を発行するのは、誰が商標についての権利を持つ人なのかが明確になるからです。

最初に商標を使った人が権利者になる制度の場合は、本人以外は事実上、誰が最初に使ったかは分からないです。

誰が最初に商標を使ったかを裁判などで決着を付けなくてはならず、仮に裁判で決着がついても別の第三者が自分こそが正統権利者として後から名乗り出る可能性があります。

最初に商標を使ったという事実は証明が難しいです。

商標権のことを知っている人で、最初に商標を使ったことが有利になるという情報を仮に持っているなら、実際の商標の使用の証明を残そうとするでしょう。

ところが商標権を取得する意味も知らない段階、特に商売のネーミングに権利設定ができる事実を知らない間は、商標の使用事実について裁判で使用できる程度にそろえておくことを認識している人は、ほぼ、いないです。

自ら使っている商標について商標権を得ていない場合には、後から同じ商標の使用を開始した第三者に商標権を取られてしまう危険があります。

(B)現在も将来も安心して商売が続けられるアドレスを確保する

あなたも近所のコンビニとか、飲食店を利用することがあると思います。

しかし、多くの方は、そのコンビニとか飲食店のオーナーが誰かを知らないのではないでしょうか。

つまり、経営者がいつのまにか入れ替わっても、誰もそのコンビニとか飲食店にオーナーの変更があった事実は気がつかないと思います。

もしお店ののれんである商標が他人に取られて自分が使えなくなった、とします。後から進出してきた第三者のお店に、あなたの店だと思って利用を続けるお客さまが出てくる可能性があります。

個人にお客さまが付いているのではなく、お店の看板にお客さまが付いているから、です。

もし将来にむかって長く商売を続けるのであれば、第三者から横やりを入れられる余地をなくすために、できるだけ早い段階で商標登録を済ませておく必要があります。

最初に商売ののれんである商標を使い始めた段階で、法律上の問題が全く生じないのは、誰が使っても問題がない状態だったから、です。

でも誰が使ってもよい状態を、そのままにしておいてよいはずはありません。後から他の誰かに権利を取られてしまうと、こちらが商標を使えなくなるからです。

これを避ける意味で、商売を続けることができるアドレスである商標の権利を最初に確保します。そうすれば、他人から商標を使うな、といわれることがなくなります。

(C)他人がこちらの商標を使い始めた場合

商売を長年続けていると、こちらの店名と同じネーミングを使う業者が現れる場合があります。この場合、手拍子に行動してはいけません。もし自分の商売について商標権を取得していないのであれば、相手が先に商標権を取得してしまっている場合があるから、です。

もし相手が先に商標権を取得しているなら、こちらが商標権を侵害する立場になり、相手は正統権利者の立場になります。

この立場が確定する前に、先にあなたが商標権の権利者になる必要があります。

他人がこちらの商標を使い始めた場合、最初にしなければならないのは、あなたがその商標についての正統権利者である立場を確保することです。相手に商標の使用を止めさせることではありません。相手が使用している商標の使用を止めさせるのは、あなたがその商標について正統な権利者になった後、です。

(2)登録により将来の売却権が得られる

(A)商標権は売却できる財産権として扱うことができる

商標権を取得すると、その商標権は財産的価値を持ちます。商標権が欲しい、という人が現れたなら、その人に商標権を移転することができます。

この移転手続きの際に、契約で有償であることを定めることにより、商標権を実質的に売買することができます。

商標権を取得するのは、ずっと先の将来に、あなたがリタイアする時に商売を売却するためです。

もし商標権を持っていなければ、適切な権利保全をしていなければ、他人があなたの商売を無断で引き続くことができます。

適切な権利保全をしていない、というのは、誰が使っても文句はいえない状態に放置しているのと同じです。

これに対して商標権を取得していれば、第三者は無断で登録商標を使うことができません。商標権の侵害になるから、です。

商標権を侵害した場合、法人なら最大で罰金が3億円にもなります。また商標権を侵害した当事者は最大で懲役10年にもなります。

法律でしっかり商標権は守られているため、無断で使用しようとしてもその企みを回避することができます。

(B)商標権を高額で売却するためには

商標権を売買する場合、いくらの値段で売買しなければならない法律のしばりはありません。このため無料で譲ることもできますし、うん億円で譲ることもできます。

全ては商標権を売買する当事者同士の合意で決まります。オークションの場合と同じで、双方が納得した値段が取引額になります。

商標権を高額で売却できる方法の一つは、できるだけ多くその商標権を購入したい、と考える人を作ることです。漫然と経営しているだけでは商標権を欲しい、という人は現れません。その様な人が現れるように考えて商売を進める必要があります。

