商標登録はビジネスを拡大する際に非常に重要なステップです。
例えば、最初は一店舗での運営から始まり、業績が好調な場合、多店舗展開を検討するタイミングが訪れるでしょう。この段階で、商標登録が重要な役割を果たします。登録された商標は、自社で利用するだけでなく、第三者にライセンスを許可することも可能です。
特に、直営店ではなくフランチャイズを展開する場合、商標権をライセンスすることにより収益を上げることができます。
たとえば、ラーメン店をフランチャイズ形式で拡大する場合、飲食サービス（第43類）として商標登録を完了させておく必要があります。
また、フランチャイズの運営自体をカバーするためには、ビジネス管理（第35類）に関する商標登録も考慮する価値があります。こうして、店舗の運営（第43類）と本社の管理業務（第35類）の両方で商標権を確保することが、フランチャイズ事業の成功には欠かせません。
重要なのは、特に本業に関する商標権を確保することです。
他者によって先に商標登録されてしまうと、フランチャイズの展開が困難になるだけでなく、その商標を使用したビジネスを行う場合、差止請求や損害賠償請求を受けるリスクが高まるからです。
商標登録は、先に商標を使用しはじめた人に権利が与えられる制度ではなく、先に特許庁に権利申請をした人に権利があたえられる制度です。
ビジネス展開前には自身のサービスに対する商標権をしっかりと確保し、将来的なリスクを回避することが肝心です。これを心がけることで、スムーズなビジネス拡大と安定した運営が期待できるでしょう。
フランチャイズ事業における商標登録に関するよくある質問
Q1: フランチャイズ事業で商標登録は本当に必要ですか？
A1: はい、必要です。仮に先にこちらの商標を他人に登録されてしまうと、こちらがライセンスする側ではなく、先取りした相手に逆にライセンス料を払わなければならない関係になるからです。
商標登録をすることで、ブランドの独占的な使用権を確保でき、フランチャイジーにブランド名を安心して使用させることができます。大切な商標を登録しないで放置しておいて、他人に先に登録されるとフランチャイザーとしての地位を失います。これを防ぐことにより、ブランドの一貫性が保たれ、市場での信頼性が高まります。
Q2: 商標登録はどのクラスで行うべきですか？
A2: フランチャイズの内容によって異なりますが、通常、主要な業務を行うクラス（例えば飲食店なら第43類）と、フランチャイズ管理業務を行うクラス（例えば第35類）の両方で登録を検討することが重要です。
Q3: 海外でフランチャイズを展開する場合、商標登録はどうすれば良いですか？
A3: 海外でのフランチャイズ展開には、その国ごとに商標登録を行う必要があります。各国の商標法に従って適切に登録を行い、国際的なブランド保護を図ることが重要です。
Q4: 商標登録せずにフランチャイズを運営するリスクは何ですか？
A4: 上記の回答とかぶりますが、商標登録を行わない場合、他者に商標を使用されるリスクがあります。これにより、ブランド価値が薄れたり、消費者の混乱を招いたりする可能性があります。最悪の場合、商標権の侵害による訴訟リスクも考えられます。
Q5: 商標登録が完了するまでの期間はどのくらいですか？
A5: 国によって異なりますが、申請から登録まで数ヶ月から数年かかることがあります。日本国内での標準的な登録期間は、申請から半年から1年程度です。フランチャイズ展開を計画している場合は、早めに手続きを進めることが望ましいです。
ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247