商標登録が完了し、商標権が発生しても、その権利は安全とは限りません。商標登録が無効化されたり、取り消されたりして商標権がなくなってしまうリスクがあるのです。
たとえば、競合他社があなたの商標の登録が不適当であると主張し、特許庁に異議を唱えたり、無効審判を申し立てることが可能です。審判官が商標登録の無効や取り消しを決定すれば、その商標権は原則最初から存在しなかったものとみなされます。
さらに、日本国内で登録商標を３年間使用しなかった場合、第三者がその不使用を理由に商標の登録取り消しを申し立てることができます。
この場合、商標権者は実際に特許庁に登録した商標そのものを使用していたことを証明できなければ、登録が取り消されてしまうのです。
商標権者には、登録された商標を実際に使用する義務があります。
たとえば、星のマークと文字を組み合わせた商標を持っている場合、文字だけを使用して星のマークを省略して使用していると、登録された商標を使用していないとして、取り消しのリスクが生じます。
不使用による商標登録の取り消しを避けるためには、登録した商標そのものを積極的に使用することが必要です。登録商標を使っていないことを理由とする不使用取消審判を請求された後に、急いで使用を開始したとしても、すでに取り消しの申し立てがあればそれを回避することはできません。
過去には、使用証拠を偽造して逮捕された事例もあります。日常的に登録された商標を使用することの重要性を今一度認識するようにしてください。
商標登録後の維持に関するよくある質問
Q1: 登録した商標を使わなかった場合、どのようなリスクがありますか？
A: 登録商標を3年間全く使用していない場合、第三者からの不使用取消審判の申立てにより、商標登録が取り消される可能性があります。このため、登録された商標を定期的に使用することが重要です。
Q2: 商標の更新はどのように行うのですか？更新を怠るとどうなりますか？
A: 商標の更新は、登録から10年ごとに行う必要があります。更新手続きを怠ると、商標権が失効し、その商標を独占的に使用する権利を失います。更新期間は期限の前6ヶ月間ですので、期限をしっかり管理しましょう。
Q3: 商標を少し変更したい場合、新たに登録しなければなりませんか？
A: はい、商標のどの部分を変更する場合でも、新たに商標登録を申請する必要があります。元の登録された商標と異なる新しい形状やデザインを使用する場合は、登録された商標とは別のものとして扱われるからです。
Q4: 商標権の取り消しを避けるためには、どのように証拠を保持すれば良いですか？
A: 商標の使用証拠として、商品や広告に商標が使用されている写真、販売記録、広告資料などを保存しておくことが重要です。これらの証拠は、不使用取消審判において登録された商標を実際に使用していたことを示す際に有効です。
Q5: 商標登録が無効にされる他の理由には何がありますか？
A: 商標が他の既存の商標と類似している場合や、一般的な名称のみで構成されている場合、公序良俗に反する場合などに、仮に特許庁の審査に合格できた場合でも、上級審の審判で商標登録は無効とされることがあります。また、商標登録時までに提供した情報が虚偽であった場合にも無効になることがあります。
ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
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