1. はじめに
「会社名を商標登録することは本当に必要なの?」という疑問が、実際に多くの方から寄せられます。
簡潔に言えば、会社名の商標登録は強く推奨されます。その理由として、自社の名前が他社に先を越されて登録されてしまうと、ビジネス展開に多大な制約が生じるからです。
会社を設立する際には、使用する名前が既に他の企業によって商標登録されていないかを事前にチェックすることが欠かせません。なぜなら、もし自社の名前が他社の商標権を侵害している場合、その名前での商品やサービスの宣伝ができなくなる可能性があるからです。
さらに、商標権の侵害が後から発覚した場合、看板や名刺、ホームページなどの再作成の手間やコストが発生します。
そのようなリスクを避けるため、会社設立時には商標登録をきちんと行っておくことが、安心のためにも非常に重要です。
2. 商標法の規定はどのようになっているか
商標法の規定では、他人の氏名や名称は商標登録できないことになっています(商標法第4条第1項第8号)。
他人の氏名や名称が商標登録できないなら、他社からこちらの社名を商標登録されることはないか、というとそうではないです。
こちらの会社名が登記される前は特許庁の審査官も把握する手段がありません。また商標法の規定は、他人の氏名や名称に「似た」商標は登録しない、とは規定されていません。
つまり、商標権の権利範囲に入る程度に似た商標が登録されてしまう場合があります。
このため、商標法の規定で氏名や名称は登録されないから大丈夫、と油断しているとライバル会社から障害となる商標を登録されてしまう場合があります。
ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
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