自分から購入してください、と働きかけるのは最悪

あなたのところにも「都会のワンルームマンション買いませんか?」という電話が掛かってきたことがあるかも知れません。

この様な話を聞くたびに、そんなに儲かるなら、あなたが全力で買い取り、全力で儲けなさいよ、といつも私は思います。

儲かるもとネタは誰も手放さないです。そのネタで稼げばよいだけですから。

自分から購入してください、と働きかけると、せっかくの宝が、廃品回収に出す不要物になってしまいます。

購入するように働きかけるのではなく、多くの人から譲ってください、といってもらえるように動くのです。ここは間違えないようにしてくださいね。

(3)登録により賃貸経営の権利が得られる

(A)登録商標は他の誰かに許可して使用してもらうこともできる

商標登録をする意味の一つに、本業の売上に加えて、他の誰かに使用してもらって収益を上げることが含まれます。

本業で得られる収益は自分が関与する事業体から得られますが、商標権をライセンスすることで他の事業体からライセンス料を得ることもできます。

自分一人だけでは限界がありますが、自分以外にも登録商標を使用してもらい、その対価を得ることで事業収入を増加させることができます。

商標登録を済ませておけば、その商標権に関係する事業の直接収入と、商標権のライセンス料に基づく賃貸経営の間接収入の二本立ての収入ルートを確保することができます。

(B)登録商標は他の誰かに許可して使用してもらうこともできる

商標登録により得られた商標権に基づくライセンス契約をうまくまとめ上げることができれば、それだけ同じ目標に立ち向かう仲間を得ることができます。

最初は一人で事業を開始します。事業規模が大きくなれば社員が増えます。さらに事業規模が大きくなり商標権を利用したライセンスが進めば、直接間接の事業規模が大きくなります。

この事業規模が大きくなってくるのがキーポイントで、規模が大きくなってくると、その規模自体が周囲を惹きつける力になります。

売上利益が増加すれば、さらに磁石のように別の売上利益を引き寄せることも可能になってきます。

(4)登録により商圏のファイアーウォールが得られる

最初に商標登録をしようと考えるのは、他人にこちらの商標を使われたくない、という考えからの方が多いと思います。

現在使っている商標をあなたが使うことができるのは、誰もその商標について権利を取るアクションにでなかったから、です。

もし現在使っている商標が、他の誰かの商標権の権利範囲にあるものなら、他人の土地に無断で侵入して、そこで商売をしているのと同じになります。

仮に他人の商標権を侵害しているなら、裁判で差止請求や損害賠償を請求される危険が残ります。

自分が使っている商標について幸い、他の誰も権利を取っていないなら、その商圏の回りを商標権の壁で囲って、あなたが最初にファイアーウォールを打ち立てる必要があります。

他人に無断でこちらの商圏の権利を取られてしまうのを防ぐため、です。

(5)まとめ

商標登録をしても意味がない場合はあるか、そもそも商標登録をしなくてはならないか、の質問をよく受けます。

その時、私はこの話をします。

「あなたの商標もアマゾンの商標も権利範囲が同じなら、事業を開始する時点で取得するのに要する費用は同じです。もしアマゾンの商標権を取得していたなら、黙っていてもアマゾンの売り上げの数%を毎年手にすることができます。」

「もし商標登録が必要なかった状況があるとすれば、それは、事業から撤退するときです。この場合は看板、パンフレット、ホームページ等にかけた費用が無駄になるのと同じく、商標登録にかけた費用も無駄になります。」

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘

03-6667-0247

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