(1)全国に広がった1,117もの「道の駅」
(1–1)「道の駅」とは?
「道の駅」の始まりは、1993年。
それまでに比べ、高齢者や女性のドライバー、長距離ドライブの機会などがふえたことにより、一般道路でも安心して立ち寄れる休憩施設の必要性が高まったことによります。
「道の駅」は、まず市町村が申請を行い、国土交通省道路局によって登録されます。制度開始以来、順調な広がりをみせ、現在ではすべての都道府県に設置されています。
全国にある「道の駅」の合計は、2017年4月の時点で1,117にもなっています。
また「道の駅」は、休憩機能を備えているのはもちろん、特産物の購入や周辺地域の歴史や文化、みどころなど、多くの情報を手に入れることもできます。
そして、地域を結びつけ、連携させるきっかけとなる場所としても期待されているのです。
「道の駅」は、単なる休憩施設じゃなく、たくさんの役割を担っているんだね。
公募作品を元に作成されたシンボルマーク
「道の駅」の案内板のデザインは、1992年に公募した作品が元になっています。
樹木と家がモチーフになっており、室内にいる人は、インフォメーションの「i」にもみえるように描かれています。そして、左側に位置する樹木と駐車場、道路によって、「道」という文字のしんにょうを表しています。
このデザインには、立ち寄るドライバーや地域の人々にとって、親しみやすい交流の場であってほしいという願いが込められています。
国土交通省HPより引用
(1–2)「道の駅」の商標について
「道の駅」は、国土交通省道路局長によって、多数、商標登録されています。
ここでは、その一例をご紹介します。
道の駅(商標登録 第3112623号)
- 権利者:国土交通省道路局長
- 出願日:1992年9月30日
- 登録日:1996年1月31日
区分は以下の通りです。
- 第29類「食肉、肉製品、加工水産物、加工野菜および加工果実、乳製品」など
道の駅(商標登録 第5468473号)
- 権利者:国土交通省道路局長
- 出願日:2011年7月5日
- 登録日:2012年2月10日
区分は以下の通りです。
- 第41類「庭園の供覧、洞窟の供覧」
(2)趣向を凝らし、訪れる人を歓迎する「道の駅」
各地の「道の駅」では、それぞれの地域の特性を生かし、さまざまな趣向を凝らしています。ここでは、そのなかの1つをご紹介します。
(2–1)桜島を眺め、60メートルの足湯に癒される「道の駅たるみず」(鹿児島県垂水市)
「道の駅たるみず」は、鹿児島県の中部・大隅半島の玄関口に位置しています。
ここのみどころは、なんといっても60メートルの長さの足湯!
目の前に広がる桜島と錦江湾を眺めながら、旅の疲れを癒せます。
また、特産品の購入はもちろん、「道の駅」にはめずらしい天然ラドン温泉に浸かることもできます。
併設のレストランでは、新鮮な魚介類や天然温泉水で育ったブランド豚「桜島美湯豚」を味わえ、運がよければ、湾に現れたイルカもみられるというから驚きです。
ここは、旅の途中で立ち寄った人を楽しませる、ぜいたくな複合観光施設となっています。
(3)「道の駅」グルメの頂点を決定・「道−1グランプリ」
(3–1)「道–1グランプリ」とは?
各地の「道の駅」では、地域の名物などおいしいものを堪能することができます。
全国に1,117ある「道の駅」。そのなかの選りすぐりの一品を味わえたら嬉しいですよね。
そんな願いを叶え、「道の駅」グルメの頂点を決定するのが、「道−1グランプリ」です。
2016年から始まり、前回は初開催であったにもかかわらず、約2万5000人の来場者が集まりました。
そして、グランプリには「道の駅もてぎ」(栃木県茂木町)の「ゆず塩ら〜めん」、準グランプリには「道の駅大月」(高知県大月町)の「苺氷り」が輝きました。
実際に全国各地にある「道の駅」に足を運ぶことは、なかなか難しいかもしれません。このイベントでは、普段あまり口にする機会のない、さまざま地域の味にふれることができます。
たくさんの「道の駅」を巡った気分が味わえるなんて、ぜいたくなイベントだね。
(3–2)「道–1グランプリ 2017」について
「道–1グランプリ 2017」は、10月下旬に2日間にわたって行われます。
2回目となる今回は、すでに選考をクリアした約30の「道の駅」の出場が決定しています。
日時:2017年10月28日(土)/10月29日(日)
会場:桐生市運動公園(桐生市相生町3丁目300)
詳細は以下のホームページで確認できます。
チェックしてみましょう
「道–1グランプリ」 http://michi-1.jp
「道–1グランプリ 2017」出場者について
「道–1グランプリ 2017」には、前回のグランプリと準グランプリに輝いた「道の駅」も、引き続き出場予定です。
そのほかの出場者の一部は、以下のようになっています。
全国各地から参加していることが、よくわかりますね。
- 「道の駅あさひかわ」(北海道旭川市) 「旭川しょうゆ焼きそば」
- 「道の駅おおとう桜街道」(福岡県大任町) 「石炭ソフトクリーム」
- 「道の駅うずしお」(兵庫県南あわじ市) 「あわじ島オニオンビーフバーガー」
- 「道の駅世羅」(広島県世羅町) 「せら高原ナポリタン」
- 「道の駅若狭おばま」(福井県小浜市) 「サバサンド」 ほか
(3–3)「道–1グランプリ」の商標
道–1グランプリ(商標登録 第5905106号)
「道–1グランプリ」は、イベントの事務局を務めている会社によって商標登録されています。
特許庁の商標公報・商標公開公報より引用
- 権利者:株式会社XS
- 出願日:2016年3月11日
- 登録日:2016年12月16日
区分は以下の通りです。
- 第29類「食肉、肉製品、加工水産物、加工野菜および加工果実、こんにゃく」など
- 第30類「菓子、パン、ホットドッグ、穀物の加工品、弁当」など
- 第41類「食または料理その他の文化に関するイベントの企画・運営または開催、人・企業または地域間の交流会の企画・運営または開催、娯楽情報の提供、電子出版物の提供、書籍・雑誌・新聞・カタログその他の印刷物の制作」など
「北関東三県ウマいもん合戦 in 桐生 2017」も同時開催
北関東三県(群馬県・栃木県・茨城県)が誇るおいしいものを集め、その売り上げを競う「北関東三県ウマいもん合戦」。
これは6回目を迎える人気イベントであり、昨年は9万5000人の来場者でにぎわいました。
今回は「道−1グランプリ」と同じ会場で開催され、2つのグルメNo.1が同時に決定する「おいしい」機会となっています。
チェックしてみましょう
「北関東三県ウマいもん合戦 in 桐生 2017」
http://www.city.kiryu.lg.jp/ kankou/event/1010677/1001906.html
(4)まとめ
全国で定着した印象のある「道の駅」。地域の魅力がつめこまれているため、初めて訪れた場所でも身近に感じられるかもしれません。
この名称が第三者によって勝手に使用され、紛いものの「道の駅」が、あちこちにできてしまうと困りますよね。そのような状況に陥らないためにも、商標登録による保護は重要になってきます。
これから秋の行楽シーズンを迎え、きっと多くの人が「道の駅」に立ち寄ることでしょう。この先も、「道の駅」がドライバーの心強い味方であり続けられるよう、商標登録は陰ながら支えているのです。
ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247