(1)指定商品としてグッズ・雑貨を選ぶ方法
商標登録の申請を行う際には、商標をどのグッズや雑貨に使用するかを明確に指定する必要があります。願書の「指定商品(指定役務)」欄に、具体的な商品名を記載しなければなりません。しかし、特許庁では「グッズ」や「雑貨」という一般的な用語では受け付けられません。
例えば、「美容グッズ」と一口に言っても、化粧品、爪切り、パフなど、具体的にどの商品を指しているのかが曖昧です。商標権者は美容に関連する全ての商品をカバーしたいと考えるかもしれませんが、競業者からすると、特定の商品が美容グッズに含まれるのか、それとも健康グッズに分類されるのかが不明確です。
美容グッズと健康グッズの区別が曖昧な場合、商標権者と競業者との間で解釈の違いが生じる可能性があります。このような曖昧な表現では、商標権の範囲を明確に定めることができず、特許庁もそのような記載を認めません。
したがって、商標登録を申請する際には、具体的な商品名を明記し、商標を使用する対象を明確にすることが重要です。例えば、「化粧品」、「爪切り」、「パフ」など、具体的な商品名を記載することで、商標権の範囲を明確にし、トラブルを未然に防ぐことができます。
ここがポイント!
- 商標登録の際には、具体的な商品名を記載する
- 「グッズ」や「雑貨」という曖昧な用語は認められない
- 美容グッズや健康グッズなど、具体的なカテゴリに分けて記載する
- 明確な記載により、商標権の範囲を明確にし、解釈の違いによるトラブルを防ぐ
商標登録を成功させるためには、具体的かつ明確な記載が不可欠です。これにより、商標権を確実に守り、競業者との無用なトラブルを避けることができます。
(2)商標登録の願書にグッズ・雑貨と記入したらどうなるのか?
実際に「グッズ・雑貨」と記載すると拒絶されます
商標登録の願書の「指定商品(指定役務)」欄に「グッズ」や「雑貨」と記入した場合、審査官から拒絶理由通知が届きます。この拒絶理由は、商標法第15条第1項第3号に基づくものです。
「商標登録出願が第6条第1項または第2項に規定する要件を満たしていないとき」は、審査官は拒絶をすべき旨の査定をしなければならない。
商標法第15条第1項第3号の条文
商標法の第6条第1項または第2項とは何でしょう?
商標法の第6条第1項または第2項には、願書への指定商品の記載方法が規定されています。
第1項「商標登録出願は、商標の使用をする一または二以上の商品または役務を指定して、商標ごとにしなければならない。」
第2項「前項の指定は、政令で定める商品および役務の区分に従ってしなければならない。」
商標法第6条第1項および第2項の条文
「グッズ」や「雑貨」という表現は複数の商品を指すため、具体的な商品を指定したことになりません。これにより、願書に「グッズ」や「雑貨」と記載するだけでは、政令で定める商品および役務の区分に従った記載とは認められず、商標法第6条に違反することになります。
この6条違反を解消できなければ、商標登録を受けることはできず、商標権も得られません。
ここがポイント!
- 「グッズ」や「雑貨」と記載すると拒絶理由通知が届く
- 具体的な商品を指定していないため、商標法第15条第1項第3号に基づき拒絶される
- 政令で定める商品および役務の区分に従わないため、商標法第6条に違反する
- 6条違反を解消しない限り、商標登録は認められない
商標登録を成功させるためには、具体的かつ正確な商品名を記載することが重要です。曖昧な表現を避け、商標法に基づいた適切な記載を心掛けましょう。これにより、商標権を確実に取得し、ブランドの保護を強化することができます。
(3)グッズ・雑貨と記入した場合の拒絶理由解消法
商標登録の願書に「グッズ」や「雑貨」と記載した場合、審査官から拒絶理由通知が届きますが、出願人にはその点について意見を述べる機会が与えられます。しかし、この機会を利用しても問題が解消されない場合があります。
例えば、意見書で「グッズ」や「雑貨」という記載が「化粧品」や「せっけん類」を意味すると主張し、願書を「グッズ」や「雑貨」から「化粧品、せっけん類」に補正しようとしても、特許庁の商標審査官はその意見を認めません。理由は、「グッズ」や「雑貨」という表現が具体的に「化粧品」や「せっけん類」を指していることが願書のどこにも記載されていないためです。
「願書に記載した指定商品についてした補正が要旨を変更するものであるとき」は、審査官は、決定をもってその補正を却下しなければならない。
商標法第16条第1項の条文
実際に手続補正書を提出したとしても、その補正は却下される可能性が高いです。その結果、審査官からの拒絶理由が解消されないまま残り、最終的には商標登録出願が拒絶査定となります。
ここがポイント!
- 「グッズ」や「雑貨」と記載すると拒絶理由通知が届く
- 意見書や手続補正書で「グッズ」や「雑貨」が具体的な商品を指すと主張しても認められない
- 補正が却下されると、拒絶理由が解消されないまま残る
- 最終的に商標登録出願が拒絶査定となる
商標登録を成功させるためには、初めから具体的かつ正確な商品名を記載することが不可欠です。曖昧な表現を避け、明確な記載で商標法に準拠することで、スムーズな登録を目指しましょう。これにより、商標権を確実に取得し、ブランドの保護を強化することができます。
(4)まとめ
商標登録の手続で曖昧な記載は御法度
商標登録の願書に「グッズ」や「雑貨」と記載すると、審査で認められる補正はそれらの表現を削除することのみです。つまり、「グッズ」や「雑貨」と記載してしまうと、それを削除しない限り商標登録は認められません。このような曖昧な記載は、商標法に基づく登録を阻害するだけでなく、手続きの遅延や無駄な労力を生じさせます。
具体的な商品を指定する
最初から「グッズ」や「雑貨」といった曖昧な表現ではなく、「化粧品」、「せっけん類」、「歯磨き」といった具体的な商品名を記載しましょう。政令で定める商品および役務の区分に従った記載であれば、特許庁で拒絶されることもありません。
商標登録出願の願書には、誰が見ても分かるように、具体的な商品名を列挙して記入することが大切です。曖昧な表記は避け、明確かつ具体的に記載することで、スムーズな商標登録を実現しましょう。
ここがポイント!
- 願書に「グッズ」や「雑貨」と記載すると審査で認められない
- 曖昧な記載を削除する補正のみが認められる
- 最初から具体的な商品名を記載することが重要
- 政令で定める区分に従って、具体的かつ明確に記載する
商標登録を成功させるためには、最初から具体的で明確な記載を心掛けることが重要です。これにより、商標権を確実に取得し、ブランドの保護を強化することができます。
ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
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