索 引
1. バイクの商標は自動車とは別枠で登録する
二輪自動車であるバイクについても、商標登録を行うことが可能です。
自動車とバイクはどちらもエンジンで動く乗り物ですが、商標法上は異なる商品として分類されています。
商標登録では、権利がほしい商品やサービスを「指定商品・指定役務」として特許庁に届け出ます。商標権の効力はこの指定した範囲を基準に決まるため、どの商品を指定するかで権利の広さが変わります。
ここで注意したいのが、特許庁の審査実務では、見た目や用途が近い商品でも、別のグループとして扱われることがある点です。自動車とバイクはまさにその例で、審査上は互いに似ていない商品として整理されています。
このため、自動車のみを対象に商標登録しても、バイクの商標は保護されません。自動車メーカーであっても、バイクにブランドを展開するなら、バイクを指定した登録を別に確保しておく話になります。
2. バイクの商標権は自転車にも及ぶ
一方で、バイクの商標登録を行う際には、自転車と類似商品として扱われるため、自転車にも商標権の効力が及びます。
自動車とは別グループなのに、エンジンのない自転車とは同じグループ。直感に反するようですが、二輪という構造や流通の実態を踏まえて、審査上はバイクと自転車が近い商品と整理されているのです。
つまり、バイクについて商標登録を済ませておけば、他人が同じ商標を自転車に付けて売り出す行為にも権利を主張できます。逆に、他人が自転車について先に登録している商標を、自社のバイクに付けることはできません。
バイクのブランドを立ち上げるときは、バイクだけでなく自転車まわりの先行商標も調査しておくと安心です。
3. レンタルバイクは「サービス」としての指定が必要
バイクを販売するのではなく、顧客にレンタルする場合には、商品ではなくサービスとして指定しなければなりません。
商標の世界では、「モノを売る」のか「サービスを提供する」のかで指定の仕方が分かれます。バイク本体を指定して登録しても、その登録だけではレンタル事業の看板やサイト名まで守り切れるとは限りません。
販売とレンタルの両方を手がけるなら、商品としてのバイクと、貸与のサービスの両面から指定を検討するのが実務的です。
4. 新品・中古、国産・外国製の区別はない
商標権の効力は指定商品・役務を基準に考えられ、新品と中古品のバイクには商標法上の違いはありません。エンジンの排気量や年式に関係なく、同じ商品として扱われます。
したがって、先にバイクの商品について商標登録を済ませた場合、バイクの種類が異なっても商標権の効力は及びます。原付だから、大型だから、といった区別で権利の穴が生まれる心配はいりません。
また、日本の商標権では、バイクが日本製か外国製かの違いは考慮されません。日本で外国のバイクが商標登録されている場合、日本製であっても同じ商標を付けたバイクは販売できません。
商標権は国ごとの権利ですが、日本国内では製造国を問わず効力が及ぶ、と覚えておいてください。
5. まとめ
バイクの商標登録のポイントを振り返ります。
- 自動車の商標登録では、バイクは守れない(別グループの商品)
- バイクの商標権は、類似商品である自転車にも及ぶ
- レンタル事業は商品ではなくサービスとしての指定を検討する
- 新品・中古、排気量、製造国による区別はない
このように、バイクの商標登録は指定商品・役務の選び方がすべての出発点になります。どの範囲を指定するかで権利の守備範囲が大きく変わるため、事業の実態に合わせた指定を心がけてください。
6. バイクの商標登録のよくある質問
バイクの商標登録についてのよくある質問とその回答を紹介します。
Q1. 自動車ですでに商標登録しています。バイクにも権利は及びますか?
A1: 及ばないのが原則です。自動車とバイクは商標の審査上、互いに似ていない商品として扱われるためです。バイクへのブランド展開を考えるなら、バイクを指定商品に含めた登録を別に検討してください。
Q2. バイクで商標登録すれば、自転車は守られますか?
A2: 守られます。バイクと自転車は類似商品として扱われるため、バイクの商標権は他人が自転車に同じ商標を使う行為にも及びます。裏を返せば、自転車の先行商標がある場合、あなたのバイクの出願が拒絶される要因にもなります。
Q3. 中古バイクにも商標権は及びますか?
A3: 及びます。新品か中古か、年式や排気量がどうかで商標法上の扱いは変わりません。なお、正規品の中古バイクをそのまま転売する行為そのものは、通常は商標権の問題になりません。問題になるのは、権利者に無断でその商標を自分の商品に付けるような使い方です。
Q4. 外国メーカーのバイクと同じ名前を、国産バイクに付けてもよいですか?
A4: その名前が日本で商標登録されている場合はできません。日本の商標権は製造国を問わず日本国内での使用に効力が及ぶため、日本製だから大丈夫という理屈は通りません。
Q5. ヘルメットやウェアにも同じブランドを使いたいのですが?
A5: ヘルメットや衣類は、バイク本体とは別の区分の商品です。商標権は指定した商品・サービスの範囲でしか働かないため、展開したい商品ごとに指定を追加して出願する必要があります。事業計画に合わせて、最初にまとめて設計しておくと後の手間が省けます。
ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
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