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他人の商標登録を阻止する3つの手段


1. はじめに

商標はビジネスの顔とも言える大切な資産です。それを守る「商標登録」は、自社や個人のブランドにとって欠かせない手続きになっています。

ところが、自分が大切にしてきた商標を、知らないうちに他社に出願されてしまうことがあります。そんなとき、どう動けばよいのでしょうか。

今回は、自分の商標が他社に出願されたときの阻止策と対処法を解説します。商標をお持ちの方、これから取得を考えている方は必見の内容です。

2. 情報提供制度とは?

商標の世界では、他社が自分の大切な商標を出願してしまう場合があります。そんなときに役立つのが「情報提供制度」です。

情報提供制度とは、他人が出願中の商標について、特許庁へ情報を提供できる仕組みです。審査中の商標がなぜ登録されるべきでないのか、その理由を商標法の規定に沿って書面で示せます。

注意したいのは、提供した情報を審査官が必ず確認・採用するとは限らない点です。情報提供はあくまで審査の参考であり、最終的な判断は特許庁の審査官が下します。

それでも、この制度をうまく活用すれば、商標登録を阻止できる場合があります。弁理士である私自身、この制度を使って、クライアントの商標が他社に出願されてしまったケースで登録を阻止した実績があります。

ひとつ気をつけたいのは、「他人の商標を横取りするのはずるい」といった主観的な主張をしても、審査結果は変わらないことです。審査官は商標法の規定によってしか出願を拒絶できず、さじ加減で拒絶できる仕組みにはなっていないからです。

3. 異議申立制度の活用

商標登録は企業や個人のブランドを守る大切な手段ですが、適切な審査を経たうえでも、ときに疑問の残る登録が行われることがあります。そんなときに役立つのが「異議申立制度」です。

異議申立とは、商標が審査を通過して登録された後に、商標法に定められた理由に基づいて登録の取り消しを特許庁へ申し立てる手続きです。

異議申立は、商標公報の発行日から2ヶ月以内に行わなければなりません。この期間を過ぎると申立ての権利を失うため、注意してください。

異議申立が認められると、その商標登録は取り消され、最初から登録されていなかったものとして扱われます。これにより不適切な商標登録を未然に防げるので、自分の権利を守る強力な手段になります。

異議申立の書面には、審査のどこに誤りがあったのかを、商標法の規定に沿って丁寧に説明します。感情的な意見を書いても結論は覆りません。

私自身の経験をお話しします。ある審査で「先行登録商標があるので登録は認められない」という拒絶理由通知を受け取りました。これを覆すため、先行登録商標に対して異議申立を行いました。

結果は登録維持で、形のうえでは私の負けでした。ただ、その中身は審査官の判断を覆す、実質的には私の勝ちといえる内容になっていました。

異議申立を担当した特許庁の審判官の意図は、当事者同士で争わず仲良くしなさいという、喧嘩両成敗だったのではないかと感じています。

4. 無効審判の請求

商標の保護はビジネスの成長に欠かせませんが、本来は適切な手続きを踏んで登録されるのが望ましいものです。

では、異議申立を使っても望む結果が得られなかったとき、あるいは異議申立の期限を過ぎてしまったときは、どう対処すればよいのでしょうか。その答えが「無効審判の請求」です。

無効審判の請求は、異議申立が不発に終わったときの最後の手段として使えます。この手続きにより、特許庁に商標登録を無効とする審判を求められます。

無効審判と異議申立の違いは、異議申立は誰でも申し立てられるのに対し、無効審判は権利関係が自社に及ぶ関係者でなければ認められない点です。

無効審判が認められると、その商標登録は無効となり、最初から登録されていなかったものとして扱われます。無効審判の手続きそのものは、東京地裁での審理に相当します。そして、この審決に不服がある場合は、東京高裁へ出訴できます。

無効審判の請求は、商標の正当性を確保するうえで欠かせない手段です。自分の商標を守り、権利を確保するためにも、この制度の存在を知っておきましょう。

もちろん私自身も、無効審判でクライアントの商標を横取りした先行商標を無効に追い込んだ経験があります。

5. まとめ

商標は、自社や個人のブランドを象徴する大切な財産です。それを守るには、他者による不当な登録を食い止めていくことが欠かせません。

今回は、そのための3つの主要な手段、すなわち「情報提供」「異議申立」「無効審判」を紹介しました。

5-1. 商標情報提供

審査中の他人の商標に対し、登録されるべきでない理由を特許庁に知らせられます。

5-2. 商標異議申立

商標が審査を通過した後、一定の期間内に異議を申し立て、その登録の取り消しを求める手続きです。

5-3. 商標無効審判

異議申立が不発に終わったときや、異議申立の期間を過ぎてしまったときの最後の手段として、商標登録を無効とする審判を特許庁に求められます。

自分の商標を守ることは、信用やブランド力の維持、そしてビジネスの持続的な成長のためにも欠かせません。

不当な商標登録を食い止めるこれらの手段を知り、適切なタイミングと方法で活用すれば、より堅固なブランドを築けます。皆さんも、自社の価値をしっかり守るために、ぜひこれらの情報を役立ててください。

6. よくある質問

Q1.情報提供制度の利用は有料ですか?

いいえ。情報提供制度の利用そのものは無償で、特許庁へ情報を提供する際に料金はかかりません。ただし、詳しい根拠や証拠を整理するために弁理士・弁護士へ依頼する場合は、その費用がかかることがあります。

Q2.異議申立を行った後、どのくらいの期間で結果が出ますか?

異議申立の結果は、申し立てから数ヶ月から1年以上かかることがあります。期間はケースバイケースで、審理の内容や特許庁の審判官の混雑状況によって変わります。

Q3.無効審判の請求に期限はありますか?

はい。無効審判の請求には「除斥期間」と呼ばれる請求期限が設けられており、商標登録日から一定期間内に請求しなければなりません。期間を過ぎると無効審判の請求はできなくなるので注意してください。なお、請求理由によって最終的な請求期限が変わりますので、詳しくはお問い合わせください。

Q4.商標の異議申立や無効審判は、弁理士や弁護士に依頼しないと難しいですか?

異議申立や無効審判は専門的な知識を要するため、一般の方が独力で進めるのは難しいことが多いです。弁理士・弁護士に相談し、助言を受けながら進めることをおすすめします。

Q5.すでに他人に登録された商標を取り消す方法はありますか?

はい。すでに他人に登録された商標には「無効審判の請求」を行うことで、その登録の取り消しを求められます。ただし、具体的な無効の理由や根拠を示さなければなりません。

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247

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