小倉キャスターが司会を務める本日6月14日のフジテレビの「とくダネ!」にファーイースト国際特許事務所の所長弁理士である平野泰弘が出演、丸亀製麺の知的財産権問題について解説しました。
丸亀製麺は米国において「MARUKAME」という商標権を保有しています(商標権は親会社名義になっていますが、ここでは分かりやすく「丸亀製麺」さんの登録商標として説明します)。
これに対し、最近、「丸亀もんぞう」という、丸亀製麺側とは全く関係のない別のお店が米国で商売を始めました。
そもそも「丸亀」というのは地名です。「東京」や「大阪」といった地名を一個人、一企業が独占できるかというと、原則としてそれはできません。地名はみんなが使用する言葉であり、一人に独占させるべきではないからです。
また米国でも原則として地名の商標登録を認めていません。
今回は丸亀製麺側が米国で丸亀もんぞう側に「丸亀」という商標の使用を止めるように要求した点が番組で取り上げられました。
日本では「丸亀」は地域名として知られています。このため原則、誰でも地域名は使用できることになります。
ところが米国では「MARUGAME」が一般の米国人を基準として地名として認識されているかというと、怪しい面があります。
また丸亀製麺側の「MARUKAME」が米国で地名であると認定されたのであれば、そもそも米国で商標権は得られなかったわけで、形式的には丸亀製麺側の「MARUKAME」は米国では地域名ではないと認定されたということもできます。
もし丸亀もんぞう側が「MARUGAME」という商標を使用していて、「MARUGAME」が米国では地域名として認識されていないのであれば、丸亀製麺側の「MARUKAME」という登録商標と、丸亀もんぞう側の「MARUGAME」とは紛らわしいので商標権の侵害になる、という話は相当な説得力があります。
これに対して丸亀もんぞう側は「MARUGAME」という表記は地名を意味するものであり、このような誰でも使う必要のある言葉に商標権の効力がおよぶのはおかしい、と主張することもできます。この反論にも説得力があります。
誤解がないようにして欲しいのですが、地域名なら登録商標であっても自由に使い放題、ということにはなりません。
たとえば、世界のどこかに「グッチ」という地名があった、とします。
その場合には日本で「グッチ」という商標が使い放題になるかというと、それは「NO」、です。
この場合は「グッチ」が日本国内で地域名として広く人々に認識されているかどうかが問題になります。現在では「グッチ」が日本国内で地域名として認識されているか、というと、そのような事実はありません。
このため、たとえ世界のどこかに「グッチ」という地名があったとしても、日本国内で「グッチは地名だから自由に使ってもよい」という理屈を通すことは極めて困難です。
ではどの場合に地域名が使うことができて、どの場合に地域名が使えなくなるかという具体的な話については次回にて。
ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